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会社への貸付金・立替金

ぜんたいの流れ
  1. 1未精算額を確認
  2. 2証拠を集める
  3. 3書面で請求
  4. 4退職日までに精算
  5. 5応じなければ相談
この記事の内容
  1. 会社は退職金と貸付金を勝手に相殺できるか
  2. 立替金(経費の建て替え)はどう扱われるか
  3. 社内貸付金(会社からの借入)がある場合はどうなるか
  4. 計算例:立替3万円+社内貸付10万円が残っている場合
  5. 文例:退職前の精算を求める社内メール
  6. チェックリスト:退職前に貸付金・立替金で確認すること
  7. 会社が立替金の支払いに応じない場合はどうするか
  8. 退職代行は金銭精算まで交渉できるか
  9. 次にやること

会社の経費を立て替えたまま辞めたい人、または社内貸付制度でお金を借りていて残高がある人へ。結論から言うと、立替金は退職しても消える権利ではなく、貸付金は原則として契約どおりの返済義務が残る。会社が「退職金と相殺する」と言ってきたときにどこまで従う必要があるかを、条文と判例に沿って説明する。

「お金の話を持ち出すと角が立つのでは」と身構える必要はない。立替金の返還を求めることも、相殺の内容を確認することも、法律で認められた本人の権利であって、わがままでも図々しい話でもない。

会社は退職金と貸付金を勝手に相殺できるか

できない、が原則。退職金も含めて賃金は「通貨で、直接、全額を」支払わなければならないという全額払いの原則が法律で定められている(労働基準法第24条)。会社が一方的に「貸付金の残りを引いておいた」と天引きすることは、この原則に反する。

ただし例外がある。労働者本人が自由な意思で相殺に同意した場合は、その相殺が有効と判断された最高裁判所の判例がある(日新製鋼事件、最高裁平成2年11月26日第二小法廷判決。判決文の原文は確認できていないが、事件名・年月日・「自由な意思に基づく同意であれば相殺は全額払いの原則に違反しない」という結論の向きは、複数の弁護士による解説で一致している)。つまり「会社が勝手に引く」のは違法、「本人が納得して合意書にサインする」のは有効、という線引きになる。ここを曖昧にしたまま「相殺します」の一言で押し切られないことが大事。

同意書へのサインを求められたら、その場で即答せず、金額の内訳(元本・利息・立替金との差引き)を書面でもらってから判断する。急かされて焦る必要はない。

立替金(経費の建て替え)はどう扱われるか

出張費や消耗品費を一時的に自分のお金で立て替えた場合、これは会社に対する金銭債権(お金を返してもらう権利)になる。退職したからといって消える権利ではない。

この種の債権には消滅時効があり、権利を行使できることを知った時から5年で時効にかかる(民法第166条、一般債権の消滅時効)。とはいえ5年も待つ必要はなく、退職日までに未精算分をまとめて請求すればよい。証拠になるレシートや経費申請の控えは、退職前に手元へコピーしておく。退職後は社内システムにアクセスできなくなり、証拠を取りに行けなくなるケースがあるためだ。

社内貸付金(会社からの借入)がある場合はどうなるか

住宅資金や生活資金の社内貸付制度を使っている場合、多くの会社では就業規則や貸付規程に「退職時は残債を一括返済する」旨が定められている。この規程の有無や返済条件は会社ごとに異なるため、入社時に交わした貸付契約書か社内規程を確認する必要がある(内容は各社の規程によるため一律には言えない)。

規程に一括返済の定めがある場合、退職日までに現金で返済するか、退職金からの天引きに同意するかの選択になることが多い。天引きに同意すると手続きは楽になるが、同意した金額に誤りがないか、利息の計算が合っているかは自分でも確認したほうがよい。利息がある貸付の場合、返済日をずらすと利息額が変わるため、退職日と返済期日がずれていないかも合わせて見ておく(具体的な利率・計算方法は各社の貸付規程による)。

一括返済が難しい場合、分割での返済に応じてもらえるかを会社に相談する余地もある。応じるかどうかは会社の判断になるが、黙って滞納するより先に相談したほうが、後々のトラブルは小さくて済む。

計算例:立替3万円+社内貸付10万円が残っている場合

前提を次のように仮置きする。

項目 金額
未精算の立替金(会社が払うべきお金) 30,000円
社内貸付金の残高(自分が返すべきお金) 100,000円

この場合、両方に合意すれば差し引き70,000円(100,000円−30,000円)を会社に返済すれば精算が終わる、という計算になる。合意がなければ、30,000円は給与とは別に会社へ請求し、100,000円は貸付規程に定められた返済期日までに別途返す、という2本立てで進めることになる。相殺するかどうかは会社が決めることではなく、本人が同意するかどうかの話であることを忘れないでほしい。

文例:退職前の精算を求める社内メール

立替金の未精算分を退職前に会社へ伝える文面の例。

件名:退職に伴う立替金精算のお願い

〇〇部 〇〇様

お疲れ様です。〇〇です。

退職(退職日:20XX年X月X日)にあたり、下記の立替金について
退職日までにご精算いただけますよう、お願い申し上げます。

・出張交通費 〇〇円(20XX年X月X日、領収書提出済み)
・消耗品費 〇〇円(20XX年X月X日、申請済み・未処理)

合計 〇〇円

ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

〇〇

チェックリスト:退職前に貸付金・立替金で確認すること

  • □ 未精算の立替金を全部洗い出したか(交通費・消耗品費・仮払い分など)
  • □ 立替金の証拠(レシート・領収書・経費申請の控え)を手元にコピーしたか
  • □ 社内貸付金の契約書・規程で「退職時一括返済」の定めがあるか確認したか
  • □ 退職金からの天引きに同意する場合、金額の内訳が書面で示されているか
  • □ 内容を理解しないまま相殺の同意書にサインしていないか

会社が立替金の支払いに応じない場合はどうするか

書面で請求しても会社が応じない、または連絡そのものが取れなくなったという場合、いきなり弁護士に相談するのが大げさに感じるなら、まず法テラス(日本司法支援センター)の無料相談窓口を使う手段がある。ただし無料相談には収入・資産の要件があり、誰でも無条件に使えるわけではない。

請求金額が60万円以下であれば、簡易裁判所の少額訴訟という制度も選べる。原則として1回の審理で判決が出る仕組みで、通常の裁判より手続きの負担が軽い(民事訴訟法第368条以下)。ただし同じ簡易裁判所で1年に利用できる回数には上限があり、同一の簡易裁判所に対しては同一年に10回までと定められている(民事訴訟法第368条第1項・第3項、民事訴訟規則第223条)。

立替金は「賃金」そのものではなく会社に対する金銭債権にあたるため、未払い賃金の相談窓口である労働基準監督署がどこまで扱ってくれるかは内容によって変わる(一律に労基署が対応すると断定はできない)。まずは法テラスに相談し、必要に応じて弁護士や少額訴訟につなげてもらうのが確実な流れになる。

退職代行は金銭精算まで交渉できるか

退職代行の主な役割は「会社を辞める」という本人の意思を会社へ伝えることで、貸付金や立替金の金額そのものについて会社と交渉することは、弁護士でない業者が行うと弁護士でない人がやってはいけない交渉(非弁行為)にあたるおそれがある。

貸付金の金額や相殺の是非で会社ともめそうな場合は、弁護士が対応する退職代行(例:弁護士法人ガイア)を検討したほうが安全で、単に退職の意思を伝えるだけでよい場合は一般の退職代行(例:退職代行Jobs)でも問題ない。どちらを使う場合も、金銭精算の書面でのやり取りは自分自身、または依頼した弁護士が行う点は変わらない。

次にやること

今日中に、未精算の立替金の証拠(レシート・申請の控え)と、社内貸付金の契約書・規程のコピーを手元に集める。これがないと、退職後に会社と金額が食い違ったときに主張のしようがなくなる。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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