退職証明書とは
- 1退職を伝える
- 2退職証明書を請求
- 3会社が作成・交付
- 4内容を確認
- 5提出先へ提出
転職先から「退職証明書を出してください」と言われたのに、何のことか分からず困っていないだろうか。離職票と混同されがちだが、この2つは発行元も使いみちも別物だ。この記事では、退職証明書が何で、離職票と何が違い、どう請求すればもらえるかを順番に説明する。
退職証明書とは何か
退職証明書は、会社が「この人がいつまで・どんな立場で・どんな理由で働いていたか」を書面で証明するものだ。発行元は在籍していた会社そのもの。ハローワークは関係しない。
労働基準法第22条は、労働者が退職したとき、次の項目について会社に証明書を作らせる根拠になっている。
- 使用期間(いつからいつまで働いたか)
- 業務の種類
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由(解雇の場合はその理由)
法律上は、これらの項目のうち労働者が請求した部分だけを書けばよいことになっている。全部まとめて書いてもらう必要はなく、「退職理由だけ」「在籍期間だけ」を頼むことも可能だ。
会社側がこの請求を無視してよいわけではない。労働基準法22条は交付義務を定めた条文で、正当な理由なく拒否すると30万円以下の罰金の対象になる(労働基準法第120条第1号。2026年9月、条文原文で確認)。
離職票との違い
同じ「退職を証明する書類」でも、退職証明書と離職票は別物だ。混同すると、どちらを請求すればいいか分からなくなる。
| 退職証明書 | 離職票 | |
|---|---|---|
| 発行元 | 会社(在籍していた勤務先) | ハローワーク(会社が手続きし、ハローワーク経由で届く) |
| 根拠法 | 労働基準法22条 | 雇用保険法(交付手続きは雇用保険法施行規則第7条・第17条) |
| 主な使いみち | 転職先への提出など | 失業保険(基本手当)の申請 |
| もらえる時期 | 会社に請求すればいつでも(退職前後どちらでも可、労働基準法22条1項・2項) | 退職後、会社がハローワークに届出た後 |
| 発行を待つ日数の目安 | 会社次第(請求すれば遅滞なく交付する義務あり) | 会社は離職の翌日から10日以内にハローワークへ届け出る義務がある(雇用保険法施行規則第7条)。手元に届くまでの実日数は会社の対応スピードに左右される |
一番の違いは、退職証明書は自分で会社に「出してください」と言わないと基本的に出てこないことだ。離職票は失業保険の申請に必須なので会社側が手続きする前提になっているが、退職証明書は請求主義。黙っていると発行されない。
筆者自身は2026年に会社都合で退職し、退職日の翌日から3日で離職票を受け取った(マイナンバーと紐づけていたため早かったケース)。そのため失業保険の手続きでハローワークの窓口に行った際に必要だったのは離職票であって、退職証明書ではなかった。退職証明書が必要になるのは、主に転職先から「前職の在籍期間や退職理由を書面で確認したい」と言われたときだ(調査した範囲では、提出を求める企業とそうでない企業がある)。
どんな場面で必要になるか
退職証明書の提出を求められる代表的な場面と、間違えやすい場面をまとめた。
- 転職先の入社手続き: 前職の在籍期間・雇用形態・退職理由を確認するため
- 失業保険の手続きで離職票が遅れているとき: 退職日の翌日から12日目以降であれば、退職証明書など退職の事実を証明できる書類を持参してハローワークで仮受付ができる(ハローワーク蒲郡の案内ページ、神奈川労働局横浜南公共職業安定所の様式で確認。2026年9月時点)。ただし仮受付のあとも離職票の提出は必要
- (間違えやすい例)国民健康保険の軽減申請: この手続きに必要なのはハローワーク交付の「雇用保険受給資格者証」(または雇用保険受給資格通知)で、離職票や退職証明書では手続きできない自治体が多い(西宮市・渋谷区など複数自治体の案内ページで確認。2026年9月時点)。退職証明書があれば足りると誤解しないこと
前2つは退職証明書が実際に役立つ場面、最後は退職証明書だけでは代用できない場面だ。「離職票とは別に何が要るか」を確認してから請求する項目を絞ろう。
どう請求すればいいか
退職証明書は会社に請求して初めて作成される。次の手順で進める。
- 請求先を確認する: 在籍中なら人事・総務部門、退職済みなら退職前に所属していた部署か人事部門
- 必要な項目を伝える: 「使用期間だけ」「退職理由だけ」など、証明してほしい項目を絞って伝える。全項目を書いてもらう必要はない
- 書式を確認する: 会社指定の書式がなければ、転職先や提出先が指定する書式を渡して記入してもらう
- 交付を待つ: 労働基準法22条は「遅滞なく」交付するよう会社に義務づけている。具体的な日数の定めは条文上は明記されていない(公式な基準は無く、社労士など専門家の解説では1週間程度を目安とする例が多い。2026年9月確認)
- 内容を確認する: 事実と違う記載(特に退職理由)がないか、受け取ったら必ず目を通す
退職理由の欄は特に注意したい。自己都合退職なのに会社都合と書いてほしい、あるいはその逆を求めるようなケースは、会社との交渉になる。ここは労使間の事実認識のズレが起きやすい部分なので、言った言わないにならないよう、請求時にメールなど記録に残る形でやり取りしておくと安心だ。
会社が出してくれないときは
請求しても放置される、あるいは明確に拒否されるケースもゼロではない。その場合の相談窓口は次の通り。
- 労働基準監督署: 労働基準法22条に基づく交付義務違反として相談できる
- 総合労働相談コーナー: 都道府県労働局が設置している無料相談窓口
すでに会社と連絡を取ること自体がつらい、退職の話を切り出すことさえ苦痛だという状況であれば、退職の意思表示そのものを代行してくれるサービスを使う選択肢もある(退職証明書の請求は退職成立後の話になるため、代行サービスの対応範囲は個別に確認が必要)。退職代行Jobs
次にやること
まず、退職証明書が必要な理由(転職先の要望か、離職票の代わりか)を確認する。そのうえで、請求したい項目を絞ってから会社の人事・総務担当に請求しよう。全部まとめて頼む必要はなく、必要な項目だけを指定できる。