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退職する会社の悪口を言わないほうがいい3つの理由

この記事の結論
  • 辞める会社の悪口を言わない理由は「品格」ではなく実利にある
  • SNSでの発信は名誉毀損罪(刑法230条)・信用毀損罪(刑法233条)に問われる可能性がある
  • 一部の企業は退職前の会社に問い合わせるリファレンスチェックを行う
  • 業界は思っているより狭く、次の職場で同じ人と再会することがある
  • それでも言いたい気持ちは、公にしない場所で処理すればよい
この記事の内容
  1. 結論:悪口を言わないほうが「得」をする
  2. 理由1:法的リスクがある
  3. 理由2:転職活動に実害が出ることがある
  4. 理由3:業界は思っているより狭い
  5. 退職代行を使う場合も同じ理由が働く
  6. それでも言いたい気持ちの逃し場
  7. 次にやること

この記事は、辞める会社への不満が溜まっていて、SNSや転職先の面接で「言いたい」気持ちがある人に向けて書いています。 結論から言うと、辞める会社の悪口を言わないほうがいいのは、行儀の問題ではなく実利の問題です。名誉毀損などの法的リスク、転職活動への実害、業界の狭さという3つの実利的な理由を整理します。

こんな状態ではありませんか
  • SNSに会社の実態を書いてやりたい気持ちがある
  • 面接で「なぜ辞めたか」を聞かれたときに本音をどこまで言っていいか分からない
  • 我慢してきた分、最後くらい言いたいという気持ちがある

その気持ちは自然なものです。責められるようなことではありません。ただ、実際に行動に移す前に、実利の面から一度立ち止まって整理しておく価値があります。

結論:悪口を言わないほうが「得」をする

辞める会社の悪口を言わないほうがいいと言われると、「立つ鳥跡を濁さず」のようなマナー論に聞こえるかもしれません。ですが、ここで挙げる理由はマナーではなく、言ったことで自分が損をする具体的な経路の話です。

ここが要点

損をする経路は3つあります。①SNSなどでの発信が名誉毀損・信用毀損に問われる可能性がある、②転職活動でリファレンスチェックや業界内の評判に影響する、③次の職場で同じ人と再会したときに不利になる。どれも「相手のため」ではなく「自分のため」の話です。

順番に見ていきます。

理由1:法的リスクがある

SNSや口コミサイトに会社名を出して不満を書き込むと、法的な責任を問われる可能性があります。ここで関係してくる主な条文は3つです。

罪名 条文 どんなときに問題になるか
名誉毀損罪 刑法230条 具体的な事実を挙げて、会社や特定の人の社会的評価を下げるようなことを、不特定多数が見られる場所に書いたとき
侮辱罪 刑法231条 具体的な事実を挙げなくても、公然と相手をおとしめる表現をしたとき(2022年6月の法改正で法定刑が「拘留・科料」から「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」に引き上げられ、2022年7月7日に施行された。法務省の公表資料で確認)
信用毀損罪 刑法233条 虚偽の内容を広めたり、不正な手段を使ったりして、会社の経済的な信用を傷つけたとき
ここが要点

名誉毀損罪は、書いた内容が事実であっても成立しうるという点に注意が必要です(刑法230条は「その事実の有無にかかわらず」と定めています)。「本当のことを書いただけだから問題ない」という理屈は、そのままでは通りません。ただし、①公共の利害に関する事実であること、②公益を図る目的であること、③その事実が真実であると証明できること、の3つがそろえば罰しないとされています(刑法230条の2)。要件にあたるかどうかは個別の事情によるため、ここでは条文の一般的な説明にとどめます。

会社は法人ですが、法人も名誉毀損の被害者になりえます。実名を出さなくても、勤務地・業種・特徴的なエピソードなどから「どの会社か特定できる」書き方であれば、同じリスクが生じます。

ここで言いたいのは「訴えられるから我慢しろ」ということではありません。 訴訟になれば、時間も労力も相手の会社に対してではなく自分自身に降りかかります。せっかく辞めて次に進もうとしているタイミングで、そこにエネルギーを使うこと自体が実利的に見合わない、という話です。

理由2:転職活動に実害が出ることがある

もう一つの実利は、次の転職活動そのものへの影響です。

面接で前職の話をするとき、悪口に近いトーンで話すと、面接官には「事実の報告」ではなく「この人は次の職場でも同じように話すかもしれない」という印象として伝わります。退職理由の説明そのものより、その話し方が評価に影響することがあります。

加えて、一部の企業では、選考の最終段階で本人の同意を得たうえで前職の関係者に人物像を確認する、いわゆるリファレンスチェックという手続きを行っています。厚生労働省や経団連による全国共通の導入率統計は見当たりませんでした(公式サイトを確認した範囲)。民間の調査会社が発表している数字は対象企業の層によって幅があり、たとえばエン・ジャパンの調査(人事担当者対象、2023年公表)では導入企業が18.4%、エンワールド・ジャパンの調査(外資系・日系企業対象)では外資系企業58%・日系企業23%という結果が出ています(全国共通の公的統計は無く、調査対象によって数値が大きく異なるため。一次情報は確認できず)。ただし、こうした確認の仕組みが存在すること自体は事実です。

ここが要点

リファレンスチェックがある・ないにかかわらず、転職先の採用担当者と前職の関係者が、業界内のつながりで間接的に接点を持つことは起こりえます。 SNSでの発信は、本人が意図した範囲を超えて伝わる可能性がある、という前提で考えておくほうが安全です。

理由3:業界は思っているより狭い

同じ業界・同じ職種で転職を続けていると、「辞めたはずの会社の人と、別の会社の取引先や協業先で再会する」ということが起こります。特に地方や専門性の高い業界では、この距離はさらに近くなります。

会社への不満をSNSや転職先で発信した内容が、巡り巡って当時の同僚や取引先の耳に入ることがあります。本人としては「もう関係のない会社」のつもりでも、業界という単位で見ると関係が完全には切れていないことは珍しくありません。

ここが要点

「もう関わらないから何を言ってもいい」という前提そのものが崩れやすい、というのがこの理由の要点です。個人の感情としての不満と、それを外に向けて発信するかどうかは、分けて考える価値があります。

退職代行を使う場合も同じ理由が働く

退職代行を使って会社と直接やり取りしないまま辞める場合でも、ここまでの3つの理由はそのまま当てはまります。退職代行はあくまで「退職の意思を伝える」または「退職条件を交渉する」役割であり、退職後にSNSで会社の悪口を発信することとは別の話だからです。

むしろ、退職代行を使ったこと自体への周囲の反応が気になる状況では、そのタイミングで会社批判の発信を重ねると、退職の経緯そのものへの見方に影響しかねません。退職代行を使うことは法律で認められた正当な手段であり(民法627条1項により、雇用期間の定めのない契約であれば、退職の意思表示から2週間で雇用は終了します。一般的な正社員はこれにあたります)、それ自体を後ろめたく思う必要はありません。ただ、退職の伝え方と、退職後の発信は分けて考えたほうが実利にかないます。

それでも言いたい気持ちの逃し場

ここまでの理由は「言わないほうがいい」という結論のためのものですが、溜まった不満をどこにも出さずに我慢しろという話ではありません。感情そのものを否定する必要はなく、出す場所を変えるという考え方が現実的です。

ここが要点
  • 家族・親しい友人など、外部に広まらない相手に直接話す
  • 鍵付きアカウントや日記など、不特定多数が見られない場所に書く
  • 会社名や特定できる情報を出さずに、状況だけを誰かに相談する
  • カウンセラーや産業医など、専門家に話を聞いてもらう(心身の不調がある場合はこちらを優先してください)

不特定多数が見られる場所に、会社が特定できる形で発信することだけがリスクを持つのであって、誰にも言わずに抱え込むことが正解というわけではありません。

次にやること

辞める会社への不満をどこかに出したいと感じているなら、まず「誰に」「どこで」話すかを、不特定多数が見られない相手・場所に絞って決めてください。 名誉毀損や信用毀損のリスク、転職活動への影響、業界の狭さという3つの実利は、発信する場所を変えるだけで避けられます。感情を消す必要はなく、出す場所だけを変えれば十分です。


※本記事は2026年8月時点の一般的な情報整理です。個別の発言・投稿が法的に問題となるかどうかの判断は、弁護士にご確認ください。

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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