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固定残業代の求人票から基本給を逆算する方法

この記事の内容
  1. 固定残業代とはそもそも何か
  2. 基本給と固定残業代を分解する計算式
  3. 具体例で比較する
  4. 内訳が書かれていない求人票で起きること
  5. 求人票を見るときのチェック項目
  6. 面接で確認すべき質問
  7. 実体験について
  8. 固定残業代の条件に不安を感じたら
  9. 次にやること

求人票の月給欄に「固定残業代を含む」と書かれていて、結局いくらが基本給なのか分からず不安になっている人向けの記事です。固定残業代と基本給をどう分解して読めばいいか、具体的な数字の見方を説明します。

固定残業代とはそもそも何か

固定残業代(定額残業代・みなし残業代とも呼ばれます)は、実際の残業時間に関わらず、あらかじめ決まった時間分の残業代を月給に含めて支払う仕組みです。制度自体は違法ではありません。

問題は、求人票の書き方によって「結局いくら働けばいくらもらえるのか」が読み手に伝わらないことです。次のような書き方をされると、月給の額面だけを見て「思ったより良い条件だ」と誤解しやすくなります。

  • 「月給28万円(固定残業代を含む)」とだけ書かれ、時間数・金額の内訳がない
  • 「みなし残業40時間分」とだけ書かれ、金額が書かれていない
  • 固定残業代を含む月給と、含まない月給の求人が並んでいても、どちらも同じ「月給」として比較させられる

基本給と固定残業代を分解する計算式

求人票に書かれた月給から基本給を逆算するには、次の式を使います。

基本給 = 月給(固定残業代を含む総額) − 固定残業代

固定残業代の金額が書かれていない場合は、時間数から概算できます。

固定残業代の概算 = 基本給相当額 ÷ 所定労働時間 × 1.25 × 固定残業時間

(1.25は時間外労働の割増賃金について労働基準法37条が定める最低の率です。深夜労働・休日労働が重なる場合はさらに率が上がります)

ただしこの式は基本給が分からないと使えないため、実際には堂々巡りになります。だからこそ、求人票に「時間数」と「金額」の両方が書かれているかどうかが最初の分かれ目になります。

求人票の記載パターン 基本給が分かるか
「基本給20万円+固定残業代8万円(45時間分)」のように内訳が両方ある 分かる。基本給20万円が実質の土台
「月給28万円(固定残業代を含む、時間数は面接で説明)」 分からない。面接で確認しないと不明のまま
「月給28万円(固定残業代を含む)」とだけ 分からない。求人票のみでは判断不能
固定残業代の記載自体がない「月給28万円」 固定残業代が含まれていない可能性が高いが、実際は含まれているのに書いていない求人票もゼロではない

固定残業代を採用する場合、その時間数と金額を求人票に明示することは、職業安定法5条の3、及び同法に基づく指針(平成11年労働省告示第141号)で示されています。内訳が無い求人票は、この指針に照らして望ましくない書き方をしている可能性があります。

具体例で比較する

同じ「月給28万円」でも、内訳次第で実質の基本給は大きく変わります。

A社の求人票 B社の求人票
表示されている月給 28万円(固定残業代を含む) 28万円(固定残業代を含む)
固定残業代の時間数 20時間分 45時間分
固定残業代の金額 4万円 8万円
逆算できる基本給 24万円 20万円
超過分の扱い 別途支給と明記 記載なし

表示額は同じでも、A社は基本給24万円+残業20時間分、B社は基本給20万円+残業45時間分という、まったく違う条件になっています。さらにB社は超過分の扱いが書かれていないため、45時間を超えて働いても追加の支払いがされない運用になっていないか、面接で確認する必要があります。

このように「月給の額面」だけで求人票を並べて比較すると、基本給が低く固定残業時間が長い会社ほど見かけ上有利に見えてしまいます。比較するときは、必ず表示額ではなく逆算した基本給と固定残業時間の両方を並べてください。

内訳が書かれていない求人票で起きること

内訳を隠す、または面接まで説明を先延ばしにする求人票では、次のようなことが実際に起こり得ます。

  • 額面の月給だけで応募先を比較すると、固定残業代の時間数が長い会社ほど「基本給は実は低い」のに、他社より条件が良く見えてしまう
  • 昇給・賞与・退職金の計算基準が「基本給」だった場合、固定残業代を含めた月給を基準額と勘違いすると、想定より少ない金額しか受け取れない
  • 固定残業時間を超えて働いても、超過分の残業代が別途支払われるという説明が抜けていると、「固定残業代を払っているから追加の残業代は出ない」という誤った運用がされることがある

固定残業代を巡っては、基本給部分と固定残業代部分を区別できるか、その手当が時間外労働の対価だと言えるかが争点になった最高裁判例があります(日本ケミカル事件、最高裁平成30年7月19日。固定残業代を有効と認めた事案。判決文の原文は未確認)。さらに、固定残業代の時間数を超えて働いた場合に超過分の割増賃金を追加で支払う必要があることは、労働基準法37条から生じる義務です。求人票の段階でこうした点が読み取れない場合は、注意して読む必要があります。

求人票を見るときのチェック項目

固定残業代の記載がある求人票を見るときは、次の3点を必ず確認してください。

  1. 固定残業代に相当する「時間数」が書かれているか(例: 45時間分)
  2. 固定残業代の「金額」が書かれているか(例: 8万円)
  3. 超過分の残業代を別途支払うと明記されているか

3つとも書かれていない求人票は、この記事の式で基本給を逆算できません。応募するかどうかを決める前に、面接で直接聞く前提で読んでください。

面接で確認すべき質問

求人票だけで判断がつかない場合は、次の質問をそのまま使ってください。

  • 「固定残業代は何時間分で、金額はいくらですか」
  • 「固定残業時間を超えて残業した場合、超過分は別途支払われますか」
  • 「基本給はいくらですか(固定残業代を含まない金額)」

これらの質問に対して、数字ではっきり答えず「だいたいそのくらい」「他の人もそれで納得している」のように濁す会社は、内訳を明確にしたくない事情がある可能性を疑ったほうがよいです。

実体験について

筆者は2026年に退職し、その後の失業保険の手続きやハローワーク通いは実際に経験していますが、転職活動で求人票の固定残業代を比較検討した実体験はありません。この記事の内容は、求人票の記載ルールと計算の考え方を調査した範囲でまとめたものです。実際に求人票を読むときは、ここに挙げた3つのチェック項目を機械的に当てはめ、不明な点は面接で数字を出してもらうところまで進めることをおすすめします。

固定残業代の条件に不安を感じたら

月給の額面だけを見て良い条件だと思い込み、あとから「思っていた基本給と違った」と気づくケースは珍しくありません。分からないことを分からないままにせず質問すること自体は、正当な確認行為であり「面倒な応募者」ではありません。もし現職の固定残業代の運用そのものに疑問があり、すでに心身に負担が出ている場合は、転職活動より先に医師や産業医に相談することを優先してください。

次にやること

いま気になっている求人票を1枚手元に用意し、固定残業代の「時間数」「金額」「超過分の扱い」の3点が書かれているか確認してみましょう。1つでも欠けていれば、その項目を面接で質問する準備をしてください。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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