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退職時に給与明細をもらえない

ぜんたいの流れ
  1. 1書面で請求
  2. 2税務署へ相談
  3. 3労基署へ相談
  4. 4弁護士に相談
この記事の内容
  1. 給与明細をもらえないのは違法か
  2. なぜ会社は明細を出す義務を負うのか
  3. 退職すると交付義務は消えるのか
  4. 給与明細と源泉徴収票は別物か
  5. 相談先はどこか
  6. 会社に交付を求める文例
  7. 「退職者には出さない」と言われたらどう返すか
  8. 相談前に確認しておくことチェックリスト
  9. 給与明細が無いと何に困るか
  10. 次にやること
  11. 出典(2026年9月14日調査)

退職した会社から給与明細が届かない。催促のメールを送っても返事がない。そんな人に向けて、給与明細をもらえないことが違法にあたるのか、どこに相談すれば動くのかをこの記事でまとめる。結論を先に言うと、給与明細の交付は会社の法律上の義務であり、無視や拒否は許されない。会社への請求文例と、相談先の一覧も置いた。

給与明細をもらえないのは違法か

違法にあたる。所得税法231条は、給与を支払う者に対して給与支払明細書の交付を義務づけている。対象は退職者を含むすべての従業員で、正社員かパートかも関係ない。「もう辞めた人だから出さなくていい」という理由は法律上通らない。

交付義務に違反した場合、所得税法242条7号により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になる。実際にこの罰則が適用されるケースは多くないが、条文上は刑事罰の対象であることは知っておいていい。

なぜ会社は明細を出す義務を負うのか

理由は税金の計算にある。給与明細には支給額・控除額・差引支給額が記載され、従業員が自分の給与から何がいくら引かれているかを確認できるようにするための書類だからだ。所得税法231条はこれを「給与等の支払明細書」と呼び、支払いのたびに交付するよう定めている。同条2項により電子データでの提供も認められているが、従業員が紙での交付を求めた場合は紙で出す必要がある。

労働基準法には給与明細そのものの交付義務は明文化されていない。ただし賃金を口座振込で支払う場合は、労働者に計算書を交付するよう行政通達(令和4年11月28日付基発1128第4号など)で定められている。つまり根拠となる法律は複数あるが、いずれにしても「出さなくていい」という抜け道は用意されていない。

退職すると交付義務は消えるのか

消えない。所得税法231条の交付義務は、在職中に限定した規定ではない。退職月の給与についても、支払いが発生する以上は明細を交付する義務がある。退職後に会社とのやり取りが途切れがちになる時期だからこそ、「辞めた人には出さない」という運用がまかり通っている職場が一定数あるのが実情だ。これは法律の不備ではなく、単に会社側が義務を怠っているだけ、と理解しておいていい。

給与明細と源泉徴収票は別物か

別物であり、根拠となる法律も交付期限も異なる。この2つを混同したまま会社に問い合わせると、話がかみ合わなくなることがあるため、先に整理しておく。

項目 給与明細 源泉徴収票
法律上の根拠 所得税法231条 所得税法226条
交付タイミング 給与支払いのたび 退職の日以後1か月以内
記載内容 支給額・控除額・差引支給額など 年間の給与総額・源泉徴収税額など
罰則 所得税法242条7号(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金) 所得税法242条6号(同左)
主な用途 毎月の手取りの確認 確定申告・年末調整・転職先への提出

もらえていないのが「毎月の給与明細」なのか「退職時にまとめてもらう源泉徴収票」なのかを先に特定してから、次の請求・相談に進む。

相談先はどこか

状況によって窓口が変わる。的外れな窓口に相談すると「うちの管轄ではない」と押し戻されて時間を失うので、先に当たりをつけておく。

困っていること 主な相談先 できること
給与明細・源泉徴収票が交付されない 所轄の税務署 会社への行政指導を依頼できる
賃金そのものが未払い・遅配している 労働基準監督署 是正勧告・立入調査の対象になり得る
会社と直接連絡を取りたくない 弁護士・労働組合系の相談窓口 代理人として会社と交渉できる
まず話を整理したい 労働条件相談ほっとライン、自治体の労働相談窓口 無料で状況を聞いてもらえる

給与明細・源泉徴収票の交付義務は所得税法にもとづくため、第一の相談先は税務署になる。国税庁には「給与支払明細書不交付の届出書」という手続きが用意されており、受給者本人が所轄税務署長に提出できる。「請求しても出ない」と伝えれば、税務署から会社へ交付を促す連絡が入ることがある。

会社との直接連絡自体を避けたい事情がある場合は、退職代行サービス(弁護士法人ガイアなど)を使う方法もある。ただし退職の意思表示を伝えるだけの民間企業型の代行は、会社が拒否した場合にそれ以上「交渉」することができない(弁護士法72条の非弁行為にあたるおそれがあるため)。給与明細の交付を求める連絡自体は代行できても、会社が渋ったときに粘り強く取り付けるところまでは、弁護士法人型や労働組合型でないと難しい場合がある。

会社に交付を求める文例

いきなり税務署や弁護士に相談する前に、まずは書面で会社に請求した記録を残しておく。口頭やチャットのやり取りだけだと、後で「言った・言わない」になりやすい。メールで、かつ返信の期限を区切って送るのがポイントだ。

件名: 給与明細(〇年〇月分)の交付について

〇〇株式会社
人事部 ご担当者様

お世話になっております。
〇年〇月〇日付で退職いたしました〇〇(社員番号〇〇)です。

〇年〇月分の給与明細が届いておりません。
恐れ入りますが、〇月〇日までに郵送またはメールにてご送付いただけますよう
お願いいたします。

ご不明な点があればご連絡ください。
よろしくお願いいたします。

〇〇(氏名)
連絡先: 〇〇

送付先の住所が変わっている場合は、退職時に届け出た住所と現在の住所のどちらに送られているかも合わせて確認する。会社側の単純な送付ミスというケースも実際にある。

「退職者には出さない」と言われたらどう返すか

会社側からよく返ってくる言い分と、その事実関係を並べておく。言い分をそのまま受け止めず、法律上の根拠に照らして確認する材料にしてほしい。

会社側の言い分 事実関係
「退職した人には発行していない」 所得税法231条の交付義務に退職者を除く規定はない
「電子データで見られるから紙は出さない」 従業員が紙での交付を求めた場合は紙で交付する必要がある
「給与計算システムの都合で時間がかかる」 遅延を理由にした交付拒否そのものを認める規定はない
「郵送費用は本人負担」 所得税法231条や国税庁の公表資料には、交付方法や費用負担についての具体的な定めは見当たらない(2026年9月確認)。就業規則等で個別の取り決めがある場合はそちらが優先される

言い分の多くは「出さない理由」ではなく「出す手間を減らしたい事情」であることが多い。書面で請求した記録があれば、税務署や労基署に相談する段階でも状況を説明しやすくなる。

相談前に確認しておくことチェックリスト

税務署や労基署に相談する前に、次の点を自分で確認しておくと話がスムーズに進む。

  • □ 退職日と、もらえていない給与明細・源泉徴収票の対象月を特定した
  • □ 会社に書面(メールなど記録が残る形)で1回以上請求した
  • □ 請求した日付と、相手からの返信の有無を記録した
  • □ 会社に届け出た住所が退職後も正しいままか確認した
  • □ 退職時の合意書や誓約書に、明細発行に関する特別な取り決めがないか見直した

これらが揃っていれば、税務署や労基署への相談時に「いつ・何を・どう請求したか」を具体的に説明でき、対応が早くなりやすい。

給与明細が無いと何に困るか

確定申告や年末調整で給与額の裏付けが必要になったとき、給与明細や源泉徴収票が手元にないと、収入額を自分で証明しにくくなる。転職先に前職の源泉徴収票の提出を求められる場合もあり、これが遅れると転職先での年末調整に影響することがある。また、失業保険(雇用保険の基本手当)の手続きでは離職票が中心の書類になるが、給与額に関する食い違いが起きた場合、給与明細が確認資料として役立つ場面もある。

次にやること

まずは会社に、退職日と対象月を明記した書面(メールでよい)で、返信期限を区切って給与明細の交付を請求する。それでも応答がなければ、給与明細・源泉徴収票は所轄の税務署に、賃金の未払いが絡む場合は労働基準監督署に相談する。

出典(2026年9月14日調査)

  • e-Gov法令検索「所得税法」第231条・第226条・第242条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033(給与支払明細書の交付義務〈231条〉、源泉徴収票の退職後1か月以内の交付義務〈226条〉、罰則の号番号〈242条6号=226条違反、242条7号=231条違反、いずれも1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金〉を確認。本文の号番号・罰則内容と一致していたため修正なし)
  • 国税庁 F5-5「給与支払明細書不交付の届出手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/24100002.htm(届出書の名称・提出先・提出後の効果を確認)
  • 国税庁 No.7411「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7411.htm(退職の日以後1か月以内という交付期限を確認)
  • 厚生労働省「賃金の口座振込み等について」(令和4年11月28日基発1128第4号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7168&dataType=1&pageNo=1(口座振込で賃金を支払う場合に賃金の支払に関する計算書の交付を求める規定を確認)
  • 厚生労働省「相談機関のご紹介」(確かめよう労働条件) https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/(労働条件相談ほっとラインの案内を確認)

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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