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12月退職と1月退職の違い

この記事の結論
  • 年の途中で退職した人が年末調整の対象になるのは、国税庁の定める例外5パターンに該当する場合だけ(原則は対象外)
  • 12月退職でカギになるのは「12月中に支給期の到来する給与を受け取った後に退職したか」(給与が翌月払いの会社だと該当しないことがある)
  • 1月退職では、前年分の年末調整は前年内にすでに終えているのが通常で、退職する年の年末調整は年末まで待つことになる
  • どちらも年内に再就職し、前職の源泉徴収票を新しい会社に出せば、新しい会社が年末調整をしてくれる
  • 年末調整を受けられなかった分は、自分で確定申告(還付申告)すれば払いすぎた税金が戻ることが多い
この記事の内容
  1. 結論:分かれ目は「12月給与を受け取った後かどうか」
  2. 12月退職はなぜ特殊なのか
  3. 1月退職はどう扱われるか
  4. 12月退職と1月退職の比較表
  5. 年内に再就職する場合としない場合
  6. 12月退職・1月退職のどちらが手元に残るか(賞与と社会保険料)
  7. 次にやること

この記事は、12月か1月に退職しようとしている(またはした)人で、「年末調整はどうなるのか」「自分で確定申告が必要になるのか」が分からず不安な人に向けて書いています。 結論から言うと、分かれ目になるのは月そのものではなく、「その年最後の給与を、いつ・どこで受け取ったか」です。ここでは国税庁の年末調整対象者の要件をもとに、12月退職と1月退職でそれぞれ何が起きるかを整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 12月に辞めたら、会社は年末調整をしてくれるのか、それとも自分で確定申告になるのか分からない
  • 1月に辞める場合、前の年の年末調整はどうなっているのか、今年の分はどうすればいいのか分からない
  • どちらのタイミングで辞めても税金の手続きが同じなのか、違うのか整理したい

税金の話は後回しにされがちですが、放っておくと払いすぎた税金が戻ってこないまま終わることもあります。まず結論の表から見ていきます。

「12月退職と1月退職、どちらがいいのか」への短い答え

  • 年末調整(税金の精算)の面では、12月に給与を受け取った後で辞める12月退職の方が、会社で済みやすい
  • 1月退職は、年末までにどこかへ再就職しなければ確定申告になる(還付なら5年以内にできる)
  • 賞与(ボーナス)は、支給日に在籍しているかどうかで決まる会社が多い。就業規則で確認が要る
  • 社会保険料は、月末に辞めるか、月末の前日までに辞めるかで1か月分変わる
  • どちらが得かは人によって違う。分かれ目は下の「12月退職・1月退職のどちらが手元に残るか」の節にまとめた

結論:分かれ目は「12月給与を受け取った後かどうか」

年の途中で退職した人は、原則として年末調整の対象外です(国税庁タックスアンサーNo.2665「年末調整のしかた」)。ただし、次の5つのいずれかに当てはまる人だけは例外的に対象になります。

例外パターン 内容
① 非居住者になった人 海外転勤などで日本の非居住者になった場合
② 死亡によって退職した人 –
③ 心身の障害により退職した人 その年に再就職できる見込みがない場合
④ 12月中に支給期の到来する給与を受け取った後に退職した人 12月退職の多くがここに当てはまる
⑤ 給与総額が一定額以下のパートタイマー等 本年中の給与総額が136万円以下で、他の勤務先からの給与見込みがない場合(国税庁タックスアンサーNo.2665で2026年9月13日確認・修正)

12月退職の人の多くは④に当てはまるため、退職した会社でその年の年末調整を受けられます。 一方、1月退職の人はこの5パターンのどれにも当てはまりません。1月退職者に年末調整の特例があるわけではなく、単に「年の途中退職者は原則対象外」という一般ルールがそのまま適用されるだけです。

ここが要点

つまり「12月だから」「1月だから」という月の違いそのものに意味があるのではなく、その退職が、国税庁の定める5つの例外パターンに当てはまるかどうかが分かれ目です。12月退職はたまたま④に当てはまりやすいというだけの話です。

12月退職はなぜ特殊なのか

年末調整は、本来「1年を通じて勤務している人」または「年の途中で就職し、年末まで勤務している人」を対象にした仕組みです(国税庁タックスアンサーNo.2665)。年の途中で辞めてしまうと、その会社での1年分の給与が確定しないため、原則としてこの精算作業の対象から外れます。

ただし④のパターン、「12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人」は例外です。12月分の給与(賞与を含む)をすでに受け取った状態で退職した場合、実質的にその会社での1年分の給与額が確定しているとみなせるため、年末調整の対象になります。

ここで注意したいのは、「12月に退職した」ことと「12月中に支給期の到来する給与を受け取った」ことは、必ずしも同じではないという点です。給与の支払いが当月払いの会社であれば一致しますが、翌月払い(たとえば12月分の給与が翌年1月25日払い)の会社だと、12月に退職しても最後の給与の支給日は年明けになり、この要件に当てはまらない可能性があります。国税庁のタックスアンサー(No.2665・No.2668)には、翌月払いの会社が12月に退職した場合を名指しで扱った設例は見当たりません(2026年8月31日確認)。年末調整の対象となる給与は「支払日」を基準に判定するという国税庁の一般原則から論理的に導かれる帰結で、複数の税理士事務所の解説記事もこの結論で一致していますが、国税庁自身の明示的な言及ではない点は留意してください(一次情報は確認できず)。

ここが要点

自分の会社の給与の支払いサイクル(当月払いか翌月払いか)によって結果が変わりうるということです。不安な場合は、退職前に経理・総務へ「今年の年末調整はこちらで行われますか」と一言確認しておくのが確実です。

1月退職はどう扱われるか

1月退職には、12月退職のような例外規定はありません。ここを整理するには、「前年分」と「退職する年の分」を分けて考える必要があります。

前年分の年末調整は、前年12月末までその会社に在籍していれば、通常通りその会社で完了しているはずです。1月に数日〜1か月ほど働いてから退職しても、前年分の年末調整のやり直しにはなりません。

退職する年の分については、1月に受け取った給与に対してもすでに所得税が源泉徴収されています。この分の精算(年末調整)は、その年の年末まで待つことになります。ここで、

  • 年内に他の会社に再就職し、そこで年末まで勤務していれば → 新しい会社が年末調整をしてくれる
  • 年内に再就職しなかった、または年の途中で転職を繰り返した場合 → 前述の5パターンのどれにも当てはまらないため、年末調整を受けられず、自分で確定申告が必要になる

つまり1月退職の場合、その年の税金の精算がどうなるかは、その年の年末時点でどこかの会社に勤務しているかどうかで決まります。退職した1月の時点では、まだ結果は確定していません。

12月退職と1月退職の比較表

12月退職(給与支給後) 12月退職(給与支給前・翌月払いの会社など) 1月退職
前年分の年末調整 対象外(その年の話ではないため関係なし) 対象外(同上) 前年内に在籍していれば通常通り完了
退職した年の年末調整 その会社で受けられる可能性が高い(④に該当) 原則対象外。年内転職しなければ確定申告へ 年末までどこかに在籍しなければ確定申告へ
自分で確定申告が必要になる主なケース 年内に別の会社に再就職し、前職の源泉徴収票を出しそびれた場合 年内に再就職しなかった場合 年内に再就職しなかった、または転職を繰り返した場合
税金の傾向 年末調整で精算されるため、追加の還付・徴収は起きにくい 源泉徴収された分が精算されず残るため、還付になりやすい 同左
ここが要点

表を見ると分かる通り、12月退職でも給与の受け取り方次第では1月退職と同じ状態(確定申告が必要な状態)になり得ます。逆に、1月退職でも年内に再就職して年末まで勤務すれば、年末調整だけで完結し、確定申告は不要になります。月そのものより、年末時点で「どこかに在籍しているか」が実質的な分かれ目です。

年内に再就職する場合としない場合

どちらのタイミングで退職するにせよ、選択肢は基本的に2つです。

  1. 年内に再就職し、前職の源泉徴収票を新しい会社に提出する → 新しい会社が前職分も含めて年末調整をしてくれる。原則、自分で確定申告する必要はない
  2. 年内に再就職しない、または源泉徴収票の提出が間に合わなかった → 年末調整を受けられないまま年を越すため、自分で確定申告(還付申告)をする

確定申告が必要になった場合でも、慌てる必要はありません。給与所得者の還付申告は翌年1月1日から5年間いつでも申告できます(国税庁タックスアンサーNo.2030)。多くの場合、天引きされすぎていた税金が戻ってくる「還付」の手続きです。源泉徴収票の入手方法、確定申告に必要な書類、申告のやり方については、別記事(源泉徴収票と確定申告|年の途中で辞めた人がやること)で詳しく扱っています。

ここが要点

急いで年内に「年末調整のためだけに」転職先を決める必要はありません。確定申告をすれば同じ結果(払いすぎた税金の精算)にたどり着けます。退職のタイミングを税金の都合だけで決めるより、次の仕事や体調を優先して決めて問題ありません。

12月退職・1月退職のどちらが手元に残るか(賞与と社会保険料)

税金の精算のほかに、手元に残る額を左右するのは賞与と社会保険料の2つです。

賞与の分かれ目

賞与も給与所得として扱われます(国税庁タックスアンサーNo.2508)。ただし、いつまで在籍していればもらえるかは法律ではなく、会社の就業規則や賞与規程で決まります。

  • 支給日に在籍している人に支払う、と書いてある会社 → 支給日より前に辞めると対象外になることがある
  • 算定期間(例: 6月〜11月)の勤務で決まる、と書いてある会社 → 退職日が支給日より前でも対象になる場合がある

冬の賞与が12月に出る会社なら、12月退職は「賞与を受け取ってから辞める」形にしやすくなります。賞与が年明けに出る会社では、1月退職の方が受け取りやすいこともあります。

社会保険料の分かれ目

厚生年金・健康保険の資格は、退職日の翌日になくなります。月末に辞めると資格がなくなるのは翌月1日になるため、辞めた月の分まで保険料を払います(日本年金機構)。

退職日 資格がなくなる日 保険料を払う最後の月
12月31日 1月1日 12月分まで
12月30日 12月31日 11月分まで
1月31日 2月1日 1月分まで
1月30日 1月31日 12月分まで

月末の1日前に辞めると、保険料が1か月分少なくなります。ただし、その間の健康保険や年金は、次の会社に入るまでは国民健康保険・国民年金に切り替える手続きが必要です。月末退職で保険料が1か月分多くなるのは、その月まで会社の保険に入っているからでもあります。

ここで多くの人が詰まる点: 最後の給与が思ったより少ない

月末に退職した月の給与からは、前月分と退職月分の2か月分の保険料を引かれることがあります(日本年金機構)。12月31日退職なら、12月分の給与(支払いは12月か1月)から、11月分と12月分の2か月分が引かれる形です。手取りが減って驚かないよう、退職前に総務へ「最後の給与から、社会保険料は何か月分引かれますか」と聞いておくと確実です。

手順: 退職日を決める前に確かめる順番

  1. 就業規則か賞与規程で、賞与の支給日と在籍条件を確認する(会社の総務・人事へ。退職の意思を伝える前でも聞ける)
  2. 給与の支払い日が当月払いか翌月払いかを確認する(年末調整の④に関わる)
  3. 退職日を12月31日にするか、その前日までにするかで、保険料の最後の月がどう変わるか上の表で見る
  4. 次の仕事が決まっているなら、入社日と退職日の間にあく日を数える(空くなら国民健康保険・国民年金の手続きが要る)
  5. 退職日を決めたら、会社に伝える

ここまでの内容を、自分の状況にあてはめて1つずつ確認してください。

□ 退職する(した)のは12月か、1月か □ 12月退職の場合、退職前に「その年最後の給与(賞与を含む)」をすでに受け取っているか(受け取り済みなら④に該当し、年末調整の対象になりやすい) □ 自分の会社の給与支払いが当月払いか翌月払いかを、経理・総務に確認したか □ 年内に別の会社へ再就職する予定があるか、またはすでにしているか □ 前職の源泉徴収票を、新しい会社への提出用(または確定申告用)に保管しているか □ 年末時点でどこにも在籍していない場合、自分で確定申告(還付申告)が必要になることを理解しているか

すべて確認できれば、自分が「会社の年末調整で終わる側」か「確定申告が必要になる側」かが判断できます。

次にやること

まず、自分の退職(予定)日と、会社の給与支払いサイクル(当月払いか翌月払いか)を確認してください。 12月退職で、かつその年最後の給与をすでに受け取った状態で辞めるなら、多くの場合その会社で年末調整を受けられます。それ以外(1月退職、または12月退職でも給与支給前に辞める場合)は、年末時点でどこかに在籍していなければ確定申告が必要になると想定して、源泉徴収票を保管しておいてください。


※本記事は2026年8月時点の一般的な情報整理です(国税庁の公開情報を2026年8月31日に確認)。年末調整・確定申告の要否は個人の状況(給与の支払いサイクル、年内の転職有無、他の所得の有無など)によって変わるため、正確な取り扱いは前職の総務・経理担当、または最寄りの税務署にご確認ください。

出典 - 国税庁タックスアンサー No.2665「年末調整のしかた」(2026年8月31日確認。年末調整の対象者・年の途中退職者が対象になる5パターンを記載) - 国税庁タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(2026年8月31日確認) - 国税庁タックスアンサー No.2508「給与所得となるもの」(賞与は給与所得。2026年10月2日確認) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2508.htm - 日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」 https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/hihokensha/20140902-01.html (資格喪失日は退職日の翌日、月末退職は退職月分まで負担。2026年10月2日に検索結果で確認) - 国税庁タックスアンサー No.2030「還付申告」(還付申告は翌年1月1日から5年間可能) - 所得税法第190条(年末調整の規定。条文冒頭「給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で…その年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が2,000万円以下であるもの」を2026年8月31日確認)

出典(2026年9月13日調査) - 国税庁タックスアンサー No.2665「年末調整のしかた」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm (年の途中退職者が年末調整の対象になる5パターンを再確認。本文中「給与総額123万円以下」は公式ページの記載と異なっていたため、正しい「136万円以下」に修正した) - 国税庁タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm (確定申告が必要になる要件を再確認) - 国税庁タックスアンサー No.2030「還付申告」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm (還付申告が翌年1月1日から5年間できる点を再確認) - e-Gov法令検索 所得税法(昭和40年法律第33号)第190条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033 (年末調整の規定の条文を確認するためのリンク。ページがJavaScriptで描画されるため本文の自動確認はできなかったが、法令検索の正式なURLとして掲載)

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