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ボーナスをもらって退職するのはずるいか

この記事の結論
  • 法律上、ボーナスをもらってすぐ辞めることは問題ではない(退職に理由の善し悪しは問われない)
  • ただし多くの会社の就業規則に「支給日に在籍していること」という条件(支給日在籍要件)がある
  • この条項は判例で有効と認められているため、支給日前に退職日を迎えると受け取れないことがある
  • 退職の意思表示自体は民法627条でいつでも自由にできる
  • 「ずるい」と感じるのは周囲の目の問題であり、法律上の制約ではない
ぜんたいの流れ
  1. 1就業規則で支給条件を確認
  2. 2支給日を確認
  3. 3退職を伝える日を決める
  4. 4支給後に退職日を迎える
この記事の内容
  1. 結論:法律上は問題ない、確認すべきは就業規則
  2. なぜ「ずるい」と言われるのか
  3. 「支給日在籍要件」とは何か
  4. 支給日と退職日、どちらを先に決めるべきか
  5. 支給日在籍要件が就業規則にない場合
  6. 退職代行を使う場合の注意点
  7. 次にやること

「ボーナスをもらった翌月に退職を切り出すのは、ずるいだろうか」。この記事はその疑問に答えます。結論を先に言うと、法律上は問題ありません。辞める理由に善し悪しは問われず、ボーナスを受け取ってから辞めることを禁じる法律もありません。

ただし、確認しないと損をする論点が1つあります。就業規則に「支給日に在籍していること」という条件が付いている会社では、辞めるタイミング次第でボーナスそのものを受け取れなくなるということです。この記事では「ずるいかどうか」より先に、確認すべき条件を整理します。

結論:法律上は問題ない、確認すべきは就業規則

項目 内容 根拠
ボーナス後に辞めることの是非 法律上は問題ない。退職理由は問われない 民法627条1項
退職の意思表示のタイミング いつでも自由。伝えてから2週間で契約終了 民法627条1項
ボーナスを受け取れるかどうか 就業規則の条件次第。「支給日在籍要件」があると、支給日前に退職していると受け取れないことがある 就業規則・大和銀行事件(最高裁判決、昭和57年10月7日)
支給日在籍要件の有効性 判例で有効と認められている(大和銀行事件) 最高裁第一小法廷判決、昭和57年10月7日(昭和56年(オ)第661号)。判決文の原文は裁判所の判例検索データベースで確認できておらず(一次情報は確認できず、2026年8月29日確認)、結論の向きは複数の専門家解説で一致
ここが要点

「ボーナスだけもらって辞めるなんて」という後ろめたさは、法律の問題ではなく気持ちの問題です。会社に貢献した期間の対価として支給されるものである以上、受け取る権利があるかどうかは就業規則の条件で決まります。感情と権利を分けて考えることが、まず必要です。

なぜ「ずるい」と言われるのか

ボーナス直後の退職が「ずるい」と言われがちなのは、次のような感覚があるからだと考えられます。

  • ボーナスは「これからも頑張ってほしい」という期待も込めて支給されるものだ、という受け止め方が社内にある
  • 支給後すぐに辞めると、会社側の期待を裏切られたように感じる人がいる
  • 退職を伝えるタイミングを「計算した」ように見える

いずれも会社側や周囲の心情の問題であり、退職する側に法的な義務違反があるわけではありません。民法627条1項は、期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員)であれば、退職を申し出てから2週間で契約が終了すると定めています。この条文に「ボーナスをもらった直後は退職してはいけない」という条件はありません。

とはいえ、円満に辞めたい・気まずさを最小限にしたいという気持ちがあるなら、伝え方やタイミングに配慮する余地はあります。次の章で、法律上の話とは別に確認すべき「お金の話」を整理します。

「支給日在籍要件」とは何か

多くの会社の就業規則には、賞与(ボーナス)の支給について「支給日に在籍している社員に支給する」という条件が定められています。これを一般に「支給日在籍要件」と呼びます。(厚生労働省「令和6年就労条件総合調査の概況」の目次原文まで確認しましたが、調査項目は「労働時間制度」「賃金制度(時間外労働の割増賃金率)」「資産形成」の3本立てで、賞与や支給日在籍要件を定める企業の割合についての統計項目自体がありませんでした(一次情報は確認できず、2026年8月29日確認)。同調査は年によって調査項目が入れ替わり、就業規則の個別条項の有無までは調べていません。以下は複数の社会保険労務士・弁護士事務所の解説記事に共通する一般的な傾向です)

この条項がある会社では、たとえボーナスの算定対象期間(たとえば上半期・下半期)にフルで働いていたとしても、支給日の時点ですでに退職していると、ボーナスを受け取れません。ノーワーク・ノーペイの原則(働いていない分の賃金は発生しない)とは別の話で、「支給日に籍があるかどうか」だけで判定される条件です。

この支給日在籍要件を定めた条項について、最高裁判決(大和銀行事件、最高裁第一小法廷、昭和57年10月7日、事件番号:昭和56年(オ)第661号)は、内容が合理的であれば支給日在籍要件は有効だという判断を示したとされています。事件名・判決年月日・結論の向き(支給日在籍要件は合理的なら有効)は、弁護士法人栄光・フォレスト社会保険労務士事務所など複数の専門家による解説記事で一致しています。ただし裁判所の判例検索データベース(courts.go.jp)で実際に探しましたが原文そのものには到達できなかったため、判決文の原文は確認できていません(一次情報は確認できず、2026年8月29日確認)。つまり、就業規則にこの条項がある会社であれば、支給日前に退職日を迎えてしまうと、算定期間フルで働いていてもボーナスがゼロになる可能性があるということです。

これが、「ボーナスをもらってから辞めた方がいい」と言われる実務上の理由です。倫理の話ではなく、条件を満たすかどうかの話です。

支給日と退職日、どちらを先に決めるべきか

支給日在籍要件がある会社を前提にすると、確認する順番は次の通りです。

  1. 就業規則(賃金規程・給与規程)を確認する。「支給日に在籍する者に支給する」といった趣旨の条文があるかを確かめます。人事に直接聞いても、規程を見せてもらっても構いません
  2. ボーナスの支給日を確認する。社内カレンダーや給与明細、前回の支給実績から確認できます
  3. 退職日を、支給日より後に設定する。民法627条により、退職の意思表示から2週間で契約は終了します。支給日の2週間以上前に退職を申し出れば、支給日をまたいで在籍したまま退職日を迎えられます
ここが要点

急いで辞めたい事情がある場合は、ボーナスを受け取ることより心身を守ることを優先してください。支給日在籍要件は「もらえるかどうか」の条件であって、「今すぐ辞めてはいけない」という意味ではありません。ボーナスをあきらめてでも早く辞めるべき状況もあります。

会社によっては、退職の意思を伝えた時点で査定や評価が下がり、結果的にボーナスの算定額自体が減ることもあります。これは在籍要件とは別の話で、就業規則や過去の運用を確認しないと分からない部分です。不安がある場合は、人事や総務に「賞与の支給条件」について事前に確認しておくと安心です。

支給日在籍要件が就業規則にない場合

就業規則に支給日在籍要件の条文がない、あるいは賃金規程そのものが整備されていない会社もあります。この場合、賞与の算定対象期間に働いた実績に対して、支給日の在籍を問わず請求できる可能性があります。

ただし、これは会社ごとの就業規則・労働契約の内容によって結論が変わる論点です。自分で判断せず、まず就業規則の賞与に関する条文を確認してください。規程を見せてもらえない、退職を理由に確認を拒まれるといった場合は、労働基準監督署や弁護士への相談も選択肢になります。

退職代行を使う場合の注意点

退職代行を使う場合でも、支給日在籍要件の考え方は変わりません。退職代行はあくまで退職の意思表示を代行するサービスであり、「いつ退職日を迎えるか」の設計は自分で決める必要があります。

  • 支給日より前に退職代行を通じて即日退職を伝えてしまうと、支給日在籍要件がある会社ではボーナスを受け取れなくなる可能性があります
  • ボーナスを受け取ってから辞めたい場合は、退職代行に相談する段階で「支給日以降を退職日にしたい」と伝えておくとよいでしょう
  • 会社との直接のやり取りに強い不安があり、かつボーナスの受け取りより早期の退職を優先したい場合は、退職代行Jobs、弁護士法人ガイア、退職代行ネルサポート、円満退職ユニオン のような退職代行サービスを使えば、意思表示そのものを代わりに行ってもらえます(※2026年8月時点の調査。各社のサービス内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください)

次にやること

就業規則(賃金規程・給与規程)を確認し、賞与に「支給日に在籍していること」という条件が付いているかを確かめてください。そのうえで、支給日から逆算して退職を伝える日を決めることが最初の一歩になります。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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