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休職中にボーナスは出るか

この記事の内容
  1. 先に言っておく。お金の心配をするのは、当たり前のこと
  2. ボーナスは「出す義務」が法律にない
  3. 出る・出ない・減るを分ける4つの条件
    1. ① 支給日在籍:休職中でも「在籍」は続く
    2. ②〜④:休んだ分は「働いていない」扱いになりやすい
  4. 休職のタイミング別に、ボーナスはどうなる?
  5. 計算例:休職3か月・ボーナス12月支給の場合
  6. ボーナスが出ない間の収入は、傷病手当金が支えになる
  7. 「出るはずなのに出ない」と言われたら
  8. 会社に聞くときの文例
  9. 規定を読むときのチェックリスト
  10. 休職中に退職も考えているなら、ボーナスの支給日を見る
  11. 次にやること:自分の会社の賞与規定を、今週中に1か所だけ探す

休職に入ると、次のボーナスはどうなるのか。お金の不安から、休むことをためらっている人に向けた記事です。 結論から言うと、休職中でもボーナスが出る会社はありますが、休んだ期間の分は減るか、対象外になる規定が典型的です(会社別の統計は公的な資料に見当たらないため、自分の会社の規定で確かめてください)。ただし、決めているのは法律ではなく、あなたの会社の就業規則と賞与の規定です。 何で出る・出ないが分かれるのか、計算例、会社に確認するときの文例、規定を読むときのチェックリストの順に書きます。

先に言っておく。お金の心配をするのは、当たり前のこと

休むかどうかを迷うとき、体のつらさと同じくらい「ボーナスがなくなるのでは」が頭を占めます。 それは欲張りでも、甘えでもありません。生活費もローンも、休んでいても引き落とされます。

大事なのは、「出る・出ない」を噂で決めないことです。会社の規定を読めば、かなりの部分は事前にわかります。わかった上で休むほうが、休んでいる間の気持ちも落ち着きます。

なお、休むべきかどうか、いつまで休むかといった心身の判断は、この記事ではしません。そこは医師(会社に産業医がいれば産業医)の領域です。

ボーナスは「出す義務」が法律にない

まず前提です。労働基準法と民法の全文で「賞与」の語を探したところ、賞与(ボーナス)を会社に支払わせる義務を定めた条文は見当たりませんでした(2026年9月確認)。労働基準法が定めているのは、賞与を出す会社は就業規則にその決まりを書く、という方向の話です。常時10人以上の労働者を使う会社は就業規則を作って届け出る義務があり(労働基準法89条)、賞与の定めをするときは、その内容を就業規則に書く必要があります(同条4号「臨時の賃金等」。同法24条2項が、この「臨時の賃金等」の例に賞与を挙げています。いずれも条文を確認)。

つまり、出るかどうかの答えは次のどこかに書いてあります。

探す場所 書いてあること
就業規則 賞与の有無、支給日、対象者
賃金規程(給与規程) 賞与の計算方法、査定の仕方
雇用契約書・労働条件通知書 「賞与あり(年2回)」などの記載
休職規程 休職中の給与・賞与の扱い

休職の扱い自体も、法律ではなく会社のルールで決まります。労働基準法・民法・健康保険法の全文で「休職」の語を探しましたが、休職そのものを定めた条文は見当たりませんでした(2026年9月確認)。

一方で、規定に「年2回、基本給の2か月分を支給する」のように金額が決まっていて、実際に毎年その通り払われているなら、それは会社の裁量というより「約束された賃金」に近づきます。労働基準法11条は、賞与も「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」=賃金に含めています(条文を確認)。また、後で出てくる大和銀行事件の解説では、計算のしかたが決まり、査定も済んで初めて賞与をもらう権利が生まれると説明されています(判決文の原文は確認できていない)。逆に、「会社の業績や本人の評価を見て支給することがある」という書き方なら、会社の判断の余地は大きくなります。

出る・出ない・減るを分ける4つの条件

休職中のボーナスは、次の4つの条件の組み合わせで決まります。

条件 よくある書き方 休職への影響
① 支給日在籍 「支給日に在籍している者に支給する」 休職中でも在籍していれば、この条件は満たす
② 算定対象期間 「4月〜9月の勤務に対して12月に支給」 休んだ期間は「勤務していない期間」になり、減額や対象外になりやすい
③ 出勤率の条件 「対象期間の出勤率80%以上」 休職が長いと、この条件で外れる
④ 査定(人事評価) 「評価に応じて増減」 評価する材料がない期間の置き方は、会社ごとに違う(下の説明を参照)

① 支給日在籍:休職中でも「在籍」は続く

休職は退職ではありません。雇用契約は続いているので、支給日に在籍しているという条件は満たします。 この決まり自体は、裁判でも有効とされた例があります(大和銀行事件・最高裁 昭和57年10月7日判決。「賞与は支給日に在籍している者に支給する」という規定が合理的で有効とされ、支給日前に退職した人は賞与を受け取る権利がないとされた事件です。裁判所の判例検索で判決文の原文には届かず、複数の弁護士・社会保険労務士の解説で事件名・日付・結論が一致していることを確認しました。判決文の原文は確認できていません。2026年9月確認)。なお、この事件は退職した人の話で、休職中の人の話ではありません。 逆に、支給日より前に退職すると、対象期間の分がもらえないことがあります。休職中の退職を考えるなら、この条件が大きく効きます。

②〜④:休んだ分は「働いていない」扱いになりやすい

多くの会社は「働いた期間に対してボーナスを払う」という考え方です。休職中の給与は、無給の会社が多数派です。労働政策研究・研修機構の調査(調査シリーズNo.112、2013年11月公表。病気休職制度がある企業5,428社の集計)では、病気休職中に月例賃金(傷病手当金などは除く)が「支給されない」が74.8%、「支給される」が18.1%、無回答が7.1%でした。この数字は月例賃金の話で、賞与は含みません。10年以上前の調査なので、今の実態は会社の規定で確かめてください。休んだ期間はボーナスも付かない計算になりがちです。 出勤率の足切りがある会社では、休職が長いと支給がゼロになることがあります。査定については、厚生労働省や労働政策研究・研修機構の公表資料に、休職した期間の評価の置き方を調べた統計は見当たりませんでした(2026年9月確認)。人事担当者向けの解説には、評価する材料がない期間は標準か低めに置くという説明がありますが、これは会社ごとに決める部分です。ただ、休職を理由に不利に扱えるかどうかは、規定と個別の事情で変わり、この記事で判断できる範囲ではありません。

休職のタイミング別に、ボーナスはどうなる?

休職のタイミング 起きやすいこと
算定対象期間の全部を休んだ 支給なし、または少額になる
算定対象期間の一部を休んだ 働いた日数に応じた額(日割り・月割り)になる会社がある
対象期間は働き、支給日の時点で休職中 規定によっては満額。ただし「支給日に休職中の者は除く」と書く会社もある
復職後の最初のボーナス 復職日以降の勤務分だけが対象になる会社がある

この表は、賞与を算定対象期間の働きぶりに応じて決める設計から導いた整理です。休職者の賞与の扱いを会社別に集計した公的な統計は、厚生労働省・労働政策研究・研修機構の公表資料に見当たりませんでした(2026年9月確認)。

表の3行目にある「支給日に休職中の者は除く」という規定は、見落としやすいところです。自分の会社の規定に、休職者を除く書き方があるかどうかは、読んで確かめておくと安心です。

計算例:休職3か月・ボーナス12月支給の場合

読者の状況を1つ仮置きして、金額まで出してみます。実際の数字は会社の規定で変わるので、自分の数字に置き換える練習として使ってください。

前提

項目 仮置きの内容
賞与 年2回、12月10日支給
算定対象期間 4月1日〜9月30日(183日)
基本給 30万円
支給月数 基本給の2.0か月分(満額60万円)
休職 7月1日〜9月30日(92日)、無給
働いた期間 4月1日〜6月30日(91日)
支給日の状態 10月に復職済み、12月10日に在籍

日数の内訳:4月30日+5月31日+6月30日=91日。7月31日+8月31日+9月30日=92日。合計183日。

ケースA:働いた日数で按分する会社

  • 600,000円 × 91日 ÷ 183日 = 298,360円(円未満切り捨て)
  • 満額60万円のうち、約半分(49.7%)が出る計算です

ケースB:出勤率80%以上が支給条件の会社

  • 91日 ÷ 183日 = 49.7%。80%に届かないので0円

ケースC:休職者も満額とする会社

  • 600,000円(就業規則にそう書いてある場合のみ)

同じ休職でも、会社の規定次第で「0円・約30万円・60万円」に分かれます。だから、休む前に規定を読む価値があります。

なお、ボーナスにも社会保険料(健康保険法45条の標準賞与額)と、所得税の源泉徴収(国税庁「賞与に対する源泉徴収」)がかかるので、手取りは上の金額より少なくなります。

ボーナスが出ない間の収入は、傷病手当金が支えになる

ボーナスが減っても、収入がゼロになるとは限りません。会社の健康保険に入っていて、病気やけがで働けず、給与が出ない場合は、傷病手当金が受け取れることがあります。

仕組みは次の通りです(健康保険法99条を条文で確認。協会けんぽの案内とも一致)。

  • 仕事を休んだ日が連続3日あり(待期)、4日目以降の休んだ日に対して支給(99条1項。協会けんぽの案内では、待期には有給休暇や公休日も含まれます)
  • 額の目安は、標準報酬月額の直近12か月の平均 ÷ 30 × 3分の2(1日あたり。99条2項)
  • 支給期間は、支給開始日から通算1年6か月(99条4項)
  • 任意継続の被保険者は対象外です(99条1項のかっこ書き)

上の前提(標準報酬月額30万円、休職92日、待期は別に完了済み)で試算します。

  • 300,000円 ÷ 30 = 10,000円
  • 10,000円 × 3分の2 = 6,666.67円 → 50銭以上は1円に切り上げて 6,667円(1日。端数の扱いは99条2項)
  • 6,667円 × 92日 = 613,364円

つまりケースBでボーナスが0円でも、休職3か月で傷病手当金が約61万円出る計算です(あくまで仮置きの試算)。 ただし、支給には医師の意見(申請書への記入)が要ります(健康保険法施行規則84条)。休職中に会社から給与が出る場合は、その分が調整されます。給与が傷病手当金の額より少ないときは、差額が支給されます(健康保険法108条1項。協会けんぽの案内でも確認)。 ボーナスが調整の対象になるかは、公式資料では確認できませんでした。健康保険法3条5項は、3か月を超える期間ごとに受けるもの(年2回の賞与など)を、調整の対象になる「報酬」から除いています。ただ、賞与が傷病手当金の調整に入るかどうかを明記した協会けんぽの案内は見つかりませんでした(案内ページとよくある質問に記載なし。2026年9月確認)。【各自確認:自分が入っている健康保険(協会けんぽ・健保組合)の窓口に、休職中に賞与が出た場合の傷病手当金の扱いを問い合わせる。申請書の提出先と同じ窓口で聞けます】 また、休職中も健康保険料の本人負担は続きます。保険料が免除される休業として条文で確認できるのは、育児休業等(健康保険法159条)と産前産後休業(同159条の3)だけで、健康保険法の全文に、休職を理由とする免除の定めは見当たりません(2026年9月確認)。厚生年金保険料も同じ扱いとされますが、厚生年金保険法の条文は今回確認しておらず、日本年金機構の保険料免除の案内で確認できたのも育児休業等の免除です。

「出るはずなのに出ない」と言われたら

規定に金額や条件が書かれているのに払われない場合は、規定の該当箇所と明細を手元に残し、人事にメールで理由を聞きます。納得できなければ、厚生労働省の総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局や労働基準監督署内に設置。電話や匿名での相談もできる)などに相談し、争いになりそうなら弁護士へ。 査定で決まる部分は会社の裁量が大きく、「減らされた」だけでは不当とは言い切れません。個別の事情で結論が変わるため、一般論以上のことはこの記事では言えません。

会社に聞くときの文例

休職の相談と同時に、ボーナスの扱いを聞いておくと、後で慌てません。口頭だと言った言わないになるので、メールがおすすめです。以下はそのまま使える形です(【 】の中を自分の内容に変えてください)。

件名:休職期間中の賞与の取り扱いについて(【氏名】)

【人事部/総務部】ご担当者様

お疲れさまです。【部署名】の【氏名】です。
【◯月◯日〜◯月◯日(予定)】の休職を検討しており、その間の賞与の取り扱いについて確認させてください。

1. 休職期間中の賞与は、就業規則・賃金規程上、どのような扱いになりますか。
2. 算定対象期間の一部を休職した場合、按分の計算方法を教えてください。
3. 「支給日在籍」や「出勤率」などの支給条件がある場合、休職期間はどう数えますか。
4. 復職後、最初の賞与はどの期間を対象に計算されますか。

就業規則・賃金規程の該当箇所を教えていただくか、写しをいただけますと助かります。
お手数をおかけしますが、ご回答をお願いいたします。

【氏名】

聞きにくいときは、「該当する規定の写しをいただけますか」の1つだけでも十分です。

規定を読むときのチェックリスト

就業規則や賃金規程を手に入れたら、次の点を1つずつ確かめてください。

□ 賞与は「支給する」と書かれているか、「支給することがある」と書かれているか □ 算定対象期間はいつからいつまでか(上期・下期など) □ 支給日在籍の条件はあるか。「休職中の者を除く」という但し書きはないか □ 出勤率の条件はあるか。休職期間は欠勤に数えるか □ 休んだ期間の減額方法は、日割りか月割りか、別の計算式か □ 査定の項目に、休職や欠勤が影響すると書かれているか □ 復職後の最初の賞与の計算期間はどう決まるか □ 休職中の給与は有給か無給か(休職規程で確認)

見つからない項目は、上の文例で人事に聞く材料になります。

休職中に退職も考えているなら、ボーナスの支給日を見る

休職中は、「このまま戻れないかもしれない」と考える人もいます。退職を選ぶ場合、ボーナスの面では次の点だけ押さえておくと損を減らせます。

  • 「支給日在籍」の条件がある会社は、支給日より前に退職すると対象外になることがある
  • 退職日は、原則として退職の意思を伝えた日から2週間で成立する(民法627条1項を条文で確認。期間の定めのない雇用の場合)

会社と話すこと自体がつらいときは、退職代行に頼る選択肢もあります。休職中の人が使えるかどうかは業者ごとに違うので、各社に問い合わせてください。 選択肢の例:退職代行Jobs、弁護士法人ガイア、退職代行ネルサポート、円満退職ユニオン(料金・サービス内容は、申し込み前に各社の公式ページで確認してください)。

体調の面で退職の判断に迷うときは、決める前に医師に相談してください。

次にやること:自分の会社の賞与規定を、今週中に1か所だけ探す

就業規則か賃金規程を開いて、「賞与」の項目に「支給日在籍」と「出勤率」の文字があるかを探す。

見つからなければ、上の文例の「規定の写しをいただけますか」の一文だけを、人事にメールしてください。それだけで、休むかどうかを決めるための材料が1つ増えます。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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