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退職金がない会社だったら

この記事の結論
  • 退職金は会社ではなく共済制度から本人の口座へ直接振り込まれる仕組みがある
  • 会社が何も言わなくても中退共に入っている可能性がある
  • 確認は「退職金共済手帳」の有無と就業規則・総務への確認の2本立て
ぜんたいの流れ
  1. 1手帳・書類を探す
  2. 2就業規則を確認
  3. 3総務に聞く
  4. 4該当すれば請求書を出す
  5. 5本人口座へ振込
この記事の内容
  1. 結論:会社ではなく共済制度が退職金を直接振り込む仕組みがある
  2. 「退職金なし」と思い込む前に確認すること
  3. 中退共(中小企業退職金共済)とはどんな制度か
  4. 特定退職金共済(特退共)との違い
  5. 自分が加入しているかの確認方法
  6. 加入していた場合、お金が振り込まれるまでの流れ
  7. 次にやること

「うちみたいな中小企業に退職金なんてない」——そう思い込んで、確認しないまま退職していませんか。

実は、中小企業では会社が直接退職金を積み立てているのではなく、国や商工会議所などが運営する共済制度に会社が加入していて、退職金はその共済制度から従業員本人の口座に直接振り込まれる仕組みが使われていることがあります。会社の規模が小さくても、この仕組みに入っていれば退職金は出ます。この記事では、代表的な2つの制度(中退共・特定退職金共済)の仕組みと、自分が対象かどうかの確認方法を説明します。

結論:会社ではなく共済制度が退職金を直接振り込む仕組みがある

項目 内容
中退共の運営元 独立行政法人勤労者退職金共済機構(中小企業退職金共済法に基づく制度)
特定退職金共済の運営元 市町村・商工会議所・商工会・商工会連合会・都道府県中小企業団体中央会などで、所得税法施行令第73条に基づき税務署長の承認を受けた団体(中退共とは別の制度)
掛金の負担者 会社(事業主)が全額負担。従業員の給与から天引きされる仕組みではない
退職金の振込先 会社ではなく、共済制度(機構・団体)から従業員本人の口座へ直接振り込まれる
加入の確認方法 「退職金共済手帳」の有無/就業規則・雇用契約書の退職金条項/総務・人事への確認
請求の手続き 退職金(解約手当金)請求書を、退職後に本人が共済制度側に提出する
ここが要点

中退共も特定退職金共済も、退職金を「会社が払う」のではなく「共済制度が本人の口座に直接払う」仕組みです。会社を辞めたあと、元の会社に連絡を取りにくくても、制度に加入してさえいれば請求できます。

「退職金なし」と思い込む前に確認すること

就業規則に「退職金制度なし」と書かれていても、それは会社が独自に積み立てる退職金がないという意味であって、共済制度への加入がないと確定したわけではありません。

中小企業の中には、自社で退職金を積み立てる代わりに、中小企業退職金共済(中退共)や特定退職金共済(特退共)といった外部の共済制度に加入し、掛金を払うことで退職金の準備を済ませているところがあります。これらの制度は中小企業向けに作られたもので、会社の規模が小さいことは加入しない理由にはなりません。

会社に在籍している間、この掛金は給与から天引きされるわけではなく会社が負担するため、給与明細を見ても「退職金のために積み立てられている」実感が湧きにくく、本人が制度の存在に気づかないまま退職してしまうことがあります。

中退共(中小企業退職金共済)とはどんな制度か

中退共は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する、中小企業向けの退職金共済制度です(中小企業退職金共済法に基づく制度)。

仕組みの要点は次のとおりです。

  • 加入するのは会社(事業主)。機構と退職金共済契約を結び、従業員一人ひとりを「被共済者」として登録する
  • 掛金は月額で、会社が全額負担する(従業員の給与天引きではない)
  • 加入すると、会社を通じて従業員本人に「退職金共済手帳」が渡される。手帳には掛金月額や加入した年月などが記載されている。この手帳は退職時に新しく発行されるのではなく、加入時(入社時など)にすでに本人へ交付されているもので、退職時には手帳の2枚目(被共済者退職届)を会社が機構へ送り、3枚目(退職金(解約手当金)請求書)に会社が記入したうえで本人へ渡す運用になっている(2026年9月、中退共公式サイトで確認。紙の手帳として交付される運用で、電子化されているという案内は見当たらなかった)
  • この3枚目の請求書を機構に提出するのは本人で、審査を経て退職金は本人名義の口座に機構から直接振り込まれる

対象になる会社の規模には、業種ごとに次の基準が定められています(2026年9月、中退共公式サイトで確認)。

業種 従業員数 または資本金・出資金
一般業種(製造業・建設業等) 300人以下 3億円以下
卸売業 100人以下 1億円以下
サービス業 100人以下 5,000万円以下
小売業 50人以下 5,000万円以下

いずれかの基準を満たせば加入できます。ただし、これはあくまで「新規に加入できる会社の基準」であり、すでに加入している会社が基準を超えても、加入自体が無効になるわけではありません。

特定退職金共済(特退共)との違い

特定退職金共済(特退共)は、中退共とは別の制度です。市町村・商工会議所・商工会・商工会連合会・都道府県中小企業団体中央会・退職金共済事業を目的とする一般社団法人や一般財団法人などのうち、所得税法施行令第73条の要件を満たして税務署長の承認を受けた団体が実施しています(2026年9月確認)。

中退共と特退共は、名前が似ていて混同されやすいですが、運営する組織も根拠になる法律も別です。ただし、従業員本人からすると次の点はよく似ています。

比較項目 中退共 特定退職金共済(特退共)
運営元 独立行政法人勤労者退職金共済機構 市町村・商工会議所・商工会連合会・中小企業団体中央会など(所得税法施行令第73条に基づき税務署長の承認を受けた団体)
掛金の負担 会社が全額負担 会社が全額負担(東京商工会議所の例で確認。実施団体ごとに規約が異なる場合があるため、加入先の団体に直接確認してください)
退職金の振込先 本人の口座へ直接 本人の口座へ直接(東京商工会議所の例で確認)
手続きの主体 本人が請求書を提出 本人が請求書を提出(東京商工会議所の例で確認)

会社がどちらの制度に加入しているか、あるいは両方とも加入していないかは、外から見ただけでは分かりません。次の見出しで説明する方法で、実際に確認する必要があります。

自分が加入しているかの確認方法

会社に直接聞く前に、まず自分の手元にある書類で確認できることがあります。

  1. 「退職金共済手帳」を探す — 中退共に加入していれば、入社時か加入時に会社を通じて本人に手帳が渡されているはずです。入社時の書類一式の中に紛れていないか確認してください
  2. 雇用契約書・就業規則の「退職金」の項目を確認する — 「退職金制度なし」ではなく「中小企業退職金共済制度による」といった記載がないか探してください
  3. 給与明細を確認する — 給与から「退職金」名目の天引きがされていないのは通常どおりです(掛金は会社負担のため)。ただし、明細の備考欄などに共済制度名の記載がある会社もあります
  4. 総務・人事に直接確認する — 「中退共、または特定退職金共済に加入していますか」と具体的な制度名を挙げて聞くと、担当者も答えやすくなります。「退職金はありますか」だけだと、会社独自の退職金制度の有無しか答えてもらえないことがあります
  5. 退職後、時間が経ってから気づいた場合 — 在職中に確認できなかった場合でも、退職後に元の会社の総務へ問い合わせて確認することは可能です。会社に連絡しにくい事情がある場合は、中退共本部の「退職金の未請求・時効等についてのお問い合わせ」専用窓口(0120-900-929、平日9:00〜17:00)に本人から電話する方法もあります。当時の会社名・所在地・入社年月日・退職年月日、本人の氏名(旧姓含む)・住所・生年月日などを伝えると、後日、加入していたかどうかの回答が郵送で届きます(2026年9月、中退共公式サイトで確認)。特定退職金共済についても、加入している(と思われる)団体に同様の照会ができるか、その団体へ直接確認してください

加入していた場合、お金が振り込まれるまでの流れ

中退共に加入していたことが確認できた場合、実際に退職金を受け取るまでの流れはおおむね次のとおりです。

  1. 退職時に、会社から「退職金(解約手当金)請求書」を受け取る(会社が必要事項を記入した状態で渡される)
  2. 本人が、必要事項(振込先口座など)を記入し、中退共(機構)へ直接提出する
  3. 機構側で審査が行われる
  4. 審査後、退職金が本人名義の口座に機構から直接振り込まれる(会社を経由しない)

会社が倒産していたり、退職後に会社と連絡を取りたくない事情があったりしても、請求書さえ入手できれば本人が直接機構に請求できる点が、この制度の特徴です。会社が「退職金共済手帳」を渡してくれない場合は、まず会社に交付を求め、それでも渡してもらえないときは中退共本部の給付推進管理課に相談する窓口が用意されています(2026年9月、中退共公式サイトで確認)。特定退職金共済についても、実施団体ごとに請求の窓口・必要書類は異なるため、加入している団体に直接確認する必要があります。

次にやること

まず、入社時の書類の中に「退職金共済手帳」がないか探し、見当たらなければ総務・人事に「中退共、または特定退職金共済に加入していますか」と具体的な制度名を挙げて確認してください。 加入が確認できたら、退職時に「退職金(解約手当金)請求書」を必ず受け取り、本人が共済制度側に提出する手続きを進めてください。


※本記事は2026年9月時点で調査した範囲の一般的な情報です。加入対象となる会社の基準・請求手続きの詳細は制度改正や実施団体ごとの運用で変わるため、加入の有無や具体的な手続きは、勤務先の総務・人事、または該当する共済制度(独立行政法人勤労者退職金共済機構、もしくは加入している商工会議所・商工会連合会等)に直接ご確認ください。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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