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退職金の相場はいくら

この記事の結論
  • 退職金は法律で義務付けられた制度ではなく、就業規則(退職金規程)に定めがある会社だけが対象(労働基準法89条3号の2)
  • 大企業のモデル退職金(定年・会社都合)は大学卒2,858.4万円・高校卒2,162.5万円(中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」)
  • 中小企業(都内)は大学卒1,149.5万円・高校卒974.1万円(東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」)、大企業のおよそ4割の水準
  • 自分の退職金額は就業規則の退職金規程で確認するのが最も確実
この記事の内容
  1. 結論:企業規模で2倍以上の差がある
  2. そもそも退職金は法律上の義務ではない
  3. 大企業の退職金相場(学歴別・退職事由別)
  4. 中小企業の退職金相場(学歴別)
  5. 勤続年数でどう増えるか
  6. なぜここまで差が出るのか
  7. 自分の退職金額を確認する方法
  8. 実体験について
  9. 次にやること

「自分の退職金、世間相場と比べて多いのか少ないのか分からない」という人向けの記事です。 結論から言うと、退職金は法律で義務付けられた制度ではなく、金額も会社ごとの就業規則(退職金規程)次第で大きく違います。とはいえ目安になる統計はあります。この記事では、大企業と中小企業でどれくらい差があるのか、勤続年数が増えるとどう変わるのかを、公的な統計データをもとに整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 自分の退職金額が世間相場と比べて多いのか少ないのか分からない
  • 転職や独立を考えているが、勤続年数によって退職金がどう変わるのか知りたい
  • そもそも退職金がいくらもらえるものなのか、会社に聞きづらい

結論:企業規模で2倍以上の差がある

定年退職時のモデル退職金額(会社都合退職)を企業規模別・学歴別にまとめると、次のようになります。

区分 大学卒 高校卒
大企業(中央労働委員会調べ) 2,858.4万円 2,162.5万円
中小企業・都内(東京都産業労働局調べ) 1,149.5万円 974.1万円

出典:中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」(調査産業計・事務技術総合職のモデル退職金額)、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」(調査産業計・モデル退職金)

ここが要点

中小企業の退職金は、大企業のおよそ4割の水準です。ただしこれは「モデル退職金」、つまり新卒でその会社に入り、標準的に昇進して定年まで勤め上げた場合の理論値です。実際の平均支給額はこれより低くなる傾向があるため、あくまで目安として見てください。

そもそも退職金は法律上の義務ではない

まず押さえておきたいのは、退職金は労働基準法で支払いを義務付けられた制度ではないという点です。労働基準法には「退職金を必ず支払え」という条文はありません。

一方で、会社が退職金制度を設ける場合には、就業規則(退職金規程)に定めなければならないというルールがあります。労働基準法89条3号の2により、退職手当の定めをする場合は、対象となる労働者の範囲・決定方法・計算方法・支払方法・支払時期を就業規則に記載することが義務付けられています(相対的必要記載事項)。

つまり、 - 退職金制度を設けるかどうかは会社の自由 - しかし一度就業規則に定めたら、その内容どおりに支払う義務が生じる

という建付けです。自分の会社に退職金があるかどうか、いくらもらえるのかは、統計の平均値ではなく、自社の就業規則(退職金規程)を確認しないと分かりません。

大企業の退職金相場(学歴別・退職事由別)

大企業の退職金水準は、中央労働委員会が毎年実施している「賃金事情等総合調査」で確認できます。この調査は労働組合のある大企業を中心とした調査であり、日本の企業全体の中では上位クラスの水準を示している点に注意してください。

令和5年調査(対象は令和4年度決算期間)によると、退職事由別の1人平均退職金額(全学歴込み)は次のとおりです。

退職事由 平均退職金額
定年退職 1,878.3万円
会社都合(定年を含む) 1,399.9万円
自己都合 487.5万円

同調査の「モデル退職金額」(事務・技術職の総合職、会社都合退職、定年時)は次のとおりです。

学歴 モデル退職金額
大学卒 2,858.4万円
高校卒(総合職) 2,162.5万円
高校卒(生産職) 1,936.6万円

なお、実際に定年まで勤め上げた人の平均退職金額(満勤勤続、令和4年度決算期間)は、大学卒2,139.6万円・高校卒2,019.9万円でした。モデル退職金額より低いのは、標準的な昇進コースを外れた人や、支給率が下がるケースも平均に含まれるためです。

中小企業の退職金相場(学歴別)

中小企業の退職金水準は、東京都産業労働局が実施している「中小企業の賃金・退職金事情」で確認できます。令和6年版によると、モデル退職金額(会社都合退職、定年時、調査産業計)は次のとおりです。

学歴 モデル退職金額
大学卒 1,149.5万円
高専・短大卒 992.0万円
高校卒 974.1万円

この調査は都内の中小企業を対象としたものです。地方や業種によって水準は変わり得るため、あくまで目安として捉えてください。大企業の数字(大学卒2,858.4万円)と比べると、中小企業は4割程度の水準にとどまっています。

勤続年数でどう増えるか

退職金は勤続年数に応じて増えていきますが、増え方は企業規模で大きく異なります。会社都合退職・大学卒のモデル退職金額を勤続年数別に並べると、次のようになります。

勤続年数 大企業 中小企業
3年 69.6万円 30.4万円
10年 305.7万円 144.8万円
20年 1,021.6万円 408.1万円
30年 2,054.5万円 776.2万円
定年 2,858.4万円 1,149.5万円

出典は上記と同じ(中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」)

ここが要点

勤続10年未満の退職金額は、企業規模を問わずまだ小さい水準です。特に自己都合退職の場合はさらに支給率が下がる会社が多いため、若いうちの転職では「退職金はほぼ無い」と考えておいたほうが現実的です。

なぜここまで差が出るのか

大企業と中小企業でこれほど差が出る背景には、主に次の3つがあります。

  1. 退職給付制度そのものがない会社が増えている:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は全体で74.9%で、5年前の調査(80.5%)より低下しています。特に30〜99人規模の企業では70.1%(前回77.6%)と、小規模企業ほど下落幅が大きくなっています
  2. 算定方式の違い:大企業ではポイント制(職能等級や勤続年数を点数化して積み上げる方式)を採用する会社が多く、昇進・昇格に応じて退職金が伸びやすい仕組みになっています
  3. 資金体力の差:退職金は将来の支払いに備えて資金を積み立てる必要があり、中小企業では大企業ほどの積立余力を持ちにくいという事情があります

自分の退職金額を確認する方法

統計上の相場はあくまで平均・モデルケースであり、自分の実際の金額とは一致しません。正確な金額を知るには、次の方法があります。

  1. 就業規則(退職金規程)を確認する:多くの会社では就業規則に退職金の計算式(基本給×支給率×勤続年数係数など)が定められています。人事・総務に閲覧を依頼できます
  2. 人事・総務に試算を依頼する:勤続年数や退職時期を伝えれば、概算額を教えてもらえる会社もあります
  3. 企業型確定拠出年金(DC)の場合は運用状況を確認する:退職一時金ではなく確定拠出年金制度を採用している会社では、自分の運用実績によって受取額が変わります。運営管理機関のマイページで残高を確認できます
ここが要点

退職金規程がそもそも存在しない、または「退職金は支給しない」と明記されている会社も珍しくありません。統計上の相場に当てはめて期待値を作らず、まずは自社の規程を確認することをおすすめします。

実体験について

私の場合

私自身は2026年6月末に前職を退職しましたが、退職金の支給を伴う退職ではなかったため、この記事のテーマである退職金額についての実体験はありません。本記事の内容は、公的な統計データ(中央労働委員会・東京都産業労働局・厚生労働省)をもとに整理したものです。

次にやること

まず、自社の就業規則(退職金規程)に退職金の定めがあるかどうかを確認してください。 統計上の相場は目安にはなりますが、実際の金額を決めるのは自社の規程です。規程が見当たらない場合は、人事・総務に直接問い合わせるところから始めてください。


※本記事は2026年9月時点の公的統計にもとづく一般的な情報整理です。実際の退職金額は勤務先の就業規則・退職金規程によって異なります。

出典(2026年9月確認) - 労働基準法89条3号の2(退職手当の相対的必要記載事項) - 中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」(令和5年退職金、年金及び定年制事情調査):https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/23/index.html (第9表・第10表・第11表) - 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」第8表-①モデル退職金(調査産業計):https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/data/koyou/chingin/r6 - 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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