辞めたあとまで分かる退職ガイド 辞める前の不安から、辞めたあとの手続きまで
ホーム › 退職金にかかる税金

退職金にかかる税金

この記事の結論
  • 退職金には「退職所得控除」という大きな非課税枠があり、勤続年数が長いほど控除額も増える(20年以下は40万円×勤続年数〈最低80万円〉、20年超は800万円+70万円×〈勤続年数-20年〉、国税庁タックスアンサーNo.1420)
  • 控除後の金額はさらに原則2分の1にしてから課税される(役員等で勤続5年以下の場合や、短期退職手当等の300万円超部分は2分の1にならない)
  • 税金は所得税(超過累進税率5〜45%)+復興特別所得税(所得税額の2.1%)+住民税(一律10%)で、「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと退職金の20.42%がそのまま源泉徴収される
ぜんたいの流れ
  1. 1勤続年数を確認
  2. 2控除額を計算
  3. 3退職所得を算出
  4. 4税額を計算
この記事の内容
  1. 結論:退職金は控除額が大きく、給与よりずっと税負担が軽い
  2. 退職所得控除額の計算式
  3. 障害者になったことが原因で退職した場合
  4. 課税される退職所得の金額の出し方(2分の1ルール)
  5. 実際の税額を計算してみる
  6. 「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなるか
  7. 実体験について
  8. 次にやること

退職金を受け取る予定がある人・すでに受け取った人向けの記事です。 「退職金にも税金がかかるらしいけど、いくら引かれるのか分からない」と不安になっていませんか。結論から言うと、退職金の税金は給与よりもかなり優遇された仕組みになっていて、勤続年数が長ければ長いほど税負担は軽くなります。この記事では、退職所得控除額の計算式と、実際にいくら税金がかかるのかを、具体的な数字で整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 退職金にどれくらい税金がかかるのか分からず不安
  • 「退職所得控除」という言葉は聞いたことがあるが、計算式が分からない
  • 会社に何も申告しなかったら税金を多く取られると聞いて心配になっている

結論:退職金は控除額が大きく、給与よりずっと税負担が軽い

論点 結論
退職金に税金はかかるか かかる。所得税・復興特別所得税・住民税の3つ
控除の仕組みは 「退職所得控除額」という大きな非課税枠がある。勤続年数が長いほど増える
控除後さらにどうなるか 原則、控除後の金額をさらに2分の1にしてから課税される
税率は 所得税は5〜45%の累進税率、住民税は一律10%
会社への申告は必要か 「退職所得の受給に関する申告書」を出せば会社が正しい税額を計算して源泉徴収してくれる。出さないと20.42%がそのまま引かれる
ここが要点

ポイントは「控除」と「2分の1」の二段構えです。勤続年数分の控除を引いたうえで、さらに残った金額を半分にしてから税率をかけます。同じ金額の給与と比べると、退職金にかかる税金はかなり少なくなる仕組みです(国税庁タックスアンサーNo.1420)。

退職所得控除額の計算式

退職所得控除額は、勤続年数によって次のように計算します(国税庁タックスアンサーNo.1420)。

勤続年数(A) 退職所得控除額
20年以下 40万円 × A(80万円に満たない場合は80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(A - 20年)

勤続年数は1年未満の端数があれば1年に切り上げます。たとえば勤続8年3か月なら勤続年数は9年として計算します。

具体的な金額で見ると、勤続10年なら控除額は40万円×10年=400万円、勤続25年なら800万円+70万円×5年=1,150万円です。長く勤めるほど控除額が大きくなる分、税金がかかりにくくなる仕組みだと分かります。

障害者になったことが原因で退職した場合

在職中に障害者に該当することになり、それが直接の原因で退職した場合は、上記の計算式で出した控除額に100万円を加算します(国税庁タックスアンサーNo.1420)。該当する可能性がある場合は、会社の担当部署や税務署に事情を伝えたうえで手続きを進めてください。

課税される退職所得の金額の出し方(2分の1ルール)

退職所得控除額を差し引いた後、税金の対象になる「退職所得の金額」は、原則として次の式で計算します(国税庁タックスアンサーNo.1420)。

退職所得の金額 =(退職金の収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2

ただし、この「2分の1」が適用されない例外が2つあります。

ケース 2分の1計算の扱い
役員等(取締役・執行役・会計参与・監査役・理事・監事・清算人・国会議員・地方議会議員・国家公務員・地方公務員など)で勤続年数5年以下の「特定役員退職手当等」 控除後の金額に2分の1計算を適用しない(差額がそのまま退職所得)
役員等以外で勤続年数5年以下の「短期退職手当等」 控除後の金額のうち300万円を超える部分には2分の1計算を適用しない

つまり、勤続年数が短い役員や、勤続5年以下で退職金が高額な人は、一般に思われているより税負担が重くなる可能性があります。自分がどちらに該当するか分からない場合は、会社の総務・経理か税務署に確認してください。

実際の税額を計算してみる

ここでは一般の会社員(役員等ではない)を想定し、2つのパターンで計算してみます。所得税は超過累進税率(国税庁タックスアンサーNo.2260の速算表)、住民税は退職所得に対する分離課税で道府県民税4%+市町村民税6%の合計10%(地方税法第50条の4・第328条の3)を使います。

パターン1:勤続10年、退職金500万円の場合

項目 金額
退職所得控除額 40万円 × 10年 = 400万円
退職所得の金額 (500万円 − 400万円)× 1/2 = 50万円
所得税(税率5%、控除0円) 50万円 × 5% = 25,000円
復興特別所得税(所得税額の2.1%) 25,000円 × 2.1% = 525円
住民税(一律10%) 50万円 × 10% = 50,000円
税金の合計 75,525円

パターン2:勤続25年、退職金2,000万円の場合

項目 金額
退職所得控除額 800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円
退職所得の金額 (2,000万円 − 1,150万円)× 1/2 = 425万円
所得税(税率20%、控除427,500円) 425万円 × 20% − 427,500円 = 422,500円
復興特別所得税(所得税額の2.1%、1円未満切り捨て) 422,500円 × 2.1% = 8,872.5円 → 8,872円
住民税(一律10%) 425万円 × 10% = 425,000円
税金の合計 856,372円

500万円の退職金でも税負担は7万円台、2,000万円でも受け取る額の1〜5%程度に収まることが分かります(いずれも本記事での試算。地方税の確定金額は百円未満を切り捨てる決まりがあるが〈地方税法第20条の4の2〉、上記2パターンの住民税額はもともと百円単位のため影響しない)。

ここが要点

退職金にかかる税金は、正しく申告さえしていれば会社が源泉徴収の段階で計算してくれます。自分で確定申告をする必要は、原則としてありません。

「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなるか

退職金を受け取る前に、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、会社が上記のような控除・2分の1計算を反映した正しい税額を計算し、その金額だけを源泉徴収してくれます。

この申告書を提出しなかった場合、退職金等の支払金額の20.42%が一律で源泉徴収されます(国税庁タックスアンサーNo.1420)。パターン1の例で言えば、500万円の退職金に対して1,021,000円(500万円×20.42%)が源泉徴収される計算になり、本来の税額(75,525円)よりもはるかに多く引かれてしまいます。

申告書を出し忘れて多く源泉徴収された場合は、確定申告をすれば払いすぎた分を還付してもらえます。ただし手間も時間もかかるため、退職金を受け取る前に申告書を提出しておくほうが確実です。書式は勤務先の総務・経理から渡されるのが一般的なので、退職手続きの際に確認してください。

実体験について

私の場合

私自身は2026年6月末に前職を退職しましたが、退職金の受給や税額計算について、本記事の作成時点でお伝えできる具体的な実体験はありません。この記事の内容は、国税庁タックスアンサー・総務省の資料をもとに、一般的な計算の仕組みとして整理したものです。

次にやること

まず、自分の勤続年数と退職金の見込み額から、退職所得控除額を計算してみてください。 勤続年数が20年以下なら「40万円×勤続年数」、20年超なら「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。控除額が退職金を上回る場合、税金はかかりません。そのうえで、退職金を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出したかどうかを必ず確認してください。


※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。実際の税額は個人の状況や自治体の運用によって異なります。判断に迷う場合は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

出典(2026年9月確認) - 国税庁タックスアンサーNo.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm - 国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm - 地方税法第35条・第314条の3(道府県民税・市町村民税の所得割の標準税率、それぞれ4%・6%)、第50条の4・第328条の3(退職所得に係る分離課税の税率、同じく4%・6%)、第328条の4(退職所得に係る住民税は特別徴収による)、第20条の4の2(地方税の確定金額は百円未満切り捨て)

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

この記事に関係する無料の道具(登録不要・その場で使える)
あわせて読みたい