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失業保険の日額はどう計算されるか

この記事の結論
  • 基本手当日額は「賃金日額×給付率」で決まる
  • 賃金日額は離職前6か月の賃金総額÷180で算出される(ボーナスは含まない)
  • 給付率は賃金が低い人ほど高く(最大80%)、賃金が高い人ほど低くなる(最低45〜50%)、区分は年齢・年度で変わるため公式の確認が必要
  • 年齢区分ごとに上限額があり、賃金日額が高くても上限で頭打ちになる
  • 自分の正確な日額は、計算式を自分で当てはめるより「雇用保険受給資格者証」で確認するのが確実
ぜんたいの流れ
  1. 1離職前6か月の賃金集計
  2. 2賃金日額を算出
  3. 3給付率を適用
  4. 4上限額で調整
  5. 5基本手当日額決定
この記事の内容
  1. 結論:基本手当日額=賃金日額×給付率
  2. 賃金日額はどう計算されるか
  3. 賃金日額に含まれるもの・含まれないもの
  4. 給付率はなぜ賃金が低い人ほど高いのか
  5. 年齢区分ごとの上限額がある
  6. 自分の日額を確定させる方法
  7. 「思ったより少ない」と感じたときに確認すること
  8. 実体験:受給資格者証を受け取ったときのこと
  9. 自分の場合で計算例を作ってみる
  10. 次にやること

この記事は、失業保険(基本手当)が1日いくらもらえるのか気になっている人に向けて書いています。 結論から言うと、基本手当日額は「賃金日額×給付率」という2段階の計算で決まります(雇用保険法第16条・第17条)。ただし給付率の区分点や上限額は年度ごとに見直されるため、この記事では計算の「仕組み」を説明したうえで、2026年8月時点の実際の金額と、自分の正確な金額を公式の窓口で確認する方法を案内します。

こんな状態ではありませんか
  • 「離職前の給料で決まる」とは聞いたけれど、具体的にどう計算されるのか分からない
  • ネットの試算ツールに出てきた金額が正しいのか不安
  • ボーナスは計算に入るのか、入らないのか分からない

結論:基本手当日額=賃金日額×給付率

論点 結論 根拠・理由
基本手当日額の計算式 賃金日額×給付率 雇用保険法第16条
賃金日額の出し方 離職前6か月の賃金総額÷180 雇用保険法第17条第1項
給付率の幅 45%〜80%(60歳未満は50〜80%、60〜64歳は45〜80%) 雇用保険法第16条。賃金が低い人ほど生活への影響が大きいため給付率が高く設計されている
上限はあるか ある(年齢区分ごとに上限額が設定されている。2026年8月1日時点で7,450円〜9,110円) 賃金日額がいくら高くても、上限額を超えて支給されることはない(厚生労働省2026年7月31日発表資料)
自分の正確な金額はどこで分かるか 雇用保険受給資格者証 ハローワークが個別の賃金データをもとに計算し、通知してくれる
ここが要点

自分で計算式に当てはめて概算を出すことはできますが、給付率の区分点も上限額も毎年見直されるため、正確な金額は自分で計算するより公式の通知を確認するのが確実です。この記事は「仕組みを理解するための説明」だと考えてください。

賃金日額はどう計算されるか

基本手当の計算は、まず「賃金日額」を出すところから始まります。賃金日額は、次の式で計算されます。

賃金日額 = 離職前6か月間に支払われた賃金の総額 ÷ 180

この式は雇用保険法第17条第1項に定められています。「180」という数字は、6か月をおおむね30日×6で見た日数です。実際に働いた日数ではなく、暦の上での期間で割るという点が、直感と違いやすいポイントです。たとえば欠勤が多かった月があっても、賃金日額の計算式そのものは「180で割る」という形は変わりません(ただし賃金総額自体は実際に支払われた額なので、欠勤が多ければ総額は下がります)。

ここが要点

「直近6か月」がどの期間を指すかは、退職日ではなく離職の直前の給与締め日を基準に数えることが一般的です。自分の場合の正確な起算点は、離職票に記載された賃金の内訳(通常6か月分が記載されています)で確認できます。

賃金日額に含まれるもの・含まれないもの

賃金日額の元になる「賃金」には、含まれるものと含まれないものがあります。

含まれる(賃金日額の計算対象) 含まれない(計算対象外)
基本給 賞与(ボーナス)
残業手当・各種手当(通勤手当・住宅手当など) 退職金
毎月決まって支払われる手当 臨時に支払われた祝金など

雇用保険法第17条第1項は、賃金日額の元になる賃金から「臨時に支払われる賃金」と「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除くと定めています。賞与は通常、年2〜4回・3か月を超える間隔で支払われるため、この規定によって除外の対象になります。

ここが要点

ここで一番誤解が起きやすいのは賞与が入らないことです。賞与が多い会社に勤めていた人ほど、「年収」から想像する日額と、実際に計算される日額の差が大きくなりやすい傾向があります。

給付率はなぜ賃金が低い人ほど高いのか

賃金日額が出たら、次に給付率をかけます。給付率は賃金日額が低いほど高く、高いほど低くなる仕組みになっています(雇用保険法第16条)。下限は年齢で分かれ、60歳未満は50%、60歳以上65歳未満は45%です。

この設計の考え方は、「賃金が低かった人ほど、失業による生活への影響が相対的に大きい」という前提にあります。同じ「6割の減収」でも、もともとの賃金水準によって生活への打撃の大きさが変わるため、賃金日額の水準に応じて給付率を段階的に変える形が取られています。

賃金日額の水準(イメージ) 給付率の傾向
低い 高い(最大80%)
中間 段階的に下がる
高い 低い(60歳未満は50%、60〜64歳は45%が下限)
ここが要点

「給付率〇%」という数字だけを見て、自分の賃金にそのままかければ日額が出るわけではありません。区分点(どこからどこまでが何%か)は年齢と年度で変わるため、正確な区分は自分で判断せず、公式の情報かハローワークの窓口で確認してください。

年齢区分ごとの上限額がある

賃金日額がどれだけ高くても、基本手当日額には上限額が設定されています(雇用保険法第17条第4項)。上限額は離職日時点の年齢区分ごとに異なり、2026年8月1日以降は次のとおりです(厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」2026年7月31日発表)。

年齢区分 基本手当日額の上限額(2026年8月1日〜)
30歳未満 7,450円
30歳以上45歳未満 8,270円
45歳以上60歳未満 9,110円
60歳以上65歳未満 7,830円

下限額は年齢を問わず共通で2,562円です(同発表)。前職の賃金が高かった人ほど、この上限額に引っかかりやすくなります。つまり「賃金日額×給付率」で計算した金額が上限額を超えていれば、実際に支給されるのは上限額の方です。これらの金額は毎年度、平均給与額の変動に応じて8月1日に見直されるため、翌年度以降は数字が変わります(雇用保険法第18条)。

ここが要点

上限額に引っかかるかどうかは、賃金水準が高かった人にとって重要な分岐点です。「思ったより低い」と感じる場合、この上限額が理由になっていることがあります。

自分の日額を確定させる方法

ここまでの説明は、あくまで仕組みの理解のためのものです。自分の正確な基本手当日額を知る一番確実な方法は、自分で計算式に当てはめることではなく、次の手順です。

  1. ハローワークで求職の申込みと離職票の提出を行う
  2. 受給資格が決定されると、「雇用保険受給資格者証」が交付される
  3. その受給資格者証に、賃金日額・基本手当日額・給付日数が明記されている

この受給資格者証に記載される金額は、ハローワーク側が実際の賃金データ(離職票に記載された6か月分の賃金)をもとに計算したものなので、自分で概算するより正確です。求職申込みの実際の流れは別記事(#013)で詳しく書いています。

「思ったより少ない」と感じたときに確認すること

受給資格者証の金額を見て「思ったより少ない」と感じた場合、次のような理由が考えられます。

  • 賞与を含めた年収のイメージで想像していたが、賞与は賃金日額の計算に入らない
  • 賃金水準が高く、年齢区分の上限額で頭打ちになっている
  • 離職前6か月のうちに欠勤・休業が多い月があり、賃金総額が下がっていた

いずれの場合も、計算そのものに誤りがあるわけではなく、仕組み上そうなっていることがほとんどです。金額に納得がいかない、計算の根拠を詳しく知りたいという場合は、受給資格者証を持ってハローワークの窓口で説明を求めることができます。

ここが要点

「なぜこの金額なのか」を聞くのは、生活設計のために必要な確認です。遠慮せず窓口で聞いてかまいません。

実体験:受給資格者証を受け取ったときのこと

私の場合

私自身、2026年に前職を退職し、ハローワークで求職の申込みをして受給資格者証を受け取りました。正直に書くと、窓口に行くまでは「自分で賃金明細を見て概算しておこう」と思っていたのですが、実際には計算式に当てはめる作業はほとんど意味がありませんでした。受給資格者証には、すでに計算済みの賃金日額と基本手当日額が印字されて渡されるだけで、自分で電卓を叩く場面はなかったからです。

この記事に具体的な自分の金額は書いていません(個人情報のため)。ただ、「概算より、窓口で正式な数字を受け取る方が早いし正確」という実感は、実際に経験した事実として書いています。

自分の場合で計算例を作ってみる

ここまでの式に、仮の数字を1つ当てはめて計算の流れを確認します。あくまで仕組みを理解するための試算であり、実際の給付率の区分点はここでは分からないため、給付率は本文で示した幅(45〜80%)の中から「仮に60%」として置いています。自分の正確な給付率・日額は、前の見出しのとおり受給資格者証で確認してください。

ステップ 計算式 結果
1. 賃金日額を出す 180万円(離職前6か月の賃金総額)÷180 10,000円
2. 給付率をかける(仮に60%として) 10,000円×60% 6,000円
3. 上限額と比べる 30歳以上45歳未満の上限額8,270円 > 6,000円 上限にかからず6,000円のまま

前提(この計算例だけの仮の数字) - 離職時の年齢:40歳(30歳以上45歳未満の区分) - 月給30万円(基本給・残業手当・通勤手当など、賞与を除く)を6か月分そのまま受け取っていたと仮定 → 賃金総額180万円 - 給付率は区分点が本文で分からないため「仮に60%」として計算(実際は45〜80%の間で賃金水準により変わる)

この例では上限額(8,270円)より計算結果(6,000円)の方が低いため、上限で頭打ちにはなりません。反対に、月給が高く賃金日額が上限額を超える水準になっている場合は、いくら計算しても上限額(年齢区分ごとに7,450円〜9,110円)がそのまま基本手当日額になります。

次にやること

自分でおおよその見当をつけたい場合は、まず自分の直近6か月分の賃金(基本給・手当。賞与は除く)を離職票か給与明細で確認してください。 そのうえで、正確な金額はハローワークでの求職申込み後に交付される「雇用保険受給資格者証」で確認するのが一番確実です。まだ離職票が手元にない場合は、会社への催促の仕方を別記事(#014)で確認してください。


※本記事は2026年9月時点の一般的な仕組みの説明と、筆者個人の体験に基づくものです。本文中の上限額・下限額は2026年8月1日以降に適用される金額で、翌年度以降は見直されます。正確な金額は必ずハローワークまたは厚生労働省の公式情報でご確認ください。個別の受給資格に関する判断は、最寄りのハローワークにご相談ください。

出典 - 雇用保険法第16条(基本手当の日額)・第17条(賃金日額)・第18条(自動的変更) - 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(土)から実施~」(2026年7月31日発表、https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/001729233.pdf) - 雇用保険受給資格者証(本人が2026年に交付を受けた事実)

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

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