基本手当日額の上限と下限
- 基本手当日額には離職時の年齢区分ごとの上限額(30歳未満7,450円/30歳以上45歳未満8,270円/45歳以上60歳未満9,110円/60歳以上65歳未満7,830円)と、全年齢共通の下限額2,562円がある(2026年8月1日時点、厚生労働省発表)
- この金額は毎年8月1日に前年度の平均給与額の変動等にあわせて自動改定される
- 基本手当日額は「賃金日額(離職前6か月の賃金÷180)×給付率(50%〜80%、60歳以上65歳未満は45%〜80%)」で計算され、賃金日額が下限を下回れば下限に、年齢区分ごとの上限を超えれば上限に置き換わる(雇用保険法第16〜18条)
- 自分の日額は雇用保険受給資格者証の「賃金日額」「基本手当日額」欄で確認できる
- 65歳以上で離職した場合は基本手当ではなく高年齢求職者給付金という別の制度の対象になる
- 1離職票を受け取る
- 2賃金日額欄を確認
- 3給付率で計算
- 4上限下限と照合
- 5ハローワークで確定額確認
この記事の内容
失業保険(基本手当)には、離職時の年齢区分ごとに決まった上限額と、全年齢共通の下限額があります。この記事では、2026年8月1日時点で適用されている上限・下限の具体的な金額と、自分の基本手当日額がどの仕組みで決まっているかを、離職票や雇用保険受給資格者証のどこを見れば分かるかとあわせて説明します。上限・下限は毎年8月1日に自動で見直されるため、いつ時点の数字かも確認しておく必要があります。
- 自分の基本手当日額が、思っていたより少ない気がする
- 上限・下限がいくらなのか、どこを見れば分かるのか分からない
- 離職票や受給資格者証のどの欄を見れば、自分の日額の根拠が分かるのか知りたい
結論:上限は年齢区分ごと、下限は全年齢共通。毎年8月1日に改定される
基本手当日額(失業保険で1日あたりに受け取れる金額)には、離職時の年齢ごとに決まった上限額があります。厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(2026年10月4日確認)によれば、2026年8月1日から適用されている上限額・下限額は次のとおりです。
- 30歳未満:7,450円
- 30歳以上45歳未満:8,270円
- 45歳以上60歳未満:9,110円
- 60歳以上65歳未満:7,830円
- 下限額(全年齢共通):2,562円
離職前の賃金がどれだけ高くても、あるいはどれだけ低くても、この金額が天井(上限)と床(下限)になります。同じ厚生労働省のページによると、今回の改定は令和7年度の平均給与額が令和6年度より約2.7%上がったことと、最低賃金日額の適用によるものです。数字は毎年8月1日に、前年度の平均給与額の変動と最低賃金日額の水準にあわせて見直されるため(雇用保険法第18条で確認)、去年の数字のまま覚えていると実際の受給額と食い違うことがあります。
45歳以上60歳未満の上限額がもっとも高く、年齢が上がるほど上限が高くなり続けるわけではありません。60歳以上65歳未満では逆に下がります。上限額の区分は年齢ごとに雇用保険法第17条第4項で定められています。
なぜ上限・下限があるのか|賃金日額×給付率で決まる仕組み
基本手当日額は、次の式で決まります。
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率
賃金日額は、離職前の最後の6か月に支払われた賃金(臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除く)の合計を180で割った金額です(雇用保険法第17条第1項で確認)。給付率は、賃金日額に応じて50%〜80%(60歳以上65歳未満は45%〜80%)の範囲で決まります。賃金日額が低い範囲は80%、高い範囲は50%、その間は賃金日額が上がるほど率が下がります(雇用保険法第16条で確認)。
上限・下限は、基本手当日額そのものではなく、まず賃金日額に対してかかります。計算した賃金日額が下限を下回ればその下限に、年齢区分ごとの上限を超えればその上限に置き換わります(雇用保険法第17条第4項)。この置き換え後の賃金日額に給付率をかけた結果が、基本手当日額の下限額・上限額として表に出ている数字です。離職前の賃金が高かった人ほど、実際の賃金から計算した金額と受け取る金額に差が出やすく、上限で頭打ちになっている可能性があります。
これらの金額は、平均給与額や最低賃金日額の変動に応じて、8月1日以後の額が自動で変更されます(雇用保険法第18条第1項・第3項で確認)。
年齢区分別 上限額・下限額一覧(2026年8月1日時点)
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
| 下限額(全年齢共通) | 2,562円 |
出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(2026年8月1日適用)
65歳以上で離職した場合は、基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」という別の制度の対象になります(雇用保険法第37条の2で確認)。支給は一時金で、基本手当の日額に、被保険者だった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分をかけた額です(同法第37条の4)。日額の計算には第16条〜第18条が使われますが、第17条第4項第2号の年齢区分ごとの上限は使われず、賃金日額の上限は同号ニの額になります(同法第37条の4第1項・第2項で確認)。そのため、この記事の上限額の表はそのままでは当てはまりません。
自分の基本手当日額の調べ方|チェックリスト
自分の基本手当日額がいくらで、上限・下限のどちらに近いのかは、次の手順で確認できます。
- □ 離職票-2で、離職前6か月の賃金の支払い状況を確認する(賃金日額の元になる数字)
- □ 雇用保険説明会で渡される「雇用保険受給資格者証」の「基本手当日額」欄を確認する(ハローワークインターネットサービスの案内で確認)
- □ 自分の離職時の年齢が、上の表のどの区分に入るか確認する
- □ 受給資格者証に印字された基本手当日額が、その区分の上限額と一致していないか確認する(一致していれば上限額が適用されている)
- □ 逆に下限額(2,562円)と一致していないか確認する
受給資格者証には、第1面の14欄に賃金日額が、あわせて基本手当日額が印字されています(ハローワークインターネットサービス、東京ハローワークの「受給資格者証の見方」で確認)。この2つを見比べると、単純に賃金日額×給付率どおりの金額になっているのか、それとも上限額・下限額に置き換えられているのかが分かります。金額に疑問があれば、ハローワークの窓口でその場で計算根拠を確認できます。
計算例|賃金日額から基本手当日額を出す
実際にどう計算されるか、賃金日額を仮に設定して確認します。
| 前提(仮の設定) | 数値 |
|---|---|
| 離職時の年齢 | 35歳 |
| 離職前6か月の賃金合計(賞与除く) | 216万円 |
| 賃金日額 | 216万円 ÷ 180 = 12,000円 |
| 給付率(計算を単純にするための仮の値) | 50% |
この例の50%は実際の率ではありません。手順を見るための仮の数字として読んでください。
- 賃金日額を出す:216万円 ÷ 180 = 12,000円
- 給付率をかける:12,000円 × 50% = 6,000円(仮の率での結果)
- 上限額と照合する:35歳(30歳以上45歳未満)の上限額は8,270円。計算結果6,000円は上限額を下回っているため、そのまま基本手当日額は6,000円になります。
同じ35歳区分で、仮に賃金日額が18,000円だった場合は、賃金日額そのものが上限に頭打ちされます(雇用保険法第17条第4項)。この区分の基本手当日額の上限額は8,270円で、賃金日額の上限はこの額を50%以下の率で割り戻した額(16,540円以下)になるため、18,000円は上限を超えます。この場合、18,000円×50%=9,000円とはならず、実際に支払われる基本手当日額は上限額の8,270円になります。正確な金額はハローワークの窓口か、雇用保険受給資格者証の記載で確認してください。
上限・下限にかかりやすいのはどんな人か
上限額にかかりやすいのは、離職前の賃金水準が高く、かつ離職時の年齢が45歳以上60歳未満の人です。この区分は上限額が9,110円ともっとも高く設定されていますが、逆にいえば賃金がどれだけ高くても1日9,110円が天井になります。「賃金水準の割に受給額が伸びない」と感じる場合、上限額に達している可能性があります。
下限額にかかりやすいのは、離職前の賃金が低かった人や、勤務日数・時間が少なかった人です。下限額の2,562円は、厚生労働省のページによると、令和8年4月1日時点の地域別最低賃金の全国加重平均額1,121円から出した最低賃金日額(1,121円×20÷7)に、給付率80%をかけて算出されています(算定方法は雇用保険法施行規則第28条の5、法第18条第3項で確認)。賃金日額がこの最低賃金日額に満たない場合は、下限に置き換わります。
調査した範囲では、上限・下限そのものを個別に交渉する余地はなく、金額は離職時の年齢と賃金日額によって機械的に決まります。「思っていたより少ない」と感じた場合は、上限額に達していないか、賃金日額の算定期間(離職前6か月)に賃金が少ない月が含まれていないかを確認するのが近道です。
次にやること
ハローワークで受け取った「雇用保険受給資格者証」の「賃金日額」と「基本手当日額」の欄を確認し、自分の離職時の年齢区分の上限額(本記事の表)や下限額2,562円と一致していないか照らし合わせてみてください。
※本記事は2026年10月時点で確認できた情報にもとづく整理です。基本手当日額の上限額・下限額は毎年8月1日に改定されるため、実際に受給する時期の最新の数字はハローワークまたは厚生労働省の発表でご確認ください。
出典(2026年9月24日確認) - 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74837.html (WebFetchで直接確認。2026年8月1日適用の上限額・下限額・下限額の算定根拠を記載) - 厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00050.html (WebFetchで確認。詳細はPDF添付だが本体ページの存在と概要は確認) - 雇用保険法 第16条(基本手当の日額・給付率)、第17条(賃金日額の算定と上限・下限)、第18条(毎年8月1日の自動変更)、第37条の2・第37条の4(高年齢求職者給付金)、雇用保険法施行規則 第28条の5(最低賃金日額の算定方法)を手元の全文で確認(2026年10月4日・10月5日再確認)。厚生労働省ページの上限額・下限額・算定根拠(1,121円×20÷7×0.8=2,562円)・約2.7%上昇も2026年10月5日に再確認 - ハローワークインターネットサービス「基本手当について」、東京ハローワーク「雇用保険受給資格者証の見方」(賃金日額が第1面14欄に記載、受給資格者証は雇用保険説明会で交付。2026年10月5日確認)