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65歳以上で辞めたら

この記事の結論
  • 65歳以上で雇用保険に入っていた人(高年齢被保険者)が失業した場合、雇用保険法第37条の2により基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」が支給される
  • 受給資格は離職日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上(雇用保険法第37条の3。基本手当の原則12ヶ月より短い)
  • 支給額は基本手当日額に、被保険者であった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分を掛けた額を、一括で一時金として受け取る(同法第37条の4)
  • 基本手当のように何度も認定日に通う仕組みではなく、支給は1回で完結する
  • 年齢要件さえ満たせば、受給回数そのものに上限を定めた規定は見当たらない
ぜんたいの流れ
  1. 1離職
  2. 2求職申込み
  3. 3受給資格決定
  4. 4失業の認定
  5. 5一時金支給
この記事の内容
  1. 結論:65歳以上は基本手当ではなく高年齢求職者給付金
  2. 高年齢求職者給付金とは何か(雇用保険法第37条の2)
  3. 受給資格は「離職前1年で被保険者期間6ヶ月」(第37条の3)
  4. 支給額は基本手当日額×30日分か50日分の一時金(第37条の4)
  5. 65歳未満の基本手当との3つの違い
  6. 年金と一緒に受け取れるか
  7. 手続きの流れ
  8. 次にやること

65歳以上で会社を辞めたけれど、失業保険はもらえるのか、それとも別の名前の給付になるのか分からず調べていませんか。この記事では、65歳以上の人が受け取れる「高年齢求職者給付金」について、対象者・条件・もらえる額・65歳未満の失業保険との違いを、雇用保険法の条文にそって整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 65歳を過ぎて辞めたが、失業保険はもう対象外なのか不安
  • 「高年齢求職者給付金」という聞き慣れない名前をハローワークの案内で見たが、何が違うのか分からない
  • 年金をもらいながらこの給付金も受け取れるのか気になる

結論:65歳以上は基本手当ではなく高年齢求職者給付金

論点 内容
対象者 65歳以上の雇用保険被保険者(高年齢被保険者)が失業した場合
給付の名前 高年齢求職者給付金(いわゆる失業保険=基本手当ではない)
受給資格 離職日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上
支給額 基本手当日額×(算定基礎期間1年以上なら50日分、1年未満なら30日分)
支給方法 認定を受けたあと、原則として一括で一時金として支給
根拠 雇用保険法第37条の2〜第37条の4
ここが要点

65歳以上で辞めても、雇用保険に入っていた期間があれば給付そのものは受けられます。ただし名前も仕組みも「失業保険(基本手当)」とは別物です。何ヶ月かに分けて振り込まれる基本手当と違い、高年齢求職者給付金は一度の認定でまとめて受け取る一時金です。

高年齢求職者給付金とは何か(雇用保険法第37条の2)

雇用保険法第37条の2第1項は、次のように定めています。

六十五歳以上の被保険者(略。以下「高年齢被保険者」という。)が失業した場合には、この節の定めるところにより、高年齢求職者給付金を支給する。

つまり、65歳になった時点で雇用保険から追い出されるわけではありません。会社に勤めて雇用保険に入り続けていれば、65歳を超えても「高年齢被保険者」として資格は続きます。その人が離職して失業した場合に支給されるのが、高年齢求職者給付金です。

同条第2項では、高年齢被保険者には基本手当に関する規定(第14条を除く)が適用されないとも定められています。つまり65歳以上の離職者は、制度上、最初から「基本手当のグループ」ではなく「高年齢求職者給付金のグループ」に分類されている、と理解すると分かりやすくなります。

ここが要点

65歳の誕生日をまたいで同じ会社に勤め続けている人も対象です。「65歳以上で新しく雇用保険に入った人だけの制度」ではありません。

受給資格は「離職前1年で被保険者期間6ヶ月」(第37条の3)

高年齢求職者給付金を受け取るための条件は、雇用保険法第37条の3第1項に定められています。

高年齢求職者給付金は、高年齢被保険者が失業した場合において、離職の日以前一年間(略)に、第十四条の規定による被保険者期間が通算して六箇月以上であつたときに(略)支給する。

条件をひとことでまとめると、離職日からさかのぼって1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算6ヶ月以上あることです。

65歳未満の基本手当(原則: 離職日以前2年間に被保険者期間通算12ヶ月以上。雇用保険法第13条第1項)と比べると、期間の見る幅も必要な月数も短く設定されています。病気やケガで30日以上賃金を受け取れなかった期間があった場合は、その日数を1年に加算できる(上限4年)扱いもあります(同法第37条の3第1項)。

この条件を満たした人が持つ資格を「高年齢受給資格」、その人を「高年齢受給資格者」と呼びます。

支給額は基本手当日額×30日分か50日分の一時金(第37条の4)

支給額の仕組みは、雇用保険法第37条の4第1項に定められています。基本手当と同じ考え方で計算した「基本手当日額」に、次の日数を掛けた額が支給額です。

算定基礎期間(雇用保険の被保険者であった期間) 掛ける日数
1年以上 50日分
1年未満 30日分

基本手当日額そのものの計算方法(離職前6ヶ月の賃金をもとに算定する点など)は、65歳未満の基本手当と同じ規定(雇用保険法第16条〜第18条。賃金日額の算定根拠は第17条)を準用しています。ただし、いくら以上は日額を頭打ちにする、といった上限額の具体的な金額は年度ごとに見直されるため、この記事では踏み込みません。窓口で自分の日額を確認してください。

支給を受けるには、離職日の翌日から起算して1年以内に、ハローワークに出頭して求職の申込みをし、失業していることの認定を受ける必要があります(第37条の4第5項)。この認定を受けた時点で、支給日数分がまとめて一時金として支給される建てつけです。

65歳未満の基本手当との3つの違い

同じ「失業したときの給付」でも、基本手当と高年齢求職者給付金では仕組みが違います。混同すると、ハローワークでの案内を聞いたときに戸惑います。

項目 基本手当(65歳未満) 高年齢求職者給付金(65歳以上)
受給資格の必要期間 原則: 離職前2年間に通算12ヶ月以上 離職前1年間に通算6ヶ月以上
支給の形 4週間ごとの認定日に、日数分を分割で受給 原則1回の認定で、一時金としてまとめて受給
給付日数の幅 90日〜最大360日(離職理由・年齢・被保険者期間による) 30日分または50日分の2区分のみ
求職活動中の扱い 認定日ごとに求職活動の実績を報告 支給を受ける前提として求職の申込みは必要だが、分割受給のための継続報告はない

基本手当のように「もらい始めてから何ヶ月も求職活動を報告し続ける」仕組みではなく、条件を満たして認定を受けた時点で一括支給という点が最大の違いです。(表の基本手当側の数字は雇用保険法第13条・第15条第3項・第22条を確認)

年金と一緒に受け取れるか

65歳未満で基本手当を受け取る場合、年金を受けている人がハローワークで求職の申込みをすると、実際に基本手当を受け取ったかどうかにかかわらず、申込みをした月の翌月から受給が終わるまでの間、年金が全額支給停止になります(日本年金機構「失業給付・高年齢雇用継続給付を受けるとき」2026年9月3日確認)。

一方で、日本年金機構のこのページと、同機構の「年金と雇用保険の失業給付との調整」「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」の各ページ(いずれも2026年9月3日確認)を見ても、高年齢求職者給付金について触れた記載は見当たりませんでした。厚生労働省の高年齢求職者給付金の案内文書にも、年金との調整に関する記載はありません。複数の民間の解説サイトは「高年齢求職者給付金は一時金であり、老齢年金の支給停止の対象にはならない」と一致して説明していますが、これを明記した公的機関の一次資料そのものは見当たりませんでした(公的機関の公表資料に、高年齢求職者給付金と老齢年金の併給についての明示的な記載は見当たらない。2026年9月3日確認)。年金を受け取りながら退職を考えている場合は、離職前にハローワークまたは年金事務所の窓口で、自分のケースにあてはめて直接確認してください。

手続きの流れ

高年齢求職者給付金を受け取るまでの大まかな流れです。

  1. 離職:会社から離職票を受け取る
  2. 求職申込み:住所を管轄するハローワークに出頭し、求職の申込みをする
  3. 受給資格決定:被保険者期間などをもとに、高年齢受給資格があるかどうかが判定される
  4. 失業の認定:ハローワークで、失業している状態であることの認定を受ける
  5. 一時金支給:認定を受けた日数分の高年齢求職者給付金が、一括で支給される

必要書類はケースによって変わるため、この記事では品目までは挙げません。離職票を受け取ったら、まず住所地を管轄するハローワークに問い合わせ、当日持参するものを確認してから出向くのが確実です。申込みの期限(離職日の翌日から1年以内)を過ぎると受け取れなくなるため、退職が決まった時点で早めに動くことをおすすめします。

次にやること

離職票が届いたら、住所を管轄するハローワークに連絡し、高年齢求職者給付金の求職申込みに必要な持ち物と予約の要否を確認してください。年金を受給中の場合は、同じタイミングで年金事務所にも併給関係を確認しておくと安心です。


※本記事は2026年9月時点の雇用保険法の条文にもとづく整理です。高年齢求職者給付金と老齢年金の併給関係については、公的機関(日本年金機構・厚生労働省)の公表資料の範囲で明示的な記載を確認できませんでした。基本手当日額の上限額など個別の金額は年度・個人の状況により異なります。詳細は最寄りのハローワーク・年金事務所に直接ご確認ください。

出典(2026年9月3日調査) - 雇用保険法第13条・第15条第3項・第16条〜第18条・第22条・第37条の2・第37条の3・第37条の4(taishoku/laws/雇用保険法.txt を直接確認) - 日本年金機構「失業給付・高年齢雇用継続給付を受けるとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/jukyu/20140716.html (基本手当と年金の調整を確認。高年齢求職者給付金についての記載は無かった) - 日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-03.html (基本手当と老齢年金の調整規定を確認。高年齢求職者給付金についての記載は無かった) - 日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/koyou-chosei/20140421-02.html (高年齢雇用継続給付との調整を確認。高年齢求職者給付金についての記載は無かった) - 厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000695108.pdf (制度概要のPDF。年金との調整に関する記載は無かった)

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

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