失業保険を2回目にもらう条件
- 雇用保険法上、基本手当(失業保険)の受給回数そのものに上限を定めた規定は見当たらず、離職のたびに要件を満たせば受け取れる建てつけになっている
- ただし雇用保険法第14条2項1号により、前回「受給資格を取得したことがある」時点より前の被保険者であった期間は、次の被保険者期間の計算に含めない(通算されない)
- つまり2回目を受給するには、前回の受給資格に係る離職日より後に、新たに12ヶ月(特定受給資格者・特定理由離職者は6ヶ月)の被保険者期間を積み直す必要がある
- 前回「受給資格を取得した」かどうかが基準で、実際に基本手当を使い切ったかどうかは関係ない
- 1前回の受給資格取得
- 2再就職
- 3今回の離職
- 4期間を再カウント
- 5要件を再判定
この記事の内容
以前に失業保険(基本手当)をもらったことがある人が、転職先を辞めて再び離職したとき、また失業保険をもらえるのか気になっていませんか。この記事では、「何回でももらえるのか」「前回もらった分は今回の条件にどう関わるのか」を、雇用保険法の条文にそって整理します。
- 前に一度失業保険をもらったことがあるので、2回目はもらえないのではないかと不安
- 「回数に制限がある」と聞いたことがあるが、本当かどうか分からない
- 前の会社で働いていた期間が今回の条件に影響するのか知りたい
結論:回数の上限はないが、前回受給資格取得より前の期間はリセットされる
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 受給回数そのものの上限 | 条文上、上限を定めた規定は見当たらない(離職のたびに要件を満たせば受け取れる建てつけ) |
| 2回目に必要な条件 | 前回の受給資格に係る離職日より後の被保険者期間で、通算12ヶ月以上(原則) |
| 前回受給資格取得より前の期間 | 今回の被保険者期間の計算に含めない(通算されない) |
| 根拠 | 雇用保険法第13条・第14条2項1号 |
「2回目はもらえない」わけではありません。ただし、前回失業保険の受給資格を取得した時点で、それより前の被保険者期間はいったん切り離されます。2回目をもらうには、そこから新たに積み直した被保険者期間で、あらためて要件を満たす必要があります。
なぜリセットされるのか(雇用保険法第14条)
基本手当を受け取るための基本条件は、雇用保険法第13条に定められています。
離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること(雇用保険法第13条1項)
この「被保険者期間」の計算方法を定めているのが第14条です。第14条2項1号には、次の内容が定められています。
最後に被保険者となった日より前に、その被保険者が受給資格(基本手当を受け取る資格)を取得したことがある場合には、その受給資格に係る離職日以前における被保険者であった期間は、被保険者期間の計算に含めない(雇用保険法第14条2項1号を要約)
つまり、前回すでに基本手当の受給資格を取得している場合、その受給資格に対応する離職日より前の被保険者期間は、次回の計算からは除外されるという規定です。これが「通算されない」「リセットされる」と言われる仕組みの根拠です。
リセットされるのは「前回の受給資格取得より前」の期間だけです。前回の離職日より後、つまり再就職してから今回離職するまでの期間は、今回の被保険者期間としてそのままカウントされます。
具体例で計算してみる
仕組みを分かりやすくするため、仮の数字で計算例を示します(実在の事案ではなく、条文の仕組みを説明するための仮定の例です)。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年3月 | A社を離職。基本手当の受給資格を取得し、実際に受給した |
| 2020年6月 | B社に再就職 |
| 2026年9月 | B社を離職(今回) |
この場合、2026年9月の離職について2回目の基本手当を受給できるかは、次のように判定されます。
- カウントされない期間:2020年3月(A社の離職日)より前にA社などで積んだ被保険者期間は、今回の計算に含めない
- カウントされる期間:2020年6月(B社入社)から2026年9月(B社離職)までの、B社での被保険者期間
つまりこの例では、B社での在籍期間だけで通算12ヶ月以上の被保険者期間があるかどうかが、2回目を受給できるかの分かれ目になります。B社に6年以上在籍していれば12ヶ月の要件は問題なく満たしますが、もしB社での在籍がたとえば10ヶ月しかなかった場合、2回目は原則として受給できません。A社以前の期間を足して12ヶ月に到達させる、ということはできない仕組みです。
特定受給資格者・特定理由離職者は6ヶ月でよい
第13条2項により、倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者)や、雇い止めなどのやむを得ない理由による離職(特定理由離職者)に該当する場合は、要件が緩和されます。
| 区分 | 必要な被保険者期間 | 算定対象期間 |
|---|---|---|
| 一般の離職(自己都合など) | 通算12ヶ月以上 | 離職日以前2年間 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者 | 通算6ヶ月以上 | 離職日以前1年間 |
先ほどの例で言えば、B社での在籍が10ヶ月しかなくても、B社を離職した理由が倒産・解雇などにあたる特定受給資格者、あるいは雇い止めなどにあたる特定理由離職者に該当すれば、6ヶ月要件を満たしているため2回目の受給資格を得られる可能性があります。自分がどちらの区分に当たるかは、離職理由によって決まるため、離職票やハローワークの窓口で確認してください。
「受給した」かどうかではなく「受給資格を取得した」かどうかが基準
ここで見落としやすいのが、リセットの起点になるのは「前回、基本手当を実際に受け取った(使い切った)かどうか」ではなく、「前回、受給資格を取得したことがあるかどうか」だという点です。
条文(第14条2項1号)は「受給資格を取得したことがある場合には」としているだけで、その資格をもとに実際に何日分もらったか、あるいは給付日数を残したまま再就職して受給を打ち切ったかは問いません。
- 前回、受給資格は取得したが、給付制限中に再就職が決まり1円も受け取らなかった場合でも、受給資格を取得した以上、リセットの対象になります
- 前回、給付日数の途中で再就職し、残りの日数を受け取らなかった場合も同様です
「もらい切っていないから、前回の分と今回の分を合算できるはず」という考え方は成り立たない、という点は押さえておいてください。
給付制限とは別の話であることに注意
「2回目だから待たされるのが長くなるのでは」と、自己都合退職の際に支給開始までかかる給付制限の期間と混同されることがありますが、これは別の論点です。給付制限は「受給資格を得たあと、実際に支給が始まるまでの待ち時間」に関する仕組みで、5年以内の自己都合退職の回数によって期間が変わるルールがあります。給付制限の具体的な期間や条件は、/shitsugyou-hoken-kyufuseigen.htmlで詳しく整理しています。
本記事のテーマである「2回目をそもそも受給できるか」は、被保険者期間が通算12ヶ月(または6ヶ月)あるかどうかの話であり、給付制限の日数の話とは切り分けて考えてください。
私自身は2026年に一度退職し、基本手当の受給手続きを一通り経験しましたが、2回目を受給した経験はまだありません。今回の「前回受給資格取得より前の期間はリセットされる」という仕組みは、自分の受給時に直接関わった部分ではなく、この記事のために雇用保険法の条文を調べ直して確認した内容です。調査した範囲での整理であることを明記しておきます。
退職の意思を伝えること自体が負担になっている場合は、退職代行Jobs のようなサービスで退職の連絡だけを代行してもらう方法もあります(あくまで退職の意思表示についての話で、失業保険の受給資格や被保険者期間の判定は、退職代行を使っても使わなくても、ハローワークが同じ基準で行います)。
次にやること
自分の「前回の受給資格に係る離職日」がいつだったかを、雇用保険受給資格者証などで確認してください。 そこから今回の離職日までの間に、通算12ヶ月(倒産・解雇・雇い止めなどに該当する場合は6ヶ月)の被保険者期間があるかどうかが、2回目を受給できるかの分かれ目です。自分の在籍期間や離職理由の区分に不安がある場合は、離職票を持ってハローワークの窓口で直接確認するのが確実です。
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。個別の被保険者期間・離職理由によって扱いは異なります。判断に迷う場合は、ハローワークにご確認ください。
出典 - 雇用保険法第13条(基本手当の受給資格。原則2年間に被保険者期間通算12ヶ月、特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6ヶ月) - 雇用保険法第14条2項1号(最後に被保険者となった日より前に受給資格を取得したことがある場合、その受給資格に係る離職日以前の被保険者であった期間は被保険者期間の計算に含めない)