退職代行に申し込むとき伝えること
- 1伝える内容を決める
- 2相談・見積もり
- 3会社への伝言を頼む
- 4貸与品を返送
- 5離職票を待つ
この記事の内容
退職代行に申し込みたいけれど、何を伝えればいいのか分からず、手が止まっている人へ。この記事は「申し込むときに業者へ伝えること」と「会社に伝えてほしいこと」を分けて、そのままコピーして送れる文面まで用意しました。
先に言うと、全部を完璧に整理する必要はありません。分からない項目は「不明」と送って大丈夫です。伝えないと困るのは、実は数項目だけです。
今、何も整理できなくても大丈夫です
申し込もうと思う頃には、眠れていない、朝になると動悸がする、会社からの通知が怖くて携帯を開けない、という人が少なくありません。そういう状態で「有給の残日数」や「契約の種類」を調べろと言われても、無理です。
だから、順番を変えます。
- 調べて分かるものは、あとで調べる
- 分からないものは「不明」と送る
- 業者は、こういう状態の人から連絡を受けることに慣れているはずです(各社の公式サイトが24時間受付や無料相談をうたっている、という範囲で言えます。個々のやり取りの中身までは確認していません)
つらさが続いている場合は、退職の手続きとは別に、医師や産業医に相談してください。診断や休職の判断は、この記事ではできません。
業者に伝えるのは、この6つだけ
相談・見積もりの段階で聞かれる項目は、次の6つに絞れます。どこまで話すのが安全か、聞かれ方の流れは退職代行のLINE相談で実際に何を聞かれるかにまとめてあります。ここでは「なぜ要るのか」と「分からないときの逃げ道」を並べます。
| 伝えること | なぜ要るか | 分からないとき |
|---|---|---|
| 雇用形態(正社員・契約社員・パート等) | 契約期間の定めがあるかで、辞められる条件が変わる(民法627条・628条) | 雇用契約書か、入社時にもらった通知書を見る。無ければ「不明」 |
| 勤続年数 | 有給がどれだけ付いているかに関わる(労働基準法39条) | 入社した年と月だけでよい |
| 有給の残日数 | 出社しないまま退職日を迎えられるかの見積もりに使う | 給与明細や勤怠画面に出ていることが多い。見られなければ「不明」 |
| 退職したい日 | 会社に連絡する日と、有給の使い方が決まる | 「できるだけ早く」でよい |
| 未払いの給与・残業代の有無 | 業者の種類によって、頼めることが違う | 「あるかもしれない」でよい |
| 会社から借りているもの | 返し方を決める | 思い出せる範囲でよい |
雇用形態のところだけは、自己判断しないでください。契約社員など期間が決まっている働き方だと、「2週間で辞められる」がそのまま当てはまらない場合があります。民法627条1項は、期間の定めがない雇用について、解約の申入れから2週間で終了すると定めています。期間の定めがある場合は628条で「やむを得ない事由」がある場合に直ちに解除できる、という別のルールになります。契約書の写真が撮れるなら、それを見せて聞くのが一番確実です。
会社に伝えてほしいことは、こちらから頼む
業者は、頼まれたことを会社に伝えます。逆に言えば、頼んでいないことは伝わりません。ここが、申し込み時にいちばん抜けやすい部分です。
会社への伝言として、頼んでおくと安心なのは次の5つです。
- 退職の意思があること(これは業者が必ず伝える中心の内容)
- 本人への直接連絡を控えてほしいこと(電話・LINE・自宅訪問を含めて)
- 退職希望日と、有給を使いたいかどうか
- 借りているもの(社員証・鍵・制服・パソコンなど)を郵送で返すこと
- 私物が会社に残っているときの受け取り方(郵送か、処分してよいか)
4は、返し方を決めずにいると、会社側が「返却されていない」と言いやすくなる部分です。会社支給品をどう返すかは会社の携帯・PC・制服の返却|郵送で済ませる方法で扱っています。
「なぜ辞めるのか」は、伝言の必須項目に入っていません。理由を詳しく書かなくても、退職の意思を伝えることはできます。書きたくなければ「一身上の都合」で足ります。上司や同僚の名前を出す必要もありません。
有給と未払い賃金は、業者の種類で頼めることが違う
有給を使って退職日まで休みたい、未払いの残業代を請求したい、という希望は、頼める業者と頼めない業者に分かれます。
| 運営元 | 会社と「交渉」できるか | 向いている希望 |
|---|---|---|
| 民間企業 | できない(弁護士でない人が報酬を得て交渉することは、弁護士法72条で制限されている) | 退職の意思を伝えるだけでよい |
| 労働組合 | 団体交渉権に基づき、有給や退職日の調整ができる(労働組合法6条) | 有給消化を交渉したい |
| 弁護士 | できる。請求や損害賠償の対応も含む | 未払い賃金・残業代を請求したい |
つまり、「有給を全部使って辞めたい」と伝えたのに、頼んだ先が民間企業だったら、その希望は通らない可能性があります。だから、有給の希望は必ず最初に言ってください。料金の違いは退職代行の料金相場、運営元ごとの違いは労働組合の退職代行と弁護士の退職代行、どちらを選ぶかで確認できます。
有給を残したまま欠勤扱いにするしかない場合の見通しは、退職代行で有給が残っていない場合|欠勤扱いで即日辞められるかに書きました。
伝えなくていいこと、伝えておかないと困ること
迷いやすいものを、2つに分けます。
| 伝えなくていい | 伝えておかないと困る |
|---|---|
| 退職の詳しい理由 | 有給を使いたい、という希望 |
| 上司・同僚の実名 | 実家や緊急連絡先に連絡してほしくない、という希望 |
| 会社への不満の全部 | 未払い賃金がありそう、という事実 |
| 次の転職先(決まっていても) | 借りているもの・私物の有無 |
実家への連絡が心配な人は、その希望を最初に書いておきます。会社は、緊急連絡先を通じて連絡してくることがあります。退職代行は親に連絡がいくか|実家バレの実際にも、その場合の考え方をまとめました。
文例|申し込みの最初に、そのまま送れるメッセージ
LINEや申込フォームの自由記入欄に貼れる形にしました。○○の部分だけ埋めて、分からない所は「不明」のまま送ってください。
はじめまして。退職代行の利用を検討しています。
以下、分かる範囲で状況をお伝えします。
■ 雇用形態:正社員 / 契約社員 / パート・アルバイト(該当を残す)
■ 勤続:○年○か月(入社は○年○月ごろ)
■ 有給の残日数:約○日(不明の場合は「不明」)
■ 退職したい日:できるだけ早く / ○月○日ごろ
■ 未払いの給与・残業代:ある / ない / 分からない
【会社に伝えてほしいこと】
・私への直接連絡(電話・メール・LINE・自宅訪問)を控えていただくこと
・有給が残っている場合は、退職日までに消化したいこと
・会社から借りているもの(○○)は郵送で返却すること
・私物が会社に残っている場合は、郵送でお願いしたいこと
・実家・緊急連絡先への連絡は控えていただきたいこと
【お聞きしたいこと】
・料金の総額と、追加費用が出る場合の条件
・有給消化の交渉が含まれているかどうか
・支払い方法
・会社へ連絡していただく日時の希望の出し方
退職の理由は、詳しくは伝えたくありません。
ご確認のうえ、ご案内をお願いします。
「お聞きしたいこと」の4つは、相談の段階で確認しておくと、契約後に「思っていた内容と違った」となりにくい点です。特に「有給消化の交渉が含まれているか」は、上の表のとおり、業者の種類で答えが変わります。
チェックリスト|送る前に確かめる8項目
送信ボタンを押す前に、次の8つを見てください。全部にチェックが入らなくても、送って構いません。空欄のまま送っていいものと、そうでないものを分けています。
- □ 雇用形態を選んだ(分からなければ「不明」と書いた)
- □ 有給を使いたい場合は、その希望を書いた
- □ 会社への直接連絡を控えてほしい、と書いた
- □ 実家・緊急連絡先に連絡してほしくない場合は、その希望を書いた
- □ 借りているものを書き出した(制服・社員証・鍵・パソコン・資料など)
- □ 未払い賃金があるかもしれない場合は、「ある」または「分からない」と書いた
- □ 料金の総額と、追加費用が出る条件を聞いた
- □ 契約する前に、支払い方法と、支払ったあとに会社へ連絡が入る日を確認した
上の3つ(有給・直接連絡・実家)は、抜けたまま契約すると、後から頼み直しになりやすい項目です。逆に、退職の理由や上司の名前は、空欄でも困りません。
申し込んだあとに来るもの
申し込みの内容を伝えたあとに、本人が受け取る書類が2つあります。
- 離職票(会社が手続きをしてから郵送で届く。失業給付の申請で使う。会社からハローワークへの提出期限は、雇用保険法施行規則第7条で、資格喪失日の翌日から10日以内)
- 源泉徴収票(転職先や確定申告で使う)
この2つが届かないと、ハローワークでの手続きが止まります。申し込みのときに、「離職票と源泉徴収票の郵送も会社に頼んでほしい」と、上の文例に一行足しておくと安心です。離職票の見方と、届かないときの動き方は退職代行で離職票・源泉徴収票はちゃんともらえるかにあります。
会社が応じない、連絡が無視される、といった場合は、業者側に伝えて対応を聞くのが先です。退職代行を拒否された・無視されたらどうなるかも参考にしてください。
この記事の書き方について、正直に書きます
この記事は、退職代行を実際に使った体験談ではありません。民法・労働基準法・雇用保険法施行規則などの条文と、各社が公式サイトで案内している範囲をもとに、一般的な準備の順番を整理したものです。個別の状況での法律判断はしていません。
次にやること
上の文例をスマホのメモにコピーして、○○を埋めてください。分からない所は「不明」のままで大丈夫です。埋め終わったら、その文面をそのまま業者のLINEか申込フォームに送るだけです。相談と見積もりの段階では、契約は成立しません。
※本記事は2026年9月時点の調査に基づく一般的な情報です。個別の状況における法的判断は、弁護士など専門家にご確認ください。料金・サービス内容は各社公式サイトで最新情報をご確認ください。