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退職の何ヶ月前から準備する?

ぜんたいの流れ
  1. 1生活防衛資金を確認
  2. 2就業規則を確認
  3. 3退職を伝える
  4. 4有給消化と引き継ぎ
  5. 5貸与物を返却
  6. 6離職票を待つ
この記事の内容
  1. 結論:退職日から逆算した準備表
  2. なぜ「いつ伝えるか」ではなく「いつから準備するか」なのか
  3. 法律上、いつまでに言えばいいのか
  4. お金の逆算:いつ減り、いつ入るか
  5. 書類の逆算:いつ確認し、いつ届くか
  6. 引き継ぎと有給消化、どちらを先に考えるか
  7. 感情の面で:準備は「石橋を叩く」ためではない
  8. 実体験について
  9. 次にやること

「辞めたい」と思ってから、実際にいつ会社に伝えればいいのか分からず動けずにいる人向けの記事です。結論を先に言うと、法律上は「2週間前」に伝えれば辞められますが(民法627条1項)、お金と書類の準備を考えると、実際に動き出すのは3ヶ月前からが目安です。この記事では、「いつ会社に伝えるか」ではなく「いつから何を準備するか」を、退職日から逆算した表にして説明します。

結論:退職日から逆算した準備表

退職日までの時期 お金でやること 書類・手続きでやること
3ヶ月前 生活防衛資金を確認する。手取り3〜6ヶ月分が目安とされる(銀行・FP事務所等の情報。公的機関の一次資料は未確認)(一次情報は確認できず) 有給休暇の残日数を確認する
1〜2ヶ月前 退職金の見込み額・受け取り方を確認する(記事022) 就業規則の「退職の申し出時期」の規定を確認する
2週間〜1ヶ月前 — 会社に退職の意思を伝える。有給消化と引き継ぎの計画を立てる
退職日 — 貸与物を返却し、雇用保険被保険者証・年金手帳の所在を確認する
退職後1〜2週間 住民税の納付方法(一括徴収か普通徴収か)を確認する 離職票を待つ(記事014)
退職後20日以内 健康保険を任意継続にするか国保にするか決める(記事015)(協会けんぽの規定・退職日翌日から20日以内) —
退職後6ヶ月以内 企業型DCの移換手続きをする(記事022) —
ここが要点

決めるべきは「いつ伝えるか」ではなく「いつから準備するか」です。辞めてから失業保険が入るまで、1ヶ月半〜2ヶ月の空白ができます。伝える日から数えはじめると間に合いません。

なぜ「いつ伝えるか」ではなく「いつから準備するか」なのか

退職の情報を調べると、多くは「何日前に伝えればいいか」に焦点が当たります。ですが、伝えるタイミングだけを気にして動くと、伝えたあとに初めてお金と書類の問題に気づくという順番になりがちです。

実際には、退職を伝える前に確認しておいたほうがいい情報がいくつかあります。

  • 有給休暇が何日残っているか(伝えたあと消化を相談することになるため)
  • 退職金がいくら出るか、いつ受け取れるか
  • 辞めてから次の収入が入るまで、生活費が何ヶ月分もつか

これらを「伝える前」に把握しておくと、伝えたあとの話し合い(有給消化の相談など)を自分の都合で進めやすくなります。伝えてから慌てて調べるのと、調べてから伝えるのとでは、同じ手続きでも心理的な負担がかなり違います。

法律上、いつまでに言えばいいのか

会社に退職を伝える最低ラインは、法律で決まっています。

期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員の多く)の場合、退職の申し入れをしてから2週間が経過すれば、契約は終了するとされています(民法627条1項「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」)。

一方で、多くの会社の就業規則には「退職の1ヶ月前までに申し出ること」といった規定があります。民法627条1項は労働者の退職の自由を保障する強行規定と考えられており、裁判例では、就業規則で2週間より長い予告期間を定めても、労働者に不利にはたらく部分は無効とする傾向が強いとされています(高野メリヤス事件・東京地判昭51.10.29など)。とはいえ、裁判にまでなるケースは少なく、実務上は「就業規則に従うのが穏便」という扱いが一般的です。

内容
法律上の最低ライン 申し入れから2週間(民法627条1項)
就業規則上の目安 会社によるが1ヶ月前が多い(自社の就業規則を要確認)
円満退職を重視する場合の目安 1〜2ヶ月前(引き継ぎ期間を含めて)

「2週間で辞められる」という法律の知識は、会社が引き止めを長引かせようとしたときの拠り所として持っておく価値があります。ただし、通常の準備としては、就業規則の期間+引き継ぎに必要な日数で逆算するほうが現実的です。

お金の逆算:いつ減り、いつ入るか

退職準備でいちばん見落とされやすいのが、「収入が止まってから、次のお金が入るまでのタイムラグ」です。

項目 動き 時期の目安
給与 退職日で止まる 退職日
退職金 会社の規定による一時金。支払時期は法律で決まっておらず就業規則による 退職後1〜2ヶ月程度が目安とする情報が複数見られるが、会社による(公務員は国家公務員退職手当法により原則1ヶ月以内)
失業保険(基本手当) 自己都合退職の場合、待期7日+給付制限がある 給付制限は原則1ヶ月(雇用保険法33条1項。2025年4月1日施行の改正で2ヶ月から短縮。直近5年で自己都合退職が3回目以降になる場合は3ヶ月)。初回振込は「待期7日+給付制限1ヶ月+失業認定+振込(約5営業日)」で、最短でも申請から1ヶ月半程度かかる
住民税 前年の所得を基に課税されているため、退職後も請求が続く 1〜4月退職は残りの税額が最後の給与・退職金から一括徴収される(地方税法321条の5第2項。会社の義務)。5月退職はその月の分だけなので通常どおりの徴収で終わる。6〜12月退職は一括徴収か普通徴収(自分で納付)かを本人が選べる
社会保険料 任意継続または国保に切り替わり、全額自己負担になる(記事015) 退職後すぐ

この表からわかるのは、自己都合退職の場合、退職から失業保険が実際に振り込まれるまで、1ヶ月半〜2ヶ月ほど無収入に近い期間ができやすいということです(直近5年で自己都合退職が3回目以降にあたる場合は、給付制限が3ヶ月になりさらに長くなります)。生活防衛資金の目安として銀行やFP事務所のコラムでよく使われている「手取り3〜6ヶ月分」は、この空白期間を埋めるための数字だと考えると位置づけが分かりやすくなりますが、この目安自体を金融庁など公的機関の資料で確かめることはできませんでした。あくまで民間でよく使われている目安です。

住民税は特に見落とされがちです。

給与から天引きされている感覚のまま辞めると、退職後に「前年分の住民税」の請求が来て驚くことになります。1〜4月に退職する場合は残りの分がまとめて天引きされます(地方税法321条の5第2項による会社の義務)。5月退職はその月の分だけで終わり、6〜12月に退職する場合は一括徴収か普通徴収かを自分で選べます。どちらになるかは退職前に会社の給与担当に確認しておくと、心づもりができます。

書類の逆算:いつ確認し、いつ届くか

書類は「退職前に自分の手元にあるか確認するもの」と「退職後に会社・役所から届くのを待つもの」に分かれます。

分類 書類 いつ確認・入手するか
退職前に確認 雇用保険被保険者証 会社が保管している場合、退職前に所在を確認しておくと退職後の手続きが早い
退職前に確認 年金手帳・基礎年金番号通知書 同上
退職前に確認 就業規則(退職金・退職予告期間の規定) 早めに確認し、逆算の材料にする
退職後に届く 離職票 退職後10日〜2週間程度が目安(記事014)
退職後に届く 源泉徴収票 退職後、会社の事務処理のタイミングによる(記事023)
退職後に自分で動く 健康保険の切り替え 任意継続は退職日の翌日から20日以内が期限(記事015。協会けんぽの規定)
退職後に自分で動く 企業型DCの移換 退職後6ヶ月以内が目安(記事022)

「退職前に確認」の欄にある書類は、辞めると伝えたあとでも聞きやすいものですが、在職中のうちに確認しておくと、退職後にバタバタしなくて済みます。特に雇用保険被保険者証と年金手帳は、会社によっては本人ではなく会社側が保管しているケースがあり、退職時にまとめて返却されることが多いため、「自分の手元に無い=紛失した」と焦る必要はありません。

引き継ぎと有給消化、どちらを先に考えるか

就業規則の予告期間(多くは1ヶ月前)を守ったうえで、残っている有給休暇をどう消化するかは、多くの人が悩むポイントです。有給休暇は労働基準法で保障された権利で、会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」に時季を変更するよう求めることはできても(労働基準法39条5項)、取得そのものを拒否することはできないとされています。

ただし、実務上は「引き継ぎ期間+有給消化期間」を合わせて、退職の申し出から最終出社日までのスケジュールを組むことになります。

  • 引き継ぎに必要な日数を先に見積もる
  • 残っている有給日数を確認する
  • 「引き継ぎ+有給消化」に必要な合計日数から逆算して、いつ退職を伝えるかを決める

この順番で考えると、「1ヶ月前に伝えたが、有給が20日残っていて引き継ぎと重ならない」といった事態を避けやすくなります。

感情の面で:準備は「石橋を叩く」ためではない

退職の準備というと、「ちゃんと計算して、抜け漏れなく進めなければ」という気持ちになりがちです。ですが、この記事で挙げた逆算表は、完璧に守るためのものではなく、「何も知らないまま辞めて、あとから慌てる」状態を減らすための目安です。

会社との関係がすでに限界に近く、2週間前に伝えて辞めることが心身を守るために必要な状況であれば、お金の逆算表を後回しにしてでも、まず辞めることを優先していい場面もあります。

準備が完璧に整うまで辞められない、と自分を追い詰めないでください。

心身の不調がある場合は、退職の手続きより先に医師・産業医に相談してください。

実体験について

私の場合

私自身は2026年6月末に退職していますが、退職を伝えてから最終出社日までにかかった実際の日数や、伝え方の詳細については、自分の記録としてまだ整理できていません。調査した範囲での一般的な逆算にとどめ、体験として書くことはしません。記録が整理でき次第、この記事に反映します。

次にやること

まず、自分の会社の就業規則で「退職の申し出は何ヶ月前までか」を確認することです。そのうえで、残っている有給休暇の日数と引き継ぎに必要な日数を足し、そこから逆算して退職を伝える時期を決めてください。並行して、退職金の見込み額と生活防衛資金の残高を確認しておくと、伝えたあとの話し合いを自分のペースで進めやすくなります。


※本記事は2026年8月時点の一般的な情報整理です(業者の料金・サービス内容の記載はありません)。就業規則の規定は会社ごとに異なるため、自分の会社の就業規則を確認してください。「手取り3〜6ヶ月分」の生活防衛資金の目安は民間の金融機関・FP事務所の情報にもとづくもので、公的機関の一次資料では確認できていません(一次情報は確認できず)。心身の不調がある場合は、手続きより先に医師・産業医にご相談ください。

出典 - 民法627条1項(期間の定めのない雇用の解約申入れ) e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026年8月26日確認) - 高野メリヤス事件・東京地判昭51.10.29労判264.35(就業規則による退職予告期間の延長・許可制の効力に関する裁判例) - 労働基準法39条5項(年次有給休暇の時季変更権) e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049(2026年8月26日確認) - 雇用保険法33条1項(自己都合退職時の給付制限期間)。2025年4月1日施行の改正で、正当な理由のない自己都合退職の給付制限は原則2ヶ月から1ヶ月に短縮(直近5年で3回目以降の自己都合退職は3ヶ月) - 地方税法321条の5第2項(退職所得等に係る個人住民税の特別徴収・一括徴収) - 協会けんぽ「任意継続の加入手続きについて」(退職日翌日から20日以内の申請期限) https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/003/index.html(2026年8月26日確認) - 本サイト記事014(離職票)・015(健康保険)・022(退職金・確定拠出年金)・023(源泉徴収票・確定申告)

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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