辞めたあとまで分かる退職ガイド 辞める前の不安から、辞めたあとの手続きまで
ホーム › 転職先に有給の残日数は引き継げるか
本ページはプロモーションが含まれます

転職先に有給の残日数は引き継げるか

ぜんたいの流れ
  1. 1有給消化を計画
  2. 2消化希望を伝える
  3. 3残りは買取交渉
  4. 4転職先へ入社
  5. 56ヶ月後に新規発生
この記事の内容
  1. 結論: 有給休暇の残日数は転職先に引き継げない
  2. なぜ引き継げないのか
  3. 例外はあるか|グループ会社間の異動
  4. 新しい会社ではいつ有給が使えるのか
  5. 有給を消化しきれないときの3つの選択肢
  6. 【計算例】有給残日数を金額に換算する
  7. 【文例】退職前に有給消化を会社へ伝える
  8. 会社が有給消化を渋ったら
  9. よくある誤解 早見表
  10. 次にやること

「今の会社に残っている有給休暇、転職先に持っていけないの?」と不安な方へ。結論は「原則ノー」。理由と、消化しきれない分の対処法を、計算例と文例つきでこのページ1本にまとめた。

結論: 有給休暇の残日数は転職先に引き継げない

  • 有給休暇は「今の会社」との労働契約に基づく権利。退職して契約が終了すると、残日数は消える(労働基準法39条)。
  • 転職先が別の会社である以上、勤続年数も有給の付与日数も原則ゼロから数え直しになる。
  • 「有給は自分個人の持ち物だから、転職先にそのまま移せるはず」というのは誤解。移せるのは「経験」や「スキル」であって、有給という権利そのものは移らない。

なぜ引き継げないのか

有給休暇は、労働基準法39条により「雇い入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者」に対して、その雇用主が付与する義務を負うものと定められている。つまり有給は労働者個人にひもづく権利ではなく、「その会社との雇用契約」にひもづく権利。

退職とは、その雇用契約そのものを終了させる手続き。契約が終わればそれに基づく権利義務関係も終了するため、有給の残日数だけを新しい契約(転職先との契約)に持ち越す法的な仕組みは存在しない。

例外はあるか|グループ会社間の異動

「グループ会社への異動なら引き継げるのでは」という質問もよくある。ここは「出向」か「転籍」かで扱いが変わる。

形態 契約の状態 有給の扱い
出向 元の会社との雇用契約は残ったまま、別会社で働く 勤続年数が継続扱いになりやすく、有給も通算されることが多い
転籍 元の会社との契約を終了し、新しい会社と契約し直す 転職と同じ扱い。会社間の合意(転籍契約書)で有給を引き継ぐと定めた場合のみ引き継がれる

転籍の場合、有給が引き継がれるかを直接定めた法律の条文はない(厚生労働省・労働局のページを確認したが該当ページは見当たらなかった。2026年9月確認)。転籍は労働契約そのものが結び直される扱いのため、引き継ぎは義務ではなく会社同士の合意次第というのが、社会保険労務士・弁護士による解説で共通する理解になっている。異動の辞令が出たら「転籍か出向か」「有給は通算されるか」を人事に確認するのが確実。

新しい会社ではいつ有給が使えるのか

転職先での有給休暇は、労働基準法39条により入社日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した時点で10日発生する。試用期間も勤続年数に含まれるため、試用期間中だからといって有給がゼロ扱いになるわけではない(厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇ページで確認)。

その後は勤続年数に応じて付与日数が増える(フルタイム・週5日勤務の場合。労働基準法39条2項・厚生労働省「確かめよう労働条件」の付与日数表で確認)。

勤続年数 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

転職直後の半年間は有給が使えない期間になる。通院や家庭の事情で休みが必要になりそうな人は、この空白期間を見越して今の会社での有給消化を計画しておくとよい。

有給を消化しきれないときの3つの選択肢

選択肢 内容 注意点
退職前に消化する 最終出社日から退職日までを有給消化に充てる 引き継ぎ業務が終わっていることが前提。会社の繁忙期と重なると渋られやすい
買取を交渉する 消化しきれない分を会社に金銭で精算してもらう 会社の義務ではなく任意の対応。断られても違法ではない
何もしない 退職日をもって残日数は消滅 有給の時効は2年(労働基準法115条)だが、退職して在籍しなくなれば行使自体ができなくなる

有給休暇の買取は、労働基準法の趣旨(労働者に実際に休息を取らせる制度)に反するため、在職中の有給を会社が計画的に買い上げることは原則認められていない(昭和30年11月30日基収第4718号)。ただし退職により時効消滅してしまう分に限り、会社が任意で金銭精算に応じるケースがある。これはあくまで会社側の裁量であり、法律上の支払い義務ではない。

【計算例】有給残日数を金額に換算する

買取交渉の目安として、残っている有給が「いくらの価値か」を先に自分で把握しておくと話がしやすい。

前提: 月給25万円、月の所定労働日数20日、有給残日数8日の場合

  1. 日給を出す: 250,000円 ÷ 20日 = 12,500円
  2. 買取相当額を出す: 12,500円 × 8日 = 100,000円

この10万円という数字は、あくまで交渉の目安であって会社が支払いを約束する金額ではない。実際にいくら支払うか、そもそも支払うかどうかは会社の判断による。

【文例】退職前に有給消化を会社へ伝える

上司や人事に消化希望を伝えるときの文面。件名から結びまでそのまま使える形にしてある。

件名: 有給休暇消化のご相談(氏名)

〇〇部長

お疲れ様です。〇〇です。
先日お伝えした退職日(〇年〇月〇日)に向けて、
引き継ぎ業務のスケジュールと合わせ、
残っている有給休暇(〇日)の消化についてご相談させてください。

引き継ぎ完了予定: 〇月〇日
有給消化希望期間: 〇月〇日〜〇月〇日

業務に支障が出ないよう引き継ぎ資料を準備いたします。
ご都合のよいタイミングで一度お時間をいただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。
(氏名)

引き継ぎの完了予定を先に示すことで、会社側も消化を受け入れやすくなる。

会社が有給消化を渋ったら

有給休暇の取得は労働者の権利であり、会社は「事業の正常な運営を妨げる場合」以外は時季を変更できるだけで、正当な理由なく拒否することは労働基準法39条5項違反にあたる。ただし退職間際になると、感情的なやり取りに発展して交渉が進まないことも多い。

自分で交渉するのが難しい場合、退職代行サービスが有給消化の希望を会社に伝える窓口になってくれることもある。退職代行Jobs や 弁護士法人ガイア のように弁護士が関わるサービスであれば、有給消化や未払い分の交渉まで扱える範囲が広い(※2026年8月時点の調査)。

よくある誤解 早見表

誤解 実際
有給は個人の資産だから転職先に移せる 移せない。会社との契約にひもづく権利のため退職でリセットされる
グループ会社なら自動的に引き継がれる 出向は通算されやすいが、転籍は会社間の合意次第
転職先ではすぐに有給が使える 原則、入社から6か月は有給が発生しない
消化しきれない有給は会社が必ず買い取ってくれる 買取は会社の任意対応。義務ではない

次にやること

まず今の会社に残っている有給日数を確認し、退職日から逆算して消化スケジュールを組むこと。これが一番効く。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

あわせて読みたい