失業保険中の内職・家業の手伝い
- 1内職をする
- 2日数収入を記録
- 3申告書に記入
- 4認定日に提出
- 5支給額決定
この記事の内容
失業保険(基本手当)をもらいながら、実家の家業を手伝ったり、頼まれて内職をしたりしたが、「お金をもらっていないから黙っていていいのか」「何時間までなら申告しなくて済むのか」が分からず不安な人向けの記事です。結論を先に言うと、収入の有無にかかわらず、内職・家業の手伝いをした日は必ずハローワークに申告する義務があります。この記事では、どこからが「就労」とみなされるのかの基準と、実際の申告のしかたをまとめます。
結論:無給でも「手伝った日」は申告する
失業保険(基本手当)は、雇用保険法上の「失業」の状態、つまり離職していて働く意思と能力があるのに職に就けない状態に対して支払われるものです(雇用保険法第4条3項)。求職活動中にまったく働いてはいけないわけではありませんが、働いた日があれば、報酬の有無にかかわらず認定日ごとに提出する失業認定申告書に記入する義務があります。
家業の手伝いは「身内だから」「お金をもらっていないから」という理由で申告しなくてよいと思われがちですが、この考え方は誤りです。厚生労働省・神奈川労働局の案内でも、報酬をもらっていない友人・知人の手伝いですら申告の対象になるとされています(出典:厚生労働省・神奈川労働局「雇用保険受給者のみなさまへ〜失業期間中に就労等を行った場合のQ&A〜」令和5年8月版。「Q. 友人・知人の手伝いを行ったが、まだ、報酬はもらっていません。就労等の申告は必要ですか?」「A. 報酬の有無にかかわらず、必ず失業認定申告書で就労等の申告は必要となります。」と明記。2026年9月26日、原文で確認)。家業の手伝いもこれと同じ考え方で扱われます。
申告した結果、その日の基本手当がどう扱われるかは、次の章で説明する「働いた時間」と「収入額」で決まります。ここを自己判断で飛ばさないことが、あとで不正受給を疑われないための一番の対策です。
「内職・手伝い」「就労」「就職」はどこで分かれるか
ハローワークは、求職活動中に働いた日を大きく3段階に区分します。分かれ目になるのは、1日の労働時間・週あたりの継続性・収入額の組み合わせです。
| 区分 | 基準 | その日の扱い |
|---|---|---|
| 就職とみなされる | 週20時間以上の継続的な仕事に就いた(自営業の開始・準備を含むことがある) | 受給資格そのものが切り替わり、以後の基本手当は原則出ない |
| 就労(○印) | ①事業主に雇われて1日4時間以上働いた日(この場合は収入額を問わない)。または②自営業・家業への従事・請負や委任・在宅の内職・ボランティアで1日4時間以上働き、かつその日の収入が賃金日額の最低額以上だった日 | その日の基本手当は支給されない。ただし消えるのではなく、受給期間の範囲内で後ろに繰り越される |
| 内職・手伝い(×印) | ①1日4時間未満の日。または②自営業・家業への従事・請負や委任・在宅の内職・ボランティアで1日4時間以上働いたが、収入が賃金日額の最低額未満だった日 | 失業状態は続いているとみなされる。ただし収入額によっては基本手当が減額される |
(出典:厚生労働省・神奈川労働局「雇用保険受給者のみなさまへ〜失業期間中に就労等を行った場合のQ&A〜」令和5年8月版(jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-hellowork)、ハローワーク渋谷(東京労働局)公式Q&A「雇用保険求職者給付(失業保険)についてお問合せが多い項目」。2026年9月26日、原文で確認)
家業の手伝いは、上の表の②(自営業・家業への従事)に当たります。よくあるのは無給または少額で、1日3〜4時間程度という働き方です。この場合、時間だけ見れば4時間前後で判定が揺れますが、収入が賃金日額の最低額を下回っていれば、4時間以上働いても「内職・手伝い」扱いに留まるという点が、家業の手伝いを考えるうえでの実務上のポイントです。この最低額は毎年8月1日に改定され、令和5年8月時点は1日2,746円でした(神奈川労働局「雇用保険受給者のみなさまへ〜失業期間中に就労等を行った場合のQ&A〜」令和5年8月版。原文で確認)。令和8年8月1日以降は1日3,203円と見込まれます(厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更〜8月1日(土)から実施〜」令和8年7月31日発表に示された算定式「令和8年4月1日時点の地域別最低賃金の全国加重平均額1,121円×20÷7」から算出。2026年9月27日、原文で確認。ハローワークが実際に公表する確定額は、申告時点の告知ページで必ず確認してください)。なお、事業主に雇われて働くアルバイト等(上の表の①)は、収入額に関係なく1日4時間以上で就労(○印)になる点が、家業の手伝いとは扱いが異なります。
なぜ「無給」でも申告が要るのか
無給の手伝いでも申告義務がある理由は、雇用保険法上の「失業」の定義に、収入の有無ではなく「働いたかどうか」が関わってくるためです。理由は主に2つあります。
- 時間の実態が「就職」の基準に触れることがある。 家業の手伝いが不定期の単発ではなく、毎週決まった曜日・時間で継続する形になると、無給であっても「週20時間以上の継続的な仕事」に近い実態とみなされ、就職・開業に準じた扱いを受ける可能性があります(神奈川労働局の案内には「自営業を営むこと〈事前準備を含む〉…も就職となることがあります」とあるのみで、開業・準備の線引きを数値化した全国一律の基準は見当たらない。2026年9月26日確認。判断はハローワークが個別に行います)
- 後から「無申告」を指摘されるリスクがある。 申告書には「就職、就労又は内職・手伝いをしたか」を記入する欄があり、事実と異なる記入(していないのに「していない」と書くなど)は不正受給の調査対象になります。金額がゼロであることと、働いた事実自体を黙っていたことは別の問題として扱われます
迷ったときの基準は一つです。収入があるかどうかではなく、働いた事実があるかどうかで申告するかを決める。 扱いの判定(就労になるか、内職・手伝いのままか)はハローワーク側が行うものであり、自分で有利に解釈して省略しないことが安全です。
収入があると基本手当はどう減るか
「内職・手伝い」として扱われた日でも、収入額が一定の基準を超えると、その日の基本手当が減額されたり、支給されなくなったりします(雇用保険法第19条)。考え方は次の4ステップです。
- その日の収入額から、一定の控除額を差し引く
- 残った額と、その日の基本手当日額を足す
- 2の合計額が、賃金日額の80%に相当する額を超えていないか確認する
- 超えていれば、超えた分だけその日の基本手当が減らされる(超過分が基本手当日額以上になると、その日は不支給)
控除額は毎年8月に改定されるため、この記事では固定の金額を書きません。最新額は厚生労働省の「基本手当日額等の適用について」の告知ページで確認してください。
計算例:実家の商店を手伝った日の基本手当はいくら減るか
数字のイメージがないと判断しづらいと思うので、すべて仮の数字を置いた計算例を出します。以下の金額は説明のための仮置きであり、実際の控除額ではありません。
前提:
| 項目 | 仮の数字 |
|---|---|
| 自分の基本手当日額 | 5,000円 |
| 自分の賃金日額(基本手当日額のもとになった金額) | 8,000円 |
| 実家の商店を手伝った日の労働時間 | 3時間(4時間未満なので内職・手伝い扱い) |
| その日もらった日当 | 4,000円 |
| 控除額 | 1,300円【各自確認:自分が申告する時点の実際の控除額(毎年8月に改定)を、厚生労働省の告知ページで確認】 |
計算:
- 収入4,000円 − 控除額1,300円 = 2,700円
- 賃金日額8,000円 × 80% = 6,400円
- 基本手当日額5,000円 + 1の残額2,700円 = 7,700円
- 3の7,700円が2の6,400円を上回った差額 = 1,300円
- その日の基本手当は、日額5,000円から1,300円が差し引かれ、3,700円が支給される
このように、家業の手伝いで収入があった日でも、超過した分だけが差し引かれる仕組みであって、全額不支給になるとは限りません。実際の控除額・自分の賃金日額を当てはめた金額は、申告すればハローワークが計算してくれます。自分で正確な金額まで計算する必要はありません。
認定日にどう申告するか(手順)
- 内職・家業の手伝いをした日があれば、その日のうちに日付・労働時間・収入額(無給なら0円)をメモしておく
- 次の認定日に持参する失業認定申告書の「就職、就労又は内職・手伝いをしたか」欄に、該当する日を正直に記入する
- 収入があった日は、収入額の欄にも記入する(見込みでよい場合もあるが、確定額が分かり次第訂正する)
- 窓口で「これは就労になるのか内職・手伝いになるのか」を自己判断せず、担当者に実態(時間・頻度・報酬の有無)をそのまま伝える
- 扱いと減額の有無はハローワーク側が計算し、その認定日以降の支給額に反映される
申告忘れ・過少申告のリスク
「少額だから」「家族の店だから」という理由で申告を省くと、不正受給として扱われるおそれがあります。不正受給と判定されると、受け取った基本手当の返還に加え、厚生労働大臣の定める基準により、不正受給額の2倍以下の金額の納付を追加で求められることがあります(雇用保険法第10条の4)。返還と納付を合わせると、最大で不正受給額の3倍相当を求められる計算です。さかのぼって発覚するケースもあり、「言わなくてもバレないだろう」という判断は避けてください。
申告前に確かめるチェックリスト
- □ 家業を手伝った日の日付・労働時間をメモしてあるか
- □ その日の収入額(無給なら0円)を記録しているか
- □ 手伝いが単発なのか、毎週決まって続いているのかを整理できているか(継続的だと「就職」寄りに判定されることがある)
- □ 次の認定日に提出する失業認定申告書に、手伝った日をすべて記入する準備ができているか
- □ 時間・頻度・報酬の判断に迷う点を、窓口で確認する準備ができているか
実体験について
私自身は2026年6月に会社都合で退職し、給付制限なしで失業保険の手続きを進めた実体験があります。ただし、その受給期間中に家業の手伝いや内職を並行して行った経験はなく、この記事で説明した申告や判定を自分の経験として書いているわけではありません。ここまでの内容は、調査した範囲での一般的な整理です。
次にやること
家業の手伝いや内職をした日があれば、今日の分から日付・時間・収入額(無給なら0円)をメモに残してください。 次の認定日を待たず、判断に迷う点があれば来所前に電話でハローワークに確認しておくと、認定日当日の手続きがスムーズです。
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。就労・内職の区分の基準(1日4時間・週20時間・賃金日額の最低額)は厚生労働省・労働局の公式資料をもとにしています。自分がどの区分に該当するか、実際の減額金額がいくらになるかは、必ず自分が通うハローワークの窓口で確認してください。