自分で受けた教育訓練で給付制限が外れる
- 1離職
- 2受給資格決定
- 3訓練受講開始
- 4認定日までに申し出
- 5給付制限解除
この記事の内容
自己都合で退職して、失業保険(基本手当)の給付制限中の人へ。もし自分で教育訓練を受けている、または受けようとしているなら、その給付制限が外れて早くお金を受け取れる可能性がある。対象になる条件と、いつまでに何を申し出ればいいかを、厚生労働省のリーフレットに沿って説明する。
給付制限とは何か
自己都合退職の場合、ハローワークで受給資格が決定してから7日間の「待期」があり、さらにその後1〜3か月は基本手当が支給されない。これが「給付制限」と呼ばれる期間だ(雇用保険法第三十三条第一項)。
期間の長さは退職日で変わる。
| 退職日 | 給付制限期間(原則) |
|---|---|
| 2025年(令和7年)4月1日以降 | 1か月 |
| 2025年3月31日以前 | 2か月 |
ただし次のどちらかに当てはまると、退職日にかかわらず3か月になる。
- 退職日から遡って5年間のうちに、正当な理由のない自己都合退職で2回以上、受給資格決定を受けている
- 自分の責任にあたる重大な理由で解雇された(重責解雇)
出典: 厚生労働省 都道府県労働局・ハローワーク「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」(リーフレットLL070228保01、https://www.mhlw.go.jp/content/001441564.pdf)
どんな教育訓練なら給付制限が外れるか
2025年4月以降、リ・スキリング(学び直し)のために教育訓練を自分で受けた(受けている)場合、この給付制限が解除される制度ができた。対象になる教育訓練は次の4種類のいずれかだ(雇用保険法施行規則第四十八条の二)。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ① | 教育訓練給付金の対象となる教育訓練 |
| ② | 公共職業訓練等 |
| ③ | 短期訓練受講費の対象となる教育訓練 |
| ④ | ①〜③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練 |
自分が受けた(受けている)講座がどの区分に入るかは、講座の案内やハローワークで確認する必要がある。「教育訓練給付金の対象講座かどうか」は厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で講座名から調べられる。公共職業訓練(②)はハローワークが実施・あっせんするものなので、在職中に自分で申し込んで受けているケースは①か③にあたることが多い。迷ったら講座のパンフレットや申込書に「教育訓練給付制度 指定講座」「専門実践」「特定一般」「一般教育訓練」のいずれかの記載がないか確認する。
対象になるには、さらに次の条件を満たす必要がある。
- 受講を開始したのが2025年4月1日以降であること
- 離職日前1年以内に受けた方(途中で退校した場合は対象外)、または離職日以後に受けている方(雇用保険法第三十三条第一項二号・三号)
- 重責解雇された場合はこの取り扱いの対象外
チェックリストで自分が対象か確かめる
窓口に行く前に、自分が対象になりそうか一つずつ確かめておく。
□ 離職理由が自己都合退職である(重責解雇ではない) □ 教育訓練の受講開始日が2025年4月1日以降である □ 離職日前1年以内に受講した、または離職日以後に受講している □ 途中退校せず、修了しているか現在も受講中である □ 受講した(する)講座が上の①〜④のいずれかに該当する
すべてにチェックが付けば、給付制限解除の対象になる可能性が高い。最終的な判定はハローワークが行う。
教育訓練給付金とは別物なのか
混同しやすいが、この給付制限解除は「教育訓練給付金」そのものとは別の手続きだ。教育訓練給付金は、講座の受講費用の一部が本人に支給される制度。給付率・上限額は講座区分で異なり、一般教育訓練は20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40〜50%(上限20万〜25万円)、専門実践教育訓練は50〜80%(上限40万〜64万円)となっている(厚生労働省「教育訓練給付金」)。今回の給付制限解除は、その講座を受けている(受けた)ことを条件に、失業保険(基本手当)を待たされる期間を短くする制度になる。
同じ講座を受けていれば両方の手続きが関係することもあるが、申請先の窓口・提出書類・タイミングはそれぞれ別に管理されている。教育訓練給付金の受給手続きをすでに済ませているなら、その旨をハローワークに伝えることで、給付制限解除の申し出に必要な書類の提出を省略できる場合がある(後述)。
いつまでに、何を申し出ればいいか
給付制限の解除は自動では適用されない。自分から申し出る必要がある。申し出の期限は、受講をいつ始めたかで変わる。
- 受給資格決定日や、受給資格決定後の初回認定日までに受講を始めていた場合 → その認定日までに申し出る
- 初回認定日より後に受講を始めた場合 → 受講開始日の直後の認定日までに申し出る
給付制限期間が2か月以上あり、初回認定日以降・給付制限期間中に受講を始める場合は、期限がさらに細かく分かれる。厚労省リーフレットの例(4週に一度、水曜日が認定日にあたる人のケース)で見ると、次のようになる。
- 受講開始日直後の「認定日にあたる日」より前なら → その日までに申し出る
- 「認定日にあたる日」を過ぎてから「給付制限期間満了後の認定日」より前なら → 給付制限期間満了後の認定日までに申し出る
このリーフレットの例では、4月20日に受講を始めた人が5月14日(認定日にあたる日)までに申し出れば、4月20日分から基本手当が支給される。一方、5月14日までに申し出ず、次の認定日(6月11日)で申し出た場合、4月20日〜5月14日分は受け取れないまま終わる。期限を1日過ぎるだけで、その間の給付が消える。 受講を始めたら、次の認定日を待たずできるだけ早くハローワークに連絡するのが安全だ。
必要書類は何を持っていけばいいか
申し出のとき、受講の状況に応じて次の書類が要る。
- 受給資格決定日以降に受講を始めた場合、または受給資格決定時にすでに受講中の場合 → 訓練開始日が記載された領収書、または訓練実施施設による訓練開始日の証明書
- 受給資格決定日より前に訓練を修了している場合 → 訓練修了日が記載された修了証明書、または訓練実施施設による訓練修了日の証明書
すでに教育訓練給付金の受給手続きでこれらの書類を提出済みなら、その旨をハローワークに伝えれば重ねての提出を求められないことがある(ハローワーク側が確認事項をすでに把握している場合に限る)。
確認先はどこか
制度の詳細・自分の講座が対象かどうかの判定・申し出の窓口は、すべて受給資格決定を受けたハローワークになる。給付制限期間中でも、失業認定と同じように4週に一度の認定日はあり、その認定日(またはそれに相当する日)が申し出の節目になる。期限の数え方に迷ったら、自己判断せず早めにハローワークへ相談する。
窓口や電話で聞くときは、以下の文面をそのまま伝えれば話が早い。
自己都合退職で受給資格決定を受けています。
◯月◯日から〈講座名〉を受講して(います/いました)。
令和7年4月からの給付制限解除の対象になるか確認したいです。
持参する書類があれば教えてください。
講座名・受講開始日(修了している場合は修了日も)を伝えられるように、申込時の資料や領収書を手元に用意してから連絡するとスムーズだ。
自分の認定日がいつか分からないときは
申し出の期限は「認定日」を起点に決まるため、まず自分の認定日を確認しないと期限も分からない。受給資格決定の手続きをしたときにハローワークから渡される「雇用保険受給資格者証」や、その場で案内された次回の来所日の書類に認定日が記載されている。手元にそれが見当たらない場合や、日付を自分で見て「認定日にあたる日」を逆算する自信がない場合は、計算せずにハローワークへ電話して聞くほうが早く、間違いもない。期限計算を自己流で済ませて1日ずれた結果、前の章で挙げたような受け取れない期間が出るのが一番もったいない。
次にやること
受給資格決定を受けたハローワークの窓口で、「自分が受けている(受けた)教育訓練が給付制限解除の対象になるか」を確認し、対象なら受講開始日の分かる領収書か証明書を持って申し出る。