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特定理由離職者とは

この記事の結論
  • 「特定理由離職者」は雇用保険法第13条第3項に定められた区分で、①契約更新を希望したのに雇止めになった場合 ②心身の不調・介護・通勤困難など正当な理由がある自己都合退職の場合、の2パターンが該当する
  • 該当すれば自己都合でも給付制限がなくなり、待期7日後すぐ受給できる。受給資格の要件も「2年で12ヶ月」から「1年で6ヶ月」に緩和される
  • 自己申告だけでは認定されず、離職票の離職理由欄とハローワークでの審査が起点になる。異議がある場合は申立てができる
ぜんたいの流れ
  1. 1離職理由を確認
  2. 2ハローワークに相談
  3. 3異議があれば申立て
  4. 4特定理由離職者に認定
  5. 5給付制限なしで受給
この記事の内容
  1. 結論:特定理由離職者に該当すれば、給付制限はなくなる
  2. 特定理由離職者とは何か(条文根拠)
  3. 該当する具体的な条件
  4. 特定理由離職者と病気による退職:診断書は何を書いてもらえばいいか
  5. 特定受給資格者・一般の自己都合退職者との違い
  6. 該当すると何が変わるか
  7. どうやって認定されるか
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 自分が当てはまるか確認するチェックリスト
  10. 次にやること
  11. 出典(2026年9月13日調査)

この記事は、自分の意思で退職したけれど「体調」「介護」「通勤」「契約の雇止め」など何かやむを得ない理由があった人に向けて書いています。 結論から言うと、自己都合退職でも「特定理由離職者」という区分に該当すれば、失業保険の給付制限がなくなり、待期7日が明けたらすぐに受給できます。

こんな状態ではありませんか
  • 自己都合で辞めたけど、体調や家庭の事情でどうしようもなかった
  • 「自己都合だと2〜3ヶ月お金が入らない」と聞いて不安になっている
  • 「特定理由離職者」という言葉をハローワークの案内で見たが、自分が当てはまるのか分からない

順番に整理していきます。

「病気を理由に自己都合で辞めた場合、特定理由離職者として認められるか」「診断書は必要なのか」という疑問に、先に結論を書きます。 体力の低下や心身の障害、病気・けがで働き続けるのが難しくなって辞めた場合は、特定理由離職者に該当する可能性があります。ただし自己申告だけでは認定されず、医師の診断書などの客観的な証拠が必要です。診断書に何を書いてもらい、いつ・どこに出すかは、病気による離職と診断書の章で具体的に説明します。

結論:特定理由離職者に該当すれば、給付制限はなくなる

失業保険(雇用保険の基本手当)は、退職理由が「会社都合」か「自己都合」かで、お金が入るまでの期間が大きく変わります。自己都合退職の場合、原則として待期7日のあとに給付制限という期間が上乗せされます(雇用保険法第33条)。給付制限の期間は2025年4月1日以降の離職では原則1ヶ月に短縮されました(厚生労働省・群馬労働局「令和7年4月1日以降に離職された方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合、給付制限期間が原則1か月となります」)。

しかし、自己都合退職の中には「特定理由離職者」という区分があり、これに該当すると、この給付制限が課されません。

ここが要点

「自己都合=給付制限あり」と一律に思い込まなくて大丈夫です。体調・家族の事情・通勤困難・契約の雇止めなど、やむを得ない理由があった場合は、自己都合のまま給付制限だけが外れるという制度が存在します。

特定理由離職者とは何か(条文根拠)

特定理由離職者は、雇用保険法第13条第3項に定められた区分です。条文では、次の2つのケースが対象とされています。

  1. 期間の定めのある労働契約が満了し、かつ本人が更新を希望したにもかかわらず、更新の合意が成立しなかった場合(いわゆる雇止め)
  2. その他、厚生労働省令で定める「やむを得ない理由」により離職した場合(正当な理由のある自己都合退職)

離職理由の区分は大きく3つに分かれます。

区分 内容 給付制限
特定受給資格者 倒産・解雇など会社都合の離職 なし
特定理由離職者 雇止め、または正当な理由のある自己都合退職 なし
一般の離職者 正当な理由のない自己都合退職 あり(原則1ヶ月、2025年4月1日以降の離職)

特定理由離職者は、この3区分の真ん中に位置します。会社都合ではないので離職票の離職理由欄は「自己都合」寄りの表記になりますが、給付制限の扱いは会社都合退職と同じく「なし」になります。

該当する具体的な条件

「やむを得ない理由」がどこまで認められるかは、ハローワークが厚生労働省の定める基準に沿って個別に判断します。一般的に対象とされているのは、次のようなケースです。

パターン 具体例
契約の雇止め 契約社員・派遣社員などで、更新を希望したが会社側の都合で更新されなかった
心身の不調 体力の低下、心身の障害、病気・けがにより働き続けるのが困難になった
妊娠・出産・育児 妊娠・出産・育児により離職し、受給期間の延長措置を受けた場合
家族の事情 父母の死亡・病気などで家庭の事情が急変した、または家族の介護・看護が必要になった
別居の困難 配偶者や扶養すべき親族との別居生活の継続が困難になった
通勤困難 結婚に伴う転居、保育所利用、転勤・出向、通勤方法の廃止など、通勤が困難になった
希望退職の募集 企業整備による人員整理などで、希望退職者の募集に自分から応じて離職した場合(恒常的に設けられている早期退職優遇制度への応募は除く)

なお、会社から直接・間接に退職するよう勧められて離職した場合(退職勧奨)は、この特定理由離職者ではなく、会社都合にあたる特定受給資格者に分類されます(厚生労働省)。混同しやすいので、次の章の比較表もあわせて確認してください。

ここが要点

ポイントは、「自分がつらかったから」ではなく、客観的な事実(診断書・契約書・住所変更の記録など)で示せるかどうかです。ハローワークは自己申告だけでは認定せず、証拠となる書類の提出を求めます。心当たりがある場合は、該当しそうな書類を先に集めておくと手続きがスムーズです。

特定理由離職者と病気による退職:診断書は何を書いてもらえばいいか

体調不良や病気・けがを理由に自己都合で退職した場合、特定理由離職者として認定を受けるには、次の順番で進めます。

  1. 通っていた病院の主治医に、診断書を書いてもらう。 退職時点で「仕事の継続が困難だった」ことが分かる内容が必要です。
  2. 診断書に、退職時点の状態と現在の状態の両方を書いてもらう。 「退職当時は勤務が困難だった」ことと「現在は就労可能である(または、いつから就労可能になったか)」の両方が書かれていないと、審査で「今も働けないのでは」と判断されることがあります。
  3. 求職の申込みの際、離職票と一緒にハローワークへ提出する。 提出期限を明記した公的な案内は見当たらない(2026年9月24日確認)が、手続きが遅れるほど受給開始も遅れるため、求職の申込みと同時に出すのが基本です。
  4. 診断書の内容によって、この先の扱いが分かれます(下表)。

診断書の内容によって、扱いは大きく2つに分かれます。

診断書の内容 扱い
退職時点は仕事の継続が困難だったが、いまは就労可能 特定理由離職者として基本手当(失業保険)の対象。給付制限なしで受給が始まる
いまも治療中で、引き続き30日以上働くことができない 基本手当ではなく、先に「受給期間延長」を申請する対象になる
ここが要点

「診断書は取ったが、実はいまも通院中で長くは働けない」という場合が、この語で調べている人が一番詰まりやすいところです。 その場合は特定理由離職者としてすぐ失業保険を受け取るのではなく、先に受給期間延長の手続きを検討してください。病気・けがなどで引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その分だけ受給期間(原則1年間)を延長できます。延長できる期間は最長3年間(合計で最大4年間)、申請先は住所または居所を管轄するハローワーク(代理人・郵送でも可)、申請は延長後の受給期間の最後の日までにすればよいとされています(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」)。体調が回復してから、あらためて基本手当の受給手続きに進む形になります。

特定受給資格者・一般の自己都合退職者との違い

「結局、自分はどれに当てはまるのか」を整理する材料として、受給資格の要件も含めて比較します。

項目 特定受給資格者(会社都合) 特定理由離職者 一般の自己都合退職者
主な原因 倒産・解雇など 雇止め、または正当な理由のある自己都合 正当な理由のない自己都合
給付制限 なし なし あり(原則1ヶ月、2025年4月1日以降の離職)
受給資格に必要な被保険者期間 離職前1年間に通算6ヶ月以上 離職前1年間に通算6ヶ月以上 離職前2年間に通算12ヶ月以上

受給資格の要件緩和(2年で12ヶ月→1年で6ヶ月)は、雇用保険法第13条第2項に定められており、特定受給資格者と特定理由離職者はどちらもこの緩和の対象です(雇用保険法第13条第2項の条文で確認)。つまり、離職直前の在籍期間が短くても、特定理由離職者に該当すれば失業保険を受け取れる可能性が、一般の自己都合退職より広がるということです。

該当すると何が変わるか

特定理由離職者に該当した場合、実務上は主に2つが変わります。

① 給付制限がなくなる

待期7日間が明ければ、すぐに受給が始まります。一般の自己都合退職のように、待期のあとさらに1ヶ月待つ必要がありません。

② 受給資格の要件が緩和される

前述の通り、離職前1年間に通算6ヶ月以上の被保険者期間があれば足ります。転職して間もない時期に離職した場合など、一般の自己都合退職では要件を満たせないケースでも、特定理由離職者であれば受給資格が得られることがあります。

給付日数(何日分受け取れるか)についても優遇される場合がありますが、雇止めのケースと正当理由のある自己都合退職のケースで扱いが異なります。特定理由離職者を特定受給資格者とみなして給付日数を計算する暫定措置は、令和9年(2027年)3月31日以前の離職者まで適用されます(厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律について」令和6年5月17日基発第517001号・職発第517004号)。給付日数の具体的な日数は、ハローワークで自分の離職理由・被保険者期間をもとに確認するのが確実です。

どうやって認定されるか

特定理由離職者に該当するかどうかは、自分で決められるものではなく、ハローワークが審査します。流れはおおむね次の通りです。

① 離職理由を確認する

会社から届く離職票には、離職理由の欄(コードが記載されている場合もあります)があります。ここがまず起点になります。

② ハローワークに相談する

求職の申込みの際、離職理由について担当者に説明し、該当しそうな書類(診断書、契約書、通勤経路の変更が分かる資料など)があれば提示します。

③ 異議があれば申立てをする

離職票に書かれた離職理由に納得できない場合(会社側が「自己都合」としているが、実際はやむを得ない理由があった場合など)は、ハローワークで異議を申し立てることができます。

④ 特定理由離職者として認定される

提出書類と本人の説明をもとに、ハローワークが特定理由離職者に該当するかどうかを判断します。

⑤ 給付制限なしで受給が始まる

該当が認められれば、待期7日後、給付制限を挟まずに受給が始まります。

ここが要点

離職票の離職理由欄が「自己都合」になっていても、それで確定ではありません。やむを得ない理由に心当たりがあるなら、求職申込みの段階で必ずハローワークに伝えてください。 何も言わなければ、書面通りの区分で処理が進みます。

実体験について、正直に書きます

私の場合

私自身は2026年6月末に前職を退職していますが、会社都合退職だったため、特定理由離職者としての認定を自分で経験したわけではありません。この記事の手続き部分は、自分の体験ではなく調べた範囲の情報整理です。

ただ、離職票が届いたときに離職理由の欄にコードが記載されていて、そこがすべての区分判断の起点になっていることは実感しました。特定理由離職者に該当するかどうかも、まずこの離職票の記載内容から始まります。離職票が届いたら、内容が実際の退職理由と合っているかを最初に確認する価値はあります。

自分が当てはまるか確認するチェックリスト

離職票が届いた段階で、次を1つずつ確かめてください。

  • □ 離職理由が、体調不良・介護・通勤困難・契約の雇止め・希望退職の募集への応募など、上の「該当する具体的な条件」の表にあるパターンのどれかに近い
  • □ 離職票の離職理由欄が「自己都合」の表記になっている(会社側から直接・間接に退職を勧められた場合は、この記事の対象である特定理由離職者ではなく特定受給資格者にあたるので、この項目には該当しない)
  • □ 診断書・雇用契約書・通勤経路の変更が分かる資料など、客観的な証拠になりそうな書類が手元にある、またはこれから取り寄せられる
  • □ 求職の申込みの際に、やむを得ない理由があったことをまだハローワークに伝えていない
  • □ 離職前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算6ヶ月以上ある

3つ以上チェックが付いた場合は、次の「やること」に進む前に、該当しそうな書類をできるだけ集めておくと手続きがスムーズです。1つも付かない場合は、一般の自己都合退職として給付制限がかかる可能性が高いので、その前提でハローワークに相談してください。

次にやること

離職票が届いたら、離職理由の欄をまず確認してください。 体調・介護・通勤・契約の雇止めなど、やむを得ない理由に心当たりがあるのに「自己都合」とだけ書かれている場合は、求職の申込みの際にハローワークへその事情を伝え、該当しそうな書類(診断書・契約書・通勤の記録など)を用意しておいてください。何も伝えなければ、書面通りの区分で処理が進んでしまいます。

会社とのやり取り自体が難しい、退職の意思を直接伝えづらいという場合は、退職代行という選択肢もあります。


※本記事は2026年8月時点の一般的な情報整理と、筆者個人の体験に基づくものです。特定理由離職者に該当するかどうかの個別の判断、給付日数の詳細は、最寄りのハローワークにご確認ください。

出典(2026年9月13日調査)

  • 雇用保険法 第13条・第33条 e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116(特定理由離職者の定義・受給資格要件の緩和・給付制限の根拠条文を確認。条文本文は同ページで「雇用保険法」を開いて第13条・第33条を参照)
  • 厚生労働省・群馬労働局「令和7年4月1日以降に離職された方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合、給付制限期間が原則1か月となります」 https://jsite.mhlw.go.jp/gunma-roudoukyoku/content/contents/002182062.pdf(本文中の給付制限「原則1ヶ月」の記述を確認。数字は本文と一致)
  • 厚生労働省「Q&A労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html(特定理由離職者が給付制限の対象外であり、待期7日経過後すぐ受給できることを確認)
  • 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律について」令和6年5月17日基発第517001号・職発第517004号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc8538&dataType=1&pageNo=1(特定理由離職者を特定受給資格者とみなす給付日数の暫定措置が「令和9年3月31日以前の離職者まで適用する」と明記されていることを確認。本文の年月日と一致)
  • 厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」リーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/000678123.pdf(退職勧奨による離職・希望退職の募集への応募が特定受給資格者に分類されることを確認)
  • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html(2026年9月24日確認。受給期間が原則1年間であること、病気・けが等で引き続き30日以上働くことができない場合は受給期間を最長3年間延長できること、申請先は住所または居所を管轄するハローワーク、申請は延長後の受給期間の最後の日までにすればよいことを確認。特定理由離職者の診断書の提出期限を明記した公的な案内は同ページ・前掲のリーフレットいずれにも見当たらなかった)

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

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