休職期間満了で退職は自己都合か会社都合か
- 1休職期間満了
- 2会社が自然退職扱い
- 3離職票の記載を確認
- 4ハローワークに申し出る
- 5区分の判定
この記事の内容
この記事は、病気やけがで休職していて、期間が満了しても復職できず退職になった人に向けて書いています。 結論から言うと、会社の就業規則上は「自己都合」に近い扱いをされることが多い一方、雇用保険の手続き上は「特定理由離職者」という第三の区分に該当する可能性があります。 「自己都合」と「会社都合」の二択で考えると混乱するので、この記事では就業規則上の扱いと雇用保険上の扱いを分けて説明します。
- 休職期間が終わってしまい、復職できないまま辞めることになった。これは自分から辞めたことになるのか
- 離職票に「自己都合」と書かれていたが、給付制限があるのは納得がいかない
- 会社都合なのか自己都合なのか分からないまま、ハローワークに行くのが不安
結論:会社の扱いと雇用保険の扱いは別物
| 場面 | 扱い | 出どころ |
|---|---|---|
| 会社の就業規則上の退職事由 | 「自然退職」「自動退職」として処理する規定が一般的(会社ごとに規定は異なる) | 複数の社労士・弁護士サイトの解説による一般論。条文そのものは各社の就業規則 |
| 離職票の離職理由欄 | 会社側がいったん「自己都合」として記載することが多いとされる | 複数の民間解説記事による説明。一次情報での明記は確認できていない |
| 雇用保険の受給資格の区分 | 休職の原因が心身の障害・疾病等であれば「特定理由離職者」に該当しうる | ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲について」 |
「休職期間満了」という言葉自体は、ハローワークインターネットサービスの公式ページに直接は出てきません。そこにあるのは「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者」という書き方です。休職の原因がこれに当てはまるかどうかで、扱いが変わります。
休職期間満了で退職になるとは、どういう状態か
多くの会社の就業規則には、「休職期間が満了しても復職できない場合は退職とする」という規定があります。これは会社が解雇するのでも、本人が辞表を出すのでもなく、期間が来たら自動的に雇用契約が終わるという仕組みです。就業規則にこの規定があるかどうか、退職事由をどう定めているかは会社ごとに違うため、まずは自分の会社の就業規則(休職規定・退職規定)を確認してください。
この「自然退職」「自動退職」という呼び方そのものが会社の内部ルールの話であり、雇用保険がどう扱うかとは別の話だという点を、まず切り分けておく必要があります。
なぜ「自己都合」として処理されやすいのか
会社が離職票を作成する際、退職理由の区分を選んで記入します。休職期間満了による自然退職は、会社側から見ると「解雇した」わけではないため、選択肢としては「自己都合」に近い区分が選ばれやすいと、複数の社労士・弁護士向け解説サイトが説明しています。ただし、この記載が最終的な結論というわけではありません。
離職票の離職理由欄には、本人が「異議あり」の欄にチェックを入れ、実際の事情を申し出る余地があります。雇用保険法施行規則第十九条一項は、離職票に記載された離職理由に異議がある場合、離職票とあわせて「離職の理由を証明することができる書類」を提出すると定めています(条文を確認済み)。ハローワークは会社の記載だけでなく、本人からの申し出や必要な証明資料をもとに、最終的な区分を判定します。この「会社の記載」と「ハローワークの最終判定」が分かれている点が、この問題を分かりにくくしている一番の理由です。
雇用保険には「特定理由離職者」という第三の区分がある
雇用保険の受給資格には、大きく分けて3つの区分があります。
| 区分 | 主な該当例 | 休職期間満了との関係 |
|---|---|---|
| 特定受給資格者 | 倒産・解雇・3ヶ月以上の休業など、会社都合に近い理由 | 直接は該当しない(休職期間満了そのものは解雇ではないため) |
| 特定理由離職者 | 有期契約が更新されなかった場合、または「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力・聴力・触覚の減退等」による離職 | 休職の原因が病気・けが等であれば、この区分に該当しうる |
| 一般の離職者(いわゆる自己都合) | 上記のいずれにも該当しない自己都合退職 | 休職の原因が説明できない、または本人の意思による退職に近い場合 |
出どころ:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲について」
つまり、休職期間満了による退職が自動的に「特定理由離職者」になるわけではなく、休職に至った原因が「心身の障害、疾病」等に当てはまるかどうかが判定の分かれ目になります。うつ病や適応障害、けがによる長期療養が休職の理由であれば、この区分に該当する可能性が高いと考えられます。傷病手当金との関係はうつ・適応障害で働けないとき|退職の前に傷病手当金を知るも参照してください。
複数の民間解説サイトは、「離職票の時点では自己都合扱いでも、本人がハローワークの窓口で病気による休職だったことを申し出て、必要であれば医師の証明を提出することで、特定理由離職者として認定される場合がある」と説明しています。この運用の詳細(必要書類・窓口での申し出方)は、一次情報での確認ができていないため、担当のハローワークに直接確認することを勧めます。
離職票が届いたら何を確認するか
離職票が届いたら、まず離職理由欄を確認します。離職票がいつ届くかについては離職票はいつ届くか|届かないときに会社へ言うことを参照してください。
- 離職理由の区分がどうなっているかを確認する
- 実際の退職理由(休職の原因が病気・けがであること)と記載が食い違っていると感じたら、離職票の「異議あり」欄にチェックを入れる(雇用保険法施行規則第十九条一項)
- ハローワークの窓口(求職の申込み・受給資格の決定の場)で、休職の原因を具体的に説明する
- 求められた場合は、診断書等の証明資料を用意する(同条項が「離職の理由を証明することができる書類」の提出を求めている)
この手順は複数の民間解説サイトが共通して説明している一般的な流れです。実際に何を求められるかは窓口・個別の事情によって変わるため、断定はできません。
区分によって何が変わるか
区分が「特定理由離職者」または「特定受給資格者」になるか、「一般の離職者」になるかで、実際にもらえる金額と時期が変わります。
給付制限期間について、ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」には次の記載があります(2026年9月4日確認)。
待期期間満了後2か月間(過去5年間に2回以上自己都合で離職している場合3か月間)は基本手当が支給されません
ただし、この引用元ページの「2か月間」という記載は、改正前の古い内容のまま更新されていません(2026年9月6日再確認)。 現行制度では、離職日が2025年(令和7年)4月1日以降の場合、自己都合退職の給付制限期間は原則1ヶ月に短縮されています(過去5年間に2回以上自己都合で離職している場合や重責解雇の場合は3ヶ月。出典:厚生労働省「『給付制限期間』が短縮又は解除されます」)。
この給付制限がかかる対象は、雇用保険法第三十三条一項で「被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」と定められています(条文を確認済み)。休職期間満了による退職のうち、原因が「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等」に当てはまり特定理由離職者と判定された場合は、この「正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」に該当しないため、条文上この給付制限を受けません。特定受給資格者(倒産・解雇等)も同様に対象外です。給付制限そのものの解説は失業保険の給付制限|自己都合で辞めるといつからもらえるかも参照してください。
所定給付日数について、ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」には、次の区分が示されています。
| 区分 | 給付日数の範囲 | 出どころ |
|---|---|---|
| 特定受給資格者・一部の特定理由離職者 | 90日〜330日(年齢・被保険者期間により変動) | ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」 |
| 一般の離職者(自己都合) | 90日〜150日(被保険者期間により変動) | 同上 |
つまり、区分が変わると、給付制限の有無だけでなく、もらえる日数の上限そのものが変わる可能性があります。 どちらの区分に当てはまるかは自分で判断できるものではないため、離職票を持ってハローワークの窓口で確認することが必要です。
離職票を受け取ったときのチェックリスト
ここまでの内容を、届いた離職票を手元に置いて1つずつ確かめられる形にまとめます。新しい数字は使わず、本文で確認した制度と条文だけを並べています。
□ 離職票の離職理由欄に、どの区分(自己都合・会社都合・特定理由離職者など)で記載されているかを確認した
□ 休職に至った原因が「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等」に当てはまるかどうかを確認した(ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲について」)
□ 記載内容と実際の休職原因が食い違うと感じたら、離職票の「異議あり」欄にチェックを入れる準備をした(雇用保険法施行規則第十九条一項)
□ 「異議あり」欄に沿えられる証明資料(診断書等)を用意できるか、主治医に相談する見通しを立てた
□ 過去5年間に自己都合退職が2回以上あるかどうかを確認した(2回以上だと給付制限期間が3ヶ月になる。出どころは本文「区分によって何が変わるか」の給付制限の記載)
□ 自分の離職日が2025年(令和7年)4月1日以降かどうかを確認した(それ以降なら給付制限は原則1ヶ月。出どころは厚生労働省「『給付制限期間』が短縮又は解除されます」)
□ ハローワークの窓口で確認する日(求職の申込み・受給資格の決定の場)を決めた
この項目のうち、実際に何を求められるか・どこまで柔軟に対応してもらえるかは窓口・個別の事情によって変わります。断定はできないので、疑問点はチェックリストの答え合わせとして窓口で直接聞いてください。
次にやること
離職票が届いたら、離職理由欄の記載をまず確認し、休職の原因(病気・けが等)と記載が食い違っていると感じたら「異議あり」欄にチェックを入れて、ハローワークの窓口で事情を説明してください。 診断書等の証明が必要になる場合があるため、可能であれば主治医に相談し、必要な書類を準備しておくと窓口でのやり取りがスムーズです。心身の不調が続いている場合は、退職や給付の手続きより先に、医師・産業医に相談してください。
※本記事は2026年9月時点の情報整理です。特定受給資格者・特定理由離職者の「範囲」と給付制限の対象範囲(雇用保険法第三十三条一項)についてはハローワークインターネットサービスの公式記載と条文本文で確認していますが、離職票の窓口での実際の運用(何を求められるか等)については、複数の民間解説サイトの説明を二次情報として扱っている箇所があります。自分がどの区分に該当するかは自己判断せず、離職票を持って担当のハローワークに直接確認してください。
出典(2026年9月4日確認) - ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲について」(特定理由離職者の範囲に「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者」を含む旨の記載) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html - ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」(待期期間満了後2か月間・過去5年間に2回以上の場合3か月間、基本手当が支給されない旨の記載。※このページの「2か月間」は2026年9月6日時点でも改正未反映の旧記載のまま) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_procedure.html - 厚生労働省「『給付制限期間』が短縮又は解除されます」(離職日が2025年4月1日以降は給付制限期間が原則1ヶ月に短縮) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html (2026年9月6日確認) - ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(特定受給資格者・一部の特定理由離職者は90日〜330日、一般の離職者は90日〜150日の区分) https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html - 雇用保険法第三十三条一項(給付制限の対象を「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」「正当な理由がなく自己の都合による退職」に限定する旨。手元の法令全文で確認) - 雇用保険法施行規則第十九条一項(離職票の離職理由に異議がある場合、離職の理由を証明する書類とあわせて提出する旨。手元の法令全文で確認) - 本サイト記事014(離職票はいつ届くか)・019(給付制限)・052(傷病手当金)