自己都合退職の給付制限は今も3ヶ月か
- 2026年9月現在、自己都合退職の給付制限は原則1ヶ月(雇用保険法第33条1項の範囲内で、2025年4月1日適用)
- 「3ヶ月」は2020年9月30日以前の古いルール、または2020年10月〜2025年3月の「2ヶ月」時代の情報とも混同されている
- 3ヶ月になるのは、直近5年以内に自己都合退職で2回以上の受給資格決定を受けている場合(今回を含め通算3回目以降)のみ
- 重責解雇はどの時期でも3ヶ月
- 1離職日を確認
- 2過去5年の回数を数える
- 3原則の月数を当てる
- 43回目以降か判定
- 5給付制限が確定
この記事の内容
この記事は、自己都合で退職しようとしていて、ネットや知恵袋で「給付制限は3ヶ月」という情報を見て不安になっている人に向けて書いています。 結論を先に言うと、2026年9月現在、自己都合退職の給付制限は原則1ヶ月です。「3ヶ月」という情報は、2020年9月以前の古いルール、または5年以内に3回目以降の自己都合退職という例外のどちらかを指しています。この記事では、いつ何が変わったのかと、自分がどちらに当たるのかを確認します。
- ネットで「給付制限は3ヶ月」と見たが、その情報がいつのものか分からず不安
- 自分の場合が1ヶ月なのか3ヶ月なのか、自分で判断できない
- 制度が変わったという話を聞いたが、詳しい中身までは知らない
結論:今は原則1ヶ月。3ヶ月は古い情報か例外条件
| 質問 | 答え | 出どころ |
|---|---|---|
| 今の原則は何ヶ月? | 原則1ヶ月(退職日が2025年4月1日以降の場合) | 雇用保険法第33条1項(範囲)、厚生労働省ウェブサイトの給付制限の案内ページ(2026年10月12日確認) |
| 「3ヶ月」はいつの話? | 2020年9月30日以前の古いルール | 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット「『給付制限期間』が2か月に短縮されます」(鳥取労働局掲載版、2026年10月12日確認) |
| 今でも3ヶ月になる場合は? | 退職日から遡って5年間に、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けたことが2回以上ある場合(今回が通算3回目以降) | 上記の厚生労働省ページ(「遡って5年間のうちに2回以上」と記載) |
「給付制限3ヶ月」という情報自体が、必ずしも間違いというわけではありません。いつの情報か、そして自分が例外条件に当たるかの2点を確認すれば、今の自分に当てはまるかどうかが分かります。
なぜ「3ヶ月」という情報が今も出回っているのか
自己都合退職の給付制限は、過去に2回、期間が短くなる改正がありました。1回目は2020年10月、2回目は2025年4月です。この2回の改正を知らないまま「3ヶ月」と書かれた古い記事・まとめサイトが、検索結果に今も残っていると考えられます。検索エンジンは必ずしも更新日の新しい順に記事を並べるわけではないため、古い情報が上位に出てくること自体は珍しくありません。
もう1つの原因は、2020年10月〜2025年3月の「2ヶ月」だった時期の情報と、それより前の「3ヶ月」だった時期の情報が、ネット上で混同されて語られていることです。どちらも今の「1ヶ月」からは古い情報という点では同じです。
変わってきた歴史:3ヶ月→2ヶ月→1ヶ月
自己都合退職の給付制限は、次のように変わってきました。
| 離職日 | 原則の給付制限 | 3ヶ月になる条件 |
|---|---|---|
| 2020年(令和2年)9月30日以前 | 3ヶ月 | (原則が3ヶ月) |
| 2020年10月1日〜2025年3月31日 | 2ヶ月 | その離職より前の5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格決定を受けている場合(通算3回目以降) |
| 2025年4月1日以降 | 1ヶ月 | 同上(通算3回目以降) |
(出典:厚生労働省ウェブサイトの給付制限の案内ページ(退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、同年3月31日以前なら原則2か月と記載)、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット「『給付制限期間』が2か月に短縮されます〜令和2年10月1日から適用〜」(2020年9月30日までの離職は3か月と記載)。いずれも2026年10月12日に確認しました。自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)は、条文(雇用保険法第33条1項)に定めがあり、上記2資料ともに3か月と記載されています)
条文としての根拠は雇用保険法第33条1項です(手元の条文全文で確認、2026年10月12日)。同項は、待期の期間(第21条)の満了後「1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」は基本手当を支給しない、と1ヶ月〜3ヶ月という範囲だけを定めています。「5年間に2回以上で3ヶ月」といった具体的な線引きは、この条文には書かれていません。
条文そのものは「3ヶ月以内」という範囲を変えていません。変わったのは、その範囲の中で実際に適用する日数の運用の方です。ここを区別しておくと、今後さらに改正があった場合にも「条文が変わったのか、運用の日数が変わったのか」を切り分けて理解できます。
計算例:自分の給付制限が何ヶ月か判定する
仮の人物で計算します(以下はすべて仮の設定で、実在の事案ではありません)。
ケース1:Fさん(仮の設定) - 離職日:2026年10月1日 - 過去5年以内に自己都合退職の経験なし(今回が1回目)
→ 離職日が2025年4月1日以降なので原則1ヶ月が適用され、過去5年に該当なしなので例外条件にも当たりません。給付制限は1ヶ月です。
ケース2:Gさん(仮の設定) - 離職日:2026年10月1日 - 過去5年以内に、正当な理由のない自己都合退職で2回、受給資格決定を受けている
→ 今回の離職を含めると通算3回目に当たるため、例外条件に該当します。給付制限は3ヶ月です。
同じ2026年10月1日の離職でも、過去5年の回数だけで1ヶ月と3ヶ月に分かれます。日付が新しいから自動的に1ヶ月になるわけではない点に注意してください。
今も3ヶ月のままになる例外条件
3ヶ月になる条件を、もう少し具体的に確認します。
- 数える期間は「その離職より前の5年間」で、今回の離職より前の自己都合退職を数えます
- 「2回以上ある場合」なので、今回を含めると通算3回目以降で3ヶ月になります
- カウントされるのは「正当な理由のない自己都合退職」による受給資格決定のみです(厚生労働省ページの記載)。会社都合退職や、正当な理由が認められた自己都合退職(特定理由離職者。雇用保険法施行規則第19条の2で、法第33条1項の正当な理由による離職が含まれると確認)は、この回数に含まれません。何が正当な理由に当たるかは、同条2項により厚生労働大臣の定める基準に従って公共職業安定所長が認定します。
- 自己都合退職でも、基準日(原則として離職の日)前1年以内に雇用保険法第60条の2第1項の教育訓練などを受けたことがある場合や、離職後にその訓練を受ける場合は、給付制限がかかりません(雇用保険法第33条1項ただし書で確認。厚生労働省ページには令和7年4月以降のリ・スキリングのための教育訓練等と記載)。この場合は回数に関係なく適用されます
- 自分が何回目に当たるかは自己判断せず、ハローワークの窓口で確認してください。受給資格決定の履歴は本人の記憶だけでは正確に数えられないことがあります
- 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)は、この表とは別に、どの時期でも給付制限3ヶ月のままです
チェックリスト:自分の給付制限を確認する手順
- □ 自分の離職日(退職日ではなく、雇用保険上の離職日)を確認した
- □ 過去5年以内に、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を受けた回数を数えた
- □ 見ている情報が2025年4月以降に書かれたもの(更新日を含む)か確認した
- □ 厚生労働省・ハローワークの公式情報で確認した(まとめサイト・知恵袋だけで判断していない)
- □ 自分が特定理由離職者(体力の不足・心身の障害・疾病、親族の看護、期間満了による雇止めなど)に当たらないか確認した。ハローワークが該当と認定すれば、給付制限自体がかかりません(ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」、2026年10月12日確認)
このうち、過去の受給資格決定の回数は自分の記憶だけでは正確に分からないことがあります。離職票を受け取った時点で、ハローワークの窓口に確認してください。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年6月末に正社員として会社都合で退職し、失業保険の受給手続きは一通り経験していますが、自己都合退職の経験、つまり給付制限そのものを経験したことはありません。
私の場合は会社都合の退職だったため、給付制限はありませんでした。自己都合の方は同じ流れにならない点にご注意ください。
この記事で整理した「1ヶ月か3ヶ月か」の判定は、雇用保険法の条文と、厚生労働省・労働局の資料にもとづく整理であり、私自身が給付制限を受けた経験にもとづく記述ではありません。実際の判定は、ハローワークの窓口で確認してください。
次にやること
まず、離職票を受け取った時点で、ハローワークの窓口に「自分の給付制限は何ヶ月になるか」を直接確認してください。 過去5年以内の自己都合退職の回数は自己判断せず、窓口の記録で確認するのが確実です。給付制限中の待期・タイムライン全体の目安は、別記事「失業保険の給付制限|自己都合で辞めるといつからもらえるか」で詳しく整理しています。
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。給付制限の期間や自己都合退職の回数の判定は個別の状況によって異なるため、実際の判定についてはハローワークの窓口でご確認ください。
出典(いずれも2026年10月12日確認) - 雇用保険法第33条1項(給付制限の根拠。範囲は「1箇月以上3箇月以内」、重責解雇・教育訓練の例外を含む)・第13条3項(特定理由離職者の定義)・雇用保険法施行規則第19条の2 — 手元保存の条文全文で直接確認 - 厚生労働省ウェブサイト 給付制限の案内ページ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html — 原則1か月(令和7年4月1日以降)、5年間に2回以上で3か月、重責解雇3か月、教育訓練による解除 - ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html — 体力の不足・心身の障害・疾病・負傷、親族の看護、雇止めなどを特定理由離職者の範囲として記載 - 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「『給付制限期間』が2か月に短縮されます〜令和2年10月1日から適用〜」(鳥取労働局掲載) https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/content/contents/tori_kyufukikan_tansyuku021001.pdf — 2020年10月1日以降の離職は2か月、同年9月30日までは3か月