国民年金の特例免除
- 失業等による特例免除は、退職した本人の前年所得を0とみなして審査される制度(配偶者・世帯主の所得は審査対象)
- 免除区分は全額・4分の3・半額・4分の1の4段階、必要書類は雇用保険受給資格者証か離職票のコピー
- 免除期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入されるが、将来の年金額は満額より減る(全額免除で2分の1など)
- 10年以内なら追納して満額に近づけられる
- 1退職確定
- 2必要書類準備
- 3窓口へ申請
- 4審査・結果通知
- 5免除期間の年金額確認
この記事の内容
退職して国民年金に切り替わったが、保険料を払う余裕がない。そんな人向けの記事です。 結論から言うと、失業(退職)を理由にした「特例免除」を使えば、退職した本人の前年所得は審査上0円として扱われ、収入が無い状態からでも保険料の免除・猶予を申請できます。この記事では、対象になる人・免除の段階・必要書類・申請できる期間を、日本年金機構の公式情報にもとづいて整理します。
- 退職して収入が無くなったが、国民年金保険料の納付書が届いて払えるか不安
- 「免除」と聞くけど、審査で前年の給料を見られて結局落ちるのではと心配
- 何をいつまでに、どこへ出せばいいのか分からない
結論:退職した本人の所得は0とみなされる
国民年金保険料の免除制度には、通常の所得審査による「申請免除」とは別に、失業・倒産・事業の廃止などの事実が確認できたときに使える特例があります。日本年金機構の説明では、この特例免除は「失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる」制度です(出典は末尾)。
「前年所得にかかわらず」というのは、退職した本人の所得を審査対象から外す(0円とみなす)という意味です。ただし本人以外は別です。世帯主や配偶者に一定以上の所得があると、免除区分が下がったり不承認になったりすることがあります。この点は後述します。
特例免除とは何か
会社員から個人事業主・無職になると、厚生年金から国民年金に切り替わり、保険料は原則として全額自己負担になります。退職直後は収入が途絶えているのに、保険料の請求は前年の所得をもとに来る、というねじれが起きやすいタイミングです。
このねじれに対応するために用意されているのが、国民年金保険料の「失業等による特例免除」です。通常の免除審査では前年の所得(前々年の所得の場合もある)を見ますが、失業・倒産・事業廃止などの事実が確認できれば、退職した本人の所得は無いものとして扱われます。
対象になる人・審査される所得
対象になるのは、次のような事実が確認できる人です。
- 会社都合・自己都合を問わず、雇用保険の被保険者だった人が離職した場合
- 雇用保険の対象外だった人でも、事業の廃止・休止などが公的機関の書類で確認できる場合
審査で見られる所得は次のとおりです。
| 誰の所得か | 特例免除での扱い |
|---|---|
| 退職(失業)した本人 | 審査対象外(0円とみなす) |
| 世帯主 | 全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の審査対象になる(納付猶予では対象外) |
| 配偶者 | 全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除・納付猶予のいずれも審査対象になる |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」、日本年金機構よくある質問「保険料の免除はどのようなときに受けられますか。」
「本人の所得は0とみなされるから絶対に通る」わけではありません。実家暮らしで世帯主(親など)の所得が高い場合や、配偶者の所得が高い場合は、免除区分が下がる、または不承認になることがあります。世帯構成によって結果が変わる点は、申請前に知っておいたほうがいい事実です。
免除区分は4段階ある
免除は「全額免除」だけではなく、所得に応じて4段階に分かれています。
| 免除区分 | 内容 |
|---|---|
| 全額免除 | 保険料が全額免除される |
| 4分の3免除 | 4分の1相当を納付、残り4分の3が免除 |
| 半額免除 | 半額を納付、残り半額が免除 |
| 4分の1免除 | 4分の3相当を納付、残り4分の1が免除 |
具体的な納付額(円建て)は年度ごとの保険料改定に応じて毎年変わるため、この記事では割合のみ記載します。正確な金額は日本年金機構のサイトか年金事務所で確認してください。
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
申請に必要な書類
特例免除の申請には、失業・倒産などの事実を証明する書類が必要です。日本年金機構が挙げているのは次のいずれかです。
- 雇用保険被保険者離職票のコピー
- 雇用保険受給資格者証のコピー(ハローワーク発行)
- 事業を廃止・休止した場合は、それを確認できる公的機関発行の書類
これに加えて、通常の免除申請と同じく国民年金保険料免除・納付猶予申請書、年金手帳またはマイナンバーカード(基礎年金番号の分かるもの)が必要です。
申請先といつまで遡れるか
申請先は、住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所です。マイナポータルからのオンライン申請にも対応しています。
通常の申請免除は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)にしか遡れません。特例免除はこれより広く遡れる設計になっていて、失業等が発生した月の前月分から申請できます(具体的にどの年度分まで遡れるかは申請する年によって変わるため、窓口で確認するのが確実です)。
退職してすぐに動くほど選べる期間が広くなります。「保険料をどうするか」は後回しにしやすい手続きですが、離職票が届いたタイミングで一緒に申請書を出しておくと二度手間になりません。
免除を受けると年金はどうなるか
免除を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間(いわゆる10年ルール)には算入されます。つまり「免除を受けた期間があるせいで将来もらえなくなる」ということはありません。
ただし、将来受け取る年金額は、保険料を全額納めた場合より少なくなります。日本年金機構の説明では、免除区分ごとに次の割合になります(国庫負担分を反映した割合。2009年3月分までは異なる割合が適用されます)。
| 免除区分 | 将来の年金額(全額納付時を1とした場合) |
|---|---|
| 全額免除 | 2分の1 |
| 4分の3免除 | 8分の5 |
| 半額免除 | 8分の6 |
| 4分の1免除 | 8分の7 |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
「何も払わないよりは免除を受けたほうがいい」理由はここにあります。未納のままだと年金額への反映はゼロですが、免除を受けていれば一部は年金額に反映されます。
追納で満額に近づけられる
免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納める(追納する)ことができます。追納すれば、その期間分の年金額を全額納付時の水準に近づけられます。
なお、免除・猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます(承認の翌年度から2年度以内に追納すれば加算はありません)。加算額の具体的な金額は年度によって変わるため、追納を検討する段階で年金事務所に確認してください(出典:日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」)。
実体験について
私自身は2026年6月末に前職を退職し、その後ハローワークで失業保険の手続きをした実体験があります。ただし国民年金保険料の特例免除については、調査した範囲での情報整理にとどまり、体験として書ける記録はありません。本記事の内容は、日本年金機構の公式情報にもとづいて整理したものです。
次にやること
まず、退職時に受け取った離職票か雇用保険受給資格者証を手元に用意し、住所地の市区町村役場の国民年金窓口か年金事務所に相談してください。 免除区分や遡れる期間は世帯構成や退職時期によって変わるため、書類を持って直接確認するのが一番早い方法です。
※本記事は2026年9月時点の公的情報にもとづく一般的な情報整理です。実際の免除区分・承認可否は個々の所得状況によって異なります。追納加算の具体的な金額は年度・経過期間によって変わるため、追納を検討する段階で年金事務所に確認してください。
出典(2026年9月確認) - 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html - 日本年金機構「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150402-01.html - 日本年金機構よくある質問「保険料の免除はどのようなときに受けられますか。」:https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kokunen/seido/hokenryo/menjo/20130322.html - 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html