プログラミングスクールで教育訓練給付金が使える講座
- 教育訓練給付金には一般・特定一般・専門実践の3種類があり、支給率と上限額が異なる(一般20%上限10万円、特定一般40%+追加10%で最大50%上限25万円、専門実践50%+追加最大20%で最大80%年間上限56万円)
- どの制度も「厚生労働大臣の指定を受けた講座」だけが対象で、指定の有無は厚生労働省の教育訓練給付金講座検索システムで確認できる
- 「プログラミングスクール」という業種そのものが対象なのではなく、個々の講座が指定を受けているかどうかで決まる
- 被保険者期間の要件(在職者・離職者で条件が異なる、離職者は資格喪失日から受講開始日までが原則1年以内)を満たさないと支給されない(自分の雇用保険加入期間は個別に確認)
- 1在職・離職を確認
- 2検索システムで講座確認
- 3受給資格を確認
- 4講座に申込み・受講
- 5修了後に給付申請
この記事の内容
この記事は、退職を機に、または在職しながらプログラミングスクールを検討している人に向けて書いています。 結論から言うと、「プログラミングスクールなら給付金が使える」わけではありません。厚生労働大臣の指定を受けた個々の講座だけが対象で、指定の有無は自分で検索して確認する必要があります。この記事では、制度の種類と、自分で対象講座を確かめる方法を整理します。
「失業保険をもらいながらプログラミングスクールに通えるか」を先に言うと、通うこと自体は可能です。ただし、基本手当(失業保険)の認定日は、講座の受講日と重なっても原則変更されません。また、離職者向けに基本手当への上乗せとなる「教育訓練支援給付金」という別制度もありますが、これは基本手当をもらっている期間は支給されず、基本手当の支給が終わったあとに始まる、別建ての制度です(出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」)。この2つを混同しないことが最初のポイントです。
- スクールの広告に「教育訓練給付金対象」と書いてあるが、本当に自分が使えるのか分からない
- 一般・特定一般・専門実践という言葉の違いが分からない
- 退職してから使えるのか、在職中でないと使えないのか分からない
結論:対象は「業種」ではなく「講座」単位
| 論点 | 結論 | 根拠・理由 |
|---|---|---|
| 「プログラミングスクール」は対象になるか | スクールという業種そのものは対象ではない | 対象になるのは、厚生労働大臣の指定を受けた個々の講座だけ(厚生労働省パンフレット) |
| 指定の有無はどう確認するか | 厚生労働省の検索システムで講座名から検索する | 教育訓練給付金講座検索システム https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/ |
| 支給率はいくらか | 制度によって20%〜最大80%まで幅がある | 一般・特定一般・専門実践の3制度で率と上限額が異なる(後述) |
| 誰でも使えるか | 雇用保険の被保険者期間などの条件がある | 在職者・離職者で条件が異なり、要件を満たさないと支給されない |
広告の「給付金対象」という表記だけを信じず、講座名を検索システムに入力して自分で確認することが最初の一歩です。同じスクールでも、コースによって対象・対象外が分かれることがあります。
教育訓練給付金は3種類ある
教育訓練給付金には、支給率が異なる3つの制度があります。いずれも「本人が教育訓練施設に支払った受講費用の一定割合」が支給される仕組みで、全額が戻るわけではありません。
| 制度 | 支給率・上限額 | 主な対象イメージ |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20%(上限10万円) | 公的資格・民間資格の取得を目標とする幅広い講座 |
| 特定一般教育訓練給付金 | 受講費用の40%(上限20万円)。資格取得等をして就職・在職した場合はさらに10%(上限5万円)を追加支給、合計最大50%(上限25万円) ※追加分は2024年10月1日以降に受講開始した人が対象 | 速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する講座(業務独占資格の養成課程、ITSSレベル2の情報通信資格講座など) |
| 専門実践教育訓練給付金 | 受講費用の50%(年間上限40万円)を6か月ごとに支給。資格取得等をして就職・在職した場合はさらに20%(年間上限16万円)、賃金が5%以上上昇した場合はさらに10%(年間上限8万円)を追加支給、合計最大80%(年間上限64万円) ※賃金上昇による追加分は2024年10月1日以降に受講開始した人が対象 | 看護師・社会福祉士などの養成施設、専門職大学院、第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)など専門的・実践的な講座 |
(出典:厚生労働省「一般教育訓練給付金のご案内」「特定一般教育訓練給付金のご案内」「専門実践教育訓練給付金のご案内」、いずれも2026年9月1日確認)
専門実践は最大80%まで戻る可能性がありますが、「50%を受講中に支給、残り30%は資格取得・就職・賃金上昇という条件を満たしてから追加支給」という2段階の仕組みです。最初から80%が振り込まれるわけではない点に注意してください。
プログラミング関連で対象になりやすい類型
厚生労働省のパンフレットには、講座の「類型」ごとに指定基準が示されています。プログラミング・IT関連で該当し得る類型は、次のとおりです。
- 一般教育訓練:「情報関係」の講座例として、Webクリエイター能力認定試験、CAD利用技術者試験、Oracle認定資格などが挙げられています
- 特定一般教育訓練:「ITSSレベル2の情報通信技術関係資格の取得を目標とする課程」(講座例:基本情報技術者試験など)
- 専門実践教育訓練:「第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)」(講座例:データサイエンティスト、サイバーセキュリティなど)、「ITSSレベル3以上の情報通信技術関係資格の取得を目標とする課程」(講座例:シスコ技術者認定CCNPなど)
「プログラミング」とひとくくりにできる制度はありません。受けたいコースが、この3制度のどの類型に当てはまる指定を受けているかが実質的な判定ポイントです。指定がなければ、内容がプログラミングでも対象外です。
支給を受けるための条件
講座が指定を受けていても、本人が要件を満たさなければ支給されません。3制度に共通する主な要件は次のとおりです(専門実践のみ初回要件が異なります)。
| 要件 | 一般・特定一般 | 専門実践 |
|---|---|---|
| 受講開始日までの被保険者期間 | 3年以上(初回は1年以上) | 3年以上(初回は2年以上) |
| 前回受給からの被保険者期間 | 新たに3年以上 | 新たに3年以上 |
| 離職者の場合、資格喪失日から受講開始日までの期間 | 原則1年以内(妊娠・出産・育児・疾病等の理由で適用対象期間が延長された場合は最大20年以内) | 同左 |
(出典:厚生労働省の各給付金パンフレット、2026年9月1日確認)
離職者も在職者もどちらも対象になり得ますが、離職してから時間が経ちすぎると対象外になる点は見落としやすいところです。退職後すぐに使う予定がなくても、被保険者期間や離職日はメモしておくと後で確認しやすくなります。
失業保険をもらいながらプログラミングスクールに通う手順
失業保険(基本手当)を受給しながらプログラミングスクールに通うこと自体はできます。ただし、通う講座が「専門実践教育訓練」の指定を受けているかどうかで、手続きも、求職活動実績の扱いも変わります。
指定を受けた専門実践教育訓練の場合の手順
- ハローワークで求職申込みをし、基本手当の受給資格決定を受ける
- 通いたい講座が専門実践教育訓練の指定を受けているか、教育訓練給付金講座検索システムで確認する(前述)
- 訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受ける
- 受講開始日の2週間前までに、「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」とジョブ・カード、本人確認書類を管轄ハローワークへ提出する
- 受講中は、ハローワークが指定する認定日(基本手当は原則4週に1回)に出頭し、失業の認定を受ける
(出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」、2026年9月確認)
認定日は、教育訓練講座の受講日と重なっても原則変更されません。 昼間通学制など受講日の変更が難しい講座を選ぶ場合は、先に認定日の予定を確認しておく必要があります(出典:厚生労働省パンフレット)。
基本手当と教育訓練支援給付金は同時にはもらえない
離職者向けに、専門実践教育訓練を受講中の生活を支える「教育訓練支援給付金」という別制度があります。基本手当への上乗せではなく、基本手当の支給が終わったあとに始まる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 専門実践教育訓練給付金の受給資格がある離職者で、受講開始時45歳未満・通信制ではない講座・受講開始日が令和9年3月31日以前など |
| 支給額 | 基本手当日額の60%(令和7年4月1日以降に受講開始した場合)。令和7年3月31日以前に受講開始した場合は80% |
| 基本手当との関係 | 基本手当の支給を受けられる期間は支給されない。基本手当の支給が終わったあとに支給される |
| 出席条件 | ある2か月の出席率が8割未満になると、以後支給されない |
(出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」、2026年9月確認)
指定を受けていない一般的なプログラミングスクールの場合、次に詰まりやすいこと
多くの民間プログラミングスクールは、専門実践教育訓練の指定を受けていません。その場合の一番の詰まりどころは、「スクールに通うこと自体が求職活動実績になるかどうか」です。
- 認定日ごとに、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上の求職活動実績が必要です(初回の認定日は1回以上)(出典:愛知労働局ハローワーク)
- ハローワークや職業相談機関などが実施・紹介する職業訓練・セミナーの受講は実績としてカウントされますが、それに該当しない民間スクールの受講だけでは、実績として認められない場合があります
- 「通っているから大丈夫」と思い込まず、求人への応募など実績になる活動を別に積んでおくか、管轄のハローワークの窓口で「このスクールの受講は求職活動実績になるか」を直接確認してください
専門実践教育訓練の指定講座かどうかは対象講座を自分で確認する方法の検索システムで、求職活動実績になるかどうかは講座名とセットで管轄のハローワーク窓口で、それぞれ別に確認する必要があります。
対象講座を自分で確認する方法
対象講座かどうかは、厚生労働省が運営する「教育訓練給付金講座検索システム」で確認できます(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)。
- 講座名・スクール名・分野などで検索でき、指定を受けている講座であれば、どの制度(一般・特定一般・専門実践)の対象かが表示されます
- 検索してヒットしない場合、その講座は現時点で対象になっていません。広告に「給付金対象」と書かれていても、コース名や開講時期が変わると指定が外れることがあるため、申込み前に必ず自分で検索するのが安全です
- 講座指定は年2回(4月1日・10月1日)行われ、有効期間は3年間です。今対象でも数年後に更新されず対象外になることがあります
スクール側の説明を鵜呑みにせず、検索システムに講座名を打ち込んで自分の目で確認する。ここを飛ばすと、受講後に「対象外だった」と気づくことになります。
申請の流れ
大まかな流れです。細部は制度や在職・離職の別で変わるため、最終的には管轄のハローワークで確認してください。
- 在職・離職の別を確認する(在職中でも申請できますが、窓口や必要書類が異なる場合があります)
- 検索システムで受けたい講座が指定を受けているか確認する
- ハローワークで自分の被保険者期間などの受給資格を確認する(初めて利用する制度かどうかで必要な期間が変わります)
- 講座に申込み、受講する
- 修了後、必要書類(教育訓練修了証明書など)を揃えてハローワークに給付金を申請する
注意しておきたいこと
- 全額が戻るわけではない。 専門実践でも最初の支給は50%分で、残りは資格取得・就職・賃金上昇という条件を満たしてから追加支給されます
- 失業保険(基本手当)とは別の制度。 教育訓練給付金は受講費用の補助で、失業中の生活費である基本手当とは仕組みが異なります
- 指定は入れ替わる。 年2回の指定更新のたびに対象講座は増減するため、申込み直前に検索し直してください
- 「対象」と「全額補助」を混同した勧誘に注意する。 支給率や条件を省いた営業トークもあるため、自分で厚生労働省の一次情報を確認してください
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年6月末に前職を会社都合退職し、ハローワークで求職申込みと失業保険(基本手当)の手続きは経験していますが、教育訓練給付金を使ってプログラミングスクールを受講した経験はありません。
そのため、この記事の制度説明は厚生労働省の公式パンフレットを確認して整理したものです。一方で、ハローワークの窓口は制度ごとに担当が分かれていて、聞きたいことを的確に伝えないと違う窓口を案内されることがある、という感覚は実感としてあります。教育訓練給付金を相談する際も、「失業保険の窓口」と「教育訓練給付の窓口」が別だと前提して、最初から目的をはっきり伝えることをおすすめします。
次にやること
まず、検討しているスクールの講座名を、教育訓練給付金講座検索システム(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で検索してください。 ヒットすれば制度の種類(一般・特定一般・専門実践)が分かります。ヒットしない、あるいは自分の被保険者期間の条件がよく分からない場合は、申込み前に管轄のハローワークの教育訓練給付申請窓口に相談してください。
※本記事は2026年9月時点で確認できた厚生労働省の公式情報と、筆者個人の体験に基づくものです。制度の詳細・自分が対象になるかどうかは、個別の雇用保険加入状況によって異なります。判断に迷う場合は、管轄のハローワークにご確認ください。
出典 - 厚生労働省「一般教育訓練給付金のご案内」https://www.mhlw.go.jp/content/001159380.pdf (2026年9月1日、原文をPDFで確認) - 厚生労働省「特定一般教育訓練給付金のご案内」https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/001662019.pdf (2026年9月1日、原文をPDFで確認) - 厚生労働省「専門実践教育訓練給付金のご案内」https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/001533747.pdf (2026年9月1日、原文をPDFで確認) - 厚生労働省「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内(『専門実践教育訓練給付金』と『教育訓練支援給付金』の申請手続き)」https://www.mhlw.go.jp/content/001529622.pdf (2026年9月23日、原文をPDFで確認) - 愛知労働局ハローワーク「求職活動実績について」https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-hellowork/content/contents/001247424.pdf (2026年9月23日確認) - 厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku_00001.html (検索システムのリンク元、2026年9月1日確認) - 教育訓練給付金講座検索システム https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/