教育訓練支援給付金
- 教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を受講する失業者に対して、基本手当(失業保険)の支給が終わった後や給付制限期間中に、基本手当日額の60%相当(令和7年4月1日以降に受講を開始した場合。それ以前は80%)を支給する制度
- 基本手当と同時には支給されず、基本手当を受給できる期間はこの給付金が出ない仕組み(調査した範囲では)
- 受講開始時45歳未満・昼間通学制の講座であることなど複数の条件をすべて満たす必要がある
- 令和8年度末までの時限措置(調査した範囲では)
- 1専門実践給付金の受給資格を確認
- 2昼間制講座に申込み
- 3支給要件確認の手続き
- 4基本手当を受け切る
- 5訓練中に支援給付金を受給
この記事の内容
この記事は、専門実践教育訓練を受講しながら、失業保険(基本手当)の支給がいずれ終わることに不安を感じている人に向けて書いています。 教育訓練支援給付金は、基本手当の支給が終わったあとや、給付制限期間中でも、訓練を受けている間の生活費を補うために別枠で支給される制度です。この記事では、いくらもらえるか、誰が対象か、いつまで使える制度なのかを整理します。
- 失業保険(基本手当)の支給日数を使い切ったら、訓練期間中の生活費はどうなるのか不安
- 「教育訓練給付金」と「教育訓練支援給付金」の名前が似ていて、何が違うのか分からない
- 制度が延長を繰り返してきたと聞き、今も新しく申請できるのか分からない
結論: 基本手当が使えない期間を埋める制度
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練(専門実践教育訓練給付金の記事で扱った、受講費用の最大80%が戻る制度)を受講している人のうち、失業状態にある人に対して、基本手当日額の60%相当(令和7年3月31日以前に受講を開始した場合は80%)を追加で支給する制度です(雇用保険法附則第11条の2、厚生労働省パンフレット「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」で確認)。
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 何のための制度か | 専門実践教育訓練を受講中の生活費を補う |
| 基本手当(失業保険)と同時にもらえるか | もらえない(雇用保険法附則第11条の2第4項。基本手当の受給期間中・待期期間・給付制限期間は支給されない) |
| いつ生きてくるか | 基本手当の支給が終わったあと、または給付制限期間中に訓練を続けているとき |
| いつまで使えるか | 専門実践教育訓練の受講開始日が令和9年3月31日以前であること(雇用保険法附則第11条の2第1項) |
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練給付金(受講費用の補助)とセットで語られますが、別の給付金です。専門実践教育訓練給付金は「受講費用」を補い、教育訓練支援給付金は「訓練中の生活費」を補う、という役割の違いがあります。
教育訓練支援給付金とは何か
厚生労働省のハローワークインターネットサービスには、次のように記載されています。
専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する方で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす方が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給します。
支給額は「雇用保険の基本手当の日額の60%に相当する額」で、令和7年3月31日以前に受講を開始した場合は「基本手当の日額の80%に相当する額」となっています(雇用保険法附則第11条の2第3項、厚生労働省パンフレットで確認)。この率の切り替えは、雇用保険法の一部改正法(附則第1条)により令和7年4月1日から施行されており、施行日前に受講を開始した人には従前の例(80%)が適用されます(改正法附則第5条)。つまり支給率は受講開始のタイミングによって変わり、2026年9月現在に新しく受講を始める場合は60%が基準になります。
「失業保険が終わったあとも」の意味
この給付金の一番わかりにくいところが、基本手当(いわゆる失業保険)との関係です。雇用保険法附則第11条の2第4項には、基本手当が支給される期間、および給付制限・待期期間などにより基本手当を支給しないこととされる期間は、教育訓練支援給付金を支給しないと明記されています。厚生労働省パンフレットの説明も同じ内容で、次の3点を挙げています。
- 実際に基本手当の支給を受けたかどうかにかかわらず、基本手当の残日数がある場合は支給されない
- 基本手当の手続きを取っていない場合でも、受給資格があれば、離職した日の翌日から1年間は支給されない
- 基本手当の待期期間や給付制限の期間も支給されない
理由は単純で、基本手当が出ている(または出る余地が残っている)間はそちらで生活費をまかなえるため、支援給付金を重ねて出す必要がないという考え方です。つまりこの給付金が実際に効いてくるのは、離職した日の翌日から1年間(基本手当の受給期間に相当する期間)が過ぎ、かつ基本手当の残日数がなくなったあとも、訓練が続いている期間です(雇用保険法附則第11条の2第4項、厚生労働省パンフレットより)。
「失業保険が終わったあとも受け取れる」というタイトルは、この「基本手当が尽きた・出ない期間を埋める」という役割を指しています。基本手当と二重取りできる制度ではない点は、誤解しないよう注意が必要です。
対象になる条件
厚生労働省パンフレット「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」には、教育訓練支援給付金の支給対象者の条件が10項目挙げられています。すべてを満たす必要があります。
| No. | 条件 |
|---|---|
| 1 | 受講開始日に被保険者でない方であって、専門実践教育訓練給付金の受給資格があること |
| 2 | 専門実践教育訓練を修了する見込みがあること |
| 3 | 専門実践教育訓練の受講開始時に45歳未満であること |
| 4 | 受講する講座が、夜間において教育訓練を行う講座その他の就業を継続して教育訓練を受けることができる講座(通信制等)ではないこと |
| 5 | 受給資格確認時に一般被保険者ではないこと(一般被保険者でなくなった後、短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者になっていないことを含む) |
| 6 | 会社などの役員に就任していないこと |
| 7 | 自治体の長に就任していないこと |
| 8 | 今回の専門実践教育訓練の受講開始日より前に、教育訓練支援給付金を受けたことがないこと |
| 9 | 教育訓練給付金を受けたことがないこと(平成26年10月1日より前に受けたことがある場合は例外あり) |
| 10 | 専門実践教育訓練の受講開始日が令和9年3月31日以前であること |
年齢の条件(No.3)にある「受講開始時に45歳未満であること」の判定は、年齢計算に関する一般原則(年齢計算ニ関スル法律第1項・第2項が準用する民法第143条第2項。年齢は出生日を起算日とし、誕生日の前日に満了=加齢する)に従うと考えられます。この原則どおりなら、45歳の誕生日の前々日までに受講を開始すれば「45歳未満」の要件を満たすことになります。ただしこれは教育訓練支援給付金に固有の解釈として厚生労働省パンフレットに明記されているわけではなく、年齢計算全般に適用される一般法の原則からの整理です。受講を検討している講座が対象になるか、自分がすべての条件を満たすかは、専門実践教育訓練給付金の受給資格照会と合わせて、ハローワークの窓口で確認するのが確実です。
支給額と支給のタイミング
教育訓練支援給付金の日額は、原則として離職する直前6か月間に支払われた賃金額から算出した基本手当の日額に相当する額の60%(令和7年3月31日以前に受講を開始した場合は80%)です(厚生労働省パンフレットで確認)。基本手当の日額自体は、直前6か月間の賃金合計額を180で割った額(賃金日額)のおよそ50〜80%で、この賃金日額にも基本手当の日額にも別途上限額が定められています。
厚生労働省の発表(令和8年8月1日からの基本手当日額等の改定)によると、教育訓練支援給付金の対象となる45歳未満の区分での基本手当日額の上限は、30歳未満が7,450円、30歳以上45歳未満が8,270円です(いずれも令和8年8月1日改定分)。これに支給率60%を乗じると、教育訓練支援給付金の日額の事実上の上限は、30歳未満で4,470円、30歳以上45歳未満で4,962円になります(令和7年3月31日以前に受講を開始した場合の80%なら、それぞれ5,960円・6,616円)。この上限額は毎年8月1日に見直される仕組み(雇用保険法第18条、賃金の平均額の変動に応じて自動改定)のため、あくまで2026年9月時点(令和8年8月1日改定分)の数字である点に注意してください。自分の場合の実際の支給額はハローワークの窓口で確認してください。
支給のタイミングは、専門実践教育訓練の受講開始日から2か月ごとに区分した「支給単位期間」ごとに、失業の認定を受けた日数分がまとめて支給される仕組みです(雇用保険法施行規則第27条・第30条で確認)。失業の認定を受けた日の翌日から起算して7日以内に、その支給単位期間の分が支給されます(同施行規則第30条)。
いつまで使える制度か
雇用保険法附則第11条の2第1項には、教育訓練支援給付金の対象となるのは「令和9年3月31日以前」に専門実践教育訓練を開始した人、と明記されています。厚生労働省パンフレットの対象条件10項目のうち10番目にも同じ期限が挙げられており、厚生労働省のハローワークインターネットサービスの「令和8年度末までの暫定措置」という表現も、これと同じ区切り(2027年3月末)を指しています。
この給付金は、これまでも期限を区切った時限措置として運用され、期限が来るたびに延長されてきた経緯のある制度です(専門実践教育訓練給付金の記事でも触れた点です)。今回確認できた「令和9年3月31日以前に受講を開始すること」という期限も、今後の法改正によって延長される可能性・延長されない可能性の両方があります。受講開始のタイミングが令和9年3月に近い場合は、制度が続いているかを事前にハローワークで確認してください。
申請の手続きと注意点
教育訓練支援給付金を受けるには、受講を開始する前に「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」をハローワークへ提出する受給資格確認の手続きが必要です。この手続きは、受講開始日の2週間前までに行う必要があり、代理人・電子申請・郵送による手続きはできません(雇用保険法施行規則第27条、厚生労働省パンフレットで確認)。専門実践教育訓練給付金の手続き(受講開始日の2週間前までに、本人または代理人の来所・電子申請・郵送のいずれかで提出)とは、この点が異なります。
専門実践教育訓練給付金の受給資格照会を行うタイミングと合わせて、教育訓練支援給付金についても対象になるかをハローワークの窓口で確認しておくと、受講開始後に慌てずに済みます。
実体験について、正直に書きます
正直に書きます。私自身は2026年6月末に前職を会社都合で退職し、離職票を待ってハローワークで失業保険(基本手当)の手続きをした経験はありますが、専門実践教育訓練も教育訓練支援給付金も利用していません。そのため、この記事の支給条件・支給率・時限措置に関する説明は、自分の体験ではなく、厚生労働省の公式ページと複数の情報源を調査した内容の整理です。基本手当の手続きでハローワークの窓口とやり取りした際、担当者が制度の細かい条件まで丁寧に説明してくれた感触はありますが、それ以上のことは書いていません。
次にやること
専門実践教育訓練の受講を検討している、または既に受講している場合は、教育訓練支援給付金の対象になるかをハローワークの窓口で確認してください。 特に、基本手当の支給が終わる時期が見えてきたタイミングで確認しておくと、生活費の見通しが立てやすくなります。退職の意思表示や有給消化の交渉自体が負担になっている場合は、退職代行という方法もあります。
※本記事は2026年9月時点で確認できた情報の整理と、筆者個人の体験に基づくものです。支給率・上限額・時限措置の期限は制度改正により変わることがあるため、実際の受給にあたっては最寄りのハローワークで最新の内容をご確認ください。
出典 - 雇用保険法附則第11条の2(教育訓練支援給付金)・第4項(基本手当との併給調整) taishoku/laws/雇用保険法.txt(2026年9月1日、本文を直接確認。支給率60%、受講開始期限「令和9年3月31日以前」、併給調整の規定を条文で確認) - 雇用保険法の一部改正法 附則第1条(施行期日=令和7年4月1日)・第5条(教育訓練支援給付金の支給に関する経過措置) taishoku/laws/雇用保険法.txt(2026年9月1日確認。支給率が令和7年4月1日を境に切り替わる経過措置を条文で確認) - 雇用保険法施行規則第25条〜第31条(教育訓練支援給付金の受給資格・支給単位期間・支給手続) taishoku/laws/雇用保険法施行規則.txt(2026年9月1日確認。受講開始日の14日前までの受給資格確認手続き、2か月ごとの支給単位期間、失業認定翌日から7日以内の支給を条文で確認) - 厚生労働省パンフレット「専門実践教育訓練の『教育訓練給付金』のご案内」(専門実践教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の申請手続き)PL080801保02 https://www.mhlw.go.jp/content/001529622.pdf (2026年9月1日WebFetch・Readで確認。教育訓練支援給付金の対象条件10項目、支給額の算定方法、代理・郵送・電子申請不可の申請ルール、2か月に1回の失業認定を確認。年齢区分ごとの具体的な上限円額はこのパンフレットには記載がなく、別途「基本手当日額の計算式及び金額」の資料で確認した) - ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html (2026年9月1日WebFetchで確認。「令和8年度末までの暫定措置」の記載を確認) - 厚生労働省 報道発表「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74837.html (2026年9月6日WebFetchで確認。令和8年8月1日改定の基本手当日額上限: 30歳未満7,450円・30歳以上45歳未満8,270円) - 雇用保険法第18条(基本手当の日額の算定に用いる賃金日額の範囲等の自動的変更) taishoku/laws/雇用保険法.txt(2026年9月1日、本文を直接確認。上限額が年度ごとの平均給与額の変動に応じて毎年8月1日に自動改定される仕組みを確認) - 民法第143条第2項(暦による期間の計算) taishoku/laws/民法.txt(2026年9月1日、本文を直接確認)。年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)第1項・第2項が民法第143条を準用し、年齢は誕生日の前日に加齢する、という一般原則をWebSearchで確認(2026年9月1日)