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失業中の国民健康保険料

ぜんたいの流れ
  1. 1退職した年を確認
  2. 2国保の支払額を集める
  3. 3源泉徴収票を用意する
  4. 4申告書に書く
  5. 5提出する
  6. 6還付金が届く
この記事の内容
  1. 結論:国保料は払った分が全額、控除に入る
  2. なぜ失業中は申告が必要になりやすいのか
  3. 国保料のどの分が控除に入るのか
  4. 退職した年の保険料は、思ったより少ない
  5. 手順:必要な書類を集める
  6. 計算例:9月末に退職したAさんの場合
  7. 手順:申告書にどう書くか
  8. 所得がない年こそ、住民税の申告を出す
  9. チェックリスト:申告の前に確かめること
  10. 失業中のお金の不安を、1人で抱えなくて大丈夫
  11. 次にやること

失業中に払った国民健康保険料(国保)は、確定申告で「社会保険料控除」として税金を軽くする材料になります。 「払った年の分」を「実際に払った額」で入れるのが基本です。 この記事は、退職した年に国保を払い始めた人に向けて、何を集めて、申告書のどこに書くかを順に説明します。

結論:国保料は払った分が全額、控除に入る

先に全体像です。

  • 国保料は「社会保険料控除」の対象。払った金額の全額が、その年の所得から引ける(所得税法74条。国税庁タックスアンサーNo.1130)
  • 住民税にも同じ控除がある(地方税法34条1項3号、314条の2第1項3号。手元の条文で確認)
  • 対象は「その年に実際に払った額」。請求された額ではなく、納めた額
  • 退職した年は、会社で引かれた健康保険・厚生年金の分と、自分で払った国保の分を足して申告する
  • 払いすぎた所得税があれば、確定申告で戻ってくる(還付申告)

つまり、国保を払った人は、申告書に「払った額」を書くだけで税金が軽くなります。

なぜ失業中は申告が必要になりやすいのか

会社員は、年末調整で会社が控除の手続きをしてくれます。 退職すると、その年の年末調整は受けられないことが多いです。

退職した年の流れは、おおよそ次のとおりです。

  • 退職まで:給料から所得税が引かれ続けている(月ごとの概算)
  • 退職後:年末調整がないので、概算で引かれた税金が精算されないまま残る
  • 結果:払いすぎの所得税が戻らない状態になる

この精算を自分でやるのが、確定申告です。 還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、年が明けた1月1日から出せます(所得税法122条。国税庁タックスアンサーNo.2030)。 期限は、対象の年の翌年1月1日から5年間です(還付請求の消滅時効。国税通則法74条1項、国税庁No.2030。e-Govの法令データで確認)。

退職後に再就職して、その年のうちに新しい会社で年末調整を受けた場合は、事情が変わります。 前の会社の源泉徴収票を新しい会社に出せば、会社が合算してくれます。 ただし、国保料を払っていた期間があるなら、その分は会社の年末調整に自分で申告するか、確定申告で入れることになります。

国保料のどの分が控除に入るのか

迷いやすい点を、表にまとめます。

払ったもの 控除に入るか 補足
国民健康保険料(国保税の自治体もある) 入る その年に納めた分
前の年の分を、今年に払った 入る(今年の分として) 払った年で数える
来年の分を、前払いした 入る(払った年で数える) 前払いの期間が1年以内なら、払った年分に入る(国税庁No.1130のQ&A、所得税基本通達74・75-2)
まだ払っていない分 入らない 請求書が来ていても、納めていなければ対象外(その年に実際に支払った金額が対象)
任意継続の保険料 入る 国保ではなく健康保険だが、同じ控除(健康保険の保険料はNo.1130の対象に挙がっている)
国民年金保険料 入る 別枠で合計に足す。証明書の添付が要る(No.1130)
家族の分を、自分が払った 入る 生計を一にする家族の分を払った人が使える

「その年に」の数え方は、納めた日で決まります。 口座振替なら、引き落とされた日です。 12月分が1月に引き落とされるなら、翌年の分に入ります。

払った人が控除を受けます。 世帯主の口座から家族の分を払っていたなら、世帯主の控除になります。 家族の分を、家族の名義で払っていたなら、その家族の控除です。

(国税庁タックスアンサーNo.1130のQ&Aは、後期高齢者医療制度の保険料を例に、口座振替で払った場合は口座の名義人が控除を受けると答えている。国民年金保険料の例では、生計を一にしていた期間に払った分だけが対象。国保料も、払った人が生計を一にする親族の分を払った場合に控除できる(所得税法74条。e-Govの法令データで確認)。2026年10月確認)

退職した年の保険料は、思ったより少ない

退職した年の国保料は、年額の一部になります。 国保に入ったのが10月なら、その年に払う回数は数回です。

保険料の納付は、自治体によって回数も時期も違います。 普通徴収の納期は、6月から翌年3月までの年10回とする自治体が多く見られます(東京都中央区・鹿児島市の案内。2026年10月確認)。 年度の途中で入った場合の開始月と回数は、加入の時期によって変わります(柏市の案内)。 入った時期によっては、その年に払うのが数回だけ、ということもあります。 【各自確認:お住まいの市区町村の納期(回数と時期)。納付書か自治体の国保の案内ページで確認】

つまり、退職した年の控除は小さく、翌年は大きくなります。 翌年に収入がほとんどない場合は、所得税が元々ゼロに近いので、国保料の控除で戻る税金がありません。 ここで意味を持つのが、住民税の申告です(後で書きます)。

手順:必要な書類を集める

確定申告の前に、次の3つを集めます。

  • 源泉徴収票(退職した会社から届く。会社には、退職の日以後1か月以内に本人へ渡す義務がある。所得税法226条)
  • 国保料を払った額がわかるもの
  • 本人確認の書類(マイナンバーカード、または番号確認書類と身分証)

国保料の証明は、次のどれかで足ります。

  • 自治体から届く「国民健康保険料(税)納付済額のお知らせ」(名前は自治体で違う。前年1年間の納付額を、1月下旬に世帯主あてに送る自治体がある。東京都文京区・横浜市・仙台市の案内。送付時期は自治体ごとに違う。2026年10月確認)
  • 納付書の領収印、口座の引き落とし履歴、通帳の記録

「納付済額のお知らせ」が届く前でも、通帳の記録を足し算すれば同じ数字が出せます。 送られてくる書類は、あくまで合計を確認するための道具です。

源泉徴収票が手元にない場合は、退職した会社に再発行を頼みます。 源泉徴収票は、会社が出す義務のある書類です(所得税法226条)。

計算例:9月末に退職したAさんの場合

読者の状況を、1つ仮置きして計算します。 あくまで例で、実際の金額は人によって変わります。

【前提(すべて仮置き)】

  • 9月末に退職。1〜9月の給料は月30万円で、合計270万円
  • 源泉徴収票に書かれた「社会保険料等の金額」は40万5千円(会社で引かれた健康保険・厚生年金・雇用保険の合計の仮置き)
  • 源泉徴収票に書かれた「源泉徴収税額」は6万3千円(仮置き)
  • 10月から国保に加入。年内に実際に払った国保料は6万円
  • 10月以降は無職で、収入はなし。扶養する家族はいない

【計算】

項目 金額 計算の根拠
給与収入 270万円 源泉徴収票の「支払金額」
給与所得控除 89万円 収入270万円×30%+8万円(所得税法28条。令和8年分は収入220万円超360万円以下の区分。国税庁No.1410)
給与所得 181万円 270万円−89万円
社会保険料控除 46万5千円 会社分40万5千円+国保6万円
基礎控除 104万円 合計所得が489万円以下の区分(令和8年分。国税庁No.1199)
課税所得 30万5千円 181万円−46万5千円−104万円(千円未満切り捨て)
所得税 約1万5,500円 30万5千円×5%=1万5,250円(税率は195万円以下が5%。所得税法89条、国税庁No.2260)。復興特別所得税2.1%を加えて1万5,570円、100円未満切り捨て
払いすぎ(還付) 約4万7,500円 源泉徴収税額6万3千円−所得税1万5,500円

給与所得控除と基礎控除は、令和7年分・令和8年分と続けて改正されています。 令和8年分の改正は、令和8年12月1日に施行されます(国税庁No.1199、No.1410)。 この計算は令和8年分(2026年分)の表で行っています。 申告する年分が違う場合は、その年分の表で計算し直してください。

【国保を入れなかった場合との比べ】

国保の6万円を入れ忘れると、課税所得は36万5千円になります。 所得税は約1万8,600円で、還付は約4万4,400円です。 入れた場合との差は、約3,100円です。

住民税の所得割は、標準で10%(道府県民税4%、市町村民税6%。地方税法35条、314条の3。手元の条文で確認)です。 政令指定都市に住んでいる人は、道府県民税2%・市民税8%で、合計は同じ10%です。 国保の6万円分は、翌年度の住民税でも約6,000円ほど軽くなる計算です。 (住民税の所得割は前年の所得で決まるため。控除の根拠は地方税法34条1項3号・314条の2第1項3号) 住民税は自治体の決定で変わるので、金額はあくまで目安です。

国保の控除だけを見ると、金額は大きくありません。 ただ、源泉徴収された6万3千円のうち、約4万7千円が戻ってくること自体が、申告をする一番の理由です。 国保を入れ忘れても、還付の申告自体はできます。後から「更正の請求」で、還付を増やす方向に直すこともできます(国税通則法23条。e-Govの法令データで確認)。 期限は、原則として法定申告期限から5年以内です(国税庁No.2026)。還付申告をした場合は、還付申告書を出した日から5年以内です(国税庁No.2030)。

手順:申告書にどう書くか

申告書の書き方は、次の順です。 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作ると、画面の質問に答えるだけで書けます。

  1. 源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」を入力する
  2. 「社会保険料控除」の欄に進む
  3. 「国民健康保険料」の項目に、年内に払った額の合計を入れる
  4. 国民年金を払っていれば、その額も別の項目に入れる
  5. 入力を終えたら、還付される金額が表示される
  6. e-Taxで送る、または印刷して税務署に出す

紙の申告書で書く場合は、第一表の「社会保険料控除」の欄に、会社分と国保分を足した合計を書きます。 内訳は、第二表の「社会保険料控除」の欄に、種類ごとに書きます。

国税庁のNo.1130で、金額を証する書類の添付や提示が必要と書かれているのは、国民年金保険料と国民年金基金の掛金です。 国保料は、この対象に挙がっていません。 なお、令和8年分の申告(令和9年1月1日以後に提出)では、国民年金の証明書の代わりに、一定の事項を書いた明細書を添付する方法も使えます(同No.1130)。

更正の請求は5年以内にできるので、払った記録は5年間は手元に置いておくと安心です。

所得がない年こそ、住民税の申告を出す

退職した翌年に、収入がほとんどない場合を考えます。 所得税はゼロなので、確定申告をしても戻る税金はありません。

それでも、住民税の申告(市区町村に出す)は、出しておく意味があります。

  • 国保料は、前年の所得をもとに決まる(保険料の計算の仕組み)
  • 所得の申告がないと、自治体が所得を把握できず、軽減が使えないことがある
  • 国保料の軽減(所得が低い場合の7割・5割・2割の軽減。国民健康保険法施行令29条の7第6項)は、所得の確認が前提
  • 世帯の加入者全員の前年所得が確認できないと、軽減の判定ができない自治体がある(自治体の案内。申請なしで市が所得を確認する自治体もあり、運用は自治体で違う)
  • 申告がなければ、「所得なし」の扱いにならず、高めの保険料が出てしまうことがある

【各自確認:お住まいの市区町村で、軽減の判定基準額と、所得の申告が必要かどうか。市区町村の国保の案内ページか窓口で確認】

住民税の申告は、毎年1月1日に住んでいた市区町村に出します(地方税法45条の2、317条の2。手元の条文で確認)。 提出期限は、3月15日です(同条1項)。

「収入がなかったから出さなくていい」と思う人が多いのですが、出すことで国保料が下がるなら、先に出す価値があります。

倒産・解雇や、雇止めなどで離職し、雇用保険で「特定受給資格者」または「特定理由離職者」と認められた人には、前年の給与所得を30%とみなして保険料を計算する軽減もあります(国民健康保険法施行令29条の7の2。e-Govの法令データで確認。厚生労働省の案内)。 対象期間は、離職の日の翌日が属する年度の翌年度の末日までです(同条2項)。 対象かどうかは、雇用保険受給資格者証の離職理由コード(11・12・21・22・23・31・32・33・34)で見分けます(厚生労働省のQ&A)。 多くの自治体で届出が必要で、別の記事で詳しく書いています(厚生労働省のページに手続の記載はなく、手続は自治体の窓口で確認。2026年10月確認)。

運営者自身も会社都合で離職し、この軽減措置を使えました。 任意継続より国保のほうが保険料は安くなりました。

【各自確認:ご自身の離職理由が対象になるか。雇用保険受給資格者証の離職理由コードを持って、市区町村の国保の窓口で確認】

チェックリスト:申告の前に確かめること

□ 源泉徴収票を、退職した会社すべてから受け取った □ 退職した年に払った国保料を、通帳や領収書で足し算した □ 「払った日」が12月31日までのものだけを数えた □ 前の年の分を今年に払っていたら、今年の分に入れた □ 国民年金を払っていたら、控除証明書を取り寄せた □ 家族の国保料を自分が払っていたなら、その額も数えた □ 収入がなかった年でも、住民税の申告が要るかを市区町村に聞いた

1つずつ確かめれば、書き間違いはほとんど防げます。

失業中のお金の不安を、1人で抱えなくて大丈夫

退職したあとの国保料は、収入が減った中で払うには重い金額です。 「払うので精一杯で、申告まで気が回らない」という気持ちは、自然なことです。

申告は、戻ってくる税金があるなら、慌てて出さなくても5年以内なら間に合います。 まずは、源泉徴収票を手元に置くところから始めれば足ります。

国保料の支払いが苦しいときは、減免や分割の相談ができます。 それは、別の記事にまとめています。 体調やお金のことで追い込まれていると感じたら、役所の窓口や、心身の不調なら医師への相談を先にしてください。

申告を人に頼みたいなら、税務署の相談窓口(無料)があります。 税理士に頼む場合は、料金が事務所ごとに違うので、先に見積もりを聞いてください。

次にやること

まず、通帳の記録から「退職した年に、国保料として払った金額の合計」を書き出してください。 その数字と源泉徴収票があれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、申告書は作れます。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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