アルバイト・パートの雇用保険加入条件
- 1契約書で所定時間を見る
- 2週の合計を計算
- 3雇用見込みを確認
- 4給与明細を見る
- 5未加入なら相談
この記事の内容
- 先に言っておく。加入の話を聞きづらいのは、当たり前のこと
- 結論:入れるのは「週20時間以上」+「31日以上の見込み」
- 「週20時間」は、実際に働いた時間ではなく契約上の時間
- 「31日以上の見込み」は、契約期間だけで決まらない
- 昼間学生は、条件を満たしても入れないのが原則
- 2028年10月から、条件は「週10時間以上」に広がる
- 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件とは、別の話
- 失業保険をもらうには、加入していた「期間」も必要
- 入れるはずなのに入っていないかを確かめるチェックリスト
- 条件を満たしているのに、入っていなかったときの動き方
- 次にやること:今日、契約書で「週の所定労働時間」を1つ数える
- 出典・確認した範囲
- 出典(2026年9月23日調査)
アルバイト・パートで働いていて、「自分は雇用保険に入れるのか」「辞めたら失業保険(基本手当)はもらえるのか」を知りたい人に向けた記事です。 結論から言うと、目安は「週の所定労働時間が20時間以上」で、「31日以上働く見込みがある」ことです。この2つを満たすと、アルバイトでもパートでも、会社が加入の手続きをする対象になります。 契約書で確かめる場所、週の時間の数え方、入れていなかったときの動き方の順に書きます。
先に言っておく。加入の話を聞きづらいのは、当たり前のこと
パートやアルバイトだと、「うちは短時間だから」と言われて、そのまま聞けずにいる人は少なくありません。 辞めたいと思っている状況で、会社に保険の話を切り出すのは、それだけで気が重いものです。聞けなかったからといって、あなたが悪いわけではありません。
雇用保険は、名前や働き方ではなく、契約の中身で決まる制度です。感情ではなく、数字で確かめられます。この記事は、その確かめ方を先に渡すためのものです。
なお、筆者は2026年に退職し、失業保険の手続きをハローワークで実際に行いました。ただし、パート・アルバイトとして雇用保険の加入条件を確かめた経験はありません。以下は、調査した範囲での一般的な整理です。最終的な判断は、会社の手続きとハローワークの確認で決まります。
体の不調が続いているときは、手続きより先に、医師(会社に産業医がいれば産業医)に相談してください。休むべきかどうかの判断は、この記事ではしません。
結論:入れるのは「週20時間以上」+「31日以上の見込み」
| 条件 | 内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 働く時間 | 1週間の所定労働時間が20時間以上 | 雇用保険法6条 |
| 見込み | 同じ会社で31日以上雇用される見込みがある | 雇用保険法6条 |
| 例外 | 昼間学生は、原則として入れない | 雇用保険法6条 |
「アルバイトだから」「パートだから」という名前は関係ありません。厚生労働省の案内でも、常用・パート・アルバイト・派遣といった呼び名や雇用形態にかかわらず、条件を満たせば被保険者になるという考え方です。
また、加入の手続きは会社の義務です。本人が「入りたい」と申し出て初めて入るものではありません。
「週20時間」は、実際に働いた時間ではなく契約上の時間
数えるのは、所定労働時間です。所定労働時間とは、契約書や労働条件通知書に書かれた「本来働く時間」のことです。
| 数える | 数えない |
|---|---|
| 契約上の1日の労働時間×週の勤務日数 | 休憩時間 |
| 週によって決まっている固定シフトの時間 | たまたま入った残業・臨時の追加シフト |
シフト制で週の時間が毎週違う場合は、1周期分(例: 4週間のシフト表なら4週間分)の平均が週20時間以上かどうかで判断されます(厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き」。2026年9月確認)。
週の所定労働時間の計算例
前提を仮置きします。あなたが飲食店のアルバイトで、契約書にこう書いてあるとします。
- 勤務日: 週4日
- 勤務時間: 9:00〜15:00
- 休憩: 1時間(無給)
| ステップ | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1日の拘束時間 | 15:00−9:00 | 6時間 |
| 休憩を引く | 6時間−1時間 | 5時間 |
| 週に直す | 5時間×4日 | 20時間 |
20時間ちょうどは「20時間以上」に入るので、条件を満たします。
同じ仕事で、勤務が週5日・1日3.5時間(休憩なし)なら、3.5×5=17.5時間です。この場合は20時間に届かないので、現行の制度では対象外です。週に1時間の差で結果が変わるため、休憩を引き忘れないことが大事です。
「31日以上の見込み」は、契約期間だけで決まらない
雇用契約が「1か月更新」でも、それだけで31日未満と決まるわけではありません。契約書に更新する旨の明示があれば、雇入れの当初から31日以上の見込みがあるものとして扱われます。更新するとも更新しないとも書かれていない場合でも、同じ契約で働く人が実際に31日以上更新されてきた実績があれば、見込みありと判断されます(厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き」。2026年9月確認)。
逆に、次のような場合は31日以上の見込みがないと見られやすくなります。
- 契約書に「契約期間30日以内、更新なし」と明記されている
- 短期のイベント・繁忙期だけの雇用と、はっきり決まっている
「なんとなく短期のつもり」ではなく、書面に何と書いてあるかが基準です。
昼間学生は、条件を満たしても入れないのが原則
学校教育法上の学校などに昼間通っている学生・生徒は、週20時間以上でも、原則として雇用保険の被保険者になりません(雇用保険法6条の適用除外)。 夜間や通信制の学生は、昼間学生ではないので、条件を満たせば入れるという整理です。詳しい判断は、通っている学校の種類や状況によるため、迷うときはハローワークの確認が確実です。
2028年10月から、条件は「週10時間以上」に広がる
雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号、2024年5月成立)により、2028年10月1日(令和10年10月1日)から、週の所定労働時間の条件が「20時間以上」から「10時間以上」に引き下げられる予定です。 雇用保険法の附則で、適用除外を定める第6条第1号の改正が令和10年10月1日に施行されることが定められており、複数の社会保険労務士事務所の解説でも新しい基準は「週10時間以上」とされています(2026年9月確認)。
| 時期 | 週の所定労働時間の条件 |
|---|---|
| 〜2028年9月 | 20時間以上 |
| 2028年10月〜 | 10時間以上 |
今日この時点(2026年9月)で週10〜19時間の人は、まだ対象ではありません。「もうすぐ変わるから今も入れる」ではないので、混同しないでください。
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件とは、別の話
「106万円の壁」など、健康保険・厚生年金の話と雇用保険の話は、条件が別です。雇用保険は「週20時間」、社会保険は「週20時間以上に加えて、賃金や会社の規模などの条件」があります(社会保険の適用拡大は段階的に変わっているため、最新の条件は日本年金機構・厚生労働省の案内で確認してください)。 どちらか一方に入っていても、もう一方に入っているとは限りません。給与明細で、それぞれの保険料が引かれているかを別々に見ます。
失業保険をもらうには、加入していた「期間」も必要
条件を満たして加入していても、辞めたときにもらえるかは、加入期間で決まります。
| 辞め方 | 必要な加入期間 | 出どころ |
|---|---|---|
| 自己都合で辞めた | 離職前の2年間に、被保険者期間が通算12か月以上 | 雇用保険法13条 |
| 倒産・解雇など会社都合、または正当な理由のある自己都合 | 離職前の1年間に、被保険者期間が通算6か月以上 | 雇用保険法13条 |
被保険者期間の1か月は、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月(または、その月の労働時間が80時間以上)で数えます(雇用保険法14条)。 つまり、入っているだけでなく、ある程度の期間、ちゃんと入っている必要があります。まだ加入して日が浅い人は、辞める時期の見通しを立てるときに、この期間を頭に置いてください。
入れるはずなのに入っていないかを確かめるチェックリスト
□ 契約書か労働条件通知書で、週の所定労働時間を確かめた(休憩を引いて計算した) □ 週20時間以上になっている □ 契約書に「契約期間30日以内・更新なし」といった記載がないか確かめた □ 昼間学生ではない □ 給与明細に「雇用保険料」の項目があり、実際に引かれている □ 雇用保険被保険者証(加入すると会社が受け取る書類)を見たことがある、または会社に確認した
上の「週20時間以上」から「昼間学生ではない」までを満たしているのに、給与明細に雇用保険料が引かれていなければ、未加入の可能性があります。
条件を満たしているのに、入っていなかったときの動き方
会社が手続きを忘れていた、または「短時間だから」と加入させていなかった、というケースがあります。 このとき、条件を満たしていたなら、さかのぼって加入できる場合があります。原則は2年分で、雇用契約書や賃金台帳など雇用の事実が確認できる書類が対象です。給与明細や源泉徴収票で雇用保険料が天引きされていた事実まで確認できれば、2年を超えてさかのぼれる場合もあります(厚生労働省・ハローワークの案内。2026年9月確認)。
動く順番は次のとおりです。
- まず、会社の担当者(総務・人事・店長)に、書面かメールで確認する
- 返事がない、または「入れない」と言われて納得できないときは、会社の所在地を管轄するハローワークに相談する
- ハローワークでは、本人から加入の確認を求められる仕組みがある(雇用保険法8条の確認請求。手続きの詳細は個別にハローワークで案内される)
会社に加入状況を確認するときの文例
そのままコピーして、名前や日付を入れ替えて使えます。
件名:雇用保険の加入状況について(お問い合わせ)
総務ご担当者様
お疲れさまです。○○店の(氏名)です。
私の雇用保険の加入状況を確認したく、ご連絡しました。
労働条件通知書では、私の週の所定労働時間は( )時間となっております。
給与明細では雇用保険料が引かれていないように見えますが、
現在の加入状況をご教示いただけますでしょうか。
未加入の場合は、加入の手続きが可能かどうかも
あわせてご確認をお願いいたします。
お手数をおかけしますが、( )月( )日までにご回答をいただけますと助かります。
どうぞよろしくお願いいたします。
(氏名)
責める書き方にせず、事実だけを伝える形にしてあります。返事をもらった日付と内容は、メモか画面のスクリーンショットで残しておくと、あとでハローワークに相談するときに役立ちます。
次にやること:今日、契約書で「週の所定労働時間」を1つ数える
いまから確かめるのは1つだけです。契約書(または労働条件通知書)を開いて、「1日の労働時間(休憩を引く)×週の勤務日数」を計算してください。 20時間以上なら、給与明細の「雇用保険料」を見ます。引かれていなければ、上の文例で会社に確認するところから始めれば足ります。 契約書が手元になければ、それも会社に「書面でもらえますか」と頼んで大丈夫です。
アルバイトは週何時間働けば雇用保険に入れますか
週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上働く見込みがあれば対象になります。この2つを満たせば、アルバイトでもパートでも会社に加入の義務が生じます。休憩を除いた契約上の時間で数える点に注意してください。
雇用保険はいつから週10時間で入れるようになりますか
2028年10月1日から、週10時間以上に条件が引き下げられる予定です。今日(2026年9月)の時点では、まだ週10〜19時間の人は対象外です。「もうすぐ変わるから今も入れる」と早合点しないでください。
雇用保険に入っているかは給与明細のどこを見ればいいですか
給与明細の「雇用保険料」の項目が引かれているかを見れば分かります。引かれていれば加入済み、無ければ未加入の可能性があります。契約上の週20時間以上・31日以上の見込みを満たしているのに引かれていないなら、会社に確認する対象です。
学生アルバイトは雇用保険に入れますか
昼間の学校に通っている学生は、原則として入れません。週20時間以上働いていても、昼間学生であることが適用除外の条件になります。夜間・通信制の学生は昼間学生にあたらないため、条件を満たせば入れます。
雇用保険に未加入だったとき、あとから加入できますか
さかのぼって加入できる場合があります。原則は2年分ですが、給与明細や源泉徴収票で雇用保険料が天引きされていた事実が確認できれば、2年を超えてさかのぼれる場合もあります。まずは会社に確認し、納得できなければハローワークに相談する順番です。
出典・確認した範囲
- 雇用保険法6条(適用除外・加入条件)、8条(確認の請求)、13条(受給資格)、14条(被保険者期間)。条文は本文で確認済み
- 雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)附則により、雇用保険法6条1号の改正(週10時間以上への引き下げ)が2028年10月1日(令和10年10月1日)に施行されることを確認
- 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き」(被保険者資格の取得・喪失編)、厚生労働省・ハローワークの雇用保険の被保険者に関する案内、厚生労働省・京都労働局の遡及加入に関する案内(2026年9月確認)
出典(2026年9月23日調査)
- 雇用保険法 e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116(6条の適用除外・週所定労働時間20時間、13条の受給資格、14条の被保険者期間の数え方を条文で確認。本文の数字と一致)
- 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き【第2編】被保険者資格の取得・喪失編」(令和7年8月版) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001573350.pdf(週20時間・31日以上の見込みの判断基準、シフト制の週平均の算定方法を確認)
- 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律等の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001266437.pdf(2028年10月1日から週所定労働時間の条件が10時間以上になることを確認。本文の数字と一致)
- 厚生労働省「失業等給付の受給資格を得るために必要な『被保険者期間』の算定方法が変わります」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000642296.pdf(自己都合=離職前2年間に12か月以上、特定受給資格者等=離職前1年間に6か月以上、の対応関係を確認。本文の記述と一致)
- 京都労働局「雇用保険料が天引きされていたのに雇用保険に『未加入』とされた方へ」 https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/library/kyoto-roudoukyoku/hoken/koyo/koyo02.pdf(遡及加入は原則2年、天引きの事実が確認できれば2年超も可能であることを確認)