辞めたあとまで分かる退職ガイド 辞める前の不安から、辞めたあとの手続きまで
ホーム › 週3日勤務の社会保険に入る条件

週3日勤務の社会保険に入る条件

この記事の内容
  1. そもそも社会保険とは何を指しているか
  2. 基本ルール:「4分の3基準」を超えたら加入義務がある
  3. 4分の3未満でも入るケースがある(短時間労働者の適用拡大)
  4. 週3日・週4日はどのくらいの時間になりやすいか
  5. 加入すると何が変わるか
  6. 加入したくない/したい、どちらの希望も一存では通らない
  7. 次にやること

週3〜4日のパートやアルバイトで働こうとしていて、「この働き方だと社会保険に入るのか、入らないのか」が分からず不安な人へ。結論から言うと、加入するかどうかは「週3日か4日か」では決まらない。労働時間と収入の2つの基準で機械的に判定される。この記事ではその基準と、実際に自分がどちら側に入るかの見分け方を説明する。

そもそも社会保険とは何を指しているか

ここで言う「社会保険」は、会社員が加入する健康保険と厚生年金保険のこと。これに対して、自営業者やパート・アルバイトで加入条件を満たさない人が入るのが国民健康保険と国民年金になる。どちらに入るかで、保険料の決まり方も将来もらえる年金の額も変わる。

基本ルール:「4分の3基準」を超えたら加入義務がある

一番の基本になるのが、通称「4分の3基準」と呼ばれるルールだ。同じ職場の正社員(通常の労働者)と比べて、

  • 1週間の所定労働時間
  • 1ヶ月の所定労働日数

の両方が4分の3以上であれば、パート・アルバイトでも健康保険・厚生年金への加入義務が発生する(健康保険法第3条第1項第9号、厚生年金保険法第12条第5号。2026年9月、条文で確認)。

正社員が週5日・週40時間勤務の会社であれば、4分の3ラインは目安として週30時間・月15日程度になる。つまり週3〜4日勤務でも、1日の労働時間が長ければこのラインを超えて社会保険に入ることになる。

正社員の所定労働時間 4分の3ライン(目安)
週40時間 週30時間以上
週35時間 週26.25時間以上

※ 会社ごとの正社員の所定労働時間によってラインは変わる。自分の会社の正社員が何時間契約かを確認しないと正確な数字は出ない。

4分の3未満でも入るケースがある(短時間労働者の適用拡大)

ここが誤解されやすい部分だが、4分の3基準を下回っていても、以下の条件をすべて満たすと社会保険への加入対象になる。これは「短時間労働者の適用拡大」という別枠のルールで、次の5つの要件で判定される(日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」2026年9月確認)。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金が8.8万円以上(いわゆる「106万円の壁」の月額換算)
  3. 雇用期間が2ヶ月を超える見込みがある
  4. 学生でない
  5. 勤務先が「特定適用事業所」(従業員数が51人以上の企業。この人数基準は段階的に引き下げられる予定で、2027年10月以降は36人以上、2029年10月以降は21人以上、2032年10月以降は11人以上になる)にあたる

つまり、週3〜4日でも1日5時間・週20時間を超えて働き、月収が8.8万円を超えていて、勤務先の従業員数が一定規模以上であれば、労働時間が4分の3に届いていなくても社会保険に加入することになる。

月額賃金要件(8.8万円/年収106万円の壁)は、2025年6月に成立した年金制度改正法により2026年10月1日に撤廃される予定だ。 撤廃後は「週20時間以上」「雇用期間2ヶ月超の見込み」「学生でない」「勤務先の規模要件」の4つが基準になり、月収の壁そのものが無くなる。この記事を書いている2026年9月時点ではまだ8.8万円要件は有効だが、10月以降に働き方を判断する人は、月収基準が無くなる前提で考えたほうがよい(日本年金機構、2026年9月確認)。

週3日・週4日はどのくらいの時間になりやすいか

目安として、時給1,200円のパートで考えたシンプルな試算を置く。実際の所定労働時間・賃金は雇用契約書に書かれた数字で判断されるので、あくまで感覚をつかむための表として見てほしい。

勤務日数 1日の労働時間 週の労働時間 4分の3基準(週30h)を超えるか
週3日 5時間 15時間 超えない
週3日 8時間 24時間 超えない(20h超のため短時間労働者要件は該当しうる)
週4日 6時間 24時間 超えない(同上)
週4日 8時間 32時間 超える

週4日・1日8時間で働くと4分の3基準そのものを超えて社会保険加入になりやすい。週3〜4日でも1日の労働時間が短ければ、4分の3基準には届かなくても、週20時間ラインは超えていることが多く、その場合は月収と勤務先の規模次第で加入対象になる。

加入すると何が変わるか

加入する側にとっての実質的な変化は次の通り。

社会保険(健康保険・厚生年金) 国民健康保険・国民年金
保険料 給料から天引き、会社が半分負担 全額自己負担
将来の年金 厚生年金が上乗せされる 国民年金のみ
傷病手当金 あり(会社を休んだ際の所得補償) なし
扶養(配偶者の社会保険) 抜ける 収入次第で入れる場合がある

保険料は給料から天引きされるため手取りは減るが、会社が保険料の半分を負担してくれる点と、将来の年金額が増える点、病気やけがで働けなくなったときに傷病手当金が出る点は、国民健康保険・国民年金には無い保障になる(健康保険法第99条。休んで3日を経過した日から、標準報酬月額の3分の2相当額が最長1年6ヶ月支給される。2026年9月、条文で確認)。

どちらが得かは一律に言えない。扶養から外れたくない人にとっては加入ラインを超えないよう労働時間を調整する動機になるし、将来の年金や休業時の保障を厚くしたい人にとっては、あえてラインを超える働き方を選ぶ理由になる。ここに「絶対こうすべき」という正解はない。

加入したくない/したい、どちらの希望も一存では通らない

もう一つ知っておいてほしいのは、加入するかどうかは本人の希望では決まらないということ。上記の基準を満たせば会社は加入手続きをする義務があり、満たさなければ本人が「入りたい」と言っても任意で加入することは基本的にできない(会社の規模や制度によって例外はある)。

「扶養の範囲で働きたいのに、シフトを増やされて気づいたら基準を超えていた」というケースは、社労士事務所の解説記事でも繰り返し取り上げられる典型的な論点だ(相談件数そのものを示す公的統計は見当たらない。2026年9月確認)。不安なときは、シフトが決まった時点で自分の週の労働時間と月収がどのラインにいるのか、一度紙に書き出してみると整理しやすい。曖昧なまま働き続けて、給与明細を見て初めて「保険料が引かれている」と気づくよりは、先に確認しておいたほうが精神的な負担は小さい。

次にやること

雇用契約書(または労働条件通知書)に書かれた「1週間の所定労働時間」「1ヶ月の所定労働日数」「月額賃金の見込み」の3つの数字を確認し、勤務先の総務・人事担当に「自分は社会保険の加入対象になるか」を直接確認する。制度の一般論だけでは、自分の会社の正社員の所定労働時間(4分の3基準の基準値)までは分からないため、最終的な判定は勤務先に確認してほしい。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

あわせて読みたい