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業務委託への切り替え

ぜんたいの流れ
  1. 1業務委託を打診
  2. 2雇用保険の資格確認
  3. 3離職票を受け取る
  4. 4給付制限を確認
  5. 5開業か求職か選ぶ
この記事の内容
  1. 業務委託になると雇用保険はどうなるか
  2. なぜ業務委託は雇用保険の対象外なのか
  3. 今の会社に勤めながら副業で業務委託を始める場合
  4. 会社を辞めて業務委託に切り替える場合、失業給付はどうなるか
  5. 計算例|開業を早めに届け出た場合ともらい切った場合の差
  6. 文例|業務委託契約への切替を打診されたときに確認する文面
  7. チェックリスト|切り替える前に確認すること
  8. 次にやること

今の会社から業務委託契約への切り替えを打診された人、または退職して個人事業主になろうとしている人へ。結論から言うと、業務委託に切り替えた時点で雇用保険の被保険者ではなくなる。それでも「切り替える前」に何を確認しておくかで、失業給付や再就職手当を受け取れるかどうかが変わる。ここでは対象外になる理由、退職と同時に切り替える場合の注意点、実際の金額試算まで具体的に答える。

業務委託になると雇用保険はどうなるか

業務委託契約に切り替えた時点で、雇用保険の被保険者資格を失う。雇用保険法上、被保険者になれるのは「適用事業に雇用される労働者」であり(雇用保険法第4条1項、条文を確認)、業務委託(請負・委任)は雇用契約ではないため、そもそも対象に入らない。

会社員として雇用保険に加入していた人が業務委託に切り替わると、会社は資格喪失の手続きをハローワークに提出し、以後は雇用保険料も天引きされなくなる。あわせて健康保険・厚生年金も対象外になり、自分で国民健康保険・国民年金への切り替えが必要になる。この記事では雇用保険(失業給付まわり)に絞って説明する。

なぜ業務委託は雇用保険の対象外なのか

雇用保険が「労働者」を対象にしているのは、会社の指揮命令下で働き、自分の意思で仕事を選べない立場だからこそ、失業時の生活保障が必要という考え方に基づく。業務委託は発注者からの指揮命令を受けず、仕事の進め方や時間配分を自分で決める前提の契約なので、この保護の対象から外れる。

ここで注意したいのは、契約書の名前ではなく実態で判断されるという点だ。労働基準法上「労働者」とは「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいう(労働基準法第9条、条文を確認)。契約は「業務委託」でも、実際には出社時間が決められ、上司から逐一指示を受け、他の仕事を断れないような働き方をしている場合、この「使用される者」に当たると判断され、労働者性が認められて労働基準法・雇用保険の対象になることがある(いわゆる偽装請負の問題)。今の会社に勤めたまま契約形態だけを業務委託に変える話が出ている場合は、実際の働き方がどう変わるのかを先に確認したほうがいい。

今の会社に勤めながら副業で業務委託を始める場合

本業を雇用契約のまま続け、空いた時間で別の業務委託の仕事を受ける場合は、本業の雇用保険には影響しない。本業側で加入要件(31日以上の雇用見込み・週の所定労働時間20時間以上など。雇用保険法第6条の適用除外の裏返し、条文を確認)を満たしていれば、被保険者資格はそのまま続く。副業の業務委託収入について雇用保険上の届出は不要で、税務上の確定申告(副業収入の申告)は別途必要になる。

注意したいのは、本業の雇用契約自体を「週の所定労働時間20時間未満」に減らしたうえで、残りを業務委託に切り替えるような働き方だ。この場合、本業側で加入要件を割り込むと雇用保険の被保険者資格を失う。「一部だけ業務委託化する」という話が出たときは、本業の労働時間がどう変わるのかまで確認したほうがいい。

会社を辞めて業務委託に切り替える場合、失業給付はどうなるか

問題になるのは、今の会社を退職して、個人事業主として業務委託の仕事を始めるケースだ。退職すれば離職票は発行されるが、失業給付(基本手当)を受け取るには「働く意思と能力があり、求職活動をしている」ことが条件になる。

  • すでに業務委託の仕事を始めている、または始める予定が具体的に決まっている場合は「就労中」とみなされ、原則として基本手当は支給されない
  • これから求職活動をする(まだ次の仕事が決まっていない)場合は、通常どおり基本手当の対象になる
  • 自己都合退職の場合、2025年4月の制度改正により給付制限期間は原則1か月に短縮されている。ただし退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合は3か月になる(厚生労働省・都道府県労働局のリーフレット「給付制限期間が短縮又は解除されます」、令和7年4月1日適用、2026年9月確認)

つまり「退職してすぐ個人事業主として業務委託を始める」と「いったん求職者として基本手当を受け、途中で開業する」とでは扱いが変わる。後者のルートを選ぶ場合は、厚生労働省の運用上「個人で事業を開始した場合」も再就職手当の対象に含まれる。条件は次の通り。

  • 基本手当の受給手続き後、7日間の待期期間を満了していること
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること
  • 1年を超えて事業を安定的に継続できるとハローワークが認めること

(雇用保険法第56条の3第1項1号、同法施行規則第82条の2、条文を確認)

計算例|開業を早めに届け出た場合ともらい切った場合の差

前提を1つ仮置きして計算する。基本手当日額6,000円、所定給付日数90日(自己都合退職・被保険者期間5年程度を想定)で試算する。

進め方 内訳 受給額
90日分をすべて求職活動で受け切る 6,000円 × 90日 54万円
30日分を受けた時点(残り60日)で開業を届け出て再就職手当を申請 既受給分 6,000円×30日=18万円 + 再就職手当 6,000円×60日×70%=25万2,000円 43万2,000円

支給残日数60日は所定給付日数90日の3分の2(60日)以上にあたるため、再就職手当の給付率は70%が適用される(残日数が3分の1以上・3分の2未満なら60%。雇用保険法第56条の3第3項1号、条文を確認)。この試算では「全部受け切る」ほうが金額は大きく出るが、その間は求職活動の実績を求められ、業務委託の仕事に本格着手できない。逆に早く開業すれば、43万2,000円を受け取りながら早期に事業を始められる。どちらが得かは金額だけでなく、業務委託の仕事がどれだけ確実に見込めるかで判断したほうがいい。なお実際の基本手当日額・所定給付日数は離職時の賃金・年齢・被保険者期間で個別に決まる(雇用保険法第16条・第22条、条文を確認)ため、この試算はあくまで目安であり、自分の数字はハローワークで確認する必要がある。

文例|業務委託契約への切替を打診されたときに確認する文面

会社から「業務委託に切り替えないか」と打診された場合、雇用保険の扱いを含めて条件を書面で確認するための文面。

件名: 業務委託契約への切り替えについて確認させてください

お疲れ様です。〇〇です。

先日ご相談いただいた業務委託契約への切り替えについて、
進める前に下記を確認させてください。

1. 切り替えの時期と、現在の雇用契約の終了日
2. 雇用保険・社会保険の資格喪失時期、離職票発行の有無
3. 業務委託後の業務内容・指揮命令の範囲(勤務時間や場所の指定があるか)
4. 契約単価・支払いサイト・契約期間
5. 契約書の締結時期

上記を踏まえて検討したいので、契約書案があれば
あわせてご共有いただけますと幸いです。

〇〇

条件が曖昧なまま切り替えに応じると、雇用保険が切れたことに後から気づくケースがある。書面で確認を残しておくと、あとで「聞いていない」を防げる。

チェックリスト|切り替える前に確認すること

  • □ 雇用保険・社会保険の資格喪失日はいつか、会社から確認を取ったか
  • □ 離職票を発行してもらえるか、発行時期はいつか
  • □ 業務委託後も指揮命令(勤務時間・場所の指定)が残らないか
  • □ 退職してすぐ業務委託を始めるか、いったん求職者として基本手当を受けるかを決めたか
  • □ 国民健康保険・国民年金への切り替え手続きの期限(資格喪失日・退職日の翌日から14日以内。自治体の案内ページで確認、2026年9月確認)を確認したか

次にやること

今の契約形態を確認し、「退職してすぐ業務委託を始める」のか「いったんハローワークで求職者として基本手当を受けてから開業する」のかを先に決める。後者を選ぶ可能性が少しでもあるなら、退職前に会社へ離職票の発行時期を確認しておくこと。これを怠ると、あとから基本手当も再就職手当も選べない状態になる。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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