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派遣社員が辞めるとき

この記事の結論
  • 派遣社員の雇用契約の相手は派遣元(実際に働く派遣先ではない)
  • 退職の意思表示は派遣元に伝えるのが原則。派遣先に言うだけでは契約は終わらない
  • 派遣社員の多くは有期雇用のため、民法627条の「2週間ルール」がそのまま使えるとは限らない
  • 契約期間途中でもやむを得ない事由があれば解除できる(民法628条)
ぜんたいの流れ
  1. 1派遣元に退職を伝える
  2. 2契約終了日を確認
  3. 3派遣先へ引き継ぎ
  4. 4最終出勤
  5. 5離職票受け取り
この記事の内容
  1. 結論:契約の相手は派遣元、伝える相手も派遣元
  2. そもそも派遣社員の雇用契約はどこと結んでいるか
  3. 退職を伝える相手は派遣元。派遣先はその相手ではない
  4. 派遣社員の多くは有期雇用|契約期間の途中で辞められるか
  5. 派遣先に直接「辞めたい」と言ってしまった場合はどうなるか
  6. 派遣社員でも退職代行を使っていいか
  7. 派遣を辞めるとき、派遣先に言うのはいつ?手順と時期の目安
  8. 次にやること

派遣社員として働いていて「辞めたい」と思ったとき、多くの人が最初につまずくのがここです。毎日顔を合わせている派遣先(職場)に言うべきか、それとも登録している派遣元(派遣会社)に言うべきか。結論から言うと、雇用契約の相手は派遣元なので、退職の意思表示は派遣元に対して行うのが原則です。この記事ではその理由と、派遣特有の注意点を整理します。

「派遣を辞めたい。派遣先には、いつ、誰に言えばいいのか」と迷っている方へ、先に答えを置きます。

  • 順番は①派遣元(派遣会社)の担当者 → ②退職日が固まってから派遣先です。派遣先に先に言うのは避けてください
  • 派遣先へは、派遣元が連絡してくれることが多く、自分で伝える場合は派遣元に了承をもらってからにします
  • 派遣先で最初に話す相手は、直属の上司が一般的です
  • 伝える時期は、契約満了で辞めるなら満了日の1ヶ月前が目安です(詳しくは下の節)

結論:契約の相手は派遣元、伝える相手も派遣元

項目 派遣社員の扱い 根拠・理由
雇用契約(給与・保険等)の相手 派遣元(派遣会社) 労働者派遣法2条1号(労働者派遣の定義)
実際に指揮命令を受ける相手 派遣先(勤務先) 労働契約はなく指揮命令関係のみ
退職の意思表示を行う相手 派遣元 契約の当事者だから
無期雇用(派遣元との契約に期間の定めがない)の場合 意思表示から原則2週間で終了 民法627条1項
有期雇用(3ヶ月・6ヶ月更新等)の場合 原則、契約期間中の一方的な途中退職は認められにくい 民法628条・労働基準法137条
ここが要点

「派遣先の担当者に気を遣って、なかなか辞めると言い出せない」という声をよく聞きます。ですが、労働条件やシフト、給与を決めているのは派遣先ではなく派遣元です。退職の話をするのが気まずい相手は、実は契約上の当事者ではありません。まずそのことを知っておくだけでも、気持ちの整理がつきやすくなります。

そもそも派遣社員の雇用契約はどこと結んでいるか

派遣という働き方では、登場人物が3者います。

  • 派遣元:派遣会社。派遣社員と雇用契約を結び、給与を支払い、社会保険の手続きを行う
  • 派遣先:派遣社員が実際に出社して働く会社。指揮命令(業務の指示)は行うが、雇用契約は結んでいない
  • 派遣社員:派遣元と雇用契約を結び、派遣先で働く本人

派遣元と派遣先の間には「労働者派遣契約」という別の契約があり、これは会社同士の契約です。派遣社員本人が当事者になっているのは、あくまで派遣元との雇用契約のほうです。労働者派遣法2条1号は、労働者派遣を「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義したうえで、派遣先に労働者を雇用させることを約するものは労働者派遣に含まれないとしています。つまり法律上も、雇用契約は派遣元と結ぶもの、指揮命令だけを派遣先から受けるものと整理されています(派遣元-派遣先間の労働者派遣契約は同法26条)。

つまり、給与を払っているのも、有給休暇を管理しているのも、雇用契約を終了させる権限を持っているのも派遣元です。派遣先は「その人に来てもらって仕事をお願いしている会社」であって、雇用契約上の相手ではありません。

退職を伝える相手は派遣元。派遣先はその相手ではない

雇用契約の相手が派遣元である以上、退職の意思表示も派遣元に対して行うのが原則です。

これは民法627条1項の考え方がそのまま当てはまります。無期雇用契約であれば、派遣元に退職の意思を伝えてから原則2週間で契約は終了します。派遣先の担当者にだけ「もう来られません」と伝えても、雇用契約の当事者に意思表示したことにはならないため、法的にはそれだけでは契約は終わりません。

実務上は、多くの派遣会社が担当の営業(コーディネーター)を窓口として決めています。退職を考え始めたら、まず自分の契約書や派遣元からもらった案内に、退職の連絡先としてどこが指定されているかを確認してください。連絡先が分からない場合は、登録時の担当者、または派遣元のカスタマーセンターに問い合わせれば分かります。

派遣先への引き継ぎや挨拶は、円満に終えるためのマナーとして大切ですが、それは契約を終了させる手続きそのものではありません。この2つを分けて考えると、誰にいつ何を伝えればよいかが整理しやすくなります。

派遣社員の多くは有期雇用|契約期間の途中で辞められるか

ここが派遣社員の退職で一番つまずきやすいところです。派遣社員の雇用契約は、多くの場合「3ヶ月」「6ヶ月」などの期間を定めた有期雇用です。厚生労働省「令和6年度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」では、派遣労働者約220万人のうち有期雇用派遣労働者が約129万人で、全体の約59%を占めています。この場合、民法627条の「2週間で辞められる」がそのまま使えるとは限りません。

有期雇用契約は、契約期間の途中で労働者側から一方的に辞めることが、原則としてやむを得ない事由がない限り認められていません(民法628条)。ただし労働基準法137条は、契約期間が1年を超える有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除く)を結んだ労働者について、契約期間の初日から1年を経過した日以後は、いつでも退職を申し出ることができると定めています(高度専門職・満60歳以上の労働者等、労働基準法14条1項各号に該当する労働者は対象外)。この条文が使えるのは、あくまで「契約期間そのものが1年を超える契約」を結んでいる場合に限られます。

ここで注意が必要なのは、派遣社員の契約はもともと1年を超えないケースが大半だということです。同じ厚生労働省の報告書によれば、派遣元-派遣先間の労働者派遣契約の期間は6ヶ月以内が全体の約96%を占め、1年を超えるものは1%に届きません(派遣社員本人の雇用契約そのものの期間分布を示す公的統計は見当たりませんでした(一次情報は確認できず)。ただし実務上、雇用契約は派遣期間に合わせて結ばれることが多く、この労働者派遣契約の期間分布が目安になります)。つまり、3ヶ月・6ヶ月ごとに契約を更新している場合、通算では1年を超えていても、直近の契約期間そのものが1年に満たなければ、労働基準法137条は適用されません。この場合、契約期間の途中で辞められるかどうかは、民法628条の「やむを得ない事由」があるかどうかで判断することになります。今の契約が何ヶ月契約になっているかは、契約書(就業条件明示書)で確認してください。

やむを得ない事由(体調不良、ハラスメント、契約時に聞いていた業務内容との著しい相違など)がある場合は、契約期間の途中でも直ちに契約を解除できる可能性があります(民法628条)。何が「やむを得ない事由」にあたるかは個別の事情によるため、判断に迷う場合は労働基準監督署や弁護士など専門家に確認してください。

いずれにしても、契約期間の途中で辞めたい場合ほど、まず派遣元に相談することが重要です。契約社員の途中退職全般についての考え方は、別記事「契約社員は契約期間の途中で辞められるか」でも扱っています。

派遣先に直接「辞めたい」と言ってしまった場合はどうなるか

派遣先の担当者と日々やり取りしていると、つい「もう辞めたいんです」と先に漏らしてしまうことがあります。この場合、何が起きるでしょうか。

  • 雇用契約は終了しません。契約の当事者は派遣元なので、派遣先への発言だけでは退職の効力は生じません
  • 派遣先は労働者派遣契約に基づいて派遣元に連絡し、派遣元経由で本人に連絡が来ることが多いです。結果的に話は伝わりますが、正式な退職の申し出としては扱われない可能性があります
  • 場合によっては「契約満了前に派遣先から交代を求められた」という別の話になり、本人の意思による退職と、派遣先都合での契約打ち切りが混ざって分かりにくくなることがあります

こうした行き違いを避けるためにも、辞めたいと思ったら、まず派遣先ではなく派遣元に連絡するという順番を守ることをおすすめします。派遣先への引き継ぎや挨拶は、派遣元との間で退職日が固まってから行っても遅くありません。

派遣社員でも退職代行を使っていいか

使えます。雇用形態が派遣社員であることは、退職代行を利用できるかどうかの条件にはなりません。

ただし、派遣社員特有の事情として次の点は先に知っておくとよいと思います。

  • 退職代行が連絡する相手は、雇用契約の当事者である派遣元になります。派遣先への連絡や引き継ぎの扱いは、依頼する退職代行会社に事前に確認してください
  • 契約が有期雇用(更新制)の場合、契約期間の途中かどうかで対応が変わることがあります。契約書や直近の更新時期を手元に用意しておくと、相談がスムーズです
  • 派遣先との人間関係が理由で辞めたい場合、派遣元に直接言いにくいという声もあります。会社との直接のやり取りに強い不安がある場合、退職代行Jobs、弁護士法人ガイア、退職代行ネルサポート、円満退職ユニオン のような退職代行サービスを使えば、派遣元への退職の意思表示を代行してもらえます(※2026年8月時点の調査。各社のサービス内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください)

派遣を辞めるとき、派遣先に言うのはいつ?手順と時期の目安

派遣先に伝えるのは、最後です。派遣元に伝えてから、退職日が固まるまでの流れを番号で並べます。

  1. 契約書(就業条件明示書)で、今の契約期間の終了日を確認する。契約書が手元に無ければ、派遣元の担当者に聞く
  2. 派遣元の担当者に「相談したい」と連絡する。電話か対面が丁寧とされますが、メールでも伝わります。退職届は不要とする解説が多く、必要かどうかは派遣元の案内に従ってください
  3. 派遣元と、退職日と派遣先への伝え方を決める。「派遣元から連絡する」「自分で伝える」のどちらかを、ここで決めておく
  4. 退職日が固まったら、派遣先へ伝える。自分で伝えるなら、直属の上司に最初に話す
  5. 引き継ぎをして、貸与物(社員証・PC・鍵など)を返し、最終出勤日を迎える

時期の目安は次のとおりです。

状況 派遣元に伝える時期の目安 派遣先に伝える時期
契約満了で辞める(更新しない) 満了日の1ヶ月前まで。派遣元が更新の面談を設ける時期と重なることが多い 派遣元と退職日が固まってから
契約期間の途中で辞める できるだけ早く。やむを得ない事由の有無で扱いが変わる(上の節のとおり) 派遣元の了承を得てから
無期雇用で辞める 民法627条1項では2週間前。円満に引き継ぐなら1ヶ月前が望ましいとする解説がある 派遣元と退職日が固まってから

「1ヶ月前」は法律の数字ではなく、派遣会社の解説サイトで広く目安とされている期間です(2026年10月確認)。派遣元ごとに申し出の期限を定めていることがあるので、契約書や派遣元の案内を先に見てください。繁忙期や月末は避けたほうが、後任の手配が進みやすいとされています。

このあと多くの人が詰まるのは、派遣先の上司に「自分で言って」と言われたときです。この場合も、先に派遣元へ連絡します。「派遣先の上司から直接伝えるよう言われています。私から伝えてよいでしょうか」と確認し、了承をもらってから話せば、派遣元と派遣先の話が食い違うのを防げます。派遣元が先に派遣先へ連絡していることもあるので、行き違いを避けるためにも、先に派遣元です。

派遣元への最初の連絡は、次の文面をそのまま使えます。

件名:退職のご相談(氏名)

○○株式会社 ○○様

お世話になっております。派遣社員の(氏名)です。

現在の契約期間は○月○日までですが、
契約満了での退職を考えており、ご相談したくご連絡しました。

退職日と、派遣先への伝え方について、
ご都合のよいお時間にお話しできますでしょうか。

派遣先には、ご相談のうえで私から伝えます。
(または:派遣先へのご連絡は、お任せしたく存じます。)

どうぞよろしくお願いいたします。

主な出典:シゴトモ「派遣社員が退職するときの流れと注意点」、ハタラクティブ「派遣を辞める時の伝え方は?」、type IT派遣「派遣を辞めるタイミング・伝え方は?」(いずれも2026年10月確認。いずれも民間の解説で、法的な義務を定めたものではありません)。民法627条1項は法令原文。

次にやること

自分の契約書(雇用契約書・就業条件明示書)を確認し、①契約の相手が派遣元のどの会社になっているか、②今の契約期間がいつからいつまでか、の2点を確かめてください。それが分かれば、派遣元への連絡と、2週間ルールが使えるかどうかの判断がはっきりします。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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