住居確保給付金とは
- 家賃は大家に直接振り込まれ、本人の口座には入りません
- 原則3ヶ月、延長で最長9ヶ月まで支給されます
- 「求職活動を続けること」が支給の条件で、怠ると止まります
- 1自立相談支援機関へ相談
- 2必要書類をそろえる
- 3申請書を提出
- 4求職活動を続ける
- 5家賃が大家へ振込
「失業して収入が止まった。次の仕事が決まるまでの間、家賃だけでも何とかしたい」——住居確保給付金は、そういう状況のための公的な家賃補助です。
離職や収入減少から一定期間、家賃相当額を自治体が大家に直接振り込んでくれます。本人の口座にお金が入るわけではなく、家を失わずに求職活動を続けるための制度です。対象になる人の条件、もらえる金額の決まり方、申請の流れを説明します。
結論:家賃相当額を最長9ヶ月、大家に直接振り込む制度
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 生活困窮者自立支援法第6条(生活困窮者住居確保給付金の支給) |
| 対象 | 離職・廃業から2年以内の人、または収入が離職と同程度に減った人 |
| 支給額 | 家賃の実費(ただし自治体・世帯人数ごとの上限額まで) |
| 支給期間 | 原則3ヶ月。求職活動を続ければ3ヶ月ごとに延長し最長9ヶ月まで |
| 振込先 | 本人ではなく大家(賃貸物件の貸主)の口座 |
| 申請窓口 | 各市区町村の自立相談支援機関(社会福祉協議会や福祉課に設置されていることが多い) |
この制度は「家賃を肩代わりしてくれる」制度であって、生活費そのものが振り込まれるわけではありません。混同すると当てが外れます。
対象になるのはどんな人か
対象になるには、大きく分けて3つの要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 離職等要件 | 申請日から2年以内に離職・廃業した人、または個人の責任や都合によらず給与等を得る機会が休業等により減少し、離職・廃業と同程度の状況にある人(後者は2020年4月=令和2年4月の制度改正で追加された区分。出典: 厚生労働省の新型コロナ対応特例措置の事務連絡) |
| 収入要件 | 申請月の世帯収入合計額が、市区町村ごとに定める基準額(生活保護の住宅扶助基準額と同額)と家賃額(上限あり)を足した金額以下であること |
| 資産要件 | 世帯の預貯金合計額が、収入要件の基準額の6倍(ただし上限100万円)を超えないこと(出典: 自治体公式ページ〈三重県伊賀市・東京都江東区〉で確認。世帯人数により基準額は異なる) |
離職していなくても、「シフトが大幅に減って収入が離職と同じくらい落ちた」人も対象に入る点が見落とされがちです。会社を辞めていないから対象外、と自己判断せずに相談窓口で確認したほうがよい制度です。
収入・資産の基準額は世帯の人数と住んでいる市区町村で変わり、全国一律の金額ではありません。正確な金額は、住んでいる自治体の自立相談支援機関に直接確認する必要があります。
いくら・いつまでもらえるか
支給される金額は、実際に払っている家賃の全額ではなく、自治体・世帯人数ごとに定められた上限額までです。上限額を超える家賃を払っている場合、超えた分は自己負担のままになります。
支給期間は次のとおりです。
- 原則として3ヶ月間
- 誠実に求職活動を続けていれば、3ヶ月ごとに延長を申請でき、最長9ヶ月まで支給が続く(新型コロナウイルス対応の特例期間中は最長12ヶ月まで延長されていたが、この特例は令和5年〈2023年〉3月末で申請受付を終了しており、2026年9月時点では原則どおり最長9ヶ月が適用される)
- 9ヶ月(または延長された上限)を超えると、就職が決まっていなくても支給は終了する
振込先は本人の口座ではなく、賃貸物件の大家(または管理会社)の口座です。「家賃を払わなくてよくなる」制度であって、「現金が手元に入る」制度ではありません。ここを取り違えると、生活費の計算が狂います。
申請の流れ
- 自立相談支援機関へ相談する — 市区町村の福祉課や、委託を受けた社会福祉協議会などに設置されている窓口。まずは電話や来所で状況を伝えるところから始まる
- 必要書類をそろえる — 本人確認書類、離職を証明する書類(離職票など)、収入・資産が分かる書類、賃貸借契約書の写しなどが求められる。必要書類は自治体ごとに細部が異なるため、窓口で確認する
- 申請書を提出する — 収入・資産要件を満たしているかの審査が行われる
- 求職活動を続ける — 支給が決定した後も、ハローワークでの求職活動や自治体への定期報告を続ける必要がある(次の見出しで詳しく説明)
- 家賃が大家へ振込まれる — 毎月、決定した金額が大家の口座に直接振り込まれる
申請から実際の振込開始までには審査の期間がかかるため、家賃の支払い期日が迫っている場合は早めに相談窓口へ連絡したほうがよい制度です。
求職活動でやり続けること
住居確保給付金は「求職活動をしている人の家賃を助ける」制度なので、支給が決まった後も一定の求職活動を継続する義務があります。一般的に求められる内容は次のとおりです。
- ハローワークでの求職申込みと、月2回以上の職業相談
- 自立相談支援機関の支援員との月4回以上の面談・相談
- 週1回以上、求人先への応募や面接など、実際の求職活動
(出典: 大阪市・東京都中央区の公式ページで確認。離職・廃業により就労を目指す人に適用される回数で、休業等による収入減少者はやや異なる要件になる)
これらを怠っていると判断されると、支給が途中で打ち切られることがあります。「申請さえ通れば、あとは自動的に振り込まれ続ける」制度ではない点に注意してください。
筆者自身はこの制度を利用した経験はないため、求職活動要件の運用がどれくらい厳密かは、調査した範囲での記載になります。実際の運用の細かさは自治体差もあるため、担当窓口に直接確認してください。
失業保険と一緒に使えるか
住居確保給付金と雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、制度の根拠法も窓口も別で、併用が禁止されているわけではありません。実際、失業保険を受給しながら住居確保給付金も申請するケースは想定されています。
ただし、住居確保給付金の収入要件を判定する際、失業保険の受給額も世帯の収入として計算に含まれます。失業保険の給付額が高い、あるいは世帯に他の収入がある場合、収入要件を超えて住居確保給付金の対象外になることがあります。
失業保険の給付制限期間(自己都合退職の場合、雇用保険法第33条に基づき公共職業安定所長が定める期間。2025年4月1日以降の離職からは原則1ヶ月に短縮された。厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正〈令和7年4月1日施行分〉について」による。5年以内に2回以上自己都合退職している場合などは原則3ヶ月のまま)の間は、失業保険がまだ振り込まれず収入が特に厳しくなる時期です。この期間の家賃を住居確保給付金でカバーできないか、早めに窓口で相談する価値があります。
次にやること
家賃の支払いに不安が出てきた時点で、まず住んでいる市区町村の自立相談支援機関に電話してください。「離職・収入減少から2年以内かどうか」「世帯の収入・預貯金がいくらか」の2点を伝えれば、対象になるかその場で見通しを教えてもらえます。
※本記事は2026年9月時点で調査した範囲の一般的な情報です。支給額・要件の具体的な回数や金額は制度改正や自治体ごとの運用で変わるため、申請前に住んでいる市区町村の自立相談支援機関で最新情報をご確認ください。個別の判断が必要な場合は、各窓口または専門家にご相談ください。