教育訓練給付金の対象外講座の見分け方
- 1講座を検索
- 2指定期間を確認
- 3給付区分を確認
- 4指定番号を確認
- 5受給資格を確認
この記事の内容
これから資格やスキルアップの講座に申し込もうとしていて、「この講座は教育訓練給付金の対象なのか」を自分で確かめたい方への記事です。結論から言うと、対象かどうかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で講座名とスクール名を自分で検索して確かめるのが確実です。パンフレットの「給付金対象」という表記だけを信じて申し込むと、実は対象外だった、指定期間が切れていた、というケースが起こり得ます。
結論:パンフレットではなく検索システムで確認する
教育訓練給付金(一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金・専門実践教育訓練給付金)は、厚生労働大臣が個別に指定した講座だけが対象です(雇用保険法第60条の2第1項、区分は雇用保険法施行規則第101条の2の7。手元の条文全文で確認、2026年9月)。指定は「スクール単位」ではなく「講座単位」で行われます。施行規則第101条の2の2では、大臣が指定すると、施設名・講座名・指定番号などを書いた通知書が講座ごとに出ると定めています。そのため、同じスクールの別の講座は対象外、という状態が普通に起こります。
対象かどうかを確かめる方法は、厚生労働省が公開している「教育訓練講座検索システム」(https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/)で、申し込もうとしている講座名を実際に検索することです。指定講座の情報をインターネットで公表することは、同じ施行規則第101条の2の2第2項に定められています。パンフレットやWebサイトの「教育訓練給付制度対象講座」という表記だけを見て判断すると、次のような理由で外れることがあります。
なぜ「対象だと思っていたら対象外だった」が起きるのか
対象外だと気づかないまま申し込んでしまう典型的なパターンを整理します。
- 指定期間が切れている:講座の指定期間は3年間で、自動的には更新されず、続けるには再指定の手続きが要ります。指定期間内に受講を開始した人が対象で、指定期間が終わったあとに開始すると対象外です(厚生労働省「教育訓練給付金の講座指定について」「講座指定等に関するQ&A」、2026年9月確認)。パンフレットの「対象講座」という表記が、いつの情報かを確認しないまま申し込むと、指定期間が終わっているケースに気づけません
- 似た名前の講座で対象外のコースがある:同じスクールが複数のコースを運営していて、そのうち1つだけが指定講座、というケースがあります。「〇〇スクール=給付金対象」と丸ごと覚えてしまうと、実際に申し込むコースが対象外だったときに気づけません
- 給付区分が思っていたものと違う:「教育訓練給付金の対象」という表記だけでは、一般教育訓練・特定一般教育訓練・専門実践教育訓練のどの区分かが分かりません。区分によって給付率や上限額が異なります(雇用保険法施行規則第101条の2の7・第101条の2の8、厚生労働省「教育訓練給付金」、2026年9月確認)。
| 区分 | 給付率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 40%(資格取得後1年以内に就職など一定の場合は50%) | 20万円(50%の場合は25万円) |
| 専門実践教育訓練 | 50%(一定の場合は70%、さらに賃金上昇の場合は80%) | 年間40万円(70%は56万円、80%は64万円) |
区分を確認しないまま金額を見込んで申し込むと、想定より少ない給付しか受けられない可能性があります - オンライン・通信講座は対象外という思い込み:対象講座には通学だけでなく、eラーニングや通信制のものも含まれます。厚生労働省が公表した2026年4月1日時点の特定一般教育訓練の指定講座には、通信制(e-ラーニングのみ・一部e-ラーニング・郵送)の講座が入っています(厚生労働省の公表資料、2026年9月確認)。「オンラインだから対象外のはず」と自己判断で候補から外してしまうのも、検索システムを見ていないことが原因で起きます
これらはすべて、「パンフレットの表記」や「スクールの説明」を根拠にしていることが共通点です。指定の有無を最終的に決めるのは厚生労働省であり、スクール側の表記ではありません。
申し込み前の確認手順(チェックリスト)
申し込みボタンを押す前に、次の順番で確認してください。
- □ 厚生労働省「教育訓練講座検索システム」で、講座名・スクール名を実際に検索した
- □ 検索結果に表示された講座が、自分が申し込もうとしているコース名と完全に一致するか確認した(似た名前の別コースと取り違えていないか)
- □ 検索結果の「指定期間」が、自分の受講開始予定日を含んでいるか確認した
- □ 給付区分(一般・特定一般・専門実践のいずれか)を確認した
- □ スクールの窓口に、検索結果に表示された「指定番号」と、スクールが案内している講座が同一かを確認した
- □ 自分自身が受給要件を満たしているか、管轄のハローワークに確認した(下の要件を参照)
受給要件は次のとおりです(雇用保険法第60条の2、同法附則第11条、施行規則第101条の2の5・第101条の2の10、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」、2026年9月確認)。
- 受講開始日までの雇用保険の被保険者期間が3年以上。これまで教育訓練給付金を受けたことがなければ、一般・特定一般は1年以上(専門実践は2年以上とハローワークが案内)
- すでに退職している場合は、退職して被保険者でなくなった日から受講開始日までが1年以内(妊娠・出産・育児・疾病などで30日以上受講を始められない場合は、申し出れば最大20年まで延ばせます)
- 受講開始日より前の3年以内に教育訓練給付金を受けていないこと
- 特定一般・専門実践は、受講開始日の14日前までにハローワークへ受給資格の確認を出す必要があります(施行規則第101条の2の12・第101条の2の13)
最後の2つ(スクールへの照合、ハローワークへの受給資格確認)は、検索システムの結果だけでは分からない部分です。検索システムは「講座が指定されているか」を教えてくれますが、「自分がその給付金を受け取れるか」までは判定してくれません。この2点は別途確認してください。
検索システムで見つからないときの対処
検索しても該当する講座が出てこない場合、考えられる理由は主に2つです。
1つは、指定を受けていない講座であるケースです。この場合、その講座自体を受講しても給付金は支給されません。スクールに「厚生労働大臣指定の教育訓練給付制度対象講座か」と直接尋ね、指定番号を教えてもらってください。番号が無い、または番号を教えてもらえない場合は、対象外と考えるのが安全です。
もう1つは、検索の入力条件(講座名の表記ゆれ、分野の絞り込みなど)が合っていないケースです。講座名を短く区切って再検索する、スクール名だけで検索してみる、といった調整で見つかることがあります。それでも見つからない場合は、スクールに問い合わせるのが確実です。
計算例:対象講座と対象外講座で受講後の負担がどう変わるか
仮に、受講費用30万円の講座を検討しているケースで試算します。対象区分は一般教育訓練とします(給付率20%、上限10万円。雇用保険法施行規則第101条の2の7・第101条の2の8で確認)。
- 受講費用:300,000円(入学料と受講料の合計。キャリアコンサルティング費用は含めない)
- 給付率:20%
- 給付見込み額:300,000円 × 20% = 60,000円(上限10万円以内のためそのまま支給)
- 対象講座の場合の実質負担:300,000円 − 60,000円 = 240,000円
- 対象外講座だった場合の実質負担:300,000円(給付金は一切支給されない)
前提:実際の給付率・上限額は区分によって異なり、支給を受けるには受講修了などの要件を満たす必要があります。一般教育訓練の申請は、修了日の翌日から1か月以内にハローワークへ出します(施行規則第101条の2の11)。算定した額が4,000円以下のときは支給されません(施行規則第101条の2の9)。(修了要件については別記事「教育訓練給付金の講座を途中でやめたら」も参照してください)。この試算は「対象講座か対象外講座かで、同じ受講費用でも実質負担が6万円変わり得る」という差の大きさを示すためのものです。
スクールの「給付金対象」表記をそのまま信じてよいか
スクールの営業担当者や広告に悪意があるとは限りません。指定期間の更新タイミングでパンフレットの改訂が追いつかない、複数コースのうち一部だけが対象であることの説明が省かれる、といった形で、結果的に不正確な案内が残ってしまうことがあります。
そのため、スクール側の説明は「参考情報」として受け取り、最終確認は自分で検索システムを見る、という順番を崩さないことをおすすめします。特に、申し込みの締切が近い、キャンペーン価格が期限付きになっている、といった急かされる状況では、確認を後回しにしたまま契約してしまいやすいので注意してください。
よくある質問
| 質問 | 回答の考え方 |
|---|---|
| 検索システムに講座が出てくれば、それだけで給付金がもらえるのか | 出てくるのは「講座が指定を受けている」事実だけです。受給には本人の雇用保険の被保険者期間(3年以上、初めてなら一般・特定一般は1年以上)などの要件も別途必要です(雇用保険法第60条の2、同法附則第11条) |
| 指定期間が「〇年〇月〜」となっている場合、受講開始日がその範囲外だとどうなるか | 指定期間内に受講を開始した人が対象なので、指定期間が終わったあとに開始すると対象外です。反対に、修了が指定期間のあとになっても、開始が指定期間内なら対象です(厚生労働省「講座指定等に関するQ&A」)。指定は自動更新されないので、期間の終わりが近い講座は、再指定の予定をスクールとハローワークの両方に確認してください |
| 同じスクールの別コースは自動的に対象になるか | なりません。指定は講座ごとに個別に行われるため、コースが変われば改めて検索する必要があります |
| 検索結果と、スクールが案内する講座番号が違っていたら | 一致しない場合は、その時点で申し込みを保留し、スクールとハローワークの双方に理由を確認してください |
次にやること
申し込みボタンを押す前に、厚生労働省「教育訓練講座検索システム」で講座名を実際に検索し、指定期間内であることと給付区分を自分の目で確認してください。