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休職中の社会保険料の払い方

ぜんたいの流れ
  1. 1休職開始
  2. 2保険料は発生
  3. 3会社へ直接納付
  4. 4滞納時のリスク
  5. 5退職時に精算
この記事の内容
  1. 結論:休職中の社会保険料はどうなるか
  2. なぜ休職中も社会保険料は発生するのか
  3. 天引きできない分はどう払うのか
  4. 払えない・滞納するとどうなるのか
  5. 退職・復職時の精算
  6. 実体験について
  7. 次にやること

この記事は、休職に入って給料が止まったのに、健康保険・厚生年金の保険料の請求は止まらないと知って困っている人に向けて書いています。 結論から言うと、休職中も社会保険料(健康保険・厚生年金保険の本人負担分)は発生し続けます。 給与から天引きできない分は、会社への直接の支払いという形になることが多く、払えないまま放置すると、資格そのものより先に「会社との間の未収金」という形で問題が大きくなっていきます。この記事では、なぜ休職中も保険料が発生するのか、どう払うのか、払えなかったら何が起きるのかを、条文の裏付けとともに整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 休職に入って給料が止まったのに、社会保険料の話だけ聞こえてきて不安
  • 給与から天引きできないのに、どうやって払えばいいのか分からない
  • 払えなかったら、保険が使えなくなったり、何か罰則があったりするのか知りたい

結論:休職中の社会保険料はどうなるか

論点 結論 根拠
休職中も保険料は発生するか 発生する。育児休業等・産前産後休業のような免除の仕組みは、私傷病などの一般の休職には無い 健康保険法第159条・第159条の3(免除の対象を育児休業等・産前産後休業に限定)
保険料の負担割合は変わるか 変わらない。在籍している限り労使折半のまま 健康保険法第161条1項
給与から天引きできるか 無給だと天引きできない。天引き(源泉控除)は通貨で報酬を支払う場合の規定 健康保険法第167条1項
払えないと保険の資格を失うか 在籍中の被保険者は、保険料未納そのものを理由に資格を失うことはない(死亡・退職等の4事由のみ) 健康保険法第36条1項
払えないと何が起きるか 会社が納付義務者として滞納処分・延滞金の対象になりうる。本人には会社からの請求という形で影響が出る 健康保険法第180条・第181条
ここが要点

「保険料が発生し続ける」ことと「払えなければ保険が使えなくなる」ことは、別の話です。 在籍している限り、保険料の未払いそのものを理由に健康保険の資格を失うことは、条文上ありません。ただし、会社との間で未収金として残り続ける問題は別に存在します。

なぜ休職中も社会保険料は発生するのか

社会保険料(健康保険・厚生年金保険の本人負担分)は、給与が出ているかどうかではなく、その会社に在籍しているかどうかで発生・不発生が決まる。休職は退職ではなく、雇用契約が続いたまま働くことを一時的に免除されている状態なので、被保険者としての立場も続く。

健康保険法第161条1項は「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する」と定めており、休職中かどうかで負担割合が変わるという例外は無い。つまり、給料が出なくなっても、保険料の労使折半という基本構造自体は変わらない。

「休職中は保険料が免除されるのでは」と思う人もいるかもしれないが、それは一部だけ正しい。健康保険法には保険料を徴収しない特例があるが、対象は育児休業等(第159条)と産前産後休業(第159条の3)に限られており、私傷病(病気・けが)や家族の介護など、それ以外の理由による一般の休職はこの免除の対象になっていない。育児休業や産前産後休業のニュースで「休業中は保険料がかからない」という話を耳にして、休職全般もそうだと誤解しているケースがあるが、条文上は別の扱いだと理解しておく必要がある。

もう一つ、「給料が出ないなら保険料の金額も下がるのでは」という疑問もあると思う。実際には下がりにくい。保険料の金額のもとになる標準報酬月額は、原則として直近の給与実績にもとづいて決まっており、これを見直す「随時改定」には、給与の変動が3ヶ月連続で続き、かつ各月の報酬支払の基礎となった日数が17日以上あることという要件がある(健康保険法第43条1項)。休職で無給になった月は、支払基礎日数がこの要件を満たさないことが一般的で、随時改定の対象にならない。つまり、休職前の給与水準にもとづく標準報酬月額のまま、保険料の金額も据え置かれることが多い。

ここが要点

まとめると、休職中も保険料が発生し続けるのは「休職だから特別に課される」のではなく、在籍している以上、通常の被保険者と同じ扱いが続くという原則の結果にすぎない。免除されるのは育児休業等・産前産後休業という限られたケースだけであり、私傷病などの休職は原則どおり保険料が発生し続ける。

天引きできない分はどう払うのか

在職中の保険料は、通常は給与から天引き(源泉控除)される。健康保険法第167条1項は「事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては…保険料を報酬から控除することができる」と定めている。この条文は、あくまで報酬を支払う場合の話であり、休職で無給になると、天引きの前提そのものが無くなる。

このため、休職中に発生し続ける本人負担分の保険料は、給与からの天引き以外の方法で会社に支払うことになる。実務上どういう方法が取られるかは会社ごとに差があり、次のようなパターンが考えられる。

パターン 内容
毎月、会社の指定口座に振り込む 会社から毎月請求書や振込先の案内が届き、本人が振り込む方式
会社が一時的に立て替える 会社が本人負担分も含めて一旦納付し、復職後の給与や賞与から分割で回収する方式
復職時・退職時にまとめて精算する 休職中は請求せず、復職または退職のタイミングでまとめて請求する方式

どの方式になるかは、全国共通の決まりではなく、会社の給与規定・運用によって変わる(会社ごとの就業規則・給与規定次第で、全国共通の統計は存在しない)。自分の会社がどの方式を取っているかは、休職に入る前、あるいは入った直後に、会社の給与担当・人事に確認しておくべき事柄になる。何も聞かないまま休職期間が過ぎると、復職後や退職時に想定していなかった金額をまとめて請求されて驚く、という事態になりかねない。

厚生年金保険料についても、労使折半・事業主が納付義務者である仕組み(厚生年金保険法第82条)、無給月は随時改定の要件を満たさず標準報酬月額が据え置かれやすい仕組み(同法第23条、支払基礎日数17日以上)は、健康保険と同じ枠組みになっている。健康保険料とあわせて会社から一括で請求されることが多いとされるが、実際の請求方法は会社の運用によるため、この点も会社への確認が必要になる。

払えない・滞納するとどうなるのか

ここは誤解しやすいところなので、正確に整理しておきたい。

まず、健康保険法上、保険料を納付する義務を負っているのは事業主(会社)である(第161条2項「事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う」)。会社が保険者(協会けんぽ・健康保険組合)に納付する義務を負っており、本人が保険者に直接納付義務を負っているわけではない。

そのため、保険料を滞納した場合に督促や延滞金の対象になるのも、条文上はまず事業主である。健康保険法第180条は、保険料を滞納する者(滞納者)に対して保険者等が期限を指定して督促しなければならないと定め、第181条は、督促後も納付されない場合、延滞金として年14.6%(督促状を発した日から3ヶ月以内の期間については年7.3%)の割合で計算した金額を徴収すると定めている。これは事業主(納付義務者)に対する規定であり、休職中の従業員本人が保険者から直接督促状や延滞金を請求されるという構造にはなっていない。

一方で、「在籍中の被保険者」の資格喪失事由を定めた健康保険法第36条1項を見ると、資格を失うのは次の4つの場合に限られる。

  • 死亡したとき
  • その事業所に使用されなくなったとき(退職等)
  • 適用除外に該当するに至ったとき
  • 任意適用事業所の取消しの認可があったとき

保険料の未納は、このどれにも含まれていない。 つまり、在籍中の被保険者(休職中も含む)は、保険料の未納それ自体を理由に健康保険の資格を失うことはない、というのが条文上の建て付けになる。ここは、退職後に自分の意思で加入する「任意継続被保険者」と対照的だ。任意継続被保険者については、健康保険法第38条1項3号が「保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を納付期日までに納付しなかったとき」を資格喪失事由として明記しており、こちらは滞納すればそのまま資格を失う。休職中の被保険者と任意継続被保険者を混同して「保険料を滞納したらすぐ保険が使えなくなる」と思い込んでいる場合は、この違いを整理しておくとよい。

とはいえ、「資格を失わない=何も問題が起きない」ではない。 会社が本人負担分を回収できないまま滞納の状態が続けば、会社の内部では未収金として扱われ、給与規定にもとづいて本人に督促が入ったり、復職後の給与・賞与から分割で控除されたり、退職時にまとめて請求されたりすることが実務上想定される。会社によっては、就業規則に「休職中の保険料本人負担分を期日までに納付しない場合」の取り扱いを定めているところもある。自分の会社にそうした規定があるかどうかは、就業規則を確認するか、人事・総務に直接聞く以外に確かめる方法がない。

ここが要点

「払えなくても資格は失わない」という条文上の建て付けを、「払わなくてよい」という意味に受け取らないでほしい。未払い分は消えるわけではなく、会社との間に残り続ける負債になる。 払える見込みが立たない場合は、放置せず、早い段階で会社に相談することが、あとで金額が膨らむのを防ぐ一番の方法になる。

退職・復職時の精算

休職から復職する場合は、それまで未納になっていた本人負担分を、復職後の給与から分割で控除するといった形で精算されることが一般的に想定される。一方、休職から退職する場合は、退職日の翌日が資格喪失日となり(健康保険法第36条1項2号)、資格喪失日が属する月の前月分までしか保険料はかからない仕組みは、休職中であっても在職中の退職と変わらない。この資格喪失日の仕組み自体は、既存記事「月末退職と月末前日退職で社会保険料が変わる話」で詳しく扱っている。

退職時にどちらの方式で精算するにせよ、休職中に発生していた未納分がある場合は、最後の給与や退職金から一括控除される可能性がある。 退職を考えている段階であれば、未納分がどのくらいあるか、退職時にどう精算されるかを、退職の意思を伝える前に確認しておいたほうが、金額の見通しが立てやすい。

実体験について

私の場合

私自身は2026年6月30日に会社都合で退職しましたが、休職という制度そのものを利用した経験は無く、在籍したまま保険料の本人負担分だけが発生し続けるという状況を経験したことはありません。そのため、この記事の内容は実体験ではなく、健康保険法の条文にもとづく調査結果です。

実体験として言えるのは、退職時に保険を切り替えた経験です。退職後は国民健康保険に切り替え、会社都合退職の場合の軽減措置が使えたため、任意継続被保険者になるよりも保険料が安く済みました(金額は本人判断により記事には出しません)。このとき初めて、在籍中は会社が保険料の半分を負担してくれていたこと、退職すると(任意継続を選ばない限り)その負担が無くなり全額自己負担になることを実感しました。休職は退職と違って在籍が続くため、会社負担分はそのまま残りますが、「保険料が発生し続けるタイミングと、収入が止まるタイミングがずれる」という感覚自体は、退職時に感じたものと近いのではないかと思います。

次にやること

まず、休職に入る前、あるいは入った直後の早い段階で、会社の給与担当・人事に「休職中の社会保険料はどう払うのか(振込か、立て替えか、復職・退職時の精算か)」を確認してください。 何も確認しないまま休職期間が過ぎると、復職後や退職時にまとめて請求される金額に驚くことになりかねません。すでに支払いが難しい状況になっている場合は、放置せず早めに会社へ相談することが、未収金を膨らませないための一番の方法です。心身の不調が理由で休職している場合、お金の心配より先に、体調については医師・産業医への相談を優先してください。

会社への確認や相談自体が負担で動けない場合、退職代行Jobs、弁護士法人ガイア、退職代行ネルサポート、円満退職ユニオン のような退職代行サービスを使えば、退職の意思を伝える場面での直接のやり取りを減らすことができます(※2026年9月時点の調査。各社のサービス内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください)。ただし、休職中の社会保険料の支払い方法の確認は在職中の手続きであり、これらは退職代行では代行できない点に注意してください。


※本記事は2026年9月時点の情報整理です。休職中の社会保険料の具体的な支払い方法・滞納時の会社側の対応は、会社の給与規定や個々の状況によって異なります。最終的な判断は、会社の給与担当・人事、必要に応じて社会保険労務士への相談を通じて行ってください。心身の不調がある場合は、この記事の内容より先に医師・産業医にご相談ください。

出典(2026年9月4日確認) - 健康保険法第161条(保険料の負担及び納付義務) - 健康保険法第167条(保険料の源泉控除) - 健康保険法第43条(標準報酬月額の改定・随時改定の要件) - 健康保険法第159条・第159条の3(育児休業等・産前産後休業をしている被保険者の保険料の免除) - 健康保険法第36条(被保険者の資格喪失の時期・事由) - 健康保険法第38条(任意継続被保険者の資格喪失) - 健康保険法第180条・第181条(保険料等の督促及び滞納処分・延滞金) (以上、条文原文はtaishoku/laws/健康保険法.txtで確認) - 厚生年金保険法第82条(保険料の負担及び納付義務)・第23条(標準報酬月額の改定要件) (日本法令外国語訳データベースシステム(法務省)掲載の原文を2026年9月5日確認) - 既存記事124「月末退職と月末前日退職で社会保険料が変わる話」 - 既存記事192「休職中の給料と生活費|無給期間を何でつなぐか」

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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