履歴書の退職理由は「一身上の都合」でよいか
この記事の内容
この記事は、転職活動で履歴書を書いていて、職歴の最後に書く退職理由をどうすればいいか迷っている人に向けて書いています。 結論から言うと、自己都合で辞めた場合は「一身上の都合により退職」で問題ありません。 ただし、倒産・解雇・退職勧奨などの会社都合で辞めた場合は、書き方を変えたほうがよいとされています。この記事では、自己都合・会社都合それぞれの書き方と、その理由を整理します。
- 「一身上の都合」とだけ書いて、具体的な理由を書かなくて本当によいのか不安
- 会社都合で辞めたのに、「一身上の都合」と書いてしまってよいのか分からない
- 履歴書の記載と、面接で話す内容や離職票の記載が食い違わないか心配
「履歴書 退職理由」の答えを先に書きます。
- 書く場所は、職歴欄の入社の次の行。退職の年月のあとに、理由を一言添える
- 自己都合(転職・独立・体調など)は「一身上の都合により退職」の1行でよい。具体的な理由は書かなくてよい
- 倒産・解雇・退職勧奨など会社都合は「会社都合により退職」と書くのが一般的とされる。契約期間満了は「契約期間満了により退職」、定年は「定年により退職」
- 区分に迷ったら、離職票の離職理由に合わせる。手順と文例は「履歴書の退職理由を職歴欄に書く手順と文例」の節にある
結論:自己都合か会社都合かで書き方が変わる
| 退職の種類 | 履歴書の書き方 | 補足 |
|---|---|---|
| 自己都合退職(転職・独立・体調など本人都合) | 「一身上の都合により退職」でよい | 具体的な理由まで書く義務は無い |
| 会社都合退職(倒産・解雇・退職勧奨・希望退職など) | 「会社都合により退職」と会社都合である旨を明記するのが一般的とされる(厚生労働省・ハローワークの公式ページには言及が見当たらず、複数の大手転職エージェント公式サイトに共通する整理。2026年9月確認) | 「一身上の都合」とだけ書くと、本人都合で辞めたと誤解される可能性がある |
| 契約期間満了 | 「契約期間満了により退職」 | 自己都合でも会社都合でもない中立的な事実として書く |
| 定年 | 「定年により退職」 | そのまま事実を書く |
迷ったときの基準はシンプルです。辞めた理由が「自分の意思」なら一身上の都合、「会社側の事情」なら会社都合と書く。 どちらか分からない場合は、離職票や雇用保険受給資格者証に記載された離職理由を確認すれば、会社が届け出た区分がそのまま分かります。
「一身上の都合」は法律用語ではなく慣用句
「一身上の都合」という言葉に、法律上の定義や、履歴書に必ず書かなければならないという規定は無い。これは退職願・履歴書の慣習として使われてきた言い回しで、「個人的な事情のため、具体的な理由はここには書きません」というニュアンスを持つ、一般的な表現として理解されている。
履歴書のフォーマット自体にも、法律で定められた統一の書式は無い。市販の履歴書用紙や、企業が指定するフォーマット、Web上のテンプレートなど複数の様式が併存しており、そのどれを使っても「退職理由」を書く欄が独立して用意されているとは限らない。多くの場合、職歴を時系列で書いた最後の行に、退職した事実とあわせて理由を一言添える形になる。
- 例:「株式会社〇〇 入社」「株式会社〇〇 一身上の都合により退職」
この「一言添える」部分に何を書くかという慣習の話であって、法律が「一身上の都合と書け」あるいは「詳細を書け」と定めているわけではない。だからこそ、書き方に迷う人が多いテーマだと言える。
自己都合退職の場合の書き方
転職・キャリアアップ・独立・体調不良など、本人の意思や事情で辞めた場合は、職歴の最後に「一身上の都合により退職」と書くのが最も一般的とされる書き方になる。
ここで気になるのが、「具体的な理由(人間関係、待遇、キャリアの方向性など)まで書かなくてよいのか」という点だと思う。書かなくてよい、というのが一般的な理解だ。 具体的な退職理由は、履歴書ではなく面接の場で口頭で説明する場面が想定されており、履歴書の職歴欄は簡潔に事実(いつ、どこに入り、いつ辞めたか)を記録する役割にとどめるという役割分担が慣習として定着している。
むしろ、履歴書の職歴欄に不満や愚痴に近い退職理由を詳しく書き込むと、選考担当者の目にネガティブな情報が先に入ってしまい、書類選考の段階で不利に働く可能性があるという見方もある。この点は制度や規定の話ではなく、選考実務上の一般的な傾向として理解しておくとよい。
「一身上の都合」で済ませてよいのは、理由を隠しているからではなく、履歴書は詳細を書く場所ではないから、という理解でよい。詳しい話は面接で聞かれたときに答えれば足りる。
会社都合退職の場合の書き方
倒産、解雇、退職勧奨、希望退職の募集に応じた場合など、会社側の事情で辞めた場合は、「会社都合により退職」のように会社都合である旨を明記するのが一般的とされる。これは法律上の義務ではない。厚生労働省・ハローワークの公式ページにはこの書き方についての言及は見当たらず(2026年9月確認)、以下はリクルートエージェント・doda・JAC Recruitmentなど複数の大手転職エージェント公式サイトに共通して見られる整理だが、次のような理由から推奨されることが多い。
- 会社都合退職は、必ずしも選考側にとって不利な情報ではない。倒産やリストラは本人の能力・勤務態度の問題ではないと伝わりやすく、正直に書いたほうが誤解を招きにくいと考えられている
- 離職票・雇用保険受給資格者証には、会社が届け出た離職理由が記載される(雇用保険法施行規則第7条にもとづき、事業主が離職証明書を提出する仕組み)。この記載と、履歴書や面接で話す内容がずれていると、後から食い違いを指摘される可能性がある
- 会社都合退職には、雇用保険の給付制限が原則かからない。雇用保険法第33条は、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、または正当な理由なく自己都合で退職した場合に給付制限(1〜3か月、基本手当を支給しない期間)を設けており、単純な倒産・解雇・希望退職などの会社都合退職はこの対象に含まれない。この前提を自分自身が正しく把握し、必要な場面で説明できるようにしておいたほうがよい
「一身上の都合」という表現自体が虚偽にあたるわけではないが、実際には会社都合で辞めているのに、あえて「一身上の都合」とだけ書いて自己都合のように見せることは避けたほうがよいと考えられる。あとで離職票の提示を求められた場合などに、記載内容の食い違いを説明する場面が生じうるためだ。
契約期間満了・定年など、それ以外のケース
自己都合・会社都合のどちらにもきれいに当てはまらないケースもある。
| 状況 | 書き方の例 |
|---|---|
| 契約社員・派遣で契約期間が満了した | 「契約期間満了により退職」 |
| 会社が倒産した | 「会社都合により退職(会社倒産のため)」 |
| リストラ・希望退職に応じた | 「会社都合により退職」 |
| 定年を迎えた | 「定年により退職」 |
契約期間満了は、本人の意思による退職でも、会社が一方的に辞めさせたものでもない、中立的な事実であるため、そのまま「契約期間満了」と書けばよい。無理に「一身上の都合」に寄せる必要は無い。
履歴書の退職理由を職歴欄に書く手順と文例
履歴書に退職理由の専用欄が無い様式は多く、職歴欄の中に一言添えるのが一般的な書き方になる。書く順番は次のとおり。
- 手元に離職票(または雇用保険受給資格者証)を用意し、離職理由の区分を確認する(自己都合・会社都合・契約期間満了・定年のどれか)
- 職歴欄の1行目に「職歴」と書く
- 古い会社から順に、入社の年月と「会社名 入社」を書く
- 次の行に、退職の年月と、区分に合った退職理由を書く(下の表)
- 会社が複数ある場合は、3と4を繰り返す
- 最後の行の右端に「以上」と書く。在職中で退職が決まっていないなら、退職の行の代わりに「現在に至る」と書く
書き上がりはこうなる。
職歴
○○○○年4月 株式会社○○ 入社(営業部に配属)
○○○○年3月 一身上の都合により退職
以上
分かれ目:どの一文を書くか
| 状況 | 職歴欄に書く一文 | 分かれ目 |
|---|---|---|
| 自分の意思で辞めた(転職・独立・体調・家庭の事情) | 一身上の都合により退職 | 具体的な理由は面接で聞かれたときに話す |
| 倒産・解雇・退職勧奨・希望退職 | 会社都合により退職 | 離職票の区分も会社都合になっているかを先に見る |
| 離職票の区分が、自分の認識と食い違う | 書く前にハローワークの窓口で区分を確認する | 区分に納得がいかない場合の相談先は、下の「次にやること」と同じ |
| 契約期間満了・定年 | 契約期間満了により退職/定年により退職 | 「一身上の都合」に寄せない |
| まだ在職中 | 現在に至る | 退職日が決まっているなら「○○○○年○月 退職予定」と書く書き方もある |
書いたあとに詰まりやすいこと:面接で「本当の理由は」と聞かれたとき
「一身上の都合」と書いた人がいちばん困るのは、面接で具体的な理由を聞かれた場面だと思う。履歴書に書かなかった分を、口で話すことになるためだ。次の3文の順で組み立てると、愚痴に寄らずに話せる。
- 辞めた理由を、事実で1文(誰かへの不満ではなく、自分の側から見た事情)
- そこから、次にやりたいことを1文
- 応募先でそれがどうつながるかを1文
文例(自己都合の場合):
前職では既存顧客への対応が中心で、新規のお客様に提案する機会が限られていました。
提案から契約までを担当できる環境で経験を積みたいと考え、退職しました。
御社は新規開拓に力を入れていると伺い、この経験を活かせると考えて応募しました。
文例(会社都合の場合):
所属していた事業所が閉鎖となり、会社都合で退職しました。
在職中は○○の業務に取り組んでおり、その経験を次の職場でも活かしたいと考えています。
御社では○○の業務に携われると伺い、応募しました。
面接で話す内容は、履歴書の区分(自己都合か会社都合か)と食い違わないようにする。○の部分は、自分の実際の業務・退職事情に置き換えて使う。
履歴書の記載が離職票の内容と食い違うとどうなるか
履歴書に「一身上の都合」と書き、面接でより詳しい理由を話すこと自体は、矛盾でも問題でもない。履歴書は簡潔に、面接で詳細を話すという役割分担であり、これは自己都合・会社都合のどちらでも共通している。
注意したほうがよいのは、履歴書の記載(自己都合か会社都合か)と、離職票・雇用保険受給資格者証に記載された離職理由が、大きく食い違わないようにすることだ。 実際には会社都合で退職しているのに、履歴書には「一身上の都合」とだけ書いてしまうと、選考が進んだ段階や入社後の手続きで離職票の提示を求められた際に、書類上の食い違いについて説明を求められる場面が生じうる。これは経歴を偽っているという話とは別に、単純に「話が違う」という印象を与えてしまうリスクとして捉えておくとよい。
なお、在籍していない会社を経歴に書く、業務内容や役職を大きく偽るといった行為は経歴詐称にあたりうる問題として一般に知られているが、退職理由を「一身上の都合」と簡潔に書くこと自体は、理由の詳細を明かさないだけであり、事実そのものを偽っているわけではない、という整理が一般的だ。ただし、会社都合であることを意図的に隠して自己都合のように見せる書き方は、上で述べた食い違いのリスクを増やすため、避けたほうがよいと考えられる。
迷ったら、履歴書には離職票・雇用保険受給資格者証の離職理由区分に沿った書き方をするのが最も安全だ。区分が分からない場合は、退職時に会社から渡された書類、またはハローワークで確認できる。
実体験について
私自身は2026年6月30日に会社都合で退職しており、雇用保険受給資格者証にも会社都合であることを示す離職理由コードの記載がありました。そのため、この記事で書いた「会社都合の場合は会社都合であることを明記したほうがよい」という整理は、自分がもし転職活動で履歴書を書くとすれば、実際にそう書くだろうという前提にもとづいています。
ただし、退職後は独立準備を進めており、転職活動そのものを行っていないため、実際に履歴書へ退職理由を書いた経験はありません。この記事の書き方の整理は、一般的な情報にもとづくものであり、履歴書を実際に書いた本人の体験談ではないことを明記しておきます。「会社都合で退職した」という事実だけが、私自身の実体験です。
履歴書を書く前のチェックリスト
書き始める前に、次を1つずつ確認してほしい。
□ 離職票(雇用保険被保険者離職票)または雇用保険受給資格者証を手元に用意した □ 離職票・受給資格者証に記載された離職理由(区分・コード)を確認した □ 自分の退職が「自己都合退職」「会社都合退職」「契約期間満了」「定年」のどれに区分されているかを確認した □ 履歴書の職歴欄に書く言葉を、その区分に沿って決めた(自己都合なら「一身上の都合により退職」、会社都合なら「会社都合により退職」) □ 履歴書の記載と、離職票・受給資格者証に書かれた離職理由が大きく食い違っていないか確認した □ 面接で理由を聞かれたときに話す内容を、履歴書の記載と矛盾しないように整理した
全部にチェックが付けば、書き方に迷う部分は残っていないはずだ。
履歴書の退職理由は「一身上の都合」とだけ書いてもよいですか
自己都合で辞めた場合は、「一身上の都合により退職」とだけ書いて問題ありません。法律で決まった書き方はなく、具体的な理由まで書く義務もありません。履歴書の職歴欄は事実を簡潔に記録する場所とされ、詳しい理由は面接で聞かれたときに口頭で答える、という役割分担が一般的です。
会社都合で辞めたのに、履歴書に「一身上の都合」と書いてもよいですか
会社都合で辞めた場合は、「会社都合により退職」と書くのが一般的とされ、「一身上の都合」だけで済ませるのは避けたほうがよいと考えられます。法律上の義務ではありません。ただ、離職票や雇用保険受給資格者証には会社が届け出た離職理由が載るため、履歴書と食い違うと、後から説明を求められることがあります。
契約期間が満了して辞めたときは、履歴書の退職理由にどう書けばよいですか
「契約期間満了により退職」と、そのまま書けば足ります。契約期間満了は、本人の意思で辞めたものでも、会社が一方的に辞めさせたものでもない、中立的な事実だからです。無理に「一身上の都合」に寄せる必要はありません。定年の場合も同じで、「定年により退職」と事実をそのまま書きます。
自分の退職が自己都合か会社都合か分からないときは、どこで確認できますか
離職票または雇用保険受給資格者証に記載された離職理由の区分で確認できます。ここには会社が届け出た区分がそのまま載っています。書類がまだ手元に無い場合や、区分に納得がいかない場合は、会社に確認するか、ハローワークの窓口で相談してください。
次にやること
まず、自分の退職が自己都合と会社都合のどちらに区分されているかを、離職票または雇用保険受給資格者証で確認してください。 区分さえ分かれば、履歴書の書き方は「一身上の都合」か「会社都合により退職」かのどちらかに沿って決まります。書類がまだ手元に無い、あるいは区分に納得がいかない場合は、会社に確認するか、ハローワークの窓口で相談してみてください。
※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。履歴書の書式・退職理由の書き方に法律上の統一ルールがあるわけではなく、実際の運用は転職エージェント・企業ごとの慣習によって幅があります。選考書類の最終的な書き方については、利用している転職エージェントの担当者にも確認することをおすすめします。心身の不調が退職理由に関わる場合は、この記事の内容より先に医師・産業医にご相談ください。
参考にした情報の位置づけ(2026年9月4日確認) - 「一身上の都合」「会社都合により退職」という書き方の使い分けは、厚生労働省・ハローワークの公式ページには言及が見当たらず、リクルートエージェント・doda・JAC Recruitmentなど複数の大手転職エージェント公式サイトに共通して見られる一般的な整理である(法令の条文に根拠を持つものではない) - 会社都合退職に雇用保険の給付制限が原則かからない点は雇用保険法第33条、離職理由が離職票・離職証明書に記載される仕組みは雇用保険法施行規則第7条で確認した - 会社都合・自己都合の区分そのものについては、既存記事199・206で雇用保険法上の給付制限との関係を扱っている - 実体験部分は taishoku/jittaiken.md 記載の事実(2026年6月30日・会社都合退職・離職理由コードの記載あり)にもとづく
出典(2026年9月11日調査) - 雇用保険法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116(第33条の給付制限規定を確認) - 雇用保険法施行規則(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50000100003(第7条の離職証明書提出義務を確認) - 厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf(自己都合退職の給付制限が原則1か月、5年間で複数回の場合や重責解雇は3か月であることを確認。本文の「給付制限(1〜3か月)」という記述と一致) - ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html(倒産・解雇等の会社都合退職者が給付制限の対象外となることを確認) - ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html(離職理由・年齢により所定給付日数が異なる制度の概要を確認)