最後の給料が少ない理由
- 1明細を確認
- 2各項目を照合
- 3会社に確認
- 4必要なら相談窓口へ
この記事の内容
最後の給料の明細を見て、「思ったより少ない」と感じて検索している人に向けて書いています。結論を先に言うと、退職月の給料が普段より少なくなる主な原因は、①日割り計算 ②社会保険料が2ヶ月分まとめて引かれること ③住民税が一括徴収されること、の3つです。 どれも違法な天引きではなく、退職のタイミングによって起きる仕組み上の話です。この記事では、それぞれの仕組みと、自分の場合はどれに当てはまるかの確認手順を説明します。
- 最後の給料明細を見たら、思ったより手取りが少なかった
- 何を差し引かれているのか、項目を見てもよく分からない
- 会社が何か間違えているのではないかと不安になっている
結論から言うと、多くの場合は間違いではなく、退職月特有の計算ルールによるものです。順番に見ていきます。
結論:3つの原因を先に整理する
| 原因 | 何が起きるか | 誰にでも起きるか |
|---|---|---|
| ① 日割り計算 | 月の途中で退職すると、その月の給与が所定労働日数に対する実働日数分に減る | 月の途中退職者のみ |
| ② 社会保険料の2ヶ月分天引き | 月末退職の場合、前月分と当月分の健康保険・厚生年金保険料がまとめて引かれることがある | 給与の締め日・支払日の設定と退職日次第 |
| ③ 住民税の一括徴収 | 退職月によっては、残りの住民税をまとめて最後の給与から天引きされる | 退職する月によって扱いが変わる |
どれか1つだけの場合もあれば、月末退職だと②と③が重なって「思ったより少ない」どころか「他の月よりマイナス」になることもあります。まず自分がどれに当てはまるかを切り分けることが大切です。
原因1:給与が日割りになっている
月の途中で退職すると、その月の給与は満額ではなく、実際に働いた日数分だけが支払われます。欠勤控除・日割り計算の具体的な計算式は、実は労働基準法などの法律で一律に定められているわけではなく、各社の就業規則・賃金規程に委ねられています(freee、jinjer等の社労士監修記事に共通する説明、2026年9月7日確認)。
実務でよく使われる計算式は、月給を所定労働日数(または所定労働時間)で割り、欠勤した日数(時間数)を掛けて差し引く方法です。
- 欠勤控除額 = 月給(+諸手当) ÷ 所定労働日数 × 欠勤日数
ただし、これは一例であり、所定労働時間ベースで計算する会社、暦日数(30日や31日)で割る会社もあります。自分の会社がどの計算式を使っているかは、就業規則・賃金規程を見るか、給与担当に確認しないと分かりません(同上)。
原因2:社会保険料が2ヶ月分まとめて引かれている
健康保険・厚生年金保険料は、原則として「前月分を当月の給与から控除する」翌月控除の形をとっている会社が多いですが、月末で退職する場合は例外的に、前月分と当月分の保険料をまとめて最後の給与から控除できることがあります(マネーフォワード クラウド給与ほか複数の社労士監修記事に共通する説明、2026年9月7日確認)。
これは、退職日の翌日が「資格喪失日」になり、資格喪失日が属する月の前月分までしか保険料がかからないという健康保険法第156条3項の仕組み(月末退職と月末前日退職で社会保険料が変わる話で説明した内容と同じ根拠)と、給与の締め日・支払日のズレが組み合わさって起きます。
| 給与の締め・支払パターン | 退職月に2ヶ月分が引かれるか |
|---|---|
| 月末締め・当月25日払い(退職月の給与が最後の給与になる) | 引かれることがある |
| 月末締め・翌月20日払い(翌月にも給与の支払いが残る) | 翌月の給与で通常どおり1ヶ月分ずつ引かれることが多い |
どちらのパターンかは会社の給与規程によって決まっているため、自分の会社が「当月払い」か「翌月払い」かを確認すれば、2ヶ月分が引かれる月がどこになるか見当がつきます(同上)。
原因3:住民税が一括徴収されている
会社員の住民税は、毎月の給与から天引きされる「特別徴収」が基本ですが、退職すると天引きができなくなるため、残りの住民税をどう納めるかが退職月によって変わります(地方税法第321条の5第2項、複数の実務系サイトの解説に共通する説明、2026年9月7日確認)。
| 退職した月 | 残りの住民税の扱い |
|---|---|
| その年の1月〜4月 | 原則、最後の給与や退職金から一括徴収(翌月〜5月分までをまとめて天引き) |
| 5月 | 残りが1ヶ月分のみのため、通常どおり最後の給与から特別徴収で天引き |
| 6月〜12月 | 原則は普通徴収(自分で納付書を使って納める)に切り替わる。本人が申し出れば、最後の給与や退職金から一括徴収してもらうことも可能 |
つまり、1月〜4月に退職した人は、最後の給料からまとまった住民税が引かれている可能性が高いということになります。一方、6月〜12月退職で一括徴収を申し出ていなければ、最後の給料からは住民税は引かれず、代わりに退職後、市区町村から普通徴収の納付書が届きます。
どの時期に退職しても、1年間で納める住民税の総額そのものは変わりません。変わるのは「まとめて天引きされるか、あとから自分で分割して納めるか」という支払い方だけです(同上)。
有給休暇の未消化分は含まれているか
「有給が余っているのに給料が少ない」と感じた場合、有給休暇の未消化分がそのまま給与に上乗せされているとは限りません。有給休暇の買取は原則として労働基準法の趣旨に反するとされており、会社に買取の義務はありません(freee、jinjer等の社労士監修記事に共通する説明、2026年9月7日確認)。退職時に消化しきれなかった分の買取に会社が任意で応じるケースはありますが、応じなくても違法ではないとされています。
未消化の有給を最後の給与に反映してほしい場合は、権利ではなくお願いベースの話になる、という前提で会社に確認する必要があります。
自分の場合を確認する手順
- 給与明細の「支給」欄と「控除」欄を分けて見る(総支給額そのものが日割りで減っているのか、控除額が増えているのかを区別する)
- 控除欄の健康保険料・厚生年金保険料が、普段の給与の何ヶ月分に相当するか確認する
- 控除欄に住民税(市民税・県民税)の項目があれば、金額が普段の何倍になっているか確認する
- 上記で説明がつかない差額があれば、給与担当に「退職月の計算根拠」を確認する
自分だけで正確に判断しようとすると、就業規則の日割り計算式・自社の給与締め支払パターン・住民税の一括徴収の有無の3つを、すべて把握する必要があります。分からない点は、推測で終わらせず、会社の給与担当に確認するのが一番早い方法です。
筆者の場合
私は2026年6月30日付で会社都合退職をしています。最後の給与明細の金額そのものは、前年の年収が逆算できてしまうため、この記事では公開していません。
ただし住民税については、退職後、一括徴収ではなく普通徴収の納付書が届き、1期分(3ヶ月分)ずつ、年4回に分けて納付する形になりました。6月退職は「本人が申し出れば一括徴収も選べる」時期にあたりますが、私は申し出をしておらず、原則どおり普通徴収に切り替わったことになります。
次にやること
最後の給料が少ないと感じたら、まず明細の「支給」と「控除」を分けて見て、健康保険・厚生年金・住民税の欄がいつもと違う金額になっていないか確認してください。それでも説明がつかない差額があれば、推測で済ませずに会社の給与担当へ直接確認するのが、一番早く不安を解消する方法です。
※本記事は2026年9月7日時点で確認できた資料をもとにした情報整理です。給与の日割り計算式・社会保険料の締め支払パターン・住民税の一括徴収の可否は会社や個人の状況によって異なるため、実際の金額や扱いは必ず自社の給与担当・お住まいの市区町村にご確認ください。心身の不調がある場合は、手続きより先に医師・産業医にご相談ください。
出典(2026年9月7日調査) - 健康保険法第156条3項(e-Gov法令APIの全文を確認。「前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない」=資格喪失日の属する月の前月分までしか保険料がかからない根拠を条文原文で確認) - 地方税法第321条の5第2項(e-Gov法令APIの全文を確認。給与の支払を受けなくなった場合、原則は翌月以降の月割額を徴収しない=普通徴収に切り替わるが、事由発生が「その年6月1日〜12月31日」で本人の申出がある場合、および「翌年1月1日〜4月30日」の場合は最後の給与・退職手当等から一括徴収できる、という条文構造を確認) - マネーフォワード クラウド給与「退職月の社会保険料はいくら?月末退職と月途中退職の違いは?2か月分徴収の理由も解説」 https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/96472/ (社会保険料の翌月控除の原則と、月末退職時に2ヶ月分がまとめて控除される仕組みを確認。2026年9月7日WebFetchで本文照合済み) - 地方税法第321条の5(法令データベース「税研」掲載) https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHCHI000000/321-5.html (条文見出し・概要を2026年9月7日WebFetchで照合済み。全文は前掲のe-Gov法令API原文で確認) - Indeed「1月に退職すると住民税は一括徴収される?退職日による違いを解説」 https://jp.indeed.com/career-advice/starting-new-job/if-resign-in-january-will-pay-inhabitant-tax-lump-sum (退職月ごとの住民税の徴収方法の違いを2026年9月7日WebFetchで本文照合済み) - freee「有給休暇の買取は違法?認められる例外ケース・相場・注意点を解説」 https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/paid-leave-buyout/ (有給休暇の買取が会社の義務ではないことを2026年9月7日WebFetchで本文照合済み) - 日本の人事部「欠勤控除の定義と計算方法」ほか複数の社労士監修記事 https://jinjibu.jp/qa/sum/absence_deduction/ (欠勤控除の計算式に法律上の定めがないことを2026年9月7日WebFetchで本文照合済み) - 実体験(住民税の普通徴収・分割納付)は運営者本人の会社都合退職時の記録