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失業保険に税金はかかるか

この記事の結論
  • 失業保険(基本手当)そのものには所得税・住民税がかからない(雇用保険法第12条「公課の禁止」)
  • 確定申告書の収入欄に失業保険の金額を書く必要もない
  • それでも「退職と確定申告」がセットで語られるのは、年の途中で退職して年末を無職で迎えた場合、年末調整を受けられず給与から天引きされた所得税が納めすぎになっていることがあり、還付申告をすると戻ってくる可能性があるから
  • この還付申告は失業保険の受給とは別の手続きで、失業保険をもらっているかどうかは関係ない
この記事の内容
  1. 結論:失業保険そのものには税金がかからない
  2. なぜ非課税なのか|雇用保険法12条
  3. 確定申告書に失業保険の金額を書く必要はあるか
  4. それでも確定申告が話題になる理由
  5. 還付申告で何が戻ってくるか
  6. 実体験について、正直に書きます
  7. 計算例:2026年6月15日に退職した人の、源泉徴収票と還付申告の日数
  8. 次にやること

この記事は、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取っている、またはこれから受け取る人に向けて書いています。「振り込まれた失業保険から税金が引かれるのか」「確定申告をしないといけないのか」という疑問に、結論を先に言います。失業保険そのものには所得税も住民税もかかりません。 ただし「退職した年は確定申告をしたほうがいい」という話もよく見かけます。これは失業保険とは別の理由で発生する話です。この記事では、この2つを分けて整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 失業保険の振込額を見て、税金が引かれているのか引かれていないのか分からない
  • 確定申告書に失業保険の金額をどう書けばいいのか分からない
  • 「退職したら確定申告」という話を聞くが、失業保険をもらっているとどう関係するのか分からない

どれかに当てはまるなら、まず「失業保険自体の話」と「確定申告が必要になる話」を切り分けてください。

結論:失業保険そのものには税金がかからない

失業保険(雇用保険の基本手当)として振り込まれる金額に、所得税・住民税は課税されません。給与のように税額が天引きされることもなく、振り込まれた額がそのまま手取りです。

項目 失業保険(基本手当)
所得税 課税されない
住民税 課税されない(条文の文言からの一般的な解釈)
確定申告書への記入 収入として記入する必要はない
源泉徴収票 発行されない

会社員時代は給与から所得税・住民税が天引きされていたため、「振込があるところには税金がついて回る」というイメージを持っている人ほど、失業保険からも何か引かれているのではと不安になりがちです。しかし失業保険はそもそも課税の対象になる「所得」として扱われていません。

なぜ非課税なのか|雇用保険法12条

根拠は雇用保険法の条文にあります。

ここが要点

租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない(雇用保険法第12条「公課の禁止」)。

「公課」とは税金を含む公的な負担金全般を指す言葉です。条文は「租税」と「その他の公課」を並べているため、所得税・住民税といった税金だけでなく、それ以外の公的な負担金についても、失業保険の受給額を基準に課すことはできない、という読み方になります。この条文1つで、失業保険が非課税であることの法的な根拠は足りています。

住民税は市区町村が課す地方税ですが、この条文は税の種類を限定していないため、地方税である住民税も対象に含まれると一般に解釈されています(自治体側の一次情報での明記は確認できていません)。

確定申告書に失業保険の金額を書く必要はあるか

書く必要はありません。確定申告書は「その年の所得」を申告する書類ですが、失業保険は非課税であり、そもそも所得税法上の課税所得として扱われないため、収入欄・所得欄のどこにも記入する場所がありません。

ここが要点

確定申告で扱うのは「課税される所得」です。失業保険は雇用保険法12条によって課税自体が禁止されているため、確定申告の対象にそもそも入ってきません。「非課税だから申告不要」ではなく、「課税されない所得だから申告する場所がない」という理解のほうが正確です。

失業保険の受給資格者証や振込通知を確定申告の際に添付する必要もありません。

それでも確定申告が話題になる理由

「退職したら確定申告」という話がよく出てくるのは、失業保険が理由ではなく、年の途中で退職して年末を無職のまま迎えると、年末調整を受けられないからです。

会社員は通常、年末に会社が「年末調整」という手続きを行い、その年の所得税額を確定させます。毎月の給与から天引きされていた所得税(源泉徴収税額)と、実際に確定した年税額との差額を、年末調整で精算する仕組みです。

ここが要点

国税庁の年末調整の案内では、年の中途で退職した人は、死亡退職・著しい心身の障害による退職で再就職の見込みがない場合など一部の例外を除き、年末調整の対象にはならないとされています(国税庁「令和7年分 年末調整Q&A」)。

つまり、年の途中で辞めて年末まで再就職しなかった場合、その年の所得税の精算役だった年末調整が行われないまま年を越すことになります。この「精算されないまま残っている所得税」を自分で精算する手続きが、確定申告(このケースでは還付申告)です。失業保険を受給しているかどうかは、この手続きの必要性に関係ありません。 退職して年末調整を受けていない、という一点だけが条件です。

還付申告で何が戻ってくるか

在職中に天引きされていた所得税は、「その月の給与が1年間続く」という前提で計算された金額です。年の途中で退職すると、実際の年収はその前提より少なくなるため、天引きされていた所得税の合計が、本来納めるべき年税額より多くなっているケースが少なくありません。この差額を取り戻す手続きが還付申告です。

ここが要点

国税庁のタックスアンサーは、還付申告ができる具体例として「年の途中で退職し、年末調整を受けずに、源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき」を最初に挙げています(国税庁タックスアンサーNo.2030「還付申告」)。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できるとされており、退職した年の年末を過ぎてすぐに動かなくても間に合います。

還付申告をする場合、退職した会社から発行される源泉徴収票が必要です。退職時に受け取っていない場合は、会社に発行を求めてください(所得税法第226条により、給与等の支払者は退職者について退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務を負います)。

なお、確定申告が「義務」になるケースと「したほうが得」なケース(還付申告)は別物です。国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与所得者のうち確定申告が必要な人の条件(給与年収2,000万円超・給与以外の所得が20万円超など)を挙げたうえで、還付を受けるための申告をする人はこの「確定申告が必要な人」には含まれない、という位置づけが示されています。退職して年末調整を受けていない人にとっての確定申告は、義務ではなく「やらないと税金を取り戻しそびれる」性質のものだと理解しておくと迷いません。

実体験について、正直に書きます

私の場合

私自身は2026年6月に会社都合で退職し、失業保険の手続きを進めています。振込額から税金が引かれている様子はなく、この記事で整理した「失業保険は非課税」という説明は、自分の受給実感とも一致しています。

一方で、この記事を書いている2026年9月の時点ではまだ年末を迎えておらず、年末調整を受けられるかどうか・還付申告が必要になるかどうかは、この先の再就職状況次第でまだ確定していません。そのため、還付申告そのものを実際に経験した上でこの記事を書いているわけではなく、制度として調べた内容を整理したものです。退職後に住民税の納付書が届いた経験(給与天引きから自分で納付する形への切り替わり)は別記事退職代行は親に連絡がいくかで触れています。

計算例:2026年6月15日に退職した人の、源泉徴収票と還付申告の日数

この記事に出てきた決まりだけで、「いつまでに何をするか」を日付に直してみます。金額は人によって大きく変わるため、ここでは日付と日数だけを出します。

何の日付か 決まり(本文の根拠) 仮置きの場合
退職日 (前提) 2026年6月15日
源泉徴収票を会社に求められる目安 退職の日以後1か月以内に交付する義務(所得税法第226条) 2026年7月15日まで(退職日から30日後)
年末調整 年の途中で退職し年末まで再就職しない人は原則対象外(国税庁「令和7年分 年末調整Q&A」) 2026年12月は受けられない
還付申告を出し始められる日 翌年1月1日から(国税庁タックスアンサーNo.2030) 2027年1月1日
還付申告の期限 翌年1月1日から5年間(同No.2030) 2031年12月31日まで
出せる期間の長さ 2027年1月1日〜2031年12月31日 1,826日(うるう年の2028年を含む)

前提は、2026年6月15日に退職し、2026年の年末まで再就職していない人です。失業保険を受け取っているかどうかは、この日付の計算に関係しません。

読み方は次のとおりです。 - 7月15日を過ぎても源泉徴収票が届かないときは、会社に発行を求めてください。 - 還付申告の期限は2031年12月31日で、まだ5年近くあります。ただし、書類は退職直後のほうがそろえやすいので、源泉徴収票は早めに手元に置いておくと動きやすくなります。 - 再就職した場合は、新しい会社の年末調整で精算されるため、この日付の流れには当てはまりません。

次にやること

まず、失業保険の振込に税金の心配は不要だと分かれば十分です。 そのうえで、退職した年の年末を無職のまま迎えそうな場合は、退職した会社から源泉徴収票を受け取っておいてください。年が明けて確定申告の時期(または還付申告として翌年1月以降いつでも)になったら、その源泉徴収票を使って還付申告をすると、天引きされすぎていた所得税が戻ってくる可能性があります。


※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。個別の税額計算・申告方法については、税務署または税理士にご確認ください。

出典 - 雇用保険法第12条(公課の禁止) — 本セッションで taishoku/laws/雇用保険法.txt の条文を直接確認 - 国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm、本セッションでWebFetchにより原文を直接確認) - 国税庁タックスアンサーNo.2030「還付申告」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm、本セッションでWebFetchにより原文を直接確認。「年の途中で退職し、年末調整を受けずに、源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき」を還付申告の対象例として明記) - 国税庁「令和7年分 年末調整Q&A」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/qa.htm、本セッションでWebFetchにより原文を直接確認。年の途中で退職した人は原則として年末調整の対象にならない旨を記載) - 所得税法第226条(源泉徴収票の交付義務) — 本セッションでWebSearchにより確認。給与等の支払者は、年の中途で退職した居住者について退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を作成し、税務署長への提出と本人への交付を行う義務を負う旨を規定

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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