辞めたあとまで分かる退職ガイド 辞める前の不安から、辞めたあとの手続きまで
ホーム › 失業したら住民税は減免されるか

失業したら住民税は減免されるか

ぜんたいの流れ
  1. 1前年所得を確認する
  2. 2自治体HPで要件を見る
  3. 3税務課へ電話する
  4. 4必要書類を集める
  5. 5申請書を提出する
この記事の内容
  1. 結論:まず何をするか
  2. 減免とは何か:市区町村の条例で決まる制度
  3. 対象になりやすい2パターン
  4. 自治体で条件がどう違うか
  5. 対象にならないことがある退職理由に注意
  6. 自分の自治体の制度を探す手順
  7. 国保・年金の減免と混同しない
  8. 減免と猶予・分割の違い
  9. 次にやること

失業して収入が無くなったのに、前の年の所得を基準にした住民税の請求が来て、「これは減免してもらえないのか」と調べている人向けの記事です。結論を先に言うと、減免される場合はありますが、全国共通の基準はなく、条件は住んでいる市区町村ごとに条例で決まっています。

「調べても自分に当てはまるのか分からない」となりやすいのは、この制度の仕組み自体が理由です。

順番に整理します。

結論:まず何をするか

状況 やること
失業して1ヶ月以上、または3ヶ月以上、所得が無い状態が続いている 減免の対象になりうる。居住する市区町村の税務課(市民税課)に問い合わせる
今年の所得見込みが、前年の所得の半分以下に減った 「所得減少」を理由にした減免の対象になりうる。ただし自治体によっては退職理由を問う場合がある
転職・結婚・出産を機に自分の意思で辞めた 自治体によっては減免の対象外にしている場合がある(下記参照)。まずは対象条件を確認する
前年の所得がもともと高かった 自治体が定める所得の上限額を超えていると、対象外になることが多い
今すぐ全額を払うのが難しい(減免の対象でなくても) 減免とは別に、分割納付や徴収猶予の相談ができる場合がある
ここが要点

この制度は「申請しないと動かない」のが最大の注意点です。 天引きが止まる、納付書が届く、といった手続きは自動的に進みますが、減免は市区町村に自分から申請しない限り、何もしなくても適用されることはありません。

減免とは何か:市区町村の条例で決まる制度

個人住民税(市民税・県民税)の減免は、地方税法323条にもとづく制度です。この条文は「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において市町村民税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、市町村民税を減免することができる」と定めています(地方税法第323条、条文を確認済み)。

ここでのポイントは、「特別の事情」の中身も、減免の割合も、市区町村の条例に委ねられていることです。総務省や地方税法の条文には、失業した場合に一律いくら減免する、といった全国共通の基準は存在しません(公式の一次情報にあたって確認済み。総務省・地方税法いずれにも全国統一の基準は見当たりませんでした)。

つまり、「失業したら住民税は減免されるか」という問いへの答えは、「あなたが住んでいる市区町村の条例次第」というのが正確なところです。

対象になりやすい2パターン

条例の文言は自治体ごとに違いますが、実際に複数の市区町村の案内を確認すると、失業を理由にした減免は、おおむね次の2パターンのどちらかで組み立てられています。

パターン 内容
失業継続型 一定期間(1ヶ月以上、または3ヶ月以上など、自治体により異なる)、失業して所得が無い状態が続いていることを条件にする
所得減少型 今年の所得の見込みが、前年の所得と比べて一定の割合(2分の1以下など)まで減っていることを条件にする

どちらのパターンでも、前年の所得そのものに上限額を設けている自治体がほとんどです。たとえば大津市の案内では、失業継続型・所得減少型のいずれも「前年の合計所得金額が300万円以下であること」が条件に含まれています(大津市「個人市民税・県民税 税の減免について」、2026年9月確認)。前年の所得がもともと高かった人は、失業していても対象外になる可能性がある、という点は先に知っておく必要があります。

さらに大津市の失業継続型では、所得の上限額に加えて「雇用保険法第13条に規定する基本手当の受給資格者であること」「廃業または倒産により失業したこと」「これらに準ずる失業状態にあると認められること」のいずれかにも該当する必要があると明記されています(同、2026年9月確認)。単に「所得が無い」というだけでは条件を満たさない自治体もある、という点も踏まえておくと安心です。

自治体で条件がどう違うか

同じ「失業を理由にした減免」でも、自治体によって書かれている情報の詳しさが違います。2つの市の公式案内を比べると、次のようになっています。

項目 大津市 横浜市
前年所得の基準額 300万円以下(明記) 「一定額以下」(具体額は案内PDFで別途確認するよう指示)
所得減少の基準 前年の2分の1以下(明記) 「一定の割合以上」(具体的な割合は明記なし)
失業継続型の期間 3ヶ月以上(明記) 1ヶ月以上(明記)
必要書類 公式サイトに個別の書類名の記載なし。事前に市民税課へ相談し、そこで案内される(2026年9月確認) 雇用保険受給資格者証、離職票または退職証明書、預貯金通帳等の資産状況が分かる書類
申請期限 記載なし(相談時に確認) 「納期限までに市民税担当へお問い合わせください」と明記。また「納期限を過ぎた税額は原則減免できない」と明記(2026年9月確認)

(いずれも各市公式サイト、2026年9月確認)

この表から分かるのは、「基準額」も「割合」も「必要書類」も「期限」も、自治体ごとにばらばらだということです。 どこかのサイトで見た数字を、自分の住んでいる市区町村にそのまま当てはめることはできません。

対象にならないことがある退職理由に注意

もう1つ、見落としやすい点があります。大津市の案内を詳しく確認すると、所得減少型の減免について、「定年退職、転職、結婚、出産による退職」は対象外と明記されています(大津市「個人市民税・県民税 税の減免について」、2026年9月確認)。

つまり、同じ「所得が半分以下に減った」という状態でも、なぜ辞めたかによって対象になるかどうかが分かれる自治体があります。この線引きも全国共通ではなく、自治体の条例次第です。

「失業した」「収入が減った」という事実だけでなく、退職理由(会社都合か自己都合か、定年か転職か)まで聞かれる可能性がある、と考えておくと、問い合わせのときに慌てません。

自分の自治体の制度を探す手順

条例の文言を自分で読み解こうとすると時間がかかるので、次の順番で進めるのが確実です。

  1. 前年所得を確認する — 前年の源泉徴収票、または「住民税額決定通知書」に記載された所得金額を確認します
  2. 自治体HPで要件を見る — 「(市区町村名) 住民税 減免」で検索し、公式サイトの「個人市民税・県民税の減免」ページを探します。前年所得の基準額、所得減少の割合、対象になる退職理由・ならない退職理由が書かれているか確認します
  3. 税務課へ電話する — HPに具体的な基準額が書かれていない、または自分の状況が条件に当てはまるか判断できない場合は、居住する市区町村の税務課(市民税課)に電話で確認します
  4. 必要書類を集める — 雇用保険受給資格者証、離職票または退職証明書、預貯金通帳の写しなど、案内された書類を用意します
  5. 申請書を提出する — 「納期限を過ぎた税額は原則減免できない」と明記している自治体があります(横浜市の例、2026年9月確認)。「あとで良い」と後回しにせず、納付書が届いたらすぐに申請の要否を確認するほうが安全です
ここが要点

HPに具体的な数字が書かれていない自治体もあります。 その場合は「一定額以下」「一定の割合」という表現の中身を、電話で直接聞くしかありません。書かれていないことを「対象外」だと自己判断しないでください。

国保・年金の減免と混同しない

住民税の減免を調べていると、国民健康保険料や国民年金保険料の「減免」「軽減」の情報も一緒に出てきます。これらは別の制度で、申請先も基準も別です。

制度 根拠 申請先 備考
住民税の減免 地方税法323条(市区町村の条例) 市区町村の税務課(市民税課) 全国共通の基準なし
国民健康保険料の軽減 前年所得が一定基準額に満たない場合、申請不要で均等割額を7割・5割・2割のいずれかで軽減 市区町村の国保担当課 住民税が非課税でも、国保の均等割は最大でも7割の軽減までで0円にはならない
国民年金保険料の免除・猶予 国民年金法第90条ほか 市区町村役場または年金事務所 全額免除・一部免除・納付猶予など段階がある

住民税が非課税になった、または減免が認められたからといって、国民健康保険料や国民年金保険料が自動的に減るわけではありません。それぞれ別に申請が必要です。

減免と猶予・分割の違い

「減免」は税額そのものを減らす、または無くす制度です。一方で、次の2つは税額を減らすものではなく、払う時期をずらす制度です。

  • 徴収猶予:一時的に払えない事情がある場合に、納期限を延ばしてもらう制度
  • 分割納付:一括で払えない金額を、分けて払う制度

減免の条件に当てはまらない場合でも、猶予や分割の相談はできることがあります。「減免は無理そうだから、もう払えない」と結論を急がず、税務課には「猶予」「分割」の相談もできることを伝えて話してみてください。

筆者自身も会社都合退職の場合の体験として、退職後に届いた住民税の請求は、減免ではなく1期分(3ヶ月分)ずつ、年4回の分割払いで来ました。減免の対象になるかどうかを判断する前に、まず「今の納付方法がどうなっているか」を納税通知書で確認しておくと、税務課へ相談するときに話がスムーズです。

次にやること

まず、直近の「住民税額決定通知書」または源泉徴収票で前年の所得金額を確認し、居住する市区町村の公式サイトで「個人市民税・県民税の減免」のページを探してください。基準額や退職理由の扱いが書かれていない場合は、自己判断で諦めずに税務課へ電話で確認することが、一番早い進め方です。


※本記事は2026年9月時点の情報整理です。地方税法323条の条文、大津市・横浜市の減免制度の案内は各公式サイトで確認済みです(2026年9月確認)。ただし前年所得の基準額・所得減少の割合・対象となる退職理由・必要書類・申請期限は自治体ごとに条例で異なるため、正確な条件は必ず居住する市区町村の税務担当窓口に直接お問い合わせください。心身の不調がある場合は、手続きより先に医師・産業医にご相談ください。

出典 - 地方税法第323条(個人住民税の減免、市区町村の条例による。条文全文を確認済み) - 大津市「個人市民税・県民税 税の減免について」(2026年9月確認) - 横浜市「個人市民税・県民税の減免及び森林環境税の免除について」(2026年9月確認) - 国民健康保険料の軽減制度(前年所得に応じた7割・5割・2割の均等割軽減)は、住民税とは別制度であることを複数市区町村の公式案内(草加市・世田谷区・大阪市ほか)で確認済み(2026年9月確認) - 前年所得の基準額・所得減少の割合・対象退職理由の全国共通基準は、地方税法の条文上「市区町村の条例で定める」とされるのみで存在しないことを確認済み(総務省・地方税法いずれにも一次情報として見当たらない。2026年9月確認)

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

この記事に関係する無料の道具(登録不要・その場で使える)
あわせて読みたい