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4月入社で1年未満の退職

この記事の結論
  • 退職の自由(民法第627条第1項)は試用期間中でも同じで、1年未満だから辞められないという法律上の制限はない
  • 有給休暇は雇入れから6ヶ月・8割出勤で10日付与される(労働基準法第39条第1項)ため、4月入社なら基準日は10月1日が目安になる
  • 賞与は「支給日在籍要件」を置く会社が多いが法律上の一律ルールではなく会社の賃金規程による(自社の賃金規程は個別に確認)
  • 雇用保険の基本手当は自己都合退職の場合、離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上必要で(雇用保険法第13条)、初めての職を1年未満で辞めると要件を満たさないことが多い
ぜんたいの流れ
  1. 14月入社
  2. 2試用期間
  3. 3有給付与10月
  4. 4賞与の判定
  5. 5退職を伝える
  6. 6退職成立
この記事の内容
  1. 結論:いつ辞めるかで変わること・変わらないこと
  2. まず、1年未満で辞めることを責めない
  3. 「1年未満だから辞められない」は法律上ない
  4. 分かれ目①有給休暇:10月1日の壁
  5. 分かれ目②賞与:支給日在籍要件
  6. 分かれ目③失業給付:1年未満だと受け取れないことが多い
  7. 4月入社・1年間のカレンダー
  8. 実際に辞めると決めたときの伝え方
  9. 実体験について、正直に書きます
  10. 次にやること

この記事は、4月に入社して、まだ1年経たないうちに「辞めたい」と考えている人に向けて書いています。 結論から言うと、1年未満だから辞められないという法律上の決まりはありません。ただし、辞める月によって「有給休暇が使えるか」「賞与が出るか」「失業給付を受け取れるか」が変わります。この記事では、その分かれ目を1本のカレンダーにして整理します。

こんな状態ではありませんか
  • まだ1年も経っていないのに辞めていいのか、後ろめたさがある
  • 有給休暇や賞与、辞めるタイミングで何がどう変わるのか分からない
  • 「今月辞めるか、あと少し待つか」を決める材料が欲しい

結論:いつ辞めるかで変わること・変わらないこと

論点 変わるか 分かれ目
退職できるかどうか 変わらない。試用期間中でも1年未満でも退職の自由はある いつでも(民法第627条第1項)
有給休暇が使えるか 変わる 目安:入社から6ヶ月後(4月入社なら10月1日)
賞与が出るか 変わる(会社の規程による) 支給日に在籍しているか(会社の規程による。就業規則で合理的に定められていれば有効とする最高裁判例あり)
失業給付(基本手当)を受け取れるか 変わる 目安:被保険者期間が通算12ヶ月に届くか(雇用保険法第13条)
ここが要点

「辞められるかどうか」は月によって変わりません。変わるのは「辞めるときに何を受け取れるか」だけです。 どちらを優先するかは、あなたの状況次第です。

まず、1年未満で辞めることを責めない

「石の上にも三年」「最低でも1年は」という言葉を意識して、辞めたい気持ちに蓋をしている人は少なくありません。ただ、1年という区切りに法律上の意味はなく、体調や環境が続けられない状態まで来ているなら、我慢を続ける理由にはなりません。

ここが要点

心身の不調がある場合は、この記事の情報より先に、医師や産業医に相談してください。 ここから先は、辞める時期によって変わる制度上の事実の整理です。

「1年未満だから辞められない」は法律上ない

期間の定めのない雇用契約(いわゆる正社員としての雇用契約)は、退職の意思表示をしてから原則2週間で終了します(民法第627条第1項)。これは入社1ヶ月目でも11ヶ月目でも同じで、「1年は続けないと辞められない」というルールは存在しません。

試用期間中でも同じです。試用期間は会社側が「本採用するかどうか」を判断する期間であり、労働者側の退職の自由を制限するものではありません。就業規則に「試用期間中の退職は認めない」と書かれていたとしても、法律(民法)が優先されるため、そうした規定に法的な拘束力はないと考えられます。

分かれ目①有給休暇:10月1日の壁

年次有給休暇は、雇い入れの日から起算して6ヶ月継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日を与えなければならないと定められています(労働基準法第39条第1項)。

4月1日入社であれば、6ヶ月後の目安は10月1日です。つまり、9月末までに退職すると、この会社での有給休暇は一度も付与されないまま辞めることになります。10月1日以降に在籍していれば10日分が付与され、退職前に消化できる可能性が出てきます。

ここが要点

実際の基準日は会社の就業規則によって前後することがあります(入社日を基準にする会社と、全社一律の基準日を設ける会社があります)。「自分の基準日がいつか」は、就業規則か人事に確認するのが確実です。

分かれ目②賞与:支給日在籍要件

夏季賞与(6〜7月頃支給が多い)や冬季賞与(12月頃支給が多い)は、多くの企業の賃金規程で「支給日に在籍していること」を支給条件としています。この「支給日在籍要件」については、就業規則で明文化され内容に合理性があれば有効であるという判断が最高裁判例で示されています(大和銀行事件、最高裁判所第一小法廷判決・昭和57年10月7日。※判決文の原文は確認できていませんが、事件名・判決年月日・結論の向きは複数の弁護士・社会保険労務士による解説記事で一致しています)。ただし、この要件を置くかどうか自体は法律で一律に定められたものではなく、会社ごとの賃金規程によって異なります。

支給日の少し前に退職すると、査定期間の一部を働いていても賞与を受け取れない、あるいは減額されるという規程を置く会社があります。賞与を受け取ってから辞めたい場合は、自社の賃金規程で支給日と在籍要件を確認しておく必要があります。

分かれ目③失業給付:1年未満だと受け取れないことが多い

雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、自己都合退職の場合、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが受給の条件です(雇用保険法第13条第1項)。倒産・解雇など会社都合にあたる場合(特定受給資格者)や、有期雇用の雇止めなど一定のやむを得ない事情がある場合(特定理由離職者)は、離職前1年間に通算6ヶ月以上という緩和された条件が適用されます(同条第2項)。

4月入社でこれが最初の職であれば、1年未満で自己都合退職をすると、通算12ヶ月の被保険者期間という条件を満たせないことがほとんどです。この場合、基本手当を受け取れないまま次の仕事を探すことになります。

ここが要点

辞める理由が会社都合に近い(パワハラ・給与未払いなど)場合は、緩和された条件が使えないか、退職前にハローワークへ相談しておく価値があります。

4月入社・1年間のカレンダー

ここまでの分かれ目を、月単位のカレンダーにまとめます。

時期 有給休暇 賞与 失業給付の条件
4〜6月(試用期間中が多い) 未付与 対象外のことが多い 満たさない
7〜9月 未付与 夏季賞与の支給有無は規程による(支給日在籍要件について最高裁判例あり) 満たさない
10〜11月 10日付与(目安) ― 満たさない
12月〜翌1月 付与済み 冬季賞与の支給有無は規程による(支給日在籍要件について最高裁判例あり) 満たさない
翌2〜3月(勤続11〜12ヶ月) 付与済み ― 通算12ヶ月にまだ届かないことが多い
ここが要点

どの月に辞めても、「4月入社から1年未満」である限り、失業給付の条件は基本的に満たせません。 一方で有給休暇は10月1日を境に状況が大きく変わるため、体調や状況が許すなら、この日をまたぐかどうかが実務上いちばん効いてくる分かれ目です。

実際に辞めると決めたときの伝え方

いつ辞めるにしても、伝え方の基本は同じです。

  • 退職の意思表示をしてから、原則2週間で雇用契約は終了します(民法第627条第1項)
  • 就業規則に「1ヶ月前までに申し出ること」などと書かれていることが多いですが、これは会社側の努力目標であり、法律上は2週間で成立します
  • 直属の上司に言いにくい場合は、書面(退職届)や、上司を飛ばして人事に直接伝える方法もあります
  • 出社して伝えること自体が難しい場合は、退職代行を使って意思表示を代行してもらう方法もあります
ここが要点

有給休暇や賞与を受け取ってから辞めたい場合は、退職日そのものではなく、「いつまでに退職の意思を伝えるか」を逆算する必要があります。焦って伝えると希望の日程に間に合わないことがあるため、余裕を持って動くことをおすすめします。

実体験について、正直に書きます

私の場合

正直に書きます。私自身は2026年6月末に前職を退職していますが、これは入社から約6年半が経った時点での会社都合退職であり、「4月入社から1年未満で辞める」というこの記事のテーマそのものを経験したわけではありません。

そのため、有給休暇の付与や賞与の在籍要件、失業給付の受給資格といった制度面の整理は、自分が確認した条文と一般的に知られている制度の仕組みを組み合わせたものです。一方で、退職の意思を上司に伝える瞬間の緊張感は、勤続年数を問わず自分が実際に感じたことであり、その部分だけは実体験として書いています。

次にやること

まず、自社の就業規則で「有給休暇の基準日」と「賞与の支給日・在籍要件」の2つを確認してください。 それが分かれば、「今すぐ辞めるか」「その日をまたいでから辞めるか」を、自分の状況に合わせて判断できます。急いで辞める必要がある状態なら、制度上の得よりも自分の心身を優先してかまいません。


※本記事は2026年8月時点の一般的な情報整理と、筆者個人の体験に基づくものです。個別の状況については、弁護士・社会保険労務士・ハローワークなど専門機関にご確認ください。心身の不調がある場合は、医師・産業医にご相談ください。

出典 - 民法第627条第1項(期間の定めのない雇用契約における解約の申入れと、申入れの日から2週間経過による終了)※e-Gov法令APIの法令全文で条文を確認済み - 労働基準法第39条第1項(雇入れの日から起算して6箇月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者への年次有給休暇10労働日の付与)※e-Gov法令APIの法令全文で条文を確認済み - 雇用保険法第13条第1項(離職前2年間に被保険者期間通算12ヶ月以上)・第2項(特定受給資格者・特定理由離職者は離職前1年間に通算6ヶ月以上に緩和)※e-Gov法令APIの法令全文で条文を確認済み - 大和銀行事件(最高裁判所第一小法廷判決・昭和57年10月7日)。賞与の支給日在籍要件は、就業規則で明文化され合理性があれば有効と判断。判決文の原文は確認できておらず、事件名・判決年月日・結論の向きは複数の弁護士・社会保険労務士の解説記事(2026年8月確認)の内容が一致することを確認 - 退職代行各社の料金・運営形態は各社公式サイトを2026年8月に確認(taishoku/services.yaml記載)

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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