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障害者雇用で働く人の退職

この記事の結論
  • 障害者手帳を持つなど「就職困難者」に該当すると、失業保険の所定給付日数が一般の離職者より長くなる(雇用保険法第22条2項・同法施行規則第32条)
  • 45歳未満は被保険者期間1年未満で150日、1年以上で300日、45歳以上65歳未満は1年未満で150日、1年以上で360日
  • 自己都合退職だと給付制限がかかる場合があるが、体力の不足・心身の障害・疾病など健康上の理由による退職は「特定理由離職者」として給付制限がかからないことがある
  • 相談先はハローワークの専門援助窓口・地域障害者職業センター・障害者就業生活支援センターの3つが軸
ぜんたいの流れ
  1. 1離職票を受け取る
  2. 2専門援助窓口へ相談
  3. 3求職申込み
  4. 4就職困難者の確認
  5. 5給付日数の決定
この記事の内容
  1. 結論:就職困難者は給付日数が長い。まず専門援助窓口へ
  2. 「就職困難者」とは誰のことか
  3. 給付日数はどれくらい変わるのか
  4. 退職理由によって変わること:自己都合・会社都合・体調不良
  5. 退職前後に頼れる相談先
  6. 退職の伝え方に迷ったとき
  7. 実体験について、正直に書きます
  8. 次にやること

この記事は、障害者雇用枠で働いていて退職を考えている人に向けて書いています。 結論から言うと、障害者手帳などをお持ちで雇用保険上の「就職困難者」に当たる場合、失業保険(基本手当)の所定給付日数は一般の離職者より長く設定されています。ただし、退職理由が自己都合か会社都合かによって給付が始まるタイミングは変わりますし、「就職困難者」に当たるかどうかの判断はハローワークの窓口で行われます。この記事では、給付日数の仕組みと、退職前後に頼れる相談先を整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 障害者雇用で働いているが、体調や職場との相性が理由で辞めたい
  • 辞めたあと、失業保険がいくら・どれくらいの期間もらえるのか分からない
  • 一般の窓口で相談していいのか、専門の窓口があるのか分からない

結論:就職困難者は給付日数が長い。まず専門援助窓口へ

雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)には、「就職困難者」という区分があります。身体障害・知的障害・精神障害など、就職にあたって特別な配慮が必要と認められる人がこれに当たり、一般の離職者よりも所定給付日数(基本手当をもらえる日数)が長く設定されています(雇用保険法第22条2項・同法施行規則第32条)。

ここが要点

・障害者手帳(身体・療育・精神保健福祉のいずれか)を持っている、またはこれに準ずると認められる人は「就職困難者」に区分される可能性がある ・区分されると、一般の離職者より所定給付日数が長くなる(具体的な日数は次章) ・「就職困難者」に当たるかどうかは自己判断ではなく、ハローワークの窓口(専門援助窓口)での確認が必要

まず何をすべきかで言えば、退職を決めたら(または迷っている段階でも)、お住まいの地域を管轄するハローワークの「専門援助窓口」に相談することです。一般の窓口と分かれていることが多く、障害者雇用の求職・離職に慣れた担当者がついてくれます。

「就職困難者」とは誰のことか

雇用保険で言う「就職困難者」は、雇用保険法第22条2項で「厚生労働省令で定める理由により就職が困難なもの」とされ、具体的な範囲は雇用保険法施行規則第32条で定められています。実務上、次のような人が対象になり得ます。

区分 該当し得る人
身体障害 身体障害者手帳の交付を受けている人
知的障害 療育手帳の交付を受けている人
精神障害 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
その他 保護観察中の人、社会的事情により就職が著しく阻害されている人など

(雇用保険法施行規則第32条。手帳の等級や具体的な認定基準はハローワークの個別判断によるため、本記事では断定しません)

ここが要点

「障害者雇用枠で働いていた」ことと「就職困難者に区分される」ことは、重なることが多いものの、手続き上はイコールではありません。退職後にハローワークで求職申込みをする際、手帳を提示して初めて「就職困難者」として扱われるかどうかが確認される、という順番になります。

給付日数はどれくらい変わるのか

一般の離職者と就職困難者とで、所定給付日数がどう変わるかを整理します。

区分 被保険者期間1年未満 被保険者期間1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
一般の離職者(自己都合など) 受給資格なし(注) 90日 120日 150日
就職困難者(45歳未満) 150日 300日 300日 300日
就職困難者(45歳以上65歳未満) 150日 360日 360日 360日

(雇用保険法第22条1項・2項、同法施行規則第32条。注:自己都合退職の場合、離職前2年間の被保険者期間が通算12か月に満たないとそもそも基本手当の受給資格が生じません〈同法第13条1項〉。就職困難者・特定理由離職者・特定受給資格者は6か月で足ります〈同条2項〉)

ここが要点

就職困難者の場合、被保険者期間が1年未満でも150日の給付が受けられる点が、一般の離職者との一番大きな違いです。一般の離職者は被保険者期間が12か月に満たないとそもそも受給資格自体が生じないため、この差は小さくありません。

なお、この表はあくまで「所定給付日数」であり、実際にいつから振込が始まるかは、次章の退職理由によって変わります。

退職理由によって変わること:自己都合・会社都合・体調不良

失業保険は、退職理由によって「給付制限」の有無が変わります。

退職理由の区分 給付制限 該当し得るケース
会社都合(特定受給資格者) なし。原則7日の待期後すぐ支給開始 解雇、雇止め、倒産など
特定理由離職者 なし 体力の不足・心身の障害・疾病・負傷など健康上の理由により離職した場合など
自己都合 7日の待期に加えて給付制限1か月(2026年9月時点) 一身上の都合による退職

(雇用保険法第21条・第33条1項。特定理由離職者の範囲と給付制限なしの扱いはハローワークインターネットサービスの公表情報で確認。自己都合退職の給付制限は、厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」により2025年4月1日以降原則2か月から1か月に短縮されています。5年間で複数回自己都合離職した場合など個別の扱いは、退職時にハローワークで必ず確認してください)

ここが要点

ここでの実務上の注意点は、「障害者雇用枠で働いていたから」という理由だけで自動的に給付制限が外れるわけではない、ということです。体調の悪化や障害特性によって就業の継続が困難になった、という事情がある場合は「特定理由離職者」に当たる可能性があるため、離職票を受け取る前に、退職理由をどう書いてもらうか会社と話しておくことが大切です。

退職前後に頼れる相談先

障害者雇用での退職は、一般の転職・退職よりも相談先の選択肢が広がります。主なものを挙げます。

相談先 できること
ハローワークの専門援助窓口 就職困難者の確認、求職申込み、失業保険の手続き全般
地域障害者職業センター 職業評価、就労移行に向けた個別支援計画の作成
障害者就業・生活支援センター(通称「なかぽつ」) 就業面と生活面をあわせた相談、退職後の生活設計の相談
就労移行支援事業所 次の就職に向けた訓練、企業実習の紹介
精神保健福祉センター 精神障害がある場合の医療・福祉面の相談
産業医・主治医 退職を決める前の体調面の判断(医療判断は本記事では行いません)
ここが要点

どこか1か所に絞る必要はありません。実務上は「ハローワークの専門援助窓口」を最初の窓口にして、そこから地域障害者職業センターや「なかぽつ」につないでもらう、という流れが多いです。どこに相談すればいいか分からない場合は、まず専門援助窓口に電話をかけて「障害者雇用で働いていて、退職を考えている」と伝えるところから始めてください。

退職の伝え方に迷ったとき

障害者雇用の場合、配慮事項の調整などで会社とのやり取りが複雑になり、退職の話を切り出しにくいと感じる人もいます。直属の上司や人事に直接伝えるのが難しい場合、退職代行サービスを使って意思表示だけを代行してもらう、という選択肢もあります(退職の意思表示自体は民法627条1項により労働者の自由で、会社の同意は不要です。申し入れから2週間で雇用契約は終了します)。ただし、障害者雇用特有の手続き(離職票の記載内容の調整など)は代行サービスの範囲外になることが多いため、その部分は前章の相談先と並行して進めることになります。

ここが要点

一般的な相談先の例:退職代行Jobs、弁護士法人ガイア (※2026年9月時点の情報。サービス内容・料金は各社公式サイトで必ず確認してください)

実体験について、正直に書きます

このサイトの他の記事では、筆者本人が2026年に退職し、失業保険の手続きをハローワークで行った実体験を書いています。ただし筆者は障害者雇用枠の当事者ではなく、「就職困難者」としての給付を受けた経験もありません。そのため本記事の内容は、公開されている制度資料を調査した範囲でまとめたものであり、実体験としての手続きの様子(窓口での待ち時間や担当者とのやり取りの具体的な温度感など)は書いていません。この点は正直にお伝えします。

本記事の条文番号・給付日数・給付制限の月数は、雇用保険法および同法施行規則の条文、厚生労働省・ハローワークインターネットサービスの公表情報で確認したものです。ただし「就職困難者」に当たるかどうかや、体調不良を理由とした退職が特定理由離職者に当たるかどうかの個別判断は、最終的にハローワークの窓口が行います。退職を決める前に、必ずお住まいの地域のハローワーク専門援助窓口で、ご自身の状況に当てはめて確認してください。

次にやること

まずは、お住まいの地域を管轄するハローワークの「専門援助窓口」に電話し、障害者雇用枠での退職を考えていることと、手帳の有無を伝えて、就職困難者としての区分・給付日数を確認してください。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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