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契約期間満了退職の失業保険給付日数

この記事の結論
  • 所定給付日数は年齢・勤続年数で決まるが、自己都合退職と雇止めでは適用される表そのものが違う(雇用保険法第22条・第23条)
  • 自己都合(一般受給資格者)は年齢を問わず90〜150日、雇止め等(特定受給資格者相当)は年齢×勤続年数で90〜330日と幅が大きい
  • 雇止めのうち、更新により3年以上働いた場合や更新が明示されていた場合は特定受給資格者そのもの
  • 本人が更新を希望したのに会社が応じなかった場合(上記に当たらないもの)は「特定理由離職者」に当たり、時限措置(雇用保険法附則第4条第1項)で特定受給資格者と同じ表が使える
  • この時限措置は令和9年3月31日(2027年3月31日)までの離職が対象で、それ以降どうなるかは本記事執筆時点では未定
ぜんたいの流れ
  1. 1契約が終わる
  2. 2雇止めか自己都合かを確認
  3. 3該当する表を確認
  4. 4所定給付日数が決まる
  5. 5受給
この記事の内容
  1. 結論:表が違えば同じ勤続年数でも日数が変わる
  2. 所定給付日数はどう決まるか
  3. 契約期間満了でも「雇止め」でなければ自己都合と同じ表になる
  4. 比較表:一般の表と、雇止め等に適用される表
  5. 計算例:契約更新を4回した32歳・雇止めのケース
  6. この扱いは2027年3月31日までの時限措置
  7. チェックリスト:自分の給付日数を確認する前に
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 次にやること

契約社員として契約期間満了で辞めることになり、失業保険(基本手当)を何日分もらえるのか知りたい人へ。 結論から言うと、日数を決める表そのものが「雇止めかどうか」で変わります。同じ勤続年数でも、会社都合に近い扱い(雇止め)なら90〜330日、自己都合の扱いなら90〜150日と、当てはまる表が違えば結果も大きく変わります。この記事では、どちらの表が自分に当てはまるかの見分け方と、実際の日数を条文・公式資料にそって整理します。

結論:表が違えば同じ勤続年数でも日数が変わる

論点 自己都合退職(自分から更新を希望しなかった場合など) 雇止め(更新を希望したのに会社が応じなかった場合)
扱い 一般受給資格者 特定理由離職者(時限措置で特定受給資格者と同じ表)
所定給付日数を決める要素 勤続年数のみ(年齢は関係ない) 年齢×勤続年数の組み合わせ
所定給付日数の範囲 90日〜150日 90日〜330日
受給資格の要件 離職前2年間に被保険者期間12ヶ月以上(雇用保険法第13条1項) 離職前1年間に被保険者期間6ヶ月以上(同法第13条2項)
給付制限(待期後の支給開始まで) かかる。条文は「1ヶ月以上3ヶ月以内でハローワーク所長が定める期間」(同法第33条1項)で、令和7年4月1日以降の離職は原則1ヶ月(厚生労働省・労働局の案内。5年以内に自己都合離職が複数回あると3ヶ月)。別記事449で詳述 かからない(第33条1項の対象は自己都合退職と重大な理由による解雇のみ)
ここが要点

「契約期間満了」という結果自体は同じでも、失業保険上の扱いを分けるのは更新を希望していたのが本人か会社かという一点です。この記事では日数の差に絞って整理しますが、給付制限(支給開始までの待ち時間)の違いは別記事「契約社員が自己都合で辞めたとき」で扱っています。

所定給付日数はどう決まるか

失業保険(基本手当)を何日分もらえるかは「所定給付日数」と呼ばれ、雇用保険法第22条・第23条で定められています。決まり方には次の2種類があります。

  • 一般受給資格者(第22条1項):勤続年数(算定基礎期間)だけで決まる。年齢は関係ない
  • 特定受給資格者・一部の特定理由離職者(第23条):年齢と勤続年数の組み合わせで決まる

契約期間満了退職がどちらに当てはまるかは、次の章で見る「雇止めかどうか」の判定次第です。

契約期間満了でも「雇止め」でなければ自己都合と同じ表になる

雇用保険法第13条3項は、特定理由離職者の定義として次のように定めています。

期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないこと(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかつた場合に限る)その他のやむを得ない理由により離職したものとして厚生労働省令で定める者(雇用保険法第13条3項)

括弧書きの条件が分かれ目です。契約期間が満了して更新がない場合のうち、本人が更新を希望したのに合意に至らなかったものだけが対象になります。 本人が自分から「更新は希望しない」と伝えて契約を終えた場合は、この条文に当てはまらず、自己都合退職として一般受給資格者の表が使われます(雇用保険法第13条3項を手元の条文で確認)。

なお第13条3項の特定理由離職者は、第23条2項の特定受給資格者に当たる人を除いた区分です。有期契約が更新されなかった場合には、特定理由離職者ではなく、はじめから特定受給資格者になる次の2つがあります(ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」、2026年10月確認)。

  • 契約の更新により3年以上引き続き雇用されたうえで、契約が更新されなかった
  • 契約を結ぶときに「更新する」と明示されていたのに、更新されなかった(上の場合を除く)

「更新する場合がある」といった書き方で、更新が確約まではされていない場合は、特定理由離職者の側に入ります(同ページの補足)。

ケース 該当する区分 使う表
更新により通算3年以上働いたあと、契約が更新されなかった 特定受給資格者 特定受給資格者の表(90〜330日)。時限措置の期限に左右されない
契約時に更新が明示されていたのに更新されなかった 特定受給資格者 同上
本人が更新を希望したが合意に至らず、上の2つに当たらない(「更新する場合がある」など) 特定理由離職者 時限措置の期間内の離職なら、特定受給資格者と同じ表(90〜330日)
本人が自分から更新を希望せず、契約満了で退職した 自己都合退職(一般受給資格者) 一般の表(90〜150日)
会社が倒産・解雇などの事情で契約を終えた 特定受給資格者 特定受給資格者の表(90〜330日)

どれに当たるかの最終判断はハローワークがします。

自分がどちらに当たるかは、離職票の離職理由欄で確認できます。会社側の記載と自分の認識が食い違う場合は、ハローワークで求職の申込みをする際にその場で伝えられます。

比較表:一般の表と、雇止め等に適用される表

以下は、ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」で公表されている表そのものです(2026年9月確認)。

一般受給資格者(自己都合退職・自分から更新を希望しなかった場合など)

勤続年数(算定基礎期間) 1年未満 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢共通 90日(※) 90日 120日 150日

※通常、自己都合退職は受給資格に離職前2年間で12ヶ月以上の被保険者期間が必要なため、勤続1年未満でこの区分に該当するのは、6ヶ月要件で足りる特定理由離職者(雇止め以外の正当な理由がある自己都合退職など)に限られます。

特定受給資格者・雇止め等の特定理由離職者(時限措置対象)

年齢区分 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 ―
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

30歳未満の「20年以上」の欄は、ハローワークの公式の表でも「―」(日数の定めなし)です。なお30歳未満の「1年以上5年未満」は、第23条1項の対象が算定基礎期間5年以上のため、実際には一般の表(90日)と同じ日数になります(雇用保険法第23条1項を手元の条文で確認)。

計算例:契約更新を4回した32歳・雇止めのケース

数字を仮置きして、実際の日数がどう変わるかを見ます(以下はすべて仮の設定で、実在の事案ではありません)。

前提 - 32歳、契約社員として1年契約を更新しながら通算6年3ヶ月勤務 - 契約満了のタイミングで本人は更新を希望していたが、会社側が応じず退職(雇止め) - 離職前2年間の被保険者期間は24ヶ月分あり、受給資格の要件は満たしている

計算

項目 内容
該当区分 更新により3年以上引き続き雇用されたあとの雇止めなので、特定受給資格者に当たる可能性が高い(ハローワークの範囲表)。3年未満だった場合は、特定理由離職者(第13条3項)として附則第4条1項の時限措置で特定受給資格者とみなされ、日数は同じ
年齢区分 30歳以上35歳未満
勤続区分 5年以上10年未満
所定給付日数 180日

もし同じ32歳・勤続6年3ヶ月の人が、契約満了のタイミングで自分から更新を希望せず退職した(自己都合)場合は、一般受給資格者の表が使われます。

項目 内容
該当区分 一般受給資格者
勤続区分 1年以上10年未満
所定給付日数 90日

同じ年齢・同じ勤続年数でも、雇止めか自己都合かだけで日数の差は90日になります。 さらに自己都合側には原則1ヶ月の給付制限が上乗せされるため(別記事449参照)、実際に受け取り始めるまでの期間差はこれより開きます。

ここが要点

所定給付日数が330日(45歳以上60歳未満・勤続20年以上)になるケースでは、基本手当を受け取れる期間(受給期間)自体も原則1年から「1年+30日」に延長されます(雇用保険法第20条1項3号)。日数が多い分、使い切る前に受給期間が終わらないよう、早めに求職活動を進めておくと安心です。

この扱いは2027年3月31日までの時限措置

特定理由離職者として扱われる雇止め(前の章の3つ目のケース)に特定受給資格者と同じ表が使えるのは、実は恒久ルールではありません。 雇用保険法附則第4条第1項が、次のように期間を区切っています。更新により3年以上働いた場合など、はじめから特定受給資格者に当たる人は、この期限の影響を受けません。

特定理由離職者(厚生労働省令で定める者に限る)であつて、受給資格に係る離職の日が平成二十一年三月三十一日から令和九年三月三十一日までの間であるものに係る基本手当の支給については、当該受給資格者を特定受給資格者とみなして…所定給付日数の規定を適用する(雇用保険法附則第4条第1項、要約)

令和9年3月31日は西暦で2027年3月31日、2026年10月時点で残り5ヶ月半ほどです。条文の対象期間は平成21年3月31日から続いており、令和6年の法改正で従来の期限(令和7年3月31日)から2年延ばされました(厚生労働省資料)。2027年4月以降さらに延長されるかは、条文・ハローワークの公式ページのどちらにも記載がなく、2026年10月時点では分かりません。契約期間満了が2027年春に近い人は、離職時点で延長の有無をハローワークで確認してください。

チェックリスト:自分の給付日数を確認する前に

ハローワークで求職の申込みをする前に、次の項目を順に確認してください。

  • □ 契約満了のとき、更新を希望していたのは自分か、会社か(メール・面談記録が残っていれば保存)
  • □ 離職票の離職理由欄に、会社がどう記載しているかを確認したか
  • □ 自分の年齢と、通算の勤続年数(算定基礎期間)を確認したか
  • □ 雇止めに該当する場合、上の特定受給資格者の表で年齢区分×勤続区分の交点を確認したか
  • □ 自己都合に該当する場合、一般の表(90〜150日)で勤続区分を確認したか
  • □ 離職日が2027年3月31日に近い場合、時限措置が延長されているかをハローワークで確認したか

すべて埋まれば、自分の所定給付日数がどちらの表の何日に当たるか特定できます。離職票の記載と自分の認識が食い違う場合は、求職の申込みの際にその場で窓口に伝えてください。

実体験について、正直に書きます

私自身は2026年6月末に正社員として会社都合で退職し、失業保険の受給手続きを一通り経験しました。会社都合(特定受給資格者)だった私は給付制限がなく、雇用保険説明会の21日後(退職日から36日後)に初回の振込がありました。給付制限がかからない点は、条文(第33条1項)の上では雇止めの人も同じですが、この日数は会社都合の場合の私の一例で、読者の方の目安にはなりません。ただし、契約社員として雇止めに遭った経験、契約満了時に自分から更新を希望しなかった経験のいずれもありません。この記事で挙げた表・計算例は、雇用保険法の条文とハローワークの公式資料にもとづく整理であり、私自身が契約社員として給付を受けた経験にもとづく記述ではない点は明記しておきます。

次にやること

まず、自分の契約満了について「更新を希望していたのは自分か、会社か」を離職票の記載とあわせて確認してください。 それが特定できれば、上の比較表のどちらを見ればいいかが決まり、年齢と勤続年数を当てはめるだけで所定給付日数が分かります。


※本記事は2026年9月時点の一般的な情報整理です。所定給付日数の判定は個別の状況によって異なり、特に2027年3月31日に近い離職の場合は時限措置の延長有無で結果が変わるため、実際の判定はハローワークの窓口でご確認ください。

出典 - 雇用保険法第13条1項〜3項(受給資格要件、特定理由離職者の定義)・第20条1項(受給期間)・第22条1項・2項(所定給付日数、一般受給資格者・就職困難者)・第23条1項・2項(特定受給資格者の定義)・附則第4条第1項(特定理由離職者を特定受給資格者とみなす時限措置、期間は平成21年3月31日〜令和9年3月31日) — 本セッション(2026-09-26)にtaishoku/laws/雇用保険法.txtの条文原文を直接確認 - ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html(2026年9月、生HTMLを取得し表構造を解析して確認) - ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html(2026年9月確認。2026年10月に3年以上更新・更新明示の項目を再確認) - 雇用保険法第33条1項(給付制限は1ヶ月以上3ヶ月以内) — 手元の条文で確認。令和7年4月1日以降の離職は原則1ヶ月 — 厚生労働省・各労働局「給付制限期間が1か月に短縮」の案内(2026年10月確認) - 時限措置の期限(令和9年3月31日)の2年延長 — 厚生労働省の雇用保険部会資料(2026年10月確認)

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

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