50代の退職、失業保険の給付日数は何日?会社都合なら最長330日
- 会社都合退職(特定受給資格者等)の場合、所定給付日数の上限330日は「45歳以上60歳未満かつ被保険者期間20年以上」に限られ、50代はこの年齢区分にまるごと入る(雇用保険法22条・23条)
- ただし自己都合退職なら年齢は関係なく被保険者期間だけで90〜150日が決まるため、50代というだけで日数が伸びるわけではない
- 60歳になると年齢区分が変わり得るため、59歳と60歳では退職のタイミングで扱いが変わる可能性がある(詳細は要確認)
- 日数が長くても、50代は再就職までの期間が延びやすい・住宅ローンや教育費がまだ残っている・退職金や企業型DCの扱いが老後資金に直結するなど、若い年代とは別の重さがある
- 1退職理由を確認
- 2年齢区分を確認
- 3被保険者期間を確認
- 4日数を試算
- 5対策を検討
この記事の内容
50代で退職・転職を考えていて、「失業保険はどれくらいの期間もらえるのか」が気になっている人向けの記事です。結論を先に言うと、会社都合で辞めた場合、失業保険(基本手当)がもらえる日数の上限が最も長くなるのは45歳以上60歳未満、つまり50代がまるごと入る年齢区分です。ただし「50代だから自動的に長くもらえる」わけではなく、条件があります。この記事ではその条件と、日数が長くても油断できない50代特有の事情を整理します。
結論:50代は所定給付日数の上限が最も長い年齢区分
失業保険(基本手当)がもらえる日数(所定給付日数)は、辞め方・年齢・雇用保険に入っていた期間(被保険者期間)の組み合わせで決まります。このうち会社都合退職(倒産・解雇などによる「特定受給資格者」等)の場合、年齢によって上限が変わり、その上限が最も長くなるのが45歳以上60歳未満、被保険者期間20年以上のケースで330日です(雇用保険法第22条・第23条〈条文原文で確認〉、ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」の一覧表で照合)。
50代(50〜59歳)はこの「45歳以上60歳未満」の区分に丸ごと収まります。同じ会社都合退職でも、20代や30代より50代のほうが、条件次第で長くもらえる作りになっているということです。
| 辞め方 | 年齢による差 | 最大日数の条件 |
|---|---|---|
| 会社都合退職(特定受給資格者等) | あり | 45歳以上60歳未満かつ被保険者期間20年以上で330日が最大 |
| 自己都合退職(一般受給資格者) | なし | 被保険者期間20年以上で150日が最大(年齢は無関係) |
| 就職困難者(障害等に該当する場合) | あり | 45歳以上65歳未満は被保険者期間1年以上で360日が最大 |
(雇用保険法第22条・第23条〈条文原文で確認〉、ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html)より。2026年8月確認)
ただし全員ではない:330日の条件
「50代だから330日」ではありません。330日をもらうには、次の条件がすべて揃う必要があります。
- 会社都合退職であること — 倒産・解雇など、会社都合とみなされる退職理由(特定受給資格者等)に該当している必要があります。自己都合退職では、この年齢区分自体が適用されません
- 45歳以上60歳未満であること — 50代(50〜59歳)はこの範囲に入りますが、退職日時点の年齢で判定されます
- 被保険者期間が20年以上あること — 同じ会社に20年以上、あるいは転職しながらでも雇用保険の加入期間が通算で20年以上ある必要があります
50代でも、被保険者期間が短ければ日数はもっと短くなります。45歳以上60歳未満(会社都合退職)の場合、被保険者期間ごとの所定給付日数は次のとおりです(ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」より)。
| 被保険者期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 180日 |
| 5年以上10年未満 | 240日 |
| 10年以上20年未満 | 270日 |
| 20年以上 | 330日 |
330日をもらえるのは、この中で最も条件が揃った「被保険者期間20年以上」のケースだけです。正確な自分の日数は、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」で確認してください。
自己都合退職なら、年齢は関係ない
ここが誤解しやすいところです。自己都合退職(一般受給資格者)の所定給付日数には、そもそも年齢の区分がありません。被保険者期間だけで、10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日と決まります(雇用保険法第22条、別記事012で照合済み)。
つまり「50代だから自己都合退職でも長くもらえる」ということはありません。50代であることが日数に影響するのは、あくまで会社都合退職(特定受給資格者等)の場合だけです。自分の退職が会社都合に該当するかどうかは、離職票に記載される離職理由の区分によって決まります。会社側の説明と実際の離職票の記載が食い違うことも起こり得るため、離職票が届いたら離職理由の欄を必ず確認することをおすすめします。
60歳を境にまた変わる
50代の中では年齢による差はありませんが、60歳になると年齢区分が変わります。基本手当日額の上限額も、45歳以上60歳未満が9,110円であるのに対し、60歳以上65歳未満は7,830円と下がります(令和8年8月1日〜、厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日〜)」で確認)。
会社都合退職の所定給付日数も、60歳を境に上限が下がります。被保険者期間20年以上の場合、45歳以上60歳未満は330日が上限ですが、60歳以上65歳未満になると上限は240日です(ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」で確認)。59歳での退職と60歳での退職では、同じ勤続年数・同じ会社都合退職でも上限日数が90日違うということです。誕生日と退職時期が近い50代後半の人は、退職日を決める前にハローワークで自分の年齢区分を確認しておく価値があります。
日数が長くても安心できない50代特有の事情
所定給付日数が長いことは助けになりますが、50代の退職には日数だけでは埋まらない事情があります。
- 再就職までの期間が延びやすい — 年齢を理由に選考機会そのものが減る、あるいは希望する条件(役職・年収)での再就職に時間がかかることは、50代の転職でよく指摘される傾向です。所定給付日数が長い分、猶予はありますが、日数を使い切るリスクも同時に大きくなります
- 住宅ローン・教育費がまだ残っていることがある — 40代で住宅ローンを組んだ場合、50代でも返済は続いています。子どもの進学時期と重なる家庭も少なくありません
- 退職金・企業型DCの扱いが老後資金に直結する — 50代の退職金は、そのまま老後の生活設計に影響します。企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していた場合、資格喪失日の属する月の翌月から起算して6ヶ月以内に移換手続きをしないと、資産が自動的に国民年金基金連合会へ移換され、運用が止まったうえ手数料だけがかかる状態になります(確定拠出年金法第83条、厚生労働省・社会保障審議会企業年金部会資料、別記事011でfact_check済み)
- 年金の受給開始年齢との距離が近づいている — 60歳・65歳といった年金関連の節目が視野に入ってくる年代のため、失業保険の受給期間だけでなく、その先の生活設計まで含めて考える必要があります
これらは所定給付日数の長さでは解決しない問題です。330日という日数は「猶予が長い」ことを意味しますが、「安心していい」ことを意味するわけではありません。
実体験について、正直に書きます
私自身は2026年6月30日に会社都合で退職しましたが、執筆時点で50代ではないため、「50代の退職」そのものを実体験として語ることはできません。
ただし年齢に関係なく参考になる部分として、会社都合退職における給付制限の扱いはお伝えできます。会社都合退職だったため給付制限がなく、初回振込までは退職日から36日でした。所定給付日数そのものは、前年の年収や被保険者期間から個人の状況が逆算できてしまうため、この記事では公表していません。
次にやること
離職票が届いたら、離職理由の区分(会社都合か自己都合か)と、自分の被保険者期間を確認してください。そのうえで、正確な所定給付日数はハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」で確認するのが確実です。給付制限の有無や振込までの流れは別記事(012)、給付制限の詳細な条件は別記事(019)で扱っています。
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報整理です。所定給付日数・賃金日額の上限額は制度改正や個別の被保険者期間・離職理由によって変わるため、正確な数字は必ずハローワークで確認してください。再就職の難しさや年収の見通しには個人差が大きく、本記事では一般的な傾向として触れるにとどめています。心身の不調がある場合は、手続きより先に医師・産業医にご相談ください。