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退職後に配偶者の扶養へ入る

ぜんたいの流れ
  1. 1退職
  2. 2離職票受け取り
  3. 3配偶者の勤務先へ申請
  4. 4健保組合の審査
  5. 5認定・保険証発行
この記事の内容
  1. 配偶者の扶養に入れる条件は何か
  2. 失業保険をもらっていると扶養に入れない場合がある(計算例)
    1. 計算例:基本手当日額が5,000円のケース
  3. 手続きに必要な書類(チェックリスト)
  4. 手続きの流れ
  5. 認定されるまでの空白期間に注意する
  6. 次にやること
  7. 出典(2026年9月14日調査)

退職して次の仕事が決まっていない、あるいはしばらく休むと決めた人向けの話。配偶者が会社員・公務員で厚生年金や健康保険に入っているなら、退職後に配偶者の扶養に入れば、自分の保険料負担なしで健康保険と年金の空白期間をなくせる。ここでは条件・必要書類・手続きの流れを順番に説明する。

配偶者の扶養に入れる条件は何か

健康保険の「被扶養者」になれるかどうかは、まず年収の基準で決まる。

区分 年収の基準 同居の場合の追加条件
60歳未満 130万円未満 配偶者の年収の半分未満
60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある人 180万円未満 配偶者の年収の半分未満

(全国健康保険協会=協会けんぽの被扶養者認定基準による。健康保険組合は協会けんぽの基準より緩やかな独自ルールを設けている場合があるため、配偶者の勤務先の健保組合に確認しておくとよい)

ここでいう「年収」は、退職前の給与ではなく、扶養に入った後、これから先1年間に見込まれる収入で判定する。前職の年収が130万円を超えていても、退職して無収入になった時点からの見込みで判断されるため、多くの人はこの時点で条件を満たす。

注意したいのは、この「収入」に含まれるものの範囲だ。給与だけでなく、雇用保険の失業給付(基本手当)や公的年金なども収入として扱われる。次の見出しで詳しく説明する。

もう一つ、健康保険とセットで確認しておきたいのが年金の扱いだ。配偶者が厚生年金に加入している場合、20歳以上60歳未満の配偶者は「国民年金第3号被保険者」になれる(国民年金法第7条第1項第3号)。第3号被保険者になると、保険料を自分で納めなくても国民年金の加入期間として扱われる。健康保険の被扶養者届と同じタイミングで、まとめて手続きするのが一般的だ。

失業保険をもらっていると扶養に入れない場合がある(計算例)

ここが一番つまずきやすいポイントになる。退職後にハローワークで求職の申込みをして雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)を受け取る場合、その給付額も「収入」としてカウントされる。

判定に使われるのは年収130万円(または180万円)を360日で割った「日額」の目安だ。

  • 60歳未満: 130万円 ÷ 360日 ≒ 日額3,612円
  • 60歳以上・障害者: 180万円 ÷ 360日 ≒ 日額5,000円

(協会けんぽをはじめ複数の健康保険組合が公表しているこの日額の目安による。健保組合によって採用する日数の割り方が異なることがあるため、正確な数字は配偶者の健保組合に確認するのが確実。全国健康保険協会の公式サイトにこの日額そのものを明記したページは見当たらない。2026年9月確認)

計算例:基本手当日額が5,000円のケース

前職の給与を基に算出された基本手当日額が5,000円だったとする。

  1. 日額5,000円 × 360日 = 年収換算180万円
  2. 60歳未満の基準(130万円未満)を超えるため、基本手当を受給している間は扶養に入れない
  3. 受給が終了した(または受給期間が終わった)時点で、あらためて被扶養者の申請をする

逆に、基本手当日額が3,000円であれば、 1. 日額3,000円 × 360日 = 年収換算108万円 2. 130万円未満の基準を満たすため、受給しながらでも扶養に入れる可能性がある

つまり「失業保険をもらう=扶養に入れない」ではなく、もらう金額次第というのが実際のところだ。自分の基本手当日額は、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証」に記載されている。

給付制限期間中(自己都合退職の場合、基本手当が出ない期間。雇用保険法第33条による公共職業安定所長の定める期間で、2025年4月の制度改正により原則1ヶ月に短縮された。ただし5年以内に3回目以降の自己都合退職は3ヶ月のまま。厚生労働省の2025年4月施行の改正による)や、そもそも求職の申込みをせず基本手当を受け取らない場合は、この日額判定の対象にならず、通常の年収基準(130万円/180万円)だけで判定される。

手続きに必要な書類(チェックリスト)

健康保険の被扶養者届と国民年金第3号被保険者の届出は、多くの場合1枚の様式(「健康保険被扶養者(異動)届 兼 国民年金第3号被保険者関係届」)で同時に手続きする。配偶者の勤務先(総務・人事担当)を経由して提出する点は共通。

以下は一般的に求められる書類のチェックリスト。実際の必要書類は配偶者の勤務先・健保組合によって増減するため、必ず事前に確認する。

  • □ 健康保険被扶養者(異動)届 兼 国民年金第3号被保険者関係届(配偶者の勤務先から入手)
  • □ マイナンバーが分かるもの(届出書にマイナンバーを記載する場合、住民票の添付を省略できることが多い)
  • □ 続柄を確認できる書類(住民票など。マイナンバーの記載で省略できる場合あり)
  • □ 収入要件を確認できる書類(退職証明書、離職票の写し、または非課税証明書など)
  • □ 雇用保険の受給状況が分かる書類(受給資格者証の写し、または「受給していない」ことを示す書類)
  • □ 配偶者の年収を確認できる書類(源泉徴収票の写しなど。同居で収入基準を判定する場合に求められることがある)

書類の組み合わせは健保組合ごとに差があるため、上記はあくまで一般的な例。配偶者の勤務先に「退職して扶養に入りたい」と伝えた時点で、その健保組合が指定する書類一覧をもらうのが確実。

手続きの流れ

  1. 退職する。離職票・雇用保険被保険者証などの書類を会社から受け取る 会社(事業主)は退職日の翌日から10日以内にハローワークへ資格喪失届を提出する義務がある(雇用保険法施行規則第7条)。本人の手元に離職票が届くまでの日数は公的に定められておらず、そこからハローワークの処理・郵送を経るため、実務では10日〜2週間程度かかることが多い(2026年9月確認)。
  2. 配偶者の勤務先(総務・人事)に「扶養に入りたい」と伝える このタイミングで必要書類の案内をもらう。
  3. 必要書類をそろえて配偶者経由で提出する 健康保険法施行規則第38条では、事実発生(退職して収入基準を満たした日)から5日以内に、配偶者(被保険者)が勤務先(事業主)を経由して届け出るとされている。実務上は書類がそろい次第、早めに配偶者の会社へ渡すのがよい。
  4. 健保組合が審査する 収入見込みや続柄を確認し、認定可否を判断する。審査には数日〜数週間かかることがある。
  5. 認定されれば健康保険証が発行され、第3号被保険者としても登録される 健康保険証が届くまでの間に病院にかかる予定がある場合は、配偶者の勤務先に一時的な取り扱いを相談する。

認定されるまでの空白期間に注意する

退職日の翌日から扶養が認定されるまでの間、健康保険にまったく入っていない期間ができることがある。この間に病院にかかると医療費が全額自己負担になる可能性があるため、次のどちらかで空白を埋めておく必要がある。

  • 前職の健康保険を任意継続する(被保険者の資格を喪失した日=退職日の翌日から20日以内に申請。退職前に継続して2ヶ月以上被保険者だったことが条件。健康保険法第3条第4項・第37条)
  • 住んでいる市区町村で国民健康保険に加入する

扶養の審査が通れば、任意継続や国民健康保険から切り替えることになる。どちらも一度加入すると資格喪失の手続きが必要になるため、扶養に入れる見込みがどれくらいの期間かを先に配偶者の会社に確認してから選ぶと二度手間にならない。

次にやること

まず配偶者の勤務先に「退職したので扶養に入りたい」と連絡し、その健保組合が求める必要書類の一覧をもらうこと。自分の基本手当日額が分かっている場合は、その数字も一緒に伝えると話が早い。

出典(2026年9月14日調査)

  • 全国健康保険協会「令和7年度被扶養者資格の再確認について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/dependent_status/001/index.html (被扶養者の年収基準が130万円未満・60歳以上または障害厚生年金相当の障害がある場合180万円未満であることを確認)
  • 日本年金機構「厚生年金に加入する方の被扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)になったとき」 https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kokunen/kanyu/sango.html (第3号被保険者が20歳以上60歳未満の被扶養配偶者であることを確認)
  • e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/350M50002000003/ (第7条で、事業主が被保険者資格喪失の事実があった日の翌日から10日以内に資格喪失届を提出する義務を負うことを確認)
  • e-Gov法令検索「健康保険法施行規則」 https://laws.e-gov.go.jp/law/215M10000008036/20230929_505M60000100125 (第38条で、被扶養者を有するに至った事実発生から5日以内に被扶養者届を提出するとされていることを確認)
  • 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html (自己都合退職の給付制限期間が2025年4月から原則1ヶ月に短縮され、5年以内に自己都合退職を繰り返した場合は3ヶ月になることを確認)
  • 全国健康保険協会「任意継続被保険者となるための要件」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3180/sbb3180/1984-6168/ (資格喪失日から20日以内の申請、退職前に継続して2ヶ月以上の被保険者期間が必要であることを確認)

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

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