休職に診断書は必要か
- 1症状に気づく
- 2心療内科を受診
- 3症状を伝える
- 4診断書を依頼
- 5会社に提出
この記事の内容
心身の不調で休職を考えているが、「診断書がないと休めないのか」「心療内科で何をどう話せばいいのか分からない」人向けの記事です。 結論を先に言うと、診断書の提出を法律で義務づけている規定はありませんが、実務上はほぼすべての会社が診断書の提出を求めます。 この記事では、なぜ会社が診断書を求めるのか、傷病手当金の書類とは何が違うのか、心療内科でどう伝えればいいのかを整理します。医師にしかできない診断・治療の判断には踏み込みません。休職の診断書を実際にもらうまでの手順と、医師にそのまま使える伝え方の文例もあわせて紹介します。
- 休職するのに診断書は本当に必要なのか分からない
- 心療内科に行ったことがなく、何をどう話せばいいか分からない
- 診断書と、休職中にもらえるお金の書類が同じものだと思っている
結論:法律上の義務ではないが、会社はほとんど求める
| 論点 | 結論 | 根拠 |
|---|---|---|
| 休職に診断書が必須と定めた法律はあるか | ない。労働基準法に休職の明文規定はない | 労働基準法(全文検索でヒット0件、既存記事053・190で確認済み) |
| では診断書はいらないのか | 実務上はほとんどの場合必要になる。会社が就業規則・運用で求めるため | 会社ごとの就業規則(一次情報は会社により異なり確認できず) |
| 診断書と傷病手当金の書類は同じか | 別物。傷病手当金は専用の様式(意見書)が必要 | 全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内 |
| 診断書の費用は決まっているか | 決まっていない。自由診療のため病院ごとに異なる | (健康保険適用外のため、全国統一の相場を示す公的統計は見当たらない。2026年9月確認) |
「法律上は不要」と「会社に出さなくていい」は別の話です。多くの会社は就業規則で「休職には医師の診断書を提出すること」と定めているか、慣例としてそう運用しています。 自分の会社がどちらかは、就業規則を確認するか、人事に聞くのが確実です。
なぜ会社は診断書を求めるのか
法律上の義務がないのに、なぜほぼすべての会社が診断書を求めるのでしょうか。理由として一般的に挙げられるのは次の3点です。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 休職の必要性を客観的に確認するため | 本人の申告だけでなく、第三者(医師)の判断があることで、休職の妥当性を会社側が判断できる |
| 休職期間・復職の目安を把握するため | 「おおむね〇ヶ月の休養を要する」といった記載から、会社が人員配置や引き継ぎを検討できる |
| 労務管理上の記録を残すため | 休職・復職の判断根拠を書面で残しておくことで、あとから経緯を確認できるようにする |
これらは複数の社労士事務所・人事系メディアの解説で共通して説明されている一般的な理由であり、全国規模で集計した公的統計は見当たらない(2026年9月確認)。どの理由を重視するか、診断書に何を書いてもらう必要があるか(病名の記載要否、休養見込み期間の記載など)は会社ごとの就業規則・運用によって異なるため、人事に直接確認するのが確実です。
診断書に「病名」まで書くかどうかは、医師と相談して決められることが多いです。会社によっては病名の記載までは求めず、「療養を要する」という診断内容と期間だけで足りる場合もあります。何をどこまで書いてほしいか、心療内科を受診する前に会社の求める様式・記載事項を確認しておくと、受診時に医師へ伝えやすくなります。
診断書と傷病手当金の「意見書」は別物
診断書を1枚出せば、休職も傷病手当金の手続きも全部済むと思われがちですが、両者は別の書類です。
| 書類 | 提出先 | 目的 | 様式 |
|---|---|---|---|
| 診断書 | 会社(人事・上長) | 休職の必要性を会社に伝える | 病院が発行する一般的な診断書 |
| 傷病手当金支給申請書(療養担当者記入欄) | 加入している健康保険組合・協会けんぽ | 傷病手当金を受け取るための、医師による労務不能の証明 | 健康保険組合・協会けんぽが定める専用様式 |
傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けず、給与の支払いを受けられないときに健康保険から支給される制度です(健康保険法第99条。療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間について支給する旨が定められている。全文で確認)。申請書は4ページで構成され、1〜2ページ目が被保険者記入用、3ページ目が事業主記入用、4ページ目が療養担当者記入用(医師が労務不能と認めた傷病名・期間、発病または負傷の原因・年月日、症状及び経過などを記入する欄)になっている。この構成は協会けんぽ公式サイトの「健康保険傷病手当金支給申請書 記入の手引き」PDFで確認した(2026年9月確認)。療養担当者記入欄は会社に提出する診断書とは別の専用様式であり、様式や記入欄の呼び方は加入する健康保険組合によって異なる場合があるため、実際の申請時は加入先の窓口・公式サイトで最新の様式を確認してください。
つまり、心療内科を受診する際は「会社に出す診断書」と「傷病手当金の申請書(療養担当者記入欄)」の両方が必要になる場合があり、どちらも医師に記入してもらう必要があります。あらかじめ両方の書類を病院に持参できると、受診の回数を減らせます。
傷病手当金の支給額・支給期間の詳しい計算方法は、既存記事「傷病手当金はいくらもらえるか|標準報酬月額からの計算」で扱っています。休職とあわせて傷病手当金の受給を考えている場合は、そちらもあわせて確認してください。
心療内科・精神科での伝え方
初めて心療内科や精神科を受診するとき、「何をどう話せばいいか分からない」という不安を持つ人は多いです。ここでは診断そのものではなく、症状や状況を医師に伝えるときの一般的な工夫を整理します。診断や治療方針の判断は医師の領域であり、この記事では行いません。
| 伝えること | 具体例 |
|---|---|
| いつから、どんな症状があるか | 「1ヶ月前から夜眠れない」「出社しようとすると動悸がする」など、時期と症状をセットで話す |
| 仕事にどう影響しているか | 「集中できずミスが増えた」「涙が止まらず会議に出られない」など、具体的な支障を話す |
| すでに試したこと | 「上司に相談した」「有給を使って休んでみたが改善しなかった」など |
| 会社に診断書を提出する予定があること | 休職のために診断書が必要なことを伝えておくと、様式や記載内容の相談がしやすい |
症状を「うまく説明できるか」を心配しすぎる必要はありません。問診票に事前に書いておく、メモを持参する、といった方法で、その場で言葉に詰まっても伝えられるようにしておくのも一つの工夫です。医師は限られた診察時間の中で状況を把握しようとするため、時系列に沿った具体的な事実(いつ・何が・どう困っているか)があると伝わりやすくなります。
心療内科と精神科のどちらを受診すべきか迷う場合、一般的には「不眠・気分の落ち込み・動悸など体の症状も伴う」場合は心療内科、「気分の波や強い不安など精神的な症状が中心」の場合は精神科、という目安が語られることが多いですが、両者の線引きは病院によって異なり、実際にはどちらを受診しても対応してもらえることがほとんどです。どちらに行けばいいか迷うこと自体を理由に受診を先延ばしにする必要はありません。
休職の診断書をもらう手順・文例
「休職に診断書が必要」と分かっても、実際にどう動けばいいかで止まる人は多いです。ここでは受診から会社への提出までの流れを、番号順に整理します。
- 心療内科・精神科を受診する。 初診でも診断書の相談自体は可能です。
- 症状と仕事への支障を伝える。 心療内科・精神科での伝え方にあるとおり、時期・症状・仕事への影響を具体的に話します。
- 「休職のため会社に提出する診断書がほしい」とはっきり医師に伝える。 症状の説明だけでは、医師は「診断書が要る」ことに気づかない場合があります。下の文例を参考にしてください。
- 即日発行できるか、日数がかかるかを確認する。 医師が経過観察を必要と判断した場合、初診では発行されず次回受診を待つこともあります。
- 費用を確認し、診断書を受け取る。(診断書はどれくらいで出るか・費用を参照)
- 会社の指定する方法・期限内に提出する。(会社への提出方法を参照)。提出期限は会社の就業規則によって異なるため、受診前に人事へ確認しておくと二度手間になりません。
医師に診断書を依頼するときの伝え方の文例です。コピーして、自分の状況に合わせて言葉を変えて使えます。
会社に休職を申請するために、医師の診断書が必要です。
本日、診断書をご記入いただくことは可能でしょうか。
会社への提出期限が(○月○日まで/未定)のため、
発行にどのくらいお時間がかかるか教えていただけますか。
即日発行できるかどうかで、その後の動きが分かれます。
| 状況 | 会社への対応 |
|---|---|
| 即日発行できる場合 | その場で受け取り、会社の指定する方法で提出する |
| 即日発行できず、次回受診が必要な場合 | 会社(人事)に「診断書の発行に日数がかかる見込み」と早めに伝え、提出期限の相談をしておく |
この段階で次に詰まりやすいのが、「会社所定の様式があるかどうか」です。 会社によっては、心療内科が通常発行する一般的な診断書の書式とは別に、社内指定の様式(休職願・診断書添付用紙など)を用意している場合があります。指定様式がある場合、一般的な診断書だけでは受理されないことがあるため、受診前に人事へ「診断書は所定の様式があるか、あれば事前にもらえるか」を確認し、様式があれば受診時に病院へ持参するのが確実です。指定様式が無ければ、心療内科で発行される一般的な診断書で足ります。
診断書はどれくらいで出るか・費用
診断書は、初診のその日にすぐ発行されるとは限りません。医師が症状の経過を確認したうえで発行する場合もあり、即日発行できるかどうかは病院・症状によって異なります。休職の予定日が決まっている場合は、診断書の発行にどれくらいの時間がかかるか、受診時に病院へ確認しておくと安心です。
診断書の発行費用は、健康保険が適用されない自由診療にあたるため、病院ごとに設定が異なります。全国で統一された相場を示す公的な統計は見当たらない(2026年9月確認)。受診する病院で診断書の発行費用がいくらかかるかは、病院ごとに異なるため、受診前に窓口・公式サイトで確認してください。
会社への提出方法
診断書を受け取ったら、会社の指定する方法(人事への直接提出、郵送、上長経由など)で提出します。直接出社して手渡すのが難しい場合、郵送での提出に応じてもらえるかどうかは会社によります。まずは休職の意向とあわせて、人事や上長に「診断書はどのように提出すればよいか」を確認するのが確実です。
体調がつらく、会社との連絡自体が負担になっている場合は、産業医面談や人事とのやり取りの進め方について、既存記事「産業医面談では何を話すか|不利にならない伝え方」もあわせて確認してください。
実体験について
私自身は2026年6月末に会社都合で退職しましたが、休職や、休職のための診断書を取得した経験はありません。そのため、この記事の内容は実体験ではなく、公式の案内・既存記事の調査内容にもとづくものです。
調査した範囲で感じたのは、「診断書」と「傷病手当金の書類」が別物であることを知らないまま病院に行くと、二度手間になりやすいという点です。私が離職票や退職に関する書類を扱ったときも、必要な書類の種類を事前に把握していたかどうかで、手続きにかかる時間がかなり変わりました。診断書についても、受診前に「会社に何を提出する必要があるか」「傷病手当金も申請するか」を確認してから病院に行くと、無駄な受診回数を減らせるはずです。
次にやること
まず、会社(人事・上長)に「休職に診断書は必要か」「必要な場合、記載してほしい内容は何か」を確認してください。 そのうえで心療内科・精神科を受診し、症状の経過と仕事への支障を具体的に伝え、必要であれば傷病手当金の申請書(療養担当者記入欄)もあわせて依頼します。診断や治療方針の判断は医師に委ね、この記事はあくまで手続きの整理として使ってください。心身の不調が強く、会社への連絡自体が難しい場合は、まず医師・産業医に相談することを優先してください。
会社に連絡すること自体が大きな負担になっている場合、退職代行Jobs、弁護士法人ガイア、退職代行ネルサポート、円満退職ユニオン のような退職代行サービスを使えば、休職ではなく退職という選択を、会社と直接やり取りせずに進めることもできます(※2026年9月時点の調査。各社のサービス内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください)。
※本記事は2026年9月時点の情報整理です。診断書の要否・記載内容・費用は会社や病院によって異なるため、最終的な判断は勤務先への確認と、医師への相談を通じて行ってください。心身の不調がある場合は、この記事の内容より先に医師・産業医にご相談ください。
出典(2026年9月確認) - 労働基準法全文(条文中に「休職」の明文規定が無いことを2026年9月にGrepで再確認。既存記事053・190の確認結果とも一致) - 健康保険法第99条(傷病手当金。療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間について支給する旨を全文で確認) - 全国健康保険協会(協会けんぽ)「健康保険傷病手当金支給申請書」ページ https://www.kyoukaikenpo.or.jp/application_form/benefit/001/index.html (2026年9月WebFetchで確認。申請様式・申請期限を確認) - 全国健康保険協会(協会けんぽ)「健康保険傷病手当金支給申請書 記入の手引き」PDF(上記ページからダウンロード可能。2026年9月に原本を確認。申請書が4ページ構成で、1〜2ページ目が被保険者記入用、3ページ目が事業主記入用、4ページ目が療養担当者記入用(医師が労務不能と認めた傷病名・期間・発病または負傷の原因・症状及び経過等を記入)であることを確認) - 既存記事190「休職は何ヶ月まで認められるか|就業規則の休職期間の読み方」 - 既存記事052「うつ・適応障害で働けないとき|退職の前に傷病手当金を知る」 - 既存記事186「傷病手当金はいくらもらえるか|標準報酬月額からの計算」