失業中にお金を借りる公的制度
- 1窓口に相談
- 2必要書類準備
- 3申込む
- 4審査
- 5貸付決定・入金
この記事の内容
失業保険の振込まで生活費が持たない、あるいは職業訓練を受けている間の生活費が足りない。そんなときに使える公的な貸付制度が2つあります。
結論を先に言うと、「緊急小口資金」は失業給付や年金など収入が入るまでの一時的なつなぎ資金、「求職者支援資金融資」は職業訓練を受けながら職業訓練受講給付金だけでは生活費が足りない人向けの融資です。この記事では、全国社会福祉協議会と厚生労働省が公開している公式資料(2026年9月7日確認)をもとに、それぞれの対象・金額・申込方法を説明します。
どちらも「借りたら返す」お金です。生活保護や住居確保給付金のような給付ではない点は先に押さえておいてください。
結論:2つの制度の違い
| 制度 | 緊急小口資金 | 求職者支援資金融資 |
|---|---|---|
| こんな人向け | 失業給付・年金・給与などの入金までのつなぎが必要な人 | 職業訓練を受講中で、職業訓練受講給付金だけでは生活費が足りない人 |
| 窓口 | 市区町村の社会福祉協議会 | ハローワーク→労働金庫(ろうきん) |
| 貸付上限額 | 10万円以内 | 単身者は月5万円、扶養する配偶者・子・父母がいる人は月10万円(×受講予定訓練月数、最大12か月分) |
| 利子 | 無利子 | 年3.0%(信用保証料0.5%を含む) |
| 保証人 | 不要 | 不要(ただし労働金庫指定の信用保証機関の利用が条件) |
| 据置期間 | 貸付けの日から2か月以内 | 訓練終了月の3か月後の末日まで(利息のみの返済) |
(全国社会福祉協議会「生活福祉資金貸付制度について」、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求職者支援資金融資のご案内」より作成。2026年9月7日確認)
今すぐ数万円が必要なら緊急小口資金、職業訓練を受けながら生活費が足りないなら求職者支援資金融資、と目的で使い分けます。両方とも「あくまで貸付」であり、利息を含めて返済する義務があります(免除はありません)。
緊急小口資金とは
緊急小口資金は、生活福祉資金貸付制度という制度の中の一つで、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に、少額の費用を貸し付けてくれる資金です。2003年(平成15年)1月に創設された制度で、実施主体は都道府県社会福祉協議会、実際の窓口は市区町村の社会福祉協議会です(全国社会福祉協議会「生活福祉資金貸付制度について」より、2026年9月7日確認)。
対象になる世帯
低所得世帯・障害者世帯・高齢者世帯のいずれかに該当することが必要です。低所得世帯は「おおむね市町村民税非課税程度の低所得の世帯」とされていますが、各都道府県の実態に即した弾力的な運用が認められているとされています(同資料より)。失業して収入が大きく減った世帯は、この低所得世帯の枠で相談できるケースが多いと考えられます。
貸付上限額と条件
貸付上限額は10万円以内です。無利子で、連帯保証人は不要です。据置期間(返済を始めなくてよい期間)は貸付けの日から2か月以内、償還期限(返済を終える期限)は据置期間経過後12か月以内と定められています(同資料より)。
実際にどんな目的で使われているかは、全国社会福祉協議会民生部が実施したアンケート結果が公開されています。合計2,919件の集計のうち、最も多いのは「初回給与までに必要な生活費」で38.8%、次いで「年金、保険、公的給付等の支給開始までに必要な生活費」が32.1%、「会社からの解雇、休業等による収入減に伴い必要な生活費」が8.6%となっています(同資料12ページの集計より、2026年9月7日確認)。つまり、離職や転職にともなう「収入の空白期間」を埋める目的での利用が、実際に7割前後を占めていることになります。
申込みで押さえること
自立相談支援事業(生活困窮者自立支援制度の相談窓口)の利用が、原則として要件になっています(同資料より)。これは「お金を貸すだけでなく、生活の立て直しも一緒に考える」という制度の目的によるものです。まずは市区町村の社会福祉協議会に電話や窓口で相談し、必要書類や進め方の案内を受けることになります。
求職者支援資金融資とは
求職者支援資金融資は、雇用保険を受給できない人が、スキルアップのための職業訓練を受けながら、生活支援として職業訓練受講給付金(月額10万円+通所手当)を受け取れる「求職者支援制度」の利用者を対象にした融資制度です。給付金だけでは訓練期間中の生活費が不足する場合に、労働金庫から融資を受けられます(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求職者支援資金融資のご案内」より、2026年9月7日確認)。
対象になる人
次の2つの要件をどちらも満たす人が対象です(同資料より)。
- 職業訓練受講給付金の支給決定を受けた人
- ハローワークで「求職者支援資金融資要件確認書」の交付を受けた人(貸付を希望する理由が適当と認められる、貸付金を返済する意思があると認められる、暴力団員でないことが交付の要件)
貸付額と利率
貸付額は、同居または生計を一にする別居の配偶者・子・父母のいずれかがいる場合は月額10万円(上限)、それ以外の単身者などの場合は月額5万円(上限)に、受講予定訓練月数(最大12か月分、条件を満たせば最大24か月分まで延長可)を掛けた金額です。貸付額は1万円単位となります(同資料より)。
担保・保証人は不要ですが、労働金庫が指定する信用保証機関の利用が条件になります。貸付利率は年3.0%(信用保証料0.5%を含む)で、元金と利息の返済が遅れた場合は、遅延している元金に対して年14.5%の損害金(遅延利息)が発生します(同資料より)。
返済のルール
貸付日の属する月の翌月末以降、毎月末日が約定返済日になります。訓練終了月(就職などで途中で辞めた場合はその日が属する月)の3か月後の末日までは元金据置期間として利息のみの返済、その4か月後の末日以降、貸付日から5年以内(貸付額が50万円以上の場合は10年以内)に元利均等払いで返済します(最終弁済時の年齢は65歳、同資料より)。
訓練を途中で辞めた場合は、1か月以内にハローワークに届け出て労働金庫で契約変更の手続きが必要です。届け出ずに1か月を過ぎると、債務残高の全額を一括返済しなければならなくなる点は注意が必要です(同資料より)。返済免除の制度はなく、あくまで融資であることが強調されています。
申込みの流れ
2つの制度で窓口も手順も異なりますが、大まかな流れは共通しています。
緊急小口資金の場合
- 市区町村の社会福祉協議会に相談する
- 必要書類(本人確認書類、収入がわかる書類など)を準備する
- 申込書を提出する
- 社会福祉協議会(実施主体は都道府県社協)が審査する
- 貸付が決定し、口座に入金される
求職者支援資金融資の場合(同資料より)
- ハローワークで確認申請を行う
- 貸付条件を満たしていれば「求職者支援資金融資要件確認書」が交付される
- 職業訓練受講給付金の支給決定を受ける
- 要件確認書と支給決定がわかる書類を、ハローワークが指定する労働金庫に持参して貸付の手続きをする
- 労働金庫の審査に通過すれば、本人の労働金庫口座に一括で振り込まれる(労働金庫に口座がなければ、手続きの際に開設が必要)
どちらも、窓口に行けばその場でお金が出てくるわけではなく、審査を経て決定までに一定の日数がかかります。生活費が本当に逼迫している場合は、余裕を見て早めに相談することが大切です。
借りる前に知っておくこと
どちらの制度も「貸付」であり、返済義務があります。生活保護のような給付や、住居確保給付金のような家賃補助とは性質が違います。求職者支援資金融資は労働金庫による金融機関としての審査も行われるため、審査の結果、貸付を受けられないこともあるとされています(求職者支援資金融資のご案内より)。
また、緊急小口資金は自立相談支援事業の利用が原則要件になっているとおり、単にお金を貸すだけでなく、生活の立て直しを一緒に考える相談支援とセットになっている制度です。「お金だけ借りたい」という感覚よりも、「今の状況を相談してみる」という感覚で窓口に行く方が、実態に近いと考えられます。
なお、失業保険(基本手当)そのものの手続きや、給付までの期間については別の記事で説明しています。この記事の2制度は、その給付が入るまでの「つなぎ」として検討する位置づけになります。
実体験:私の場合について
私は2026年6月30日付で会社都合退職をしましたが、この2つの貸付制度は利用していません。ただ、離職票が届くまでの待ち時間や、失業保険の振込が実際にいつになるのか分からない期間には、生活費への不安を感じた記憶があります。
振込までの空白期間がどれくらい続くか見通しが立たないときに、こうした公的な貸付制度が選択肢としてあることを知っておくだけでも、心理的な余裕は変わってくると感じます。
計算例:求職者支援資金融資でいくら借りられるか
本文の「貸付額と利率」「返済のルール」に書いた数字だけを使い、実際に借りられる金額を計算してみます。
前提 - 扶養している子が1人いる(同居・生計を一にする配偶者・子・父母のいずれかがいる扱い) - 職業訓練受講給付金の支給決定を受けている - ハローワークで「求職者支援資金融資要件確認書」の交付を受けた - 受講予定の職業訓練期間は6か月
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 月額の貸付上限(扶養家族がいる場合) | 10万円 |
| 受講予定訓練月数 | 6か月 |
| 貸付総額の上限 | 10万円 × 6か月 = 60万円 |
このケースの貸付総額の上限は60万円です(貸付額は1万円単位のため、実際の決定額は60万円以下で1万円刻みになります)。
貸付額が50万円以上になるため、返済期間は貸付日から10年以内、貸付利率は年3.0%(信用保証料0.5%を含む)です。訓練終了月の3か月後の末日までは利息のみの返済、その4か月後の末日以降に元利均等払いへ移ります(本文「返済のルール」より)。
扶養家族がいない場合は月額上限が5万円になるので、同じ6か月なら上限は30万円(5万円×6か月)です。自分の場合の上限は、「扶養家族の有無で決まる月額上限」×「受講予定の訓練月数」で、この表と同じ手順で計算できます。
次にやること
生活費が本当に厳しいなら、まずお住まいの市区町村の社会福祉協議会、または最寄りのハローワークに相談してください。緊急小口資金は社会福祉協議会、求職者支援資金融資はハローワーク経由での申込みになります。どちらも審査に日数がかかるため、余裕を見て早めに動くことが重要です。
※本記事は2026年9月7日時点で確認できた公式資料をもとにした情報整理です。貸付条件は制度改正で変わる場合があるため、申込み時点の最新情報は必ず窓口(社会福祉協議会・ハローワーク)でご確認ください。心身の不調がある場合は、手続きより先に医師・産業医にご相談ください。
出典(2026年9月7日調査) - 全国社会福祉協議会 地域福祉部「生活福祉資金貸付制度について」PDF https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001092878.pdf (緊急小口資金の対象世帯・貸付上限額・据置期間・償還期限・貸付利子・連帯保証人の要否、貸付目的の集計データを確認) - 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「求職者支援資金融資のご案内」PDF https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/kyushokusha_shien/dl/kyusyokusya04.pdf (対象者要件、貸付額、担保・保証人、貸付利率、返済方法、具体的な手続き方法を確認) - 実体験(離職票の待ち時間・失業保険振込までの不安)は運営者本人の会社都合退職時の記録