辞めたあとまで分かる退職ガイド 辞める前の不安から、辞めたあとの手続きまで
ホーム › 教育訓練給付金は在職中でも申請できるか

教育訓練給付金は在職中でも申請できるか

ぜんたいの流れ
  1. 1対象講座を確認
  2. 2支給要件期間を確認
  3. 3ハローワークで照会
  4. 4受講開始
  5. 5修了後に申請
この記事の内容
  1. 教育訓練給付金は在職中でも申請できるか
  2. 在職中に申請するための条件
  3. 退職前と退職後、どちらのタイミングが有利か
  4. 計算例:一般教育訓練給付金はいくら戻ってくるか
  5. 在職中に申請する手順(チェックリスト)
  6. 在職中に申請すると会社に知られるか
  7. 専門実践教育訓練給付金を在職中に使う場合の注意点
  8. 次にやること

退職を控えていて、資格取得やスクール受講にかかった費用の一部が戻ってくる「教育訓練給付金」を、在職中のうちに使えるのか気になっている方への記事です。結論から言うと、教育訓練給付金は在職中でも申請できます(雇用保険法第60条の2第1項第1号で確認)。退職後に使う場合は受講開始の期限があるため、在職中に受講を始めておくと期限を気にせずに済みます。この記事では在職中に申請するための条件、退職前後どちらが得か、実際の手続き手順を順番に説明します。

教育訓練給付金は在職中でも申請できるか

教育訓練給付金は雇用保険法第60条の2に基づく制度で、厚生労働大臣が指定した講座を修了すると受講費用の一部が戻ってきます(同条を手元の全文で確認)。この制度は「在職中は使えない」「退職してから使う」と誤解されがちですが、受講を始める日(条文では「基準日」)に一般被保険者または高年齢被保険者(会社員として雇用保険に入っている人)であれば、在職中のまま対象になります(同条第1項第1号)。

退職後に使う場合は、基準日が「直前の被保険者でなくなった日(退職日の翌日)から1年以内」でなければなりません(同条第1項第2号、雇用保険法施行規則第101条の2の5)。妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上受講を始められない場合は、ハローワークに申し出れば期間を延ばせます(同条)。延長の上限は、施行規則第101条の2の5第1項で20年です(手元の全文で確認)。厚生労働省の専門実践教育訓練のQ&A(Q4)でも、延ばせるのは「最大19年まで」で、元の1年と合わせて20年になります(2026年9月確認)。同じQ&A(Q21)にある「最大4年以内」は、受講中の生活を支える教育訓練支援給付金を併せて受ける場合の別の上限で、給付金そのものの上限ではありません。在職中に受講を始めるなら、この期限を気にする必要がありません。

在職中に申請するための条件

在職中に教育訓練給付金を使うために必要な条件は、次の4つです。

  • 受講を始める日に、一般被保険者または高年齢被保険者であること(会社員として雇用保険に加入している状態。雇用保険法第60条の2第1項第1号)
  • 「支給要件期間」(雇用保険の被保険者だった通算期間)を満たしていること。法律上は3年以上ですが、過去に教育訓練給付金を受けたことがない人は、一般教育訓練・特定一般教育訓練では1年以上で足ります(雇用保険法第60条の2第1項、附則第11条、施行規則附則第24条で確認)。専門実践教育訓練は、同じ施行規則附則第24条で2年以上とされ、厚生労働省のQ&Aにも「3年(初めて受給する場合は2年)以上」とあります(2026年9月確認)
  • 受講する講座が厚生労働大臣の指定講座であること(厚生労働省の「教育訓練給付金厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」か、スクールの公式サイトで確認する。同条第1項)
  • 直近3年以内に教育訓練給付金を受けていないこと。計算した給付額が4,000円以下の場合も支給されません(同条第5項、施行規則第101条の2の9・第101条の2の10)

支給要件期間は、転職を挟んでいても、前の職場を辞めてから1年以内に次の被保険者になっていれば通算されます。雇用保険に入っていない期間(フリーランス期間など)が1年を超えると、その前の被保険者期間は通算されません。また、過去に教育訓練給付金を受けたことがある人は、その受給より前の期間は数えません(いずれも同条第2項)。自分の被保険者期間がどうなっているかはハローワークで照会できます。

退職前と退職後、どちらのタイミングが有利か

退職を予定していて、教育訓練給付金を使うかどうかで迷っている場合、次の観点で比較すると判断しやすくなります。

比較項目 在職中に申請 退職後に申請
受講開始の期限 在職していれば期限の心配はない 被保険者でなくなった日(退職日の翌日)から1年以内(延長の申し出あり)
被保険者番号の確認 会社に在籍中なので確認しやすい 離職票・雇用保険被保険者証で確認
支給要件期間の通算 受講開始日までの被保険者期間で数える 受講開始日までの被保険者期間で数える(退職までの期間が対象。退職で一区切りになるわけではない)
専門実践の追加給付(資格取得+就職) 修了した日に雇用されていて、修了の翌日から1年以内に資格取得等をすれば対象 修了の翌日から1年以内に資格取得等をして雇用されれば対象

追加給付の条件は雇用保険法施行規則第101条の2の7(第5号)で確認しました。表からわかるとおり、退職日や受講のタイミングが決まっているなら、在職中に受給資格の確認だけでも先にハローワークで済ませておくと、退職後に慌てずに済みます。

計算例:一般教育訓練給付金はいくら戻ってくるか

一般教育訓練給付金は、受講費用の20%(上限10万円)が支給される制度です(雇用保険法施行規則第101条の2の7第1号・第101条の2の8第1号、厚生労働省「教育訓練給付金」ページ。2026年9月確認)。なお特定一般教育訓練は40%(上限20万円)です。

仮に、受講費用30万円のITスクールを受講し、無事に修了したケースで計算してみます。

  • 受講費用(入学料+受講料):300,000円
  • 給付率:20%
  • 支給額の計算:300,000円 × 20% = 60,000円
  • 上限10万円以内のため、そのまま60,000円が支給される見込み

前提:給付の対象になる費用は、入学料と受講料です(施行規則第101条の2の6)。厚生労働省のQ&Aでは、検定試験の受験料や、受講に必ずしも必要とされない補助教材費、交通費、パソコン購入費は対象外とされています。なお一般教育訓練では、受講開始前1年以内に受けたキャリアコンサルティングの費用も、2万円を上限に対象になりえます(施行規則第101条の2の6第2号)。講座ごとの入学料・受講料の額は、厚生労働省の講座指定の情報に載っているので、スクールの請求額と見比べてください。支給額はあくまで概算で、実際の金額は修了後の申請を受けてハローワークが決めます。

在職中に申請する手順(チェックリスト)

在職中に教育訓練給付金を使う場合、次の順番で進めます。受講を始める前に確認してください。

  • □ 受講したい講座が「教育訓練給付制度対象講座」に指定されているか、講座の公式サイトまたはハローワークで確認した
  • □ 自分の雇用保険の被保険者番号を確認した(雇用保険被保険者証に記載。会社が保管していることもあるので、その場合は人事に聞く。マイナポータルでも加入記録を確認できる)
  • □ 支給要件期間(通算の被保険者期間)を満たしているか、ハローワークの窓口またはオンラインで確認した
  • □ 特定一般教育訓練・専門実践教育訓練の場合、キャリアコンサルタントとの面談を受けて職務経歴等記録書(ジョブ・カード)を作り、受講開始日の14日前までにハローワークへ受給資格確認票と一緒に出した(雇用保険法施行規則第101条の2の12・第101条の2の13で確認。一般教育訓練では不要)
  • □ 一般教育訓練の場合、受講開始前に、自分の住所地を管轄するハローワークで「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出し、受給資格があるか確認した(任意)
  • □ 受講修了後、修了日の翌日から1か月以内に、修了証明書・領収書などの必要書類を揃えてハローワークに支給申請した(施行規則第101条の2の11)

このうち、支給要件照会は必須の手続きではありません。厚生労働省のQ&Aでも、照会しなくても支給申請はでき、照会しても改めて支給申請が必要とされています。ただ、数万円〜数十万円が絡む話なので、受講費用を払う前に済ませておくと安心です。

在職中に申請すると会社に知られるか

在職中に教育訓練給付金を申請する場合、「会社に知られてしまうのでは」と気にする方もいますが、支給申請は、受講した本人がハローワークに出す手続きです。厚生労働省の案内で確認できた申請書類(支給申請書、修了証明書、領収書、本人確認書類など)に、会社の証明は含まれていません。ただし、雇用保険法第76条には、行政庁が必要に応じて事業主に報告や書類の提出を求められる規定があり、ハローワークから会社へ連絡が行く場合がないとは言えません。実際にどんな場合に連絡が行くのかについて、公的な記載は見当たりませんでした(2026年9月確認)。申請に要る雇用保険の被保険者番号は、雇用保険被保険者証などで自分で確認できます(会社が被保険者証を保管している場合は、番号だけ人事に聞くことになります)。一般教育訓練の支給申請書類は施行規則第101条の2の11に定められていて、修了証明書と費用の証明書類などで、事業主の証明は入っていません。今回確認した法令と厚生労働省の案内には、会社へ申告することを求める手続きは見当たりませんでした。

ただし、講座によっては受講にあたって休暇や勤務時間の調整が必要になる場合があり、その場合は業務上の都合で会社に相談することになります。給付金の申請そのものと、受講のための勤務調整は別の話として切り分けて考えてください。

専門実践教育訓練給付金を在職中に使う場合の注意点

専門実践教育訓練給付金(中長期のキャリア形成につながる専門的な講座が対象)は、一般教育訓練給付金より給付率が高く設定されている一方、追加の要件があります。基本は受講費用の50%(年間上限40万円)で、6か月ごとに支給されます。資格取得などをして雇用された(在職中の人は雇用されている)場合は70%(年間上限56万円)、さらに修了後の賃金が受講前より5%以上上がった場合は80%(年間上限64万円)になります。率と上限は令和6年10月1日以降に受講を開始した講座の分で、雇用保険法施行規則第101条の2の7・第101条の2の8と、厚生労働省「教育訓練給付金」ページで確認しました(2026年9月確認)。

在職中に受講し、そのまま同じ会社で働き続ける場合について、施行規則第101条の2の7第5号は、修了した日に一般被保険者などとして雇用されている人が、修了の翌日から1年以内に資格取得等をすれば70%の対象になると定めています。同じ会社で働き続けていても、この形で対象になります。専門実践教育訓練を検討している場合は、受講開始日の原則2週間前までにハローワークへ出す手続きの際に、自分のケースが追加給付の対象になるかを窓口で確認しておくと安心です。

次にやること

まずは自分の被保険者番号と受講したい講座が対象講座かどうかの2点を確認し、住所地を管轄するハローワークで支給要件照会票を提出してください。受給資格があるかどうかは、この照会で受講前に確定できます。

当サイト運営者

退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

あわせて読みたい