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傷病手当金から失業保険への切り替え

ぜんたいの流れ
  1. 1医師が就労可能と判断
  2. 2傷病手当金が終了
  3. 3受給期間延長を解除
  4. 4ハローワークで求職申込み
  5. 5待期7日後に受給開始
この記事の内容
  1. 結論:切り替えの起点は「働ける」という医師の判断
  2. なぜ同時に受け取れないのか
  3. 受給期間の延長をしていた場合
  4. 求職申込みから受給までの流れ
  5. 「雇用保険の傷病手当」と混同しない
  6. 実体験について
  7. 次にやること

この記事は、病気やケガで傷病手当金を受け取っていた人が、体調が戻ってきて「そろそろ働けそうだが、失業保険にはどう切り替えればいいのか」と迷っている段階に向けて書いています。 結論を先に言うと、傷病手当金と失業保険(基本手当)は同時には受け取れません。医師が「働ける状態」と判断した時点で傷病手当金は終わり、そこから失業保険への切り替え手続きに入ります。

こんな状態ではありませんか
  • 傷病手当金を受けながら療養していたが、体調が戻ってきた
  • 失業保険に切り替えたいが、何から手をつければいいか分からない
  • 受給期間の延長を申請していた場合、何か手続きが要るのか不安

順番に整理していきます。

結論:切り替えの起点は「働ける」という医師の判断

傷病手当金は「働けない状態」であることが支給の前提です。逆に失業保険(基本手当)は「働く意思と能力がある人」への給付です。前提が正反対のため、この2つを同時に受け取ることはできません(協会けんぽ・ハローワーク双方の公式案内で共通した扱い。別記事188「退職後も傷病手当金をもらい続ける条件」で出典つきで確認済み)。

つまり切り替えの起点になるのは、日付ではなく「働ける状態になった」という事実です。目安として、医師の診察で「就労可能」という判断が出た時点から、傷病手当金は終わり、失業保険側の手続きに動くことになります。

ここが要点

「もう傷病手当金は打ち切られてしまうかも」と焦って無理に「働けます」と申告する必要はありません。働ける状態になったことを確認してから切り替えるのが順番です。心身の状態そのものの判断は、この記事ではできません。医師・産業医に相談して決めてください。

なぜ同時に受け取れないのか

もう少し丁寧に説明します。

給付 前提となる状態 財源
傷病手当金 働けない(労務不能) 健康保険(協会けんぽ・健保組合)
失業保険(基本手当) 働く意思と能力がある 雇用保険

傷病手当金は、病気やケガで働けない人の生活を支える給付です。一方の失業保険は、働きたいのに仕事が見つからない人の生活を支える給付です。どちらも「収入が途絶えた人を支える」という目的は共通していますが、支給の前提となる状態が真逆のため、制度として重ねて受け取ることはできません。

退職後も一定の条件を満たせば傷病手当金を受け続けられる「資格喪失後の継続給付」という制度がありますが(別記事188で解説)、これもあくまで「働けない状態が続いていること」が前提です。働ける状態になった時点で、この継続給付も終わります。

受給期間の延長をしていた場合

退職後すぐに求職申込みができず、病気やケガで30日以上働けない状態が続いた場合、失業保険の受給期間延長という制度を使っている人もいるはずです(別記事130「病気やけがで働けないときの失業保険の受給期間延長」で解説)。本来1年間の受給期間を、働けなかった日数分だけ後ろにずらせる制度です。

この延長を申請していた場合、働ける状態に戻ったら、延長したままにしておくのではなく、ハローワークに届け出たうえで求職の申込みをする必要があります。雇用保険法施行規則第31条7項2号は、受給期間延長等通知書の交付を受けた人について、「法第二十条第一項に規定する理由がやんだ場合」(=働けない理由が無くなった場合)には、「速やかに、その旨を管轄公共職業安定所の長に届け出るとともに」、交付された受給資格者証と受給期間延長等通知書を提出しなければならないと定めています(雇用保険法施行規則第31条、2026年9月に条文本文で確認)。

つまり、体調が戻って「働ける状態」になった時点で、延長を申請した窓口に速やかにその旨を届け出て、延長のときに受け取った受給資格者証・受給期間延長等通知書を提出することが、延長を終わらせる手続きにあたります。届出の際に医師の診断書など追加の証明書類を求められるかどうかまでは条文本文に記載がなく、窓口ごとの運用差もありえるため、その点は延長を申請したハローワークに確認してください。

ここが要点

受給期間延長をしていない人(療養が30日未満だった人など)は、この届出の手続きは関係ありません。傷病手当金が終わったら、そのまま次の「求職申込みから受給までの流れ」に進んでください。

求職申込みから受給までの流れ

働ける状態になったら、離職票を持ってハローワークで求職の申込みをします。ここから先の流れは、通常の失業保険の手続きと同じです。

段階 内容
求職申込み 離職票を提出し、求職の申込みをする(受給期間延長をしていた場合は届出の手続きも)
待期7日 求職申込みから7日間は誰でも共通で待期期間(雇用保険法第21条)
給付制限の有無 自己都合退職なら原則1ヶ月の給付制限(雇用保険法第33条。2025年4月1日以降の離職の場合。心身の不調による退職が「特定理由離職者」に該当すれば給付制限なしになる可能性がある)
受給開始 待期(+給付制限があればそのあと)を経て、失業認定日を経由して振込

ここで確認しておきたいのが、退職理由です。体力の低下・心身の障害・病気やケガによって働き続けるのが難しくなって辞めた場合は、自己都合退職であっても「特定理由離職者」という区分に該当し、給付制限なしで受給できる可能性があります(別記事119「特定理由離職者とは」で条文根拠つきで解説)。傷病手当金を受けるほどの体調不良を理由に退職した人は、この区分に当てはまらないか、求職申込みの際にハローワークへ必ず確認してください。

なお、自己都合退職の給付制限は、退職日が2025年(令和7年)4月1日以降であれば原則1ヶ月ですが、退職日から遡って5年間のうちに2回以上、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を受けている場合や、自分の重大な過失で解雇された場合は3ヶ月になります(厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」、2026年9月確認)。

「雇用保険の傷病手当」と混同しない

ここまで説明してきた「傷病手当金」は、健康保険から出るお金です。これとは別に、雇用保険にも「傷病手当」という、名前がよく似た制度があります。

雇用保険の傷病手当は、雇用保険法第37条に定めのある給付です。条文本文では「受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合」に基本手当の代わりに支給され、日額は基本手当の日額と同額とする、とされています(雇用保険法第37条1項・3項、2026年9月に条文本文で確認)。「15日以上引き続いて」という具体的な日数の要件は、条文本文には記載がありませんが、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」の公式ページに明記されています(2026年9月確認)。

つまり、求職申込みより前に働けなかった場合の「健康保険の傷病手当金」と、求職申込みのあとに15日以上働けなくなった場合の「雇用保険の傷病手当」は、名前は似ていますが別の制度です。この記事のテーマである「切り替え」は前者、つまり求職申込み前の話です。求職申込みをしたあとに再び働けなくなった場合は、別制度である雇用保険の傷病手当の対象にならないか、ハローワークで確認してください。

実体験について

私の場合

私自身は2026年に会社都合で退職し、失業保険を申請してハローワークに通った経験がありますが、傷病手当金を受給していたわけではありません。そのため、この記事の傷病手当金・雇用保険の傷病手当に関する内容は、実体験ではなく公式サイトの調査にもとづくものです。

実体験として言えるのは、離職票を持ってハローワークに行ってからの手続きが、日付や状態の1つで扱いが変わるということです。受給期間延長を申請していた人は「働ける状態になったこと」を窓口に速やかに届け出て書類を提出する必要があると条文上分かっていますが、実際の窓口でどこまで口頭で済み、どこから書類のやり取りが必要になるかは、私が求職申込みをしたときの窓口対応の丁寧さ(申込み理由や状況を1つずつ確認される)から考えても、行ってみないと分からない部分が残ります。動く前に、一度ハローワークに電話で聞いてから行くと二度手間になりません。

次にやること

医師から「働ける状態」という判断が出たら、まず離職票を用意してハローワークへ行くことです。受給期間延長を申請していた場合は、その窓口で「体調が戻って働けるようになったこと」を速やかに届け出て、延長のときに受け取った受給資格者証・受給期間延長等通知書を提出してください(雇用保険法施行規則第31条7項2号)。追加で診断書などの提出を求められるかは窓口ごとの運用差がありえるため、その点だけは事前に確認してから動くと安心です。心身の不調が完全に治っていない段階での無理な申告は避け、判断そのものは医師・産業医に相談してから動いてください。


※本記事は2026年9月時点の情報整理です。傷病手当金と失業保険が同時に受け取れないという扱い、雇用保険の傷病手当という別制度の存在は、ハローワークインターネットサービス公式ページで2026年9月に確認済みです。受給期間延長を解除する際の届出義務は雇用保険法施行規則第31条7項2号の条文本文で確認済みですが、届出以外に追加の証明書類が要るかどうかは条文に記載がなく、窓口ごとの運用差もありえるため、延長を申請したハローワークに直接お問い合わせください。自分の状況が特定理由離職者に該当するか、給付制限の有無がどうなるかは、個別に窓口で確認してください。

出典(2026年9月確認) - ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html(受給期間延長の申請方法・申請期限、雇用保険の傷病手当の支給要件・日額を本文で確認) - 雇用保険法第20条・第21条・第33条・第37条、雇用保険法施行規則第30条・第31条(条文本文で確認。受給期間・待期・給付制限・雇用保険の傷病手当・受給期間延長の理由と届出義務の根拠) - 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html(自己都合退職の給付制限が2025年4月1日以降は原則1ヶ月である旨を本文で確認) - 全国健康保険協会(協会けんぽ)公式サイト「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(傷病手当金と失業保険が同時に受け取れない扱いの前提を、別記事188で出典つきに確認済みの内容として参照) - 別記事188「退職後も傷病手当金をもらい続ける条件|資格喪失後の継続給付」 - 別記事130「病気やけがで働けないときの失業保険の受給期間延長」 - 別記事119「特定理由離職者とは|自己都合でも給付制限がなくなる条件」

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

この記事の作り方: 下書きにAIを使い、法令の条文と官公庁の公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。確認の手順を見る →

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