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12月退職の確定申告のやり方

この記事の結論
  • 12月退職の多くは会社の年末調整で完結するが、①12月の給与の支給日より前に退職するなど年末調整の対象外になり、年内に再就職しなかった場合(国税庁タックスアンサーNo.2665)、②医療費控除やふるさと納税など追加の控除を申告したい場合、③退職金の「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、④副業所得が20万円を超える場合は自分で確定申告が必要(または申告した方が得)になる
  • 必要書類は源泉徴収票・マイナンバーカード・各種控除証明書・還付先の口座情報が中心
  • 還付申告はその年の翌年1月1日から5年間いつでも提出でき、通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)を待つ必要はない(国税庁タックスアンサーNo.2030、国税通則法74条1項)
  • 源泉徴収票は退職の日以後1か月以内に会社が交付する義務がある(所得税法226条1項)
ぜんたいの流れ
  1. 1退職
  2. 2年末調整の有無確認
  3. 3源泉徴収票受取
  4. 4必要書類をそろえる
  5. 5申告書を作成
  6. 6提出して還付を待つ
この記事の内容
  1. 結論:12月退職でも確定申告が必要になるのはこのケース
  2. なぜ12月退職なのに確定申告が必要になることがあるのか
  3. 必要書類のチェックリスト
  4. 確定申告の提出までの手順
  5. 計算例:12月末退職・年内再就職なしのケースで何を入力するか
  6. 源泉徴収票が届かないときの文例
  7. 提出期限はいつまでか
  8. 実体験について、正直に書きます
  9. 次にやること

12月に会社を辞めた人で、「自分は確定申告をしなくていいのか」「必要ならどの書類を、どう用意すればいいのか」が分からず調べている人へ。 結論から言うと、12月退職の多くは会社の年末調整だけで完結しますが、退職のタイミングや退職金の扱い次第では自分で確定申告が必要になります。この記事では、必要になるケースの見分け方から、必要書類、提出までの手順を順番に整理します。

こんな状態ではありませんか
  • 12月に辞めたが、会社が年末調整をしてくれたのか、自分でも申告が必要なのか分からない
  • 確定申告が必要だとして、何を準備すればいいのか見当がつかない
  • 源泉徴収票がまだ手元に無く、いつ・どこから手続きを始めればいいのか分からない

結論:12月退職でも確定申告が必要になるのはこのケース

状況 確定申告 理由
12月に支給されるべき給与等を受け取ってから退職し、年末調整を受けた 原則不要 年末調整の対象になる条件(4)「12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人」に該当(国税庁タックスアンサーNo.2665)
12月の給与の支給日より前に退職し、年内に再就職しなかった 還付申告が必要になることがある(任意) 年末調整の対象になる条件(1)〜(5)のどれにも当たらない年中退職者は対象外で、源泉徴収された税が精算されないまま残るため(国税庁タックスアンサーNo.2665)
年末調整は受けたが、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例未使用)などを追加で申告したい 必要(還付目的・任意) 年末調整では医療費控除などは精算されないため
退職金を受け取ったが「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない 申告して精算する 退職金の支払金額の20.42%が源泉徴収され、本人が確定申告をして精算する決まり(国税庁タックスアンサーNo.1420・No.2732)
副業・フリーランス等の所得(収入から経費を引いた額)が合計20万円を超える 必要(義務) 給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収または年末調整されている場合、給与・退職所得以外の所得が20万円以下なら申告不要(所得税法121条1項1号、国税庁タックスアンサーNo.1900)。20万円を超えるとこの対象から外れる
ここが要点

一番上の行(年末調整で完結するケース)に当てはまるかどうかの詳しい分岐は、別記事「12月退職と1月退職の違い」で扱っています。ここでは「確定申告が必要になった場合」を前提に、書類と手順を先に進めます。

なぜ12月退職なのに確定申告が必要になることがあるのか

年の途中で退職した人は、原則として退職した会社の年末調整の対象になりません。例外として対象になる条件は、国税庁タックスアンサーNo.2665に5つ挙がっています(2026年10月確認)。

  1. 海外支店等への転勤などで非居住者になった人
  2. 死亡によって退職した人
  3. 著しい心身の障害のために退職した人(退職後に再就職して給与を受け取る見込みのある人は除く)
  4. 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
  5. パートタイマーなどで、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下の人(退職後その年に他の勤務先から給与を受ける見込みのある人は除く)

12月退職の多くは、この条件(4)に当たるため、会社側で1年分の税金の精算が完結します。逆に、12月の給与の支給日より前に退職した場合は、ほかの条件にも当たらなければ年末調整の対象外になり、自分で還付申告をすることになります。

給与が翌月払いの会社の場合に、条件(4)の「12月に支給されるべき給与等」をどう数えるかは、国税庁のNo.2665には書かれていません。【各自確認:自分の会社が翌月払いか、12月分の給与の支給日と退職日のどちらが先か。給与明細・就業規則で支給日を見たうえで、条件(4)に当たるかを前職の経理担当または税務署に確認】

このほか、年末調整を受けられた場合でも、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わなかった場合)、退職金の申告書未提出などは、年末調整の枠外の話なので、還付を受けたいなら自分で確定申告をする必要があります。

必要書類のチェックリスト

確定申告を始める前に、次の書類を手元にそろえてください。

  • □ 退職した会社が発行する「源泉徴収票」(年の途中で退職した人には、退職の日以後1か月以内に会社が交付する義務がある。届いていなければ会社に請求できる。所得税法226条1項、2026年10月に条文を確認)
  • □ マイナンバーカード(e-Taxのログインに使う。無い場合は税務署でID・パスワードを発行してもらう方式でも申告できる)
  • □ 還付金の振込先になる本人名義の銀行口座情報
  • □ 退職後に自分で支払った国民健康保険料・国民年金保険料の控除証明書
  • □ 生命保険料・地震保険料の控除証明書
  • □ その年に支払った医療費の領収書(退職前の分も含めた1年間の合計。支払った医療費から保険金等を差し引いた額が年間10万円を超えると医療費控除の対象になる場合がある。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%が基準になる。国税庁タックスアンサーNo.1120)
  • □ 退職金を受け取っていれば「退職所得の源泉徴収票」(退職の日以後1か月以内の交付義務。所得税法226条2項)
  • □ 副業・フリーランス収入がある場合はその収支の記録

確定申告の提出までの手順

  1. 源泉徴収票を用意する 退職した会社が発行した源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」などの数字を、この後の入力でそのまま使います。12月末退職なら、退職の日以後1か月以内、つまり遅くとも翌年1月末までが交付の期限です(所得税法226条1項。12月退職に特化した国税庁の記載ではなく、条文から読める期限です)。
  2. 必要書類をそろえる 上のチェックリストの控除証明書を集めます。マイナポータルと連携している証明書(ふるさと納税の寄附金受領証明書・医療費通知情報・生命保険料控除証明書など)は自動で取り込める場合があります。
  3. 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で入力する ブラウザまたはスマホから「所得税の確定申告」を選び、源泉徴収票の数字と控除証明書の内容を画面の指示どおりに入力していきます。退職金を受け取っている場合は「退職所得の源泉徴収票」の内容も別欄に入力します。
  4. マイナンバーカードで送信する(e-Taxの場合) スマホで送信する場合は、マイナンバーカード読取対応のスマホと「マイナアプリ」が必要です。ログインには利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)、申告データの送信時の電子署名には署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16文字)を使います。パソコンやタブレットで送信する場合は、読取対応のスマホかICカードリーダライタのどちらかが必要です(国税庁「スマホとマイナンバーカードでe-Tax」、2026年10月確認)。
  5. 還付金を受け取る 送信後、入力した口座に還付金が振り込まれます。国税庁のQ&A「税金の還付」によると、e-Taxで提出した場合の還付処理の目安は申告からおよそ3週間です(訂正申告を重ねた場合や書類不備、別送書類がある場合は対象外)。2月・3月の確定申告期間中は申告書が大量に提出されるため、還付金の支払手続におおむね1か月〜1か月半程度かかる、と同じQ&Aに書かれています(e-Taxの約3週間は、そのうえで「e-Taxで出した還付申告」に限った目安です)。
ここが要点

副業所得が20万円を超える、または給与年収が2000万円を超えるなど「確定申告が義務になる」ケースは、通常の申告期間(翌年2月16日〜3月15日。所得税法120条1項)内に提出する必要があります。一方、還付だけが目的の申告(還付申告)には期限の縛りがなく、次の章で説明する通り翌年1月1日からいつでも出せます。

計算例:12月末退職・年内再就職なしのケースで何を入力するか

前提を1つ仮置きして、流れだけ示します(以下はすべて仮の設定で、実在の事案ではありません)。

前提

項目 内容
退職日 12月末(給与は当月払いの会社で、12月分の給与は12月中に受給済み)
状況 年末調整は会社で完了。ただしその年に支払った医療費が合計14万円あり、医療費控除を追加で申告したい
年内の再就職 していない

入力の流れ

  • 源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」を作成コーナーにそのまま入力する(年末調整済みなので、この時点の税額は一度精算されている)
  • 医療費控除の欄に、支払った医療費14万円から保険金等の補填額を差し引いた金額を入力する(ここでは補填なし、総所得金額等は200万円以上と仮置き。その場合、14万円から10万円を引いた4万円が医療費控除の額になる。国税庁タックスアンサーNo.1120)
  • 医療費控除が反映されることで課税所得が下がり、年末調整で確定していた税額より本来の税額のほうが少なくなる場合、その差額が還付される
  • 実際の還付額は人ごとの控除内容によって変わるため、金額は作成コーナーの自動計算に委ねる

源泉徴収票が届かないときの文例

退職の日から1か月を過ぎても源泉徴収票が届かない場合、会社には交付義務があります(所得税法226条1項)。翌年1月になっても届かない場合は、メールで次のように送って構いません。

件名: 源泉徴収票の発行について

○○部 ○○様

お世話になっております。
12月○日付で退職いたしました○○です。

確定申告のため、源泉徴収票が必要となっております。
まだお手元に届いておりませんので、

発行状況のご確認と、
可能であれば郵送をお願いできますでしょうか。

お手数をおかけしますが、
よろしくお願いいたします。

○○(氏名)

提出期限はいつまでか

還付が目的の申告(還付申告)は、その年の翌年1月1日から5年間、確定申告期間とは関係なく提出できます(国税庁タックスアンサーNo.2030)。還付申告そのものの根拠は所得税法122条、還付を受ける権利が5年で消える点は国税通則法74条1項です(どちらもe-Gov法令APIの全文で2026年10月に確認)。12月退職なら、通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)を待たずに、年明け早々から準備を始められます。ただし、青色申告特別控除のように提出期限が要件になっている特例を使う場合は、その期限までに出す必要があります(No.2030)。

一方、副業所得が20万円を超えるなど「申告が義務になる」ケースは、通常の確定申告期間内に提出する必要があります。自分がどちらに当たるかは、上の「結論」の表で確認してください。

実体験について、正直に書きます

私自身は2026年6月末に正社員として会社都合で退職しました。ただし12月退職の実体験はありません。また、2026年分の確定申告はまだ行っていません(還付申告は翌年1月1日から提出できるため)。

この記事で挙げた分岐・必要書類・手順は、国税庁の公式ページと所得税法の条文にもとづく整理であり、私自身が12月退職者として申告した経験にもとづく記述ではありません。調査した範囲では、という前提で読んでください。

次にやること

まず、上の「結論」の表で自分がどのケースに当てはまるかを確認してください。 会社の年末調整だけで完結する状況なら、追加の手続きは基本的に不要です。確定申告が必要(または申告した方が得)な状況に当てはまるなら、源泉徴収票が届き次第、上のチェックリストの書類をそろえて、翌年1月1日から国税庁「確定申告書等作成コーナー」で入力を始めてください。


※本記事は2026年10月時点の一般的な情報整理です(国税庁の各ページと所得税法の条文を同月に確認)。確定申告の要否・手続きは個人の状況(給与の支払いサイクル、年内の転職有無、退職金や副業所得の有無など)によって異なるため、正確な取り扱いは前職の総務・経理担当、または最寄りの税務署にご確認ください。

出典 - 国税庁タックスアンサー No.2665(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm) — 年の中途で退職した人のうち年末調整の対象になる条件(1)〜(5) - 国税庁タックスアンサー No.1900(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm) — 給与所得者で確定申告が必要な人 - 国税庁タックスアンサー No.2030(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm) — 還付申告は翌年1月1日から5年間提出可能 - 国税庁タックスアンサー No.1420(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm) 退職金を受け取ったとき(退職所得)、No.2732(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732.htm) 退職手当等に対する源泉徴収 — 申告書未提出時の20.42%源泉徴収と確定申告での精算 - 国税庁タックスアンサー No.1120(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm) — 医療費控除の計算(10万円、総所得金額等200万円未満は5%) - 国税庁「税金の還付」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/11.htm) — 還付処理の目安(e-Tax約3週間、書面は申告期間中1か月〜1か月半) - 国税庁「スマホとマイナンバーカードでe-Tax」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/smartphone-mynaportal-etax/) — 必要な機器とパスワード - 所得税法第120条1項(申告期間)、第121条(確定所得申告を要しない場合)、第122条(還付等を受けるための申告)、第226条(源泉徴収票の交付義務。1項は給与等、2項は退職手当等)、国税通則法第74条1項(還付金請求権の消滅時効5年)。e-Gov法令APIの全文で確認(2026年10月)

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退職届を受け取る側に長くいて、そのあと自分が出す側になりました

人を採用し、辞めていく人を見送る立場に長くいました。退職代行から電話を受けたこともあります。そして自分が辞める番になり、失業保険の申請・ハローワークでの手続き・健康保険の切り替え・住民税の直接納付・保育園の継続手続きまで、すべて自分で通りました。両側を見た人間が書いています。「代行を使ったら会社はどう思うのか」に答えられるのは、受け取ったことがあるからです。

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