失業保険が終了して仕事が決まらないとき、使える制度と窓口
- 1給付終了の確認
- 2延長給付の対象確認
- 3求職者支援制度検討
- 4生活費の他制度確認
- 5ハローワーク相談
この記事の内容
失業保険(雇用保険の基本手当)の給付日数を使い切ったのに、まだ次の仕事が決まっていない人向けの記事です。「振込が止まったらどうやって生活すればいいのか」という不安に答えます。
結論を先に言うと、基本手当が終わっても使える制度は複数あります。倒産・解雇などの理由で退職した人は「延長給付」の対象になる可能性があり、それ以外の人も「求職者支援制度」「住居確保給付金」「国保・年金の減免」「生活保護」のいずれかで生活を支えられる場合があります。どれも自分から申請しないと動きません。
この記事では、それぞれの制度の対象者・支給額・申請窓口を、厚生労働省の公式情報と雇用保険法・生活保護法の条文(2026年9月2日確認)をもとに整理します。
結論:状況別に検討する制度
| 今の状況 | 検討する制度 |
|---|---|
| 倒産・解雇などの会社都合退職だった | 延長給付の対象になる可能性がある。ハローワークで確認 |
| 職業訓練を受けながら生活費を得たい | 求職者支援制度(職業訓練受講給付金) |
| 家賃の支払いが厳しい | 住居確保給付金 |
| 国保・国民年金の支払いが厳しい | 各制度の減免・猶予 |
| 生活費全体が立ちいかない | 生活保護 |
複数の制度は同時に検討できます。「求職者支援制度で生活費を確保しながら、家賃は住居確保給付金で補う」という組み合わせ方もあります。どれも待っていても案内は来ません。自分から窓口に行く必要があります。
まず確認すること:延長給付の対象かどうか
基本手当には、所定給付日数を使い切った受給資格者に対して、条件付きで給付を延長する制度があります。雇用保険法で定められている延長給付は次の4種類です(条文を確認、2026年9月2日)。
- 訓練延長給付(雇用保険法第24条):公共職業訓練などを受講する受給資格者が対象。離職理由は問われません
- 個別延長給付(雇用保険法第24条の2):倒産・解雇などによる離職者(特定受給資格者)、または雇止めなど本人の意思によらない離職者(特定理由離職者のうち一定の者)に限定され、心身の状況や災害の影響などの要件も必要です
- 広域延長給付(雇用保険法第25条・第26条):厚生労働大臣が指定した地域で、広範囲の職業紹介活動の対象と認定された受給資格者に適用
- 全国延長給付(雇用保険法第27条):全国的に失業状況が著しく悪化した場合に、厚生労働大臣が期間を指定して発動
このうち個別延長給付は、雇用保険法第24条の2の条文上、特定受給資格者・特定理由離職者に限定されており、一般的な自己都合退職は対象に含まれません。一方、訓練延長給付・広域延長給付・全国延長給付は離職理由を問わず、それぞれの要件(訓練受講、地域指定、全国的な発動)を満たせば対象になり得ます。
自分がどの区分に該当するかは、離職票に記載された離職理由で確認できます。延長給付の対象になるかどうかも含めて、振込が止まる前に一度ハローワークの窓口で聞いておくのが確実です。延長給付は自動では適用されず、対象者への案内も一律ではありません。
職業訓練を受けながら月10万円をもらう「求職者支援制度」
延長給付の対象にならない場合、もしくは基本手当をもらい切った場合に検討できるのが「求職者支援制度」です。厚生労働省の公式ページ(2026年9月2日確認)によると、次のような制度です。
- 対象:雇用保険を受給できない離職者(基本手当を受給し終えた人を含む)
- 支援内容:無料の職業訓練を受講しながら、月10万円の「職業訓練受講手当」を受け取れる
- 通所手当:訓練施設に通う定期代など(上限月42,500円)
- 寄宿手当:訓練のため家族と別居して寄宿する場合、月10,700円
支給には収入要件と出席要件があります。同ページによると、本人の月収が8万円以下、世帯全体の月収が30万円以下であることに加え、訓練実施日すべてに出席すること(やむを得ない理由がある場合でも8割以上の出席)が求められます。
この制度を使うには、ハローワークに求職の申し込みをしたうえで、求職者支援訓練または公共職業訓練のコースに応募し、選考を受ける必要があります。基本手当と違って「待っていれば振り込まれる」制度ではなく、訓練を受けること自体が条件になっている点が違いです。
家賃の支払いが厳しいときの「住居確保給付金」
基本手当が終わって収入が減り、家賃の支払いが厳しくなってきた場合は「住居確保給付金」を検討できます。厚生労働省の生活支援特設サイト(2026年9月2日確認)によると、要件は次の4つです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 離職・収入減少要件 | 主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内、または収入が同程度まで減少している |
| 収入要件 | 世帯の月収合計が、市町村民税均等割の非課税基準額(月割)と家賃(上限あり)の合計以下 |
| 資産要件 | 世帯の預貯金合計が、市区町村の定める基準額(上限100万円)以下 |
| 求職活動要件 | 月4回以上の自立相談支援機関面接、月2回以上のハローワーク職業相談、週1回以上の企業応募 |
支給期間は原則3か月で、求職活動を続けている場合は2回まで延長でき、最大9か月まで受けられます(同サイトより)。申請窓口は各自治体の「生活困窮者自立相談支援機関」です。福祉事務所を設置する自治体に窓口があるため、名称や場所は市区町村によって異なります。まずは「(お住まいの市区町村名) 生活困窮者自立相談支援」で検索するか、市区町村役場の福祉担当窓口に問い合わせるのが早道です。
国民健康保険料・国民年金保険料の減免・猶予
失業保険が終わって収入が途絶えると、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いも重荷になります。どちらも、収入が少ない・失業したという事情があれば、減額や納付の猶予を申請できる制度が用意されています。
- 国民健康保険料:離職理由や前年所得に応じた軽減制度がある。窓口は市区町村の国民健康保険担当課
- 国民年金保険料:失業を理由にした納付猶予・免除の制度がある。窓口は市区町村の年金担当課、または年金事務所
具体的な軽減額・免除の判定基準は自治体や個人の所得状況によって変わるため、この記事では金額まで踏み込みません。「支払えないから」と滞納する前に、窓口に相談してください。滞納してからでは使えない救済策もあります。
それでも生活が立ちいかないときは生活保護も選択肢
上記のどの制度を使っても生活費が足りない場合、最後のセーフティネットとして生活保護があります。「働いているうちは対象外」というイメージを持つ人もいますが、失業して求職活動中であることは、生活保護の申請を妨げる理由にはなりません。
生活保護法第4条(保護の補足性、2026年9月2日確認)は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」と定めています。申請にあたっては預貯金・保険・不動産などの資産調査と、扶養義務者への扶養照会が行われますが、厚生労働省社会・援護局保護課長の事務連絡(令和3年3月30日付、2026年9月2日確認)により、申請者が扶養照会を拒む意向を示した場合は、その理由を丁寧に聞き取ったうえで照会の要否を検討する扱いに変わっています。
「まだ頑張れる」「生活保護は最後の手段」と自分を追い込む必要はありません。窓口は住んでいる自治体の福祉事務所(生活保護担当)です。書類が揃っていなくても申請自体は可能とされています。相談だけでも、今の状況で使える制度を教えてもらえることがあります。
次にやること
基本手当の残日数が少なくなってきた時点で、一度ハローワークの窓口に行き、延長給付の対象になるかどうかを確認してください。対象外だった場合は、この記事で挙げた求職者支援制度・住居確保給付金・国保や年金の減免・生活保護のうち、今の状況に合うものから順に窓口へ相談してください。心身の不調がある場合は、求職活動より先に医師・産業医に相談してください。
※本記事は2026年9月時点の情報整理です。国保・年金の減免額、生活保護の資産基準など個別の金額は自治体・個人の状況により異なります。詳細は最寄りのハローワーク・市区町村窓口・年金事務所に直接ご確認ください。
出典(2026年9月2日調査) - 雇用保険法第24条・第24条の2・第25条・第26条・第27条(訓練延長給付・個別延長給付・広域延長給付・全国延長給付の対象要件を条文で確認) - 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html (職業訓練受講給付金の支給額・要件をWebFetchで確認) - 厚生労働省生活支援特設ウェブサイト「住居確保給付金」 https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html (支給要件・期間をWebFetchで確認) - 生活保護法第4条(保護の補足性、条文で確認) - 厚生労働省社会・援護局保護課長事務連絡「「生活保護問答集について」の一部改正について」(令和3年3月30日付、扶養照会の運用改正をWebSearchで確認)